KinKi Kids 歴代アルバム感想 #2 ~2005-2014~
こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
この記事ではKinKi Kidsの各アルバム感想・それぞれのおすすめ度を、発売順に記載してまいります。
1997年~2004年
8th H album-H・A・N・D-
2005年11月16日 売上約31万枚
※1…堂本光一ソロ
※2…堂本剛ソロ
※3…インスト
※4…Bonus Track(通常盤のみ収録)
8thアルバム『H album-H・A・N・D-』。サブタイトルには「Have A Nice Day」の他、様々な意味が込められている。
シングル「Anniversary」(52万枚)「ビロードの闇」(31万枚)収録。今作でもそれぞれのソロ曲が収録されているがどちらも提供曲となっており、2ndアルバム『B album』から恒例となっていた自作ソロは収録されていない。初回盤は「99%LIBERTY」のPVやメイキング映像を収録したDVD付。また通常盤にはラストにボーナストラック「In My Heart」が追加収録されている。
当時前々作『F album』、前作『G album-24/7-』と買っていたんだけど今作はスルーしていたため後追い。その影響かここから数作は思い入れが皆無でタイトルだけ見てもどんなサビだったかパッと浮かばない曲も増えてくる。
ベスト盤『KinKi Single Selection Ⅱ』と同時発売だった「Anniversary」こそ名曲だと思ったし購入もしたんだけどその後の「ビロードの闇」のラテンな感じが高校のクラスメイト間で不評で、個人的にもイマイチだな…とスルーした流れで今作にも手が伸びなかった。改めて聴いてみたけどKinKi共作の「恋涙」(「愛のかたまり」と同じく詞:剛、曲:光一での制作)位しか一発で残るアルバム曲は無いかなぁ…。自作ソロが無くなった事でアルバムとしての纏まりは出来たように思うんだけど今度は平坦になっちゃったというか。自作ソロはそれぞれ強烈なクセがある分、それだけアルバムの幅として機能していたのかもなぁと今更ながら感じた。
おすすめ度:C
9th I album-iD-
2006年12月13日 売上約28万枚
※1…堂本剛ソロ
※2…堂本光一ソロ
※3…Bonus Track(通常盤のみ収録)
9thアルバム『I album-iD-』。
シングル「SNOW! SNOW! SNOW!」(31万枚)「夏模様」(31万枚)「Harmony of December」(30万枚)収録。サブタイトルには身分証明(identity)本能的衝動(ラテン語でidの意)という意味合いが込められているという。初回盤は「Harmony of December」のPVとメイキング映像、「SNOW! SNOW! SNOW!」のライブ映像を収録したDVDに加え32Pブックレット付。通常盤は別ジャケット、仕様違い20Pブックレット付属に加えラストにボーナストラック「Love is…~いつもそこに君がいたから~」が追加収録されている。
1曲目「真冬のパンセ」はこの時期のシングル以上にシングルらしい風格を持ったこれぞKinKiという感じの名曲。これは素晴らしい。あとこの時期はCDを手に取ってはいなかったが音楽番組等はチェックしていたのでシングル3曲に関しては馴染みがあるしやはり良い。ただその他のアルバム曲はカッコイイ要素は強いもののパッと聴いて「良い!」と思えるものは無いように思う。スタイリッシュなだけでなくメロディーも良いというのがKinKiの強みだと思うのだが…。
そんな訳でシングル3曲と「真冬のパンセ」、そして通常盤のみのボーナストラック「Love is…~いつもそこに君がいたから~」辺りが飛び抜けているという印象。しかし「真冬のパンセ」も「Love is…」も後のベスト盤に入っているので今作を聴きかえす事はあまり無さそうだな…。
おすすめ度:C+
3rdベスト 39
2007年7月18日 売上約45万枚
【Disc 1 YOUR FAVORITE】
【Disc 2 KOICHI’S FAVORITE】
【Disc 3 TSUYOSHI’S FAVORITE】
3rdベストアルバム『39』。通算3作目のベスト盤だが続編では無く、デビュー10周年を記念したオールタイムベストとなっている。
