Every Little Thing 歴代アルバム感想&おすすめ度 #1 ~1997-2001~

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Every Little Thing 歴代アルバム感想 ~1997-2001~

こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
この記事ではEvery Little Thingの各アルバム感想・それぞれのおすすめ度を、発売順に記載してまいります。

1st everlasting

1997年4月9日 売上約192万枚

【収録曲】
01.Future World/02.Feel My Heart(Album Mix)/03.Here and everywhere/04.Season(Album Version)/05.二人で時代を変えてみたい/06.たとえ遠く離れてても…/07.Micro stress/08.Dear My Friend(Album Mix)/09.Looking Back On Your Love/10.Never Stop!/11.I’ll get over you/12.Double Moon
…インスト

1stアルバム『everlasting』。

シングル「Feel My Heart」(12万枚)「Future World」(11万枚)「Dear My Friend」(48万枚)に加えカップリングから「Season」を収録。同年10月には「Never Stop!」がニューアレンジ・新録音でシングルカット(「Shapes Of Love」と両A面)された。ボーカル持田香織の作詞曲が2曲、ギター伊藤一朗作曲のインストが2曲収録されている。初回限定盤は三方背BOX仕様、カレンダー封入。

ブレイク途上での初アルバムという事で初動50万枚オーバーを記録し自身初の1位を獲得。最終的にダブルミリオン目前に迫る大ヒット作となった。オリジナルアルバムでは次回作『Time to Destination』に次ぐ自身2番ヒット。ベスト盤も含めると3番目のヒット作となる。

この頃のシングル曲のイメージのまま、まさにエイベックス王道といえる曲調が展開する。スカっとした夏の青空が見えるような爽快サウンドは聴いていて非常に心地良い。この時期の持田の声はストレートかつ伸びやかであり現在とはまるで別人である。「Dear My Friend」のキャッチーさが頭一つ抜けているものの、初期には珍しいバラード「二人で時代を変えてみたい」や少し尖ったダークさを醸し出す「I’ll get over you」等シングルに負けず劣らずな良曲もあり聴き応え抜群。どの曲もポップでキャッチーである故にやや飽きやすいという印象もあるが、売れ線ポップスが好きならば聴いて損は無い一作。

おすすめ度:B

2nd Time to Destination

1998年4月15日 売上約352万枚

【収録曲】
01.For the moment/02.今でも…あなたが好きだから※1/03.Face the change(Album Mix)/04.Old Dreams(Instrumental)※2/05.モノクローム/06.All along/07.Hometown/08.出逢った頃のように/09.Shapes Of Love/10.True colors/11.Time goes by(Orchestra Version)
※1…奥菜恵のカバー
※2…インスト

2ndアルバム『Time to Destination』。前作『everlasting』からほぼ1年ぶり。

シングル「For the moment」(68万枚)「出逢った頃のように」(60万枚)「Shapes Of Love」(52万枚)「Face the change」(63万枚)「Time goes by」(115万枚)収録。「今でも…あなたが好きだから」は五十嵐充が奥菜恵に提供した楽曲のカバー。

前作『everlasting』以降シングル売上が60万前後で安定。そんな中2月の「Time goes by」がミリオンセラーを記録し勢いに乗る中今作がリリースされた。初動のみで150万枚を突破。最終的に352万枚という空前の大ヒット作となった。この98年はB’zが初ベスト『B’z The Best “Pleasure”』『B’z The Best “Treasure”』を出しそれぞれ500万・400万を叩き出していたため年間チャートでは3位となった。歴代アルバムセールスでは11位を記録している。

前作にもましてとことんJ-POP王道・エイベックス王道に振り切った内容。今作に収録されている5シングルはどれも初期ELTを代表する曲ばかりであると同時に90年代J-POPに名を刻む名曲ばかりで素晴らしい。隙間を埋めるように配置されたアルバム曲もただの穴埋め要因というワケでは無く、どれもクオリティが高い。特に「今でも…あなたが好きだから」はZARDを思わせるセツナ系ナンバーで、ビーイング好きな人にも刺さる名曲であると思う。こりゃ売れるわな…と思わず納得してしまう程、勢いと魅力に溢れた一作だ。

ただトリプルミリオンを突破したメガヒット作ではあるものの、それは1998年当時の需要あってこその数字なわけで、この後いくつもベスト盤が出た現在では微妙な存在ではある。売れただけあって中古で見かける事も多いので、ベスト盤では味わえない人気絶頂期特有の勢いを垣間見たいならば手に取っても良いかなという感じ。

