欅坂46 歴代シングル&名曲感想 ~2016-2020~

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欅坂46 歴代シングル&名曲感想 ~2016-2020~

2016年

サイレントマジョリティー

2016年4月6日 売上約45万枚

作詞:秋元康、作曲:バグベア、編曲:久下真音

乃木坂46に続く「坂道シリーズ」第2弾・欅坂46のデビューシングル表題曲。

2015年8月に結成。当初は「鳥居坂46」という名称だったが最終審査後のお披露目会見終了後に「欅坂46」に変更すると発表された。

2015年秋から冠番組『欅って、書けない?』も始まっており、ミニイベント等も多数こなし、何より乃木坂46の妹分グループという話題性も相まってかなりの注目度と高い熱量の中でのデビューだった。

初日売上のみで先輩グループ・乃木坂46のデビューシングル「ぐるぐるカーテン」の初週売上13万枚を上回るロケットスタートを見せた。週間では26万枚を記録し、乃木坂46が達成できなかったデビューシングルでの1位獲得を果たす事となった。女性歌手のデビューシングル初動売上においてHKT48「スキ!スキ!スキップ!」(2013年)の25万枚を上回り歴代記録を更新。

ちなみに乃木坂のデビューシングル「ぐるぐるカーテン」はHey! Say! JUMPに阻まれ初登場2位だった。2nd「おいでシャンプー」以降は全て1位を獲得している。

選抜メンバーは石森虹花今泉佑唯上村莉菜尾関梨香織田奈那小池美波小林由依齋藤冬優花佐藤詩織志田愛佳菅井友香鈴本美愉長沢菜々香土生瑞穂原田葵平手友梨奈守屋茜米谷奈々未渡辺梨加渡邉理佐。1期生20名全員で歌唱。デビューシングルということで全員が初選抜となる。センターは平手友梨奈

先輩グループのような清楚ポップとは全く異なるシリアスナンバーで世間を驚愕させた。衝撃のデビュー曲。センターに抜擢された14歳・平手友梨奈の強烈な存在感は46ファン以外にも浸透していったようで、デビューシングルにして明確に「ヒット曲」と言えるものになった。わたくしマーの中ではRADWIMPSの「前前前世」や星野源の「恋」、また映画『君の名は。』『シン・ゴジラ』、スマホアプリ『ポケモンGO』、SMAPの解散、等と並んで2016年の思い出と共に残っているエンタメコンテンツの1つ。

何ならこれより何万枚を上回っている乃木坂パイセンのどのシングルよりも知名度では飛び越えてると思うし、AKB48の数ある曲と比べても「ヘビーローテーション」「フライングゲット」「恋するフォーチュンクッキー」以外は全部上回ってるんじゃない?

逆に言うとこの曲がヒットしたせいで「欅坂」=「サイレントマジョリティー」=「平手友梨奈」=「笑わないアイドル」みたいなイメージの鎖に縛られ続ける事になるんだけど。ただ平手が「笑わない」というのもパフォーマンス中のみの話で、この頃はまだ冠番組や音楽番組のトークでは14歳の少女らしい屈託のない笑顔を見せていた。なので後々言われるようになる平手の「笑わないアイドル」って形容には違和感があったね(「不協和音」以降はガチで表情が死んでゆくのだが……)。

「サイレントマジョリティー」とは1969年、米国大統領リチャード・ニクソンが演説中に使用した語で、声高に政治的意見を唱える事をしない物言わぬ一般大衆を指し、同時に「意思表示しない大多数は賛成しているのだ」という都合の良い解釈を現すものでもある。歌詞の〈どこかの国の大統領が言っていた(曲解して) 声を上げない者たちは 賛成していると…〉なんかはまさにこの曲が持つメッセージ性を集約しているフレーズだと思うんだけど2番Aメロという位置だけに歌番組出演時にはカットされてしまう事が多かった。

まぁわたくしマーは歌詞のメッセージ性どうのこうのは当時からあまり気にしておらず、純粋にメロディーや曲調の良さのみで聴いてたし現在聴いてもやっぱり良い曲だなと思う。2020年に櫻坂46へ改名、リスタートを切り軌道に乗っている現在では、今作含め欅坂時代の曲はほぼ封印状態となってしまっている(一部、ライブで披露された事もあるようだが……)。仕方がない事だけどこれは勿体無いよな。今後、もしも一夜限りの欅坂復活とかがあったら……そしてOvertureの後この曲のイントロが流れたら……その熱狂は計り知れないだろう。(2024/9/12更新)