Disc 1は当時の最新シングル「BRAND NEW SONG」発売時に行ったファン投票によって選ばれた上位10曲(TOP10を1位から順に収録)に加え新曲をラストに収録。Disc 2・3は光一・剛それぞれが好きな曲を14曲選び、投票結果及びお互いの選曲を照らし合わせ重複を振り分け調整したものが収録されている。初回盤は投票上位10曲のライブ映像や、過去のCM映像を収めたDVD付属のデジパック仕様。
Disc 1
ファン投票盤という事でやはりコアなラインナップとなっている。10曲中5曲がアルバム曲とC/W曲で占められておりライトリスナーは「?」という感じだろうが聴き込むとどれも良い曲だ。5や7といった大ヒットシングルも選ばれてはいるものの、ミリオンシングルである「愛されるより 愛したい」や「全部だきしめて」が収録漏れどころか39位圏外(投票上位39曲まではライブで発表されている)というのはかなり驚くべき結果。まぁこの時点でファンしか聴いてない状況だったからね。
Disc 2・3
各アルバムから万遍なく選曲されている。ライトリスナーには全く知らない曲のオンパレードだと思うけど一通りオリジナルを聴いてからだと中々良い選曲だと感じる。特に「HELLO」や「いつも僕は恋するんだろう」等、アルバム未収録C/Wがいくつか救済されている点には価値があると思う。僕も今作でこれらの隠れ曲に触れ、その名曲ぶりに驚いた。
まとめ
という事で3枚合わせてもシングルA面は10曲のみでありシングルは全く網羅されていない。オールタイムベストという形ではあるがあくまでファンに向けてのラインナップであり、タイトル通りここまで応援してきたファンへの感謝としての一作。なのでライトリスナーが今作をKinKiへの入り口とするのはオススメしない。KinKiへの入り口としてならば2017年にリリースされたオールタイム・シングルコレクション『The BEST』を推奨。あちらならばデビューから20年分のシングルA面が機械的に網羅されているので分かりやすい(ただし今作の投票で1位に輝いた「愛のかたまり」はC/Wなので未収録)。『The BEST』の次に今作を聴けばよりKinKiの深い音楽性を楽しめると思う。
おすすめ度:B
10th Φ
2007年11月14日 売上約23万枚
※1…通常盤のみ収録
※2…堂本光一ソロ
※3…堂本剛ソロ
10thアルバム『Φ』。タイトルの読み方は「ファイ」。7月のベスト盤『39』に続く2007年2枚目のアルバム。
デビュー10周年・10枚目のアルバムという事で「アニバーサリー・オリジナルアルバム」と位置づけられており、今作のみ1stから続いていたアルファベット順のタイトルでは無い。従来通りであれば付けられるはずだった『J album』のタイトルは次回作に持ち越された。
シングル「BRAND NEW SONG」(22万枚)「永遠に」(23万枚)に加えC/Wから「涙、ひとひら」を収録。初回盤(SPECIAl lOVE)は同年7月に東京ドームで行われた10周年記念ライブの模様を収録したDVD付。通常盤(UNIVERSAl lOVE)にはボーナストラック「ラプソディー」が追加収録されている。
10周年記念のアニバーサリーアルバムという事だが集大成という感じでは無く相変わらずのスタイリッシュ路線。タイトルから10周年記念のバラードかなと思って聴いた「since 1997」なんかもキャッチーさの薄いダンスナンバーでビックリした。しかし一方で「ラプソディー」(通常盤のみ)や「ノー・チューンド」など温かみのある良メロバラードも入っているし、『H album-H・A・N・D-』収録の「恋涙」以来となる光一曲・剛詞の「銀色 暗号」は「愛のかたまり」をよりクールに仕上げたみたいな印象でキレがあり全体的なアルバムの印象は中々良い。
「the EDGE of the WORD」の詞曲や「unchanged.」の作詞を手掛けた紅茉來鈴はネット上で「光一か剛のペンネーム説」や「KinKi共作説」が囁かれている全く謎の人物。この人の詞を読む限りでは光一・剛どちらの作風とも似ていないように感じるが、だからこそ二人が先入観を排除する為にペンネームを用いて普段と異なる作風で書いたとも考えられるし…(光一が「solitude~真実のサヨナラ~」のクレジットにおいてK.Dinoを名乗ったのも自作という先入観無しで聴いてもらいたかったからだというし)。
