岡田有希子 シングル&名曲感想 ~1984-1986+2002~

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岡田有希子 シングル&名曲感想 ~1984-1986+2002~

1984年に竹内まりや提供の「ファースト・デイト」でデビュー。シングル8作・オリジナルアルバム4作をリリースしたもののデビューから僅か2年後の1986年4月8日、所属していたサンミュージック本社の屋上から飛び降り自ら命を絶った伝説のアイドル歌手。

「ユッコ」の愛称で親しまれ、「ポスト松田聖子」とまで言われたトップアイドルの突然の死は当時芸能界のみならず社会に大きな衝撃を与えた。

1989年生まれのわたくしマーは当然リアルタイムでの記憶は無い(生まれる3年前に他界されてるわけで)。最初に岡田有希子を観た記憶は2002年の『FNS歌謡祭』内の過去映像で流れた「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」。その時に何となく「良い曲だな」とは思っていたが、当時は音楽に興味を持ち始めたばかりの頃で90年代J-POPを中心に様々なヒット曲を吸収していた頃だったので埋もれてしまい聴くまでに至らなかった。

僕が実際に音源を聴き始めたのは時が流れサブスクを始めた後の2021年の事であった(ベストアルバム『岡田有希子 Mariya’s Songbook』を入口にした)。今回はシングル10作を中心にご紹介していこうと思います。

1st ファースト・デイト

1984年4月21日、20位

作詞・作曲:竹内まりや、編曲:萩田光雄
83年末からタレント活動は開始していたが84年に入りアイドル歌手デビューの準備が進められた。レコード会社のプロデューサー・渡辺有三が岡田のイメージを「六大学野球を観に行く山の手のお嬢さん」と制定。シティポップでおしゃれなイメージからかデビュー曲の楽曲提供に竹内まりやが起用された。

グリコ協同乳業カフェゼリーCMソング。記念すべきデビュー曲。全然クラスで目立つタイプでも無いのに初デートに誘われて、嬉しいような不安なような複雑な心境を描いた女の子が主人公。作者の竹内まりやもコーラスで参加しており、マイナーコードでスリリングな空気を醸し出している。デビュー曲にしてはちょっと暗いような気もするが、最初に聴いたベスト盤の1曲目に入っていた事で思い入れも深いし、何だかんだ安定感のある存在。

この曲と、2ndシングル「リトル プリンセス」、3rdシングル「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」の3つは“学園恋愛三部作”と括られているらしい。確かにこの3曲はそれぞれ恋愛の始まり→恋愛絶頂期→未来への展望を表しており3つで一つのストーリーになっていると言える。ちなみに3曲とも竹内まりやの提供。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:1st『シンデレラ』、ベスト『ALL SONGS REQUEST』他

C/W そよ風はペパーミント

作詞:田口俊、作曲・編曲:大村雅朗
1stシングル「ファースト・デイト」カップリング曲。大村雅朗ってどっかで見た名前だな~と思い調べたら松田聖子の「SWEET MEMORIES」や「真冬の恋人たち」の作曲、他にも多くの編曲を手掛けてる方だった。

夏の始まりを感じさせるアイドルポップ。サビの〈好きでっすぅ~♪〉がインパクト抜群。僕としては「ファースト・デイト」よりも断然こっち派。とにかくピュアな歌声が泣けるのよ。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』、ベスト『ゴールデン☆アイドル 岡田有希子』

2nd リトル プリンセス

1984年7月18日、14位

作詞・作曲:竹内まりや、編曲:大村雅朗
竹内まりやによる”学園恋愛三部作”2作目。遊園地デートに出かける女の子のワクワクした乙女心を歌う清純アイドルポップ。〈仲間達がうらやましそうな顔してる〉という事なのでどうやら彼氏含めた友人グループで遊びに来ているんだろう。実に青春を感じる胸キュンソング。

歌手デビュー時のキャッチコピーが「素敵の国からやって来たリトルプリンセス」であった事からも、まさに岡田有希子自身を象徴するような楽曲でもあると思う。キャッチーさ・可愛らしさ共に抜群だし。「ファースト・デイト」よりもこっちの方がデビュー曲に相応しかったんじゃないの?と思う程。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:1st『シンデレラ』、ベスト『ALL SONGS REQUEST』他