おすすめ度:B+
収録アルバム:1st『真っ白なものは汚したくなる』、ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

サイレントマジョリティー / 欅坂46

世界には愛しかない

2016年8月10日 売上約45万枚

作詞:秋元康、作曲:白戸佑輔、編曲:野中”まさ”雄一

2ndシングル表題曲。

1期生20名全員の他、長濱ねるを加えた21名による歌唱。

長濱ねるは芸能活動を反対する母親による強制送還で最終オーディションを受ける事が出来なかったものの、3次審査まで高い評価を得ていた等の理由で特例で中途加入。ただそのまま正式加入ではしっかり最終を受けて加入した他メンバーも納得しないので急遽「けやき坂46」という別動隊グループを作り、そちらに在籍しながらの活動となった。通称「ひらがなけやき」と呼ばれるけやき坂46の誕生により、区別化するために「欅坂46」の「漢字欅」という呼称も後追いで誕生。

結局このひらがなけやきは2019年に「日向坂46」という第3の坂道シリーズとして改名し独立、単独デビューする事となる。

1列目メンバーは今泉佑唯、志田愛佳、平手友梨奈、渡辺梨加、渡邉理佐で、センターは平手友梨奈志田渡邉は初の1列目。

メンバー全員で主演したテレビ東京系土曜ドラマ24『徳山大五郎を誰が殺したか?』主題歌。大ヒットした前作「サイレントマジョリティー」がまだまだ旋風を巻き起こしている中でリリースされた。ポエトリーリーディングを交えた開放的ポップナンバー。欅坂だけあってアイドルポップといってもやはり尖った文学的なオーラみたいなものも混じっているが、サビの広がりやメロディーはとにかく絶品。僕は「サイレントマジョリティー」より断然こっちの方が好きだった。2016年の夏を代表する名曲。そして欅坂を観てていちばん楽しかった頃

「サイレントマジョリティー」のような険しさは影を潜めていたので、初めてアイドルらしさを押し出したシングルだった。結果的にシングル表題曲で王道爽やかアイドルポップと呼べるのは今作と次回作「二人セゾン」のみだったと言える。後々5thシングル「風に吹かれても」の時に何故か「欅坂が初めて笑顔を見せる!」とか謳われていたけど、いやいや「世界には愛しかない」でも笑顔見せてたじゃんと。

サビでボーカルが重なる部分があるので、カラオケでは一人で歌えない。非常にカラオケ泣かせな曲である。もう一人この曲を知っている人が居れば役割分担を行い歌えるのだが中々そんな機会ばかりでもないしね……。同様の問題はCHAGE and ASKAの「no no darlin’」や福山雅治の「IT’S ONLY LOVE」でも起こる。(2024/9/13更新)

おすすめ度:A+
収録アルバム:1st『真っ白なものは汚したくなる』、ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

世界には愛しかない / 欅坂46

二人セゾン

2016年11月30日 売上約62万枚

作詞:秋元康、作曲:SoichiroK・Nozomu.S、編曲:Soulife

3rdシングル表題曲。

初動のみで「サイレントマジョリティー」「世界には愛しかない」の累計に迫る44万枚を記録。累計で60万枚を突破、ここで売上が大きく跳ね上がった。

1列目メンバーは小池美波、佐藤詩織、齋藤冬優花、鈴本美愉、原田葵、平手友梨奈、守屋茜で、センターは平手友梨奈小池佐藤齋藤原田守屋は初の1列目。

馴染みの無い「セゾン」という言葉はフランス語で「季節」を表すらしい。秋の空気を醸し出すセツナポップナンバーでガツンとしたサビは抜群に残るしAメロBメロも良メロの連発で飽きさせない。リリース当時は「サイレントマジョリティー」「世界には愛しかない」と比べるとインパクトは薄いかもと思ったが気が付いたらどハマりしてた。乃木坂っぽい清楚感もあり「こういう曲を待っていた!」というファンも多かったと思う。坂道シリーズ全体でも最上位に食い込む屈指の大名曲だね。