おすすめ度:B
11th J album
2009年12月9日 売上約23万枚
11thアルバム『J album』。前作『Φ』から約2年ぶりのアルバム。タイトルの「J」には「トランプのJack」(11番目のカード)や「Journey」「Just」等の意味が込められている。
シングル「Secret Code」(22万枚)「約束」(21万枚)「スワンソング」(18万枚)収録。また今作ではソロや自作曲は収録されていない。初回盤はシングル3曲のPV・TVスポットを収めたDVD付。通常盤はボーナストラック「愛について」が追加収録されている。ちなみに僕が今作(通常盤)を携帯音楽プレイヤーに入れたら12曲目に「トラック12」という1分程のインストが入り13曲目が「愛について」と表示された。
あえて過去作に例えるならば『F album』のような落ち着きのある一作。あのアルバム程のキレは無いけど全体的にそこそこの良メロナンバーが並んでいる印象。その中でも通常盤のみ収録の「愛について」はシングル候補だったというだけあって名曲だと感じたしその他に突き抜けた曲は無いもののアルバムとしての纏まりはこれまでの数作で最もあると思った。
前作でも名前が出てきた謎の人物「紅茉來鈴」は今作でも「愛について」の作詞としてクレジットに登場している。「KinKiどちらかのペンネーム説」「KinKiの共作説」「全く無名の作詞家説」等、ネット上で様々な憶測が飛び交っているこの人物だが今作を最後に姿を消したようで、K.Dinoの時のようなネタバラシも現在に至るまで無いようなのでこの人物が何者だったのかというのは永遠の謎になりそうだ。
おすすめ度:B
12th K album
2011年11月9日 売上約18万枚
※…通常盤のみ収録
12thアルバム『K album』。前作『J album』から約2年ぶりのアルバム。
シングル「Family~ひとつになること」(19万枚)「Time」(17万枚)収録。タイトルの「K」には絆・軌跡・感謝・感動などの意味が込められており、過去にKinKi Kidsのシングル曲の制作に関わってきた作家・ミュージシャンに楽曲提供を受けて制作された。
初回盤はデビューシングル「硝子の少年」から31stシングル「Time」までのPVを収録したDVD付。通常盤はボーナストラック「僕が生まれた日」「Family~ひとつになること[Unplugged]」が追加収録されている。
松本隆、山下達郎、吉田拓郎、ドリカム、織田哲郎、堂島孝平…KinKiファンならば何と豪華なんだと思える壮観なクレジット。KinKi Kids+この作家陣なら良いモノにならないハズが無いという程の面子であり、楽曲の方も名前負けしないとびきりキャッチーで良メロな盤石ナンバーが並ぶ。
ここ数作のスタイリッシュさは薄まったがKinKiらしさはちゃんと保たれておりセルフプロデュース以前・以後が上手い具合に混じり合った印象。本人たち曰く「歌い手に徹しデビュー当時に近い感覚でレコーディングした」という事だがある意味歌わされていた感のあった初期とは異なり今作ではしっかり「KinKi Kidsの曲」として自分達のモノにし昇華しているように思う。
更に初回DVDは総括的な内容だし、タイトルの「K」は何よりKinKiの「K」であるなど、アニバーサリーアルバムと銘打たれていた『Φ』以上にアニバーサリーっぽい名盤。ここからのKinKiは次のステージに立ったような貫録を持ち始め、00年代後半のスタイリッシュ路線をイマイチに感じていた人でも今作以降のアルバムはスンナリ聴けるのではないだろうか。
おすすめ度:A
13th L album
2013年12月4日 売上約16万枚
【DISC LOVE】
【DISC LIFE】
13thアルバム『L album』。
シングル「変わったかたちの石」(14万枚)「まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを」(20万枚)収録。初の2枚組アルバムとなっておりそれぞれテーマ別に「DISC LOVE」「DISC LIFE」とされている。初回盤はシングル3曲のPVを収録したDVD付。通常盤には各DISCにそれぞれボーナストラックが追加収録されている。