C/W 恋のダブルス

作詞:康珍化、作曲・編曲:萩田光雄
2ndシングル「リトル プリンセス」カップリング曲。恋愛絶頂期の女の子を描いた爽快アイドルポップ。かなりテンションの高い曲。〈世界でいちばん 仲良しなものはなあに? ナイフとフォーク? いえいえ、あなたと私よ〉って中々ぶっ飛んだ歌詞だ。けどメロディーは良いしとにかく若さ溢れる爽快さがたまらない一曲。ちなみに康珍化(かんちんふぁ)はKinKi Kidsの「全部だきしめて」「雨のMelody」「夏の王様」等も手掛けた作詞家。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』、ベスト『ゴールデン☆ベスト 岡田有希子』

3rd -Dreaming Girl- 恋、はじめまして

1984年9月21日、7位

作詞・作曲:竹内まりや、編曲:萩田光雄
3作目にして自身初のチャートトップ10入り。日本レコード大賞最優秀新人賞の他、日本歌謡大賞新人賞、FNS歌謡祭最優秀新人賞等、84年の賞レース新人賞を総なめした。

如何せん松田聖子や中森明菜のような誰もが知る世間的な大ヒット曲…みたいなものは無い(少なくとも僕の世代では岡田有希子の曲をまず知らない)。何より僕が生まれる前に活動が終了してて当時の空気感なども分からないのでどの曲がどう世間に浸透していたのかは掴めないんだけど、初のトップ10入りだし、僕の中では「くちびるNetwork」に次ぐ岡田有希子の代表曲はコレというイメージだ。

江崎グリコ・セシルチョコレートCMソング。”学園恋愛三部作”最終作。前述のように僕が最初に聴いたのがこの曲で、「良い曲だな」と思い後にサブスクで聴くキッカケにもなった。サウンドは歌謡曲なんだけど竹内まりやのエキスなのかメロディーはどことなく洗練されていて素晴らしい。中学時代、FNS歌謡祭の過去映像で聴いた時に既にそのキラキラ感は感じていた。サビの広がっていくメロディーは絶品アイドル・岡田有希子の美味しい部分が全て詰まった名曲

おすすめ度★★★★★
収録アルバム:ベスト『ALL SONGS REQUEST』、ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』他

C/W 気まぐれTeenage Love

作詞・作曲:竹内まりや、編曲:萩田光雄
3rdシングル「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」カップリング曲。スタイリッシュなんだけど、良い意味でアイドルポップの域を超えない名曲。サビらしいサビは無いんだけど全編良いメロディーの連発で非常に聴き心地が良いしなによりイントロの「タタタタン・タタン、タタタタン・タタン」(聴けば分かる)のメロディーが最強に好き。あのイントロが聴きたくてこの曲を再生する事も多いくらいだ。竹内まりや提供曲の中では一番好き。この曲がなければここまで岡田有希子にハマらなかったかも。

おすすめ度★★★★★
収録アルバム:ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』、ベスト『ゴールデン☆アイドル 岡田有希子』他

4th 二人だけのセレモニー

1985年1月16日、4位

作詞:夏目純、作曲:尾崎亜美、編曲:松任谷正隆
竹内まりや提供期が一旦終わり、今度はシンガーソングライター・尾崎亜美が登場。尾崎亜美は杏里の「オリビアを聴きながら」や松田聖子の「天使のウインク」の提供でも知られる。作詞の夏目純はよく知らなかったが、カラオケの人気曲として一定の地位を得ている中西保志の「最後の雨」で作詞を手掛けた女性作詞家であるようだ。編曲の松任谷正隆は説明不要だろう。

東芝レッツチャットCMソング。制作陣が変わった事もありだいぶ雰囲気が変わった。アイドルポップである事に変わりは無いけどなんつーかシティポップ風味が強まった感じ。80年代松田聖子の雰囲気に近くなった。前作までと比べてサウンドがゴージャス。イントロの壮大さは嫌でも期待感を煽るし、その期待通りメロディーもキャッチーで順当な良い曲。ちなみにアルバムバージョンはミキシング違い。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:2nd『FAIRY』(Album Version)、ベスト『ALL SONGS REQUEST』他