思い返せば「サイレントマジョリティー」からこの「二人セゾン」までの駆け上がり方は凄まじかった。日々、巨大な存在になっていくというか。先輩の乃木坂も後輩の日向坂も人気はあるが、2016年の欅坂ほどの急激な上昇気流というのは経験してないんじゃないかな? ファンの間でもデビューから「二人セゾン」までが黄金期だとも言われるし。

そして平手友梨奈が(自然な)笑顔を見せていた最後のシングル。結局こういうセツナポップ路線のシングルはこれ1枚きりで終わってしまい、次回作からは「サイマジョ」路線の険しいダンス作風を突き進めていく。そんなに量産できない渾身の名曲だというのは分かるけどできればもう1回くらいこの路線のシングルを出して欲しかったね。やっぱりグループの勢い的にも、楽曲的にもこの「二人セゾン」が欅坂の最高到達点だった……早くも。MVを観ると「もうこの頃の平手友梨奈には会えないんだ……」と少しだけ切なくなる。(2024/9/14更新)

おすすめ度:A+
収録アルバム:1st『真っ白なものは汚したくなる』、ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

二人セゾン / 欅坂46

2017年

不協和音

2017年4月5日 売上約80万枚

作詞:秋元康、作曲・編曲:バグベア

4thシングル表題曲。

累計は前作「二人セゾン」から更に20万枚増加し、80万枚に到達するヒットとなった。

1列目メンバーは上村莉菜、織田奈那、菅井友香、長沢菜々香、長濱ねる、平手友梨奈、米谷奈々未で、センターは平手友梨奈上村織田菅井長沢長濱米谷は初の1列目。

「サイレントマジョリティー」で鮮烈デビューを果たし、続く2シングルも立て続けにヒットさせ、年末に単独ライブ、大晦日に紅白歌合戦出場と栄光の2016年を駆け抜け勢いに乗る中、年明け1発目にリリースされたシングル。

「サイレントマジョリティー」の作曲を手掛けたバグベアを再び起用した攻撃的シリアスナンバー。「笑わないアイドル」等と言われる欅坂のパブリックイメージはこの曲でより強固なものになった。正直メロディアスな要素は薄く、歌メロを楽しみたいリスナーには受けが良く無さそうなんだけど予想外のヒットを記録し、紅白歌合戦で2017年・2019年の2回披露された(特に17年にはウッチャンとコラボする等かなりピックアップされた)影響もあり「サイレントマジョリティー」と並んで欅坂を代表する一曲になったと思う。

あとサビ前の「僕は嫌だ!」の台詞が強烈なインパクトを残す。これは1番とラストが平手、2番だけ長濱ねるの担当となっているが、シリアスに叫ぶ平手に対してねるの声がホンワカしていて全然緊迫感が無くズッコケる。テレビの音楽番組での披露時には結構シリアスな言い方にしていたが…。

ただでさえ激しいダンスでパフォーマンスの疲労が高い上に険しさマックスの作風でメンバーに及ぼす負担も相当なもののようだ。2017年の紅白では披露直後に志田、鈴本、平手が過呼吸で倒れるという放送事故級の事態にもなり。当時観てたけどどうしても気分の良いものでは無いし、そこまで追い込んでパフォーマンスをする必要があるのか疑問を感じた。

そしてネットを中心に平手友梨奈が笑わなくなった、ダークサイドに堕ちてしまったとの噂が広まり出したのもこの曲のリリース辺りからだった。デビュー以来多大なる心労が続き(トドメに今作リリース直後の握手会襲撃事件(※注1))、プレッシャーとトラウマの波状攻撃で暗黒面に堕ちたのでは?等と言われているが確かに冠番組でも居ない、もしくは居ても一言も喋らない、表情が死んでいるといった様子が見られるようになったのでかなり不穏な空気は広がり始めていた。「サイレントマジョリティー」の時はあくまでパフォーマンス中のみ険しい表情で、トークやバラエティーでは屈託のない笑顔を見せていた。けどこの曲のあたりから徐々に普段の平手がパフォーマンス時の平手に乗っ取られていった感がある。

楽曲の険しさ・パフォーマンスの度を越えた過酷さ・握手会襲撃事件・そして平手友梨奈の闇堕ちと、どうにも穏やかじゃないイメージしか残っていないシングル。わたくしマーとしても未だ不穏な気持ちになってしまうし冷静に聴けなく、あまり好きな曲ではない。あえて形容すると「平手友梨奈及び欅坂46に大きな影を落とすきっかけの曲」である。(2024/9/15更新)