2013年当時長らくKinKiから離れていた僕だったが、先行シングル「まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを」のキラキラしたキャッチーさに心奪われその勢いで今作も手に取った。『G album-24/7-』以来実に10年ぶりにオリジナルを聴いた訳で今作は僕にとってのKinKi復帰作である。
前作『K album』のようなコンセプトこそ無いものの今作も適度にキャッチーで適度にカッコいい進化したKinKi Kidsを堪能できる。「まだ涙にならない悲しみが」程のオーラのある曲は無いけどシングルの勢いに引っ張られて全体的に聴きやすく満足な一作。2枚組だがさほどボリュームがある訳でも無いし一気に聴ける。初期のアイドルポップ時代だけ聴いていた人、または『KinKi Single Selection Ⅱ』辺りで聴くのを止めてしまったという人でも前作や今作からならハマれるのではないかと思う。
おすすめ度:B+
14th M album
2014年12月10日 売上約15万枚
【side Moments-DISC 1】
【side Memories-DISC 2】
※…通常盤のみ収録
14thアルバム『M album』。前作『L album』に引き続き今作も2枚組仕様。
2014年3月にジャニーズ公式サイト通信販売限定でブランケット封入プレミアム・グッズとしてリリースされた「Glorious Days~ただ道を探してる」を収録。この曲は公式サイトではシングルのディスコグラフィーに掲載されているが通販限定のためチャート対象外だった。
約1か月前にリリースされていた34thシングル「鍵のない箱」は未収録(次回作『N album』に収録)となり、DISC 1は前述の「Glorious Days」以外全て新曲で構成されている。DISC 2は過去の楽曲をリアレンジしたセルフカバー集。初回盤は三方背ケース、32Pブックレット、DVD付。通常盤は28Pブックレットに加えDISC 1に「aeon」「Where is」「Stay Together」、DISC 2に「愛のかたまり」「恋涙」をそれぞれボーナストラックとして追加収録。
side Moments-DISC 1
1曲目からシングル級のどキャッチーなナンバーで幕を開けそのまま怒涛の勢いで聴かせる。前々作『K album』辺りで何かを掴んだのかキャッチーでキラキラと言っても初期とは違い二人の表現力が増しておりKinKi Kidsの進化を感じる事が出来る。通常盤だと14曲収録という事で流石に後半になってくると1曲1曲の印象が薄くなってくるもののトータルの印象としては素晴らしいの一言。良メロポップスの集合体である。
side Memories-DISC 2
セルフカバー集となっており過去曲のリメイクが時系列順に並んでいる。現在のKinKiのテイストに合わせて編曲・コーラスアレンジを変更しており元々クール系だった「Bonnie Butterfly」等はそこまで変化していないが「せつない恋に気づいて」や「このまま手をつないで」等のキラキラしたナンバーはアーティスティックでゴージャスな雰囲気に仕上がっている。個人的には「薄荷キャンディー」の英語詞リメイク「HAKKA CANDY」が素晴らしくお気に入り。元々好きな曲だったがこれに関しては原曲を越えてきたと思った。珠玉の一曲。初期の曲をリメイクする事で、KinKiのボーカリストとしての成長・進化を分かりやすく感じ取れるDISCである。楽曲自体名曲揃いだし、元々の面影が全く無いとかいう改悪も無く原曲を知っているファンでも知らない人でも楽しめる内容だと思う。
まとめ
僕は2005年辺りに一旦KinKiを離れて、リアルタイムでは前作『L album』で再び聴くようになりその流れで今作も聴いたんだけど今のKinKiはこんなにも良いのか!?という感動があった。好感触だった『L album』をも軽く飛び越えてきたのでその分の感動も含めてのおすすめ度になる。感動という点では個人的に全アルバム中トップだったかもしれない。
おすすめ度:A
※この続き(2016年の15th『N album』~2023年の17th『P album』)は下記記事でございます
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※著者:マー・田中(@kazeno_yukue)
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