5th Summer Beach

1985年4月17日、5位

作詞・作曲:尾崎亜美、編曲:松任谷正隆
グリコ・カフェゼリーCMソング。2作連続で尾崎亜美の提供。前作よりも更にシティポップ風味が強まった。メロディーで押すというよりはサウンドや演奏含めて楽しむオシャレな空気。サウンドだけで夏のビーチが目の前に浮かんでくるのは凄い。やはり天下の松任谷正隆だけある。派手なサビじゃ無いけど夏の青空の下で聴きたくなるバケイションソングだ(発売は春なんだけどね)。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:ベスト『ALL SONGS REQUEST』、ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』他

6th 哀しい予感

1985年7月17日、7位

作詞・作曲:竹内まりや、編曲:松任谷正隆
本人が主演したフジテレビ単発ドラマ『かぐや姫・とんで初体験』主題歌。3作ぶりに竹内まりやの提供。デビューからの3シングル”学園恋愛三部作”や、他の提供曲とは一線を画した物悲しいナンバー。結構ギターも鳴っていてロック風味もある。メロディーはさすが竹内まりや、一発で耳に残る。

竹内まりやはこの曲を書いた直後にライブの楽屋で岡田と会った。その時「じゃあ、がんばってね」と声をかけたのが最後の交流となってしまったという。そういうエピソードも相まってこの曲を聴くとどうも何とも言えない切なさに襲われる。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:3rd『十月の人魚』、ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』他

7th Love Fair

1985年10月5日、5位

作詞・作曲:かしぶち哲郎、編曲:松任谷正隆
2ndアルバム頃からちょこちょこ提供していたかしぶち哲郎が遂にシングル表題曲に登場。恥ずかしながらかしぶち哲郎を存じ上げなかったのだがロックバンド「ムーンライダーズ」のメンバーとして知られるミュージシャンで、2013年に亡くなっている。ムーンライダーズは1975年結成で幾度かの休止を経ているが2020年に活動を再開した。

江崎グリコ・セシルチョコレートCMソング。Aメロ・Bメロは妖艶で奇抜。なんか怪しいサーカスを見に来たような雰囲気。出だしがマニアックなのであんま好きなタイプの曲じゃないかな~と思いきや、サビで一気にキャッチーさが弾ける。ここが非常に心地いい。奇抜なA・Bメロがあるからこそサビが輝くんだよな。同じくかしぶち哲郎提供の9thシングル「花のイマージュ」(岡田の死去により発売中止)と曲調は近い。「花のイマージュ」のプロトタイプがこの曲なのだと思う。

初期の1~3thがピュアピュアアイドル期、中期の4th~6thがシティポップ期だとすれば今作から活動終了までは実験期と呼べると思う。初期とも中期とも異なる独特な良さに溢れている。この時点でデビューから僅か1年半程だが本当に目まぐるしく作風が変わっていてそのどれもが魅力的なのが凄い。

おすすめ度★★★★☆
収録アルバム:ベスト『ALL SONGS REQUEST』、ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』他

8th くちびるNetwork

1986年1月29日、1位

作詞:Seiko、作曲:坂本龍一、編曲:かしぶち哲郎
作詞のSeikoとは松田聖子。作曲は坂本龍一と、急に超ビッグネームふたりが登場。当時の松田聖子は俳優・神田正輝との結婚、そして妊娠のために芸能活動休止中だったが、サンミュージックの先輩・後輩という繋がりから歌詞提供に至ったのだという。自身初、そして最初で最後のチャート1位を獲得。最大のヒット曲となった。

リリースから約2か月後の4月8日に岡田が死去したため、今作は生前最後のシングルとなった。生前最後のシングルで初1位・最大ヒット。本当に全盛期真っただ中にこの世を去ったという事がわかる。

初の1位及び自身最大ヒットという事でこれが岡田有希子の代表曲となる。と言っても僕はベスト盤を聴くまで全く知らなかった。まぁ売上自体は23万枚で、売れたは売れたけど大ヒットと呼べるような数字には達していない。中学時代から見始めた懐古系音楽番組でも90年代ミリオンヒットが中心で、80年代以前は取り上げられる率がどうしても少なかったのでそこに割り込むにはもっと数字が必要だったのかな?と…。知る機会が無かったのよね。