(※注1)今作リリース直後の2017年6月、握手会の最中に平手と柿崎芽実(けやき坂46)のいるレーンで男が発煙筒を取り出して点火するという事件が発生。男はすぐに取り押さえられ逮捕された。犯行動機は「メンバーに対する誹謗中傷がネット上に溢れていた。メンバーの身が危なくなる事件が起こせば同情が集まり誹謗中傷が止むと考えた」という理解不能なものだった。

おすすめ度:C
収録アルバム:1st『真っ白なものは汚したくなる』、ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

不協和音 / 欅坂46

風に吹かれても

2017年10月25日 売上約84万枚

作詞:秋元康、作曲・編曲:シライシ紗トリ

5thシングル表題曲。

1列目メンバーは石森虹花、尾関梨香、小林由依、菅井友香、鈴本美愉、土生瑞穂、平手友梨奈で、センターは平手友梨奈石森尾関土生は初の1列目。これにより在籍中の1期生全員が1列目入りを経験した。

長濱ねるは2ndシングル「世界には愛しかない」から1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』までけやき坂46と兼任していたが、2017年9月25日に兼任解除となり、今作から欅坂46専任となった。

スタイリッシュなダンスナンバー。全員が黒のスーツでピシッと決めているのもクールさに磨きをかけている。「不協和音」のような重苦しさはなくてザックリした軽やか系。だけど全員黒スーツ姿という見映えは重たいし曲調自体そんなに聴きたい方向性でも無くて、当時からそんなに好きな曲では無い。全シングル中いちばん聴いた回数が少ない。

そして平手友梨奈が遂に完全態に。髪をバッサリと切ったボーイッシュスタイルとなり、現在のイメージに通じるクールな人格が確立された。「二人セゾン」以前の平手友梨奈は完全に姿を消した。一応今作ではパフォーマンスとして笑顔を見せる場面はあるがあくまで表現としての笑顔って感じでその他のトークや平場ではクール状態。当時SNSで「平手の様子がおかしい」とザワついたりしていた。この頃はまだ完全態初期だったので今後元(2016年態)に戻るかなという淡い期待もあったのだが、結局2020年に脱退を表明するまでこの人格と髪型が変わる事は無かった。

あと今作でのテレビ出演では「欅坂が初めての笑顔を見せる!」と執拗に謳われていた。「不協和音」や「月曜日の朝、スカートを切られた」での鬼気迫るパフォーマンスですっかり「笑わないアイドル」みたいな肩書を背負わされてた故の謳い文句だったんだけど、わたくしマーとしては「いや「世界には愛しかない」でも笑顔見せてたじゃん」と当時かなり疑問だった。セカアイ派の身としては、セカアイを無かった事にされたようで今作の謳い文句は悲しく響くだけだった。(2024/9/16更新)

おすすめ度:C
収録アルバム:ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

風に吹かれても / 欅坂46

2018年

ガラスを割れ!

2018年3月7日 売上約103万枚

作詞:秋元康、作曲:前迫潤哉・Yasutaka.Ishio、編曲:APAZZI

6thシングル表題曲。

初動のみで前作「風に吹かれても」の累計に迫る83万枚を記録。結果103万枚に到達し、自身初となるミリオンセラーを記録。自身最大のヒットシングルとなった(欅坂の最大売上がコレって、クイズで出したら誰も正解できない気が……)。

1列目メンバーは今泉佑唯、小池美波、小林由依、鈴本美愉、土生瑞穂、平手友梨奈、渡邉理佐で、センターは平手友梨奈

2018年11月に卒業する今泉佑唯と志田愛佳は最後の表題曲選抜入りとなった。

攻撃的ロックナンバー。「サイレントマジョリティー」や「不協和音」よりもロック度が高い。歪んだエレキギターとバンドサウンドが似合う感じ。険しさやダークさはあるがそれ以上に曲の勢いがあり、結構好きな曲。この時期になると「欅坂はもうこういう方向性で行くのね」と許容している自分が居て、すんなり受け入れられた。

作曲の前迫潤哉氏は「W-KEYAKIZAKAの詩」の他、Flowerの「瞳の奥の銀河」や日向坂46の「JOYFUL LOVE」など結構メロディアス系も手掛けている人。

