【アルバム感想】『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』スピッツ

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RECYCLE Greatest Hits of SPITZ
スピッツ

RECYCLE Greatest Hits of SPITZ

収録曲

01.君が思い出になる前に
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
02.空も飛べるはず
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:土方隆行・スピッツ)
03.青い車
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:土方隆行・スピッツ)
04.スパイダー
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
05.ロビンソン
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
06.涙がキラリ☆
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
07.チェリー
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
08.渚
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
09.スカーレット
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
10.夢じゃない
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳・スピッツ)
11.運命の人
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:棚谷祐一・スピッツ)
12.冷たい頬
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:棚谷祐一・スピッツ)
13.楓
(作詞・作曲:草野正宗、編曲:棚谷祐一・スピッツ)

データ

1999年12月15日、初登場1位
初動57.9万枚、売上214.5万枚、登場239週
ポリドール

作品概要

スピッツの非公認ベストアルバム『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』。このアルバムのリリースはメンバー・事務所の許可を得ないままにレコード会社が決定し、強制的に行われた。かねてから「ベストアルバムは解散する時にしか出さない」との姿勢を貫いてきたスピッツにとってこれは当然納得のいかないリリースであり、公式サイトには「これはメンバーの意志ではありません。諸々の事情からレコード会社に一方的にリリースされてしまいました」とのメンバー自身の声明が載せられる等かなり異例の事態となった。

『RECYCLE(使い回し)』という皮肉ともとれるアルバムタイトル、メンバー写真が一切使われていないジャケット・ブックレット、チャートにランクインしたシングルをただ発売順に並べただけのやる気の無い構成等はメンバーによるもの。最低限の仁義としてマスタリングにもメンバー全員で立ち会っているが、これは自分達のセールスポイントを見直す良いキッカケになったと後に語られている。収録曲のうち「空も飛べるはず」「青い車」「渚」「スカーレット」「夢じゃない」「運命の人」はシングルバージョンではアルバム初収録だった。

そんな諸々あった問題作だが、公認・非公認とか関係の無い一般リスナーにとってはスピッツの初ベストは待ち望まれていたようで、同週発売だったCHAGE and ASKAの20周年ベスト『VERY BEST ROLL OVER 20TH』の2倍以上の初動を記録し初登場1位。結果的にダブルミリオンを突破するスピッツ史上断トツの最高売上となってしまい、発売以降も毎年10万枚以上が出荷され続けた。

限られた時期のシングルしか入っていない今作がロングヒットしている事にジレンマを感じたメンバーは2006年に公認シングルコレクション『CYCLE HIT Spitz Complete Single Collection』2枚をリリース。これを機に今作は200万枚超えのヒット作にも関わらず異例の製造中止となった。最終ランクインは2006年5月。

感想

僕がJ-POPに興味を持った中学1年当時(2002年)、家に今作があったのでスピッツの入り口となったのはこのアルバムだった。当時は発売経緯にこんな問題のあった作品だなんて知らなかったので純粋に楽曲の良さだけを受け止めて聴いており、とにかく最高に素晴らしいアルバムだ!とリピートしまくった。「君が思い出になる前に」で始まって「楓」で終わるという流れは少しの無駄もなくとにかく最強に思えた。ランクインしたシングルをただ並べただけとはいえそれが皮肉にも素晴らしい並びになってしまっている。実際、学生時代の友人やクラスメイトからの「スピッツのCD貸してくれない?」という要望の際に真っ先に渡すのは今作だった。一先ず「空も飛べるはず」や「チェリー」を聴いてみたいという初心者には抜群に機能するベストだったし、ゼロ年代前半に大量の新規ファンを呼び込んだアイテムだったのは間違いないと思う。もし今作のロングヒットが無かったらスピッツの現在の地位も危うかったかも…?とか言うとファンの方々に怒られるだろうか…。

現在では2006年の公認シングルコレクション『CYCLE HIT』2枚を入口とするのがオススメであるが、中古屋で安く入手できるという点から今作を最初に手にしてもそれはそれで良いと思う。今作をキッカケに他の時期の曲も聴いてみたいと思ったなら『CYCLE HIT』、もしくはオリジナルアルバムのどれかに進むと良いだろう。「今作はポップ過ぎる、ロックなスピッツこそ至高!」という意識がファンの間では根強いが、今作収録の大ヒット曲達があってこそロック期の良さにも気づけたので、存在意義を完全に失ってはいない1枚だと僕は思う。

おすすめ度★★★★☆

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