おすすめ度:B+

1stベスト Every Best Single+3

1999年3月31日 売上約225万枚

【収録曲】
01.Feel My Heart/02.Future World/03.Dear My Friend/04.For the moment/05.出逢った頃のように/06.Shapes Of Love/07.Time goes by/08.Face the change/09.FOREVER YOURS/10.NECESSARY/11.Someday,Someplace/12.Over and Over/13.(When)Will It Rain(Instrumental)※1/14.キモチ※2/15.Dedicate(Instrumental)※1
※1…新曲・インスト
※2…新曲

1stベストアルバム『Every Best Single+3』。2ndアルバム『Time to Destination』から約1年ぶりのアルバムで自身初のベスト盤

デビューからこの時点までにリリースされていたシングル1曲目を収録。「Shapes Of Love」の両A面2曲目だった「Never Stop!」は未収録。これらに加えインスト新曲2曲・歌入り新曲1曲が収録されている(タイトルの+3はこれら新曲の事を指す)。ちなみに歌入り新曲「キモチ」はpanacheの「Don’t You Worry」のカバーであるという。2009年にオールタイムベスト『Every Best Single~COMPLETE~』が出たため、現在このアルバムでしか聴けない曲はラスト3曲のみとなる。

『Time to Destination』以降にリリースされたシングル「FOREVER YOURS」(47万枚)「NECESSARY」(23万枚)「Over and Over」(31万枚)「Someday,Someplace」(18万枚)がアルバム初収録。また「Feel My Heart」「Dear My Friend」「Face the change」「Time goes by」はシングルバージョンではアルバム初収録であった。

初動ミリオンを記録し、1stアルバム『everlasting』を超える200万枚超えの大ヒットとなったが、2ndアルバム『Time to Destination』には及ばす自身2番目のヒット作となった。今作発売後、プロデュースのための十分な時間を確保したいという五十嵐充の意向により、99年いっぱい活動を休止する。

セールス最盛期だった頃のELTを1枚で押さえられるので、「初期のELTをちょいと聴いてみたい」という人にはオススメできる作品。中古ショップにて格安で転がっているので入手のハードルも低い。この時期のシングルはどれも圧倒的なインパクトを放つ名曲ばかりなのでこうして並べられるとやはり圧巻である。3人時代はザ・90年代エイベックスな曲ばかりで、後の2人体制になってからとは方向性が異なるのでどちらの方が良いとは単純に言えないものの、やはりこの時期のキャッチーさはJ-POP界随一だったろう。

わたくしマー・田中が(中学時代ブックオフで)初めて自分で購入したELTのアルバムなので聴き込み度が高い。本来なら飛ばしがちなボーナストラックのインスト2曲でさえも結構好き。唯一の歌入り新曲「キモチ」はこの時期のELTイメージど真ん中をいく爽やかナンバーでこれも非常に良い曲だ。後にベスト盤はいくつか出ているが、この新曲3曲つのために今作を聴くのもアリっちゃアリです。

おすすめ度:B+

3rd eternity

2000年3月15日 売上約96万枚

【収録曲】
01.Pray/02.Reason/03.switch(Album Mix)/04.Just be you/05.The One Thing/06.Get Into A Groove/07.Rescue me/08.Smile Again/09.sure(Orchestra Version)/10.Who cries for me?(Pray Reprise)/11.sure(Are you sure? Mix)

3rdアルバム『eternity』。初のベスト盤『Every Best Single+3』から1年ぶり、オリジナルアルバムとしては『Time to Destination』から約2年ぶりとなった。

シングル「Pray/Get Into A Groove」(40万枚)「sure」(25万枚)に加えカップリングから「switch」を収録。6月に「Rescue me/Smile Again」が両A面でシングルカット(9万枚(※10万枚限定))された。これのカップリングとして「The One Thing」もカットされている。初回限定盤はピクチャーレーベル仕様。

今作を最後にキーボード兼リーダーの五十嵐充がプロデュースに専念するという名目で脱退したため、3人体制では最後のアルバムとなった。1位を獲得し100万枚目前に迫る大ヒットはしたもののアルバム初のミリオン割れとなり、前作『Time to Destination』から200万枚以上下げる暴落となってしまった。