あとこの曲は衣装も結構好き。調べるとMA-1(エムエーワン)というフライトジャケットで、ファッションとしても流行していたようだ(わたくしマーがファッションに疎すぎるので調べなければ名前が分からない)。メンバーはみな黒色のMA-1なのだがセンターの平手だけ真紅のMA-1でその対比も良い。工場跡地を舞台に真紅の平手を黒のメンバーで囲み踊り狂うMVは秋元系アイドルとしては狂気じみてはいるがカッコ良く感じた。

ただ今作リリース前の1月から平手のライブ・握手会の欠席・テレビ出演不在が相次ぐようになった。今作の歌番組出演でもセンター平手の不在が多く、今泉佑唯と小林由依のダブルセンター体制で対応している時が多かった。肝心のセンターが不在である事にも特に言及せず当たり前のようにゆいちゃんず体制でやってたので当時はモヤモヤしたのを覚えている。Mステ出演時、タモリが「平手は居ないんだね」と言ってもメンバーは皆苦笑いで終わってたし。不在の理由を深く訊けない空気がどうにも不健全だとは思った。結局7月の日本テレビ『THE MUSIC DAY』で復帰するまで約半年間平手の不在は続いた。(2024/9/17更新)

おすすめ度:B
収録アルバム:ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

ガラスを割れ! / 欅坂46

アンビバレント

2018年8月15日 売上約101万枚

作詞:秋元康、作曲・編曲:浦島健太・TETTA

7thシングル表題曲。

前作に引き続きミリオンを突破。「ガラスを割れ!」に次ぐ自身2番目のヒットシングルとなった。

1列目メンバーは小林由依、鈴本美愉、土生瑞穂、平手友梨奈、渡邉理佐で、センターは平手友梨奈

志田愛佳(体調不良で活動休止中)、原田葵(学業のため活動休止中)は不参加。卒業発表済みの今泉佑唯もスケジュール都合のため選抜には入っていない。また2018年内で活動終了予定の米谷奈々未は最後の選抜入りだった。

またしても攻撃的ナンバー。「ガラスを割れ!」よりロック度は薄まりその分ダンスのクリエイティブさが(?)増した。曲としては前作「ガラスを割れ!」の方が好みだがこちらも悪くない。当時そんなに欅坂に詳しくない友人がこの曲を気に入り、カラオケでよく歌っていた。そいつが言うにはなんでも「ボカロ感がある」らしいのだが……ボカロを全く通っていない僕にはピンと来ない感覚だ。

7月にテレビ出演とライブパフォーマンスに復帰した平手だが同年12月21日には再び休止。「腰部打撲・左仙腸関節捻挫による仙腸関節不安定症などのため」治療に専念するとの事だった。

故に年末の歌番組周りは代役センターを立てざるを得ない状況になり、『Mステ スーパーライブ』は鈴本、『CDTV』は土生、『レコード大賞』『紅白歌合戦』は小林、年越しの『CDTV』は渡邉が代理センターを務めあげた。ダンスの振り入れを毎回やり直すメンバー達の負担は大きかっただろうけど、この代理センター体制はファンに好評で特にMステの鈴本とかはSNSでかなりの反響だったのを覚えている(2024/9/18更新)

おすすめ度:B
収録アルバム:ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

アンビバレント / 欅坂46

2019年

黒い羊

2019年2月27日 売上約93万枚

作詞:秋元康、作曲・編曲:ナスカ

8thシングル表題曲。

翌2020年10月のラストライブをもって欅坂46としての活動を終了するため、今作が最後のCDシングルとなった。また翌2020年1月23日に平手友梨奈が脱退するため、平手センターの最終楽曲でもある。

今作リリース直前の2月11日にけやき坂46のシングルデビュー及び日向坂46への改名・独立が発表されたため、けやき坂46名義の曲が収録された最後のシングルでもある。

1列目メンバーは石森虹花、小池美波、小林由依、佐藤詩織、平手友梨奈で、前述の通りセンターは平手友梨奈。結果的に平手は全CDシングルでセンターを務めた

2019年7月30日をもって活動終了する長濱ねるは最後の選抜入りとなった。学業のため活動休止中の原田葵は不参加。

この時期になると明らかにグループが停滞してる感があった。握手効果でCDの売上は勿論高いんだけど、平手の感情・メンタル次第でグループの動きも左右されてるように見えたし。簡単に身動きの取れない状況に追い込まれているというか。ここまで平手ひとりに全てを背負い込ませてきたツケが回ってきたようなね。Mステでもかなり虚ろな表情で明らか様子おかしく見えたし……。