カネボウ’86春のバザールCMソング。坂本龍一ってあんま聞いた事なくて作風とか分かんないだけど、この電子的っていうのか浮遊感のある曲調・メロディーにそれが現れているのだろうか。歌詞が結構際どいんだけど岡田のキュートな歌声で中和される(サザンオールスターズの原由子の声も同じ作用がある)。シングルを順番に聴いていくと明らかに特異で良くも悪くも浮いている感じがするんだけど、そういうのが最大ヒットというのが「あるある」というかね…。「Love Fair」でも書いたようにやはり実験期という感じがする。最初は歌詞があまり好きになれなかったが繰り返し聴く内に癖になってきた曲。

おすすめ度★★★☆☆
収録アルバム:4th『ヴィーナス誕生』、ベスト『ALL SONGS REQUEST』他

9th 花のイマージュ

1986年5月14日(発売中止)

作詞・作曲・編曲:かしぶち哲郎
1986年5月14日にリリース予定だったが、約1か月前の4月8日に岡田が所属事務所サンミュージック本社の屋上から飛び降りて死去。予定されていたリリースは中止となり今作は幻のシングルとなった。その時点で今作のレコーディングは完了しジャケットも完成していた。

岡田の死去後、多くのファンによって最後のシングルとしてのリリースを求める地道な署名活動が行われた。結果、本来の予定日から約12年10か月後、1999年3月の4枚組BOX『メモリアルBOX』内のDisc.4にて初めて世の中にリリースされる事となった。

遂にかしぶち哲郎の単独制作。「Love Fair」の発展形と言える大名曲。「Love Fair」と同じく全体的な奇抜さはあるもののサビの破壊力が凄い。初めて聴いた瞬間から一発で心を持っていかれた。こんな名曲が約13年の間お蔵入りになっていたとは…。1986年に作られ、世に出たのが1999年よ。違う時代やん。本当、そのまま闇に葬られず日の目を浴びてよかった。わたくしマーが岡田有希子で一番好きな曲はコレ。

おすすめ度★★★★★
収録アルバム:ベスト『ALL SONGS REQUEST』、ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』他

10th Believe In You(2003 Strings Version)

2002年12月4日、63位

作詞:吉沢久美子、作曲・編曲:梅垣達志
元々は1984年11月にレコードとカセットで発売されていたベストアルバム『贈りもの』にボーナストラックとして収録されていた曲で、本人出演の東芝「パソピアIQ」CMソングに使われていた。

2002年12月、6CD+1DVDのボックスアイテム『贈りものⅢ 岡田有希子CD/DVD-BOX』の発売にあたり、2週間前の先行シングルとして今作がリリースされた。初登場63位を記録し、生前最後のシングル「くちびるNetwork」から実に約16年11か月ぶりのシングルチャートインを果たした。

1984年の原曲から岡田のボーカルだけを抜き取り、新たに録音したフルオーケストラによる演奏と組み合わせ新曲として仕上げた音源。原曲は元気系のポップス、今作はオーケストラを交えたゆったりした仕上がりとだいぶ違うテイストになっているんだけど全く違和感なく聴ける。フルオーケストラの効果なのか雄大なる愛母性みたいなものを感じる名曲に感じる。

Wikiによると「恋人とのデートの後、帰り道を独り歩くヒロインの心情」を歌っているという事だがもっと大きく壮大な愛を歌っているように聴こえる。〈きらめくような あなたの姿 抱きしめて 生きていけます〉の歌詞、主人公から見た恋人を指すんだろうけどこの〈あなた〉に岡田有希子自身を重ねてしまうファンは多いだろう。素晴らしい楽曲、そして復刻のデジタル技術に拍手である。

おすすめ度★★★★★
収録アルバム:ベスト『ザ・プレミアムベスト 岡田有希子』

C/W Believe In You(1984 Original Version)

作詞:吉沢久美子、作曲:梅垣達志、編曲:萩田光雄
カップリングには1984年の原曲が収録されている。「ファースト・デイト」や「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」の編曲を手掛けた萩田光雄だけあって、岡田有希子の王道をいくポップスだ。聴き比べると面白い。こうして聴くと原曲の時点で素晴らしいメロディーである事が分かるしこちらのバージョンも名曲。元々コンサートのアンコール曲で、ファン人気も高かったらしいがそれも納得である。

おすすめ度★★★★★
収録アルバム:ベスト『ALL SONGS REQUEST』、アルバム未収録曲集『プレゼント』

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