五十嵐充が関与していた最後のアルバム。持田香織が作詞したり、伊藤一朗が作曲したり、はたまたEvery Little Thing名義でのクレジットがあったりと前作からゆるやかな変化が見られる。これは脱退を見据えての引継ぎというか、五十嵐なりに自分が抜けた後でも活動がやりやすいように…という種まきだったのだろうか。だとしたら結果的にその引き継ぎは成功したわけだ。翌年には2人体制で「fragile」を大ヒットさせたわけだし。

1stから順番に聴いているとサウンド面が少し硬質になったような感じはするけどメロディー面ではまだまだ全盛期感に溢れている。「Pray」や「sure」の風格はこうしてオリジナルアルバムの中で聴くとより感じられる。持田作詞や伊藤作曲のナンバーも割かしすんなり馴染んでるように思う。少なくとも五十嵐曲に比べてガクンと下がるみたいな感じは無いし。これは2人の努力の証なのか、それとも元々の底力なのか。僕としては「The One Thing」がとびきり好み。『Every Ballad Songs』で最初に聴いた時から極上の名バラードだと思っていたが今作の中で聴くとより名曲ぶりが際立つなぁ。セールス面では陰りが出始めていた(そもそも90年代が凄すぎたからね)けどそれでもキャッチーさはまだまだ抜群の一作です。

ラスト2曲は短いコーラスのみの曲と、「sure」のアップテンポリミックス。ミレニアム前後に流行っていたザ・リミックスで正直1回聴けば十分かなと…。これらラスト2曲は苦肉の策の数合わせという感じがする。アルバム本編は実質9曲のみなので未完成作品という感覚は拭えない。それほどELTとして激動で多忙な中作られたアルバムという事なのだろう。ELTの過渡期を切り取ったドキュメンタリー作とも取れる。

おすすめ度:B

4th 4 FORCE

2001年3月22日 売上約84万枚

【収録曲】
01.Graceful World/02.JIRENMA(Album Mix)/03.愛のカケラ/04.Good for nothing/05.鮮やかなもの/06.sweetaholic girl/07.Home Sweet Home/08.fragile/09.No limit/10.force of heart/11.One

4thアルバム『4 FORCE』。前作『eternity』から1年ぶり。

キーボードの五十嵐充が脱退し、持田香織・伊藤一朗の2人体制になって初のアルバムだった。初回限定盤はスリーブケース仕様。

シングル「愛のカケラ」(20万枚)「fragile/JIRENMA」(83万枚)「Graceful World」(19万枚)収録。この中でも「fragile」はフジテレビ系恋愛バラエティー番組『あいのり』主題歌として突出したヒットを記録、2001年度の年間カラオケランキング1位に輝く等新たな代表曲となった。

SMAPのベスト盤『Smap Vest』(初動100万枚)に阻まれチャート最高順位は2位だった。初めて1位を逃し累計も前作より下がってしまったが、「fragile/JIRENMA」と同程度のセールスは記録した。

五十嵐の脱退はグループにとってかなりの衝撃を与えるものだった。何と言ったって作詞・作曲・アレンジ、更にはプロデュースまでと、中枢の部分を担っていた人物が突如抜けてしまうのだから…。これにより持田が全面的に作詞を担当する事となり、伊藤は編曲に携わるようになった。今でこそ持田が作詞をするというのは当たり前だがこの時期にはかなりの決断だったのだろうと思われる。

…と、まぁ普通だったらこのタイミングで最悪解散・良くても人気は激減という事態に見舞われてもおかしくない程に混沌を極めていたELTだが、それでも活動がスムーズに行ったのは「fragile」の大ヒットが何より大きかった。この「fragile」はフジテレビ系恋愛バラエティー番組『あいのり』主題歌として名を上げ、80万枚を超える大ヒットを記録。「Time goes by」に次ぐ自身2番目の売上となりELTの新たな代表曲にまで上り詰めた。五十嵐無しの2人体制になってもヒット曲を出せた!というのは持田・伊藤にとってかなりの自信になったのではなかろうか(ちなみにこの辺りから『あいのり』タイアップはゼロ年代前半のヒット曲の登竜門となって行き、「fragile」を皮切りにGLAYの「Way of Difference」、I WiSHの「明日への扉」、スピッツの「スターゲイザー」等を大ヒットに導いている)。

というわけで今作には2人になったけどそれを極力意識させないように、これまで通りのELTを目指して作られたような印象がある。「JIRENMA」「force of heart」では伊藤が、「Good for nothing」「sweetaholic girl」では持田がそれぞれ作曲にチャレンジしているがそれも別に違和感は無く、良い曲だなと思う。これは2人体制になってから五十嵐に代わる形でアレンジに関わっていた桑島幻矢(3人時代からのサポートメンバーでもある)の功績も大きいのだろう。