この曲はそんな平手の心情を反映したかのような暗黒ナンバー。〈目配せしてる仲間には 僕は厄介者でしかない〉〈それでも僕はいつだって ここで悪目立ちしてよう〉等の歌詞を平手に歌わせるのはどうなのか。平手はどんな気持ちで歌っているのか。この歌詞をもらった時平手はどう思ったのか。確かに外から見るとこの歌詞通りの状況に追い込まれてるように思えたんだけどね。

シングルとはいえ、当時のグループの状況やバックボーン全てを踏まえて聴くかなりファン向けの曲である。もう後戻りできない最終段階にまで来てしまった感がヒシヒシ伝わってくる。

逆に言うと他に類を見ない、唯一無二の立ち位置にいる楽曲であるとも捉えられる。わたくしマーは意外と好きな曲である。この頃になるともう「「世界には愛しかない」や「二人セゾン」系の曲をもう一度!」みたいな願望は皆無(この時期にやっても不自然なだけ)だったし、変な話堕ちる所まで堕ちたからこそ生まれた、他の秋元グループでは絶対聴けないタイプのシングルという希少価値もあったというか……。どん詰まりの状況を克明にパッケージしたドキュメンタリーソングとして、後世に残すべき名曲である。当時よりも時が経った現在ではフラットに聴けて、メロディーに浸れる。

世界観や雰囲気が確立されてるからこそ、Mステでの放送事故は残念だった……。最も見せ場であるラストサビの〈自らの真実を捨て~♪〉の部分でカメラがグラつきアングルは滅茶苦茶になるし、最終的には苦笑いしてるカメラマンのおっちゃんがガッツリ映り込んでしまった。あれでは世界観ぶち壊しよ。年末のスーパーライブでは無事リベンジできたようだがそっちは観逃がしたのよね……誰か録画保存してる方いたら、観せてください。(2024/9/19更新)

おすすめ度:B+
収録アルバム:ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

黒い羊 / 欅坂46

2020年

誰がその鐘を鳴らすのか?

2020年8月21日(配信)

作詞:秋元康、作曲・編曲:辻村有記・伊藤賢

初の配信限定シングルにして、欅坂46のラストシングル。ちなみに今作がリリースされた8月21日は欅坂46の結成日。

前年10月に平手友梨奈ソロの「角を曲がる」がストリーミング限定で配信されているがダウンロードを伴うリリースは今作が初だった。

本来なら前年に9thシングル「10月のプールに飛び込んだ」が出る予定で、冠番組『欅って、書けない?』で選抜メンバー発表まで行われたが、制作上の都合で発売中止に。本来ならその幻の9thシングルに収録予定の楽曲が今作だった。

当時の現役メンバー28名全員での歌唱。2期生は欅坂の作品に初参加

作曲の辻村有記・伊藤賢は「思ったよりも寂しくない」「静寂の暴力」「油を注せ!」等、櫻坂改名後に登場回数が増えるコンビだ。

自身のドキュメンタリー映画『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』主題歌。欅坂色の粋を集めたような激しいダンスナンバー。改名・リスタートが決まったことで何か吹っ切れたのか「黒い羊」のどん詰まり感は無くなったが、それでも相変わらずの険しさはある。再出発ではなく、大乱闘の末の荒れ果てた大地って感じ。

テレビの歌番組で聴いた時は薄い印象だったけど音源で聴いたら結構良く感じた。派手なサウンドに乗せて語られる冒頭のセリフ部分なんかは、欅坂5年の歴史が走馬灯のように浮かび胸が熱くなる。故に気軽に聴けない感じもあり何回も再生しようとは思えないんだけどね。

何はともあれ今作リリース後、10月12・13日の無観客配信ラストライブをもって活動を終了。10月17日のNHK『SONGS』にて最後のテレビ出演を行い、欅坂5年の歴史は幕を閉じた。(2024/9/21更新)

おすすめ度:C+
収録アルバム:ベスト『永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~』

誰がその鐘を鳴らすのか? / 欅坂46

※櫻坂46改名後の感想は下記記事へ続きます

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著者:マー・田中(@kazeno_yukue)

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