ただ五十嵐時代と比べるとアルバム1曲1曲の強さはやはり劣るかな…と感じるのも事実。先にバラードベスト『Every Ballad Songs』で知っていた「鮮やかなもの」と「one」は刷り込みもあってスンナリ入ってくるもののその他のアルバム曲はそこまで耳に残らないかな。でも五十嵐無しでここまで作り上げたのはやっぱり凄い。

おすすめ度:C+

2ndベスト Every Ballad Songs

2001年12月5日 売上約49万枚

【収録曲】
DISC.1
01.Over and Over/02.Time goes by/03.愛のカケラ/04.鮮やかなもの/05.今でも…あなたが好きだから/06.二人で時代を変えてみたい/07.I’ll get over you/08.fragile/09.The One Thing/10.One/11.sure/12.All along
DISC.2 Every Merry Christmas 2001(初回限定盤のみ付属)
01.Silent Night(ELT Special Version)/02.White Christmas(ELT Special Version)

バラードベストアルバム『Every Ballad Songs』。4thアルバム『4 FORCE』から約9か月。

初回限定盤にはクリスマスソング2曲のカバーを収録したボーナスディスク『Every Merry Christmas 2001』に加え、クリスマス仕様スペシャルパッケージ、期間限定スペシャル画像サイトへのパスワードが封入。

デビューから今作発売時点までに発表されたバラード曲がセレクトされている。このうち「The One Thing」と「sure」はシングルバージョンではアルバム初収録。また「二人で時代を変えてみたい」と「I’ll get over you」は、1stアルバム『everlasting』収録時とは異なるミックスが施されているという。

DREAMS COME TRUEの『monkey girl odyssey』(初動20万枚)に敗れチャート初登場は2位。翌週も9万枚を売り上げたが今度はMY LITTLE LOVERの初ベスト『Singles』(初動19万枚)に及ばず、2週連続で2位となった。同年に『あいのり』主題歌として「fragile」の大ヒットはあったものの前作『4 FORCE』に収録済みだった故に既に引きは無かったのか、今作の累計売上は50万枚弱に留まった。一応ベスト盤なのに前作から大幅なセールスダウンとなり最低売上を一気に更新してしまう事態となった。

発売当時、母親が購入していたので元から自宅にあったアルバム。当時僕は小学校6年生の冬でまだ音楽に何の興味も無かったが、この翌年の頭から一気にハマる。なので今作は僕の音楽ライフ前夜にリリースされていたアルバムという非常に個人的な思い入れがある。

当然わたくしマー・田中が初めて聴いたELTのアルバムも今作である。最初は「Time goes by」しか知らなかった(タイアップドラマ『甘い結婚』を観ていたため)が、次第に他の楽曲も良いな…と思うようになっていき現在では全曲が僕の中でのELTスタンダード・バラードと言っても過言では無い程に思い入れが強くなっている。エイベックスのバラードを好きになった原点がココだったかもしれない。曲順も良く、「All along」なんかは今作の影響で「ラストナンバー」という印象が付き過ぎて、2ndアルバム『Time to Destination』を後追いで聴いた際に「あれ?なんでAll along途中に入ってんの?」と違和感をおぼえてしまった。

当時、リアルタイムでELTを追いかけていたリスナーにとっては、オリジナルアルバム4枚でもうバラードベスト…更に同年にリリースされていた4thアルバム『4 FORCE』からもう4曲も入ってる…と微妙な立ち位置ではあったかもしれない。しかし2009年にオールタイムベスト『Every Best Single~COMPLETE~』が出るまでは、長らくの間2大ヒット曲「Time goes by」「fragile」の2曲を一緒に聴けるアルバムが今作しか無かった。なのでこの8年間はELTの入門編、特に『あいのり』で増えた新規ファンの入り口として意外と機能していたのではないだろうか?

良いメロディーの楽曲が集まっている事は間違いないし、「Time goes by」や「fragile」が好きならば全曲お気に入りになると思う。個人的に「I’ll get over you」ってバラードか? 普通にアップテンポでは…という疑問は昔からあるが、結局良い曲なのでオールオッケー。エイベックス・ウィンター・バラードが好きな人ならば間違いない名曲揃いのアルバムに感じられるだろう。僕としては現在でもオススメの1作。

おすすめ度:A

著者:マー・田中(@kazeno_yukue)

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