KinKi Kids 全シングル&名曲感想 #3 ~2004-2011~
こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)です。
KinKi Kids シングル&名曲レビュー第3弾スタート。
※前回(「夏の王様/もう君以外愛せない」から「ね、がんばるよ。」まで)のレビューも良かったらご覧ください。
20th Anniversary
2004年12月22日、約52万枚
作詞:Satomi、作曲:織田哲郎、編曲:家原正樹
前作「ね、がんばるよ。」から約11か月ぶりのシングルであり、この時点で過去最長のシングルリリーススパンだった。カップリングにはアレンジバージョンの「Anniversary-20th. memorial version-」が収録され、500円でのリリース。当初は12月8日リリースの予定だったが発売直前に急遽日程が延期された。
2ndベストアルバム『KinKi Single SelectionⅡ』と同時発売だがそちらには未収録。オリジナル卓上カレンダー付でシングル・アルバムの50万枚限定セットも販売された。シングル・アルバム共にチャート1位を獲得し、自身が「硝子の少年」と『A album』同時首位を記録して以来7年5か月ぶりの達成。浜崎あゆみに並ぶ歴代最多2度目の達成であった(浜崎も2000年に「SURREAL」と『Duty』、2001年に「Dearest」と『SUPER EUROBEAT presents ayu-ro mix 2』で2度同時首位を達成している)。
ベスト盤とのセット販売効果もあってか、2001年の「情熱」以来の累計50万突破。また3週連続1位を記録し、99年の「雨のMelody/to Heart」以来の複週数1位となるなど目立ったヒット作となった。
「ボクの背中には羽根がある」以来となる織田哲郎の作曲。あの時と同じようにフォルクローレ(民族音楽)を意識したようで哀愁を感じるサウンド・メロディーが炸裂する名曲。10周年ベスト『39』のファン投票では「愛のかたまり」に次ぐ堂々2位にランクインする等、かなりの人気曲だがそれも納得の名曲ぶりである。ファン以外の一般層までギリギリ広まったと言えるシングル曲は今作が最後だろう。織田哲郎の手腕には恐れ入る。「ボク羽根」と今作どちらも目立ったヒットとなったしKinKi Kidsとの相性はかなり良いようだが、織田哲郎のシングルA面での登板はこの後2013年の「まだ涙にならない悲しみが」まで空く事となる。
余談だが今作の約1か月前にリリースされていた上戸彩の10thシングル「ウソツキ」も織田哲郎の作曲で、そちらも民族音楽系のムード溢れる曲調。2004年当時当時「Anniversary」を初めて聴いた時「上戸彩の新曲と似てるなぁ~」と思ったものだ。織田さん、この2曲同時に作ってたんじゃ?何ならわたくしマーとしては初聴時の印象は「ウソツキ」の方が上だったので「上戸彩の曲KinKiに回せよ織田!」と不服に感じたのを覚えている。現在では「Anniversary」の方が断然好きなのだが…中学3年当時の感覚では逆だったんだよね。
おすすめ度…A(名曲)
収録アルバム:8th『H album-H・A・N・D-』、10周年ベスト『39』他
21st ビロードの闇
2005年6月15日、約31万枚
作詞:Satomi、作曲:林田健司、編曲:CHOKKAKU
本来は8thアルバム収録の「99%LIBERTY」もシングル候補に挙がっていたという。マイナー調のダンスナンバー。作曲の林田健司はSMAPの「$10」や「青いイナズマ」、ブラックビスケッツの「STAMINA」を手掛けたヒットメイカーだが、この曲にはそのようなキャッチーさは無くアーティスティックな感じ。
マイナー調ダンスといっても「雨のMelody」のようなキレを感じず、当時「今回の曲はイマイチだな…」と明確に落胆してしまった。当時高校のクラスメイトのN君も「KinKiの新曲聴いた?全然良くないよね…」と言っていたのが忘れられない(N君はその後レミオロメンの「太陽の下」にも苦言を呈すなどJ-POPに厳しい男だった。ちなみにN君は熱烈なDEENファンでもあった)。この当時の印象が強烈で未だに好きな曲では無い。
2005年春に高校に進学し、生活環境が変わった事も多少影響しているのかもしれないが…このシングルを境に僕はしばらくKinKiから遠ざかる事となってしまった。借りる事すら辞めてしまった。次にKinKiをしっかり聴く(借りるor買う)のは約8年後の「まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを」まで空く事となる。
この曲というと『ミュージックステーション』での歌詞間違え事件(通称「打ちひしがれ事件」)も忘れられないトピックだろう。忘れもしない2005年6月10日にこの曲でKinKiが出演した際、まず光一が歌詞を間違えてAメロで〈打ちひしがれる〉の後再び〈打ちひしがれるだろう~〉と何故か2回打ちひしがれる(本来は1回)。その影響で剛もBメロを〈砂漠のように~このマチで~…ハハッw〉と間違えた上に笑ってしまうというグダグダな展開に。この打ちひしがれ事件は翌週もVTRで振り返られ、2019年の「Mステ衝撃ハプニングランキング」でも5位に食い込む等未だに語り継がれる伝説となっている。「ビロードの闇」というと曲そのものよりもこの事件の方が先に浮かんでしまうというのが本音である。
おすすめ度…C(打ちひしがれ事件のお陰で思い出深くはあるけど、曲としては好きでは無い)
収録アルバム:8th『H album-H・A・N・D-』、10周年ベスト『39』他
22nd SNOW! SNOW! SNOW!
2005年12月21日、約31万枚
作詞:秋元康、作曲:伊秩弘将、編曲:家原正樹
カラオケ『UGA』CMソング。作詞に秋元康、作曲はSPEEDのプロデューサーとしてメガヒットを連発した伊秩弘将が登場。ちなみにカップリングの「雪白の月」は10周年ベスト『39』のファン投票で3位。
〈スノ~!スノ~!スノゥオ~!〉という高音のサビが特徴的で一発で耳に残った。ただKinKiの冬ソングといえば「シンデレラ・クリスマス」が君臨しておりあちらと比べるとどうも硬いというか、力が入り過ぎているようにも感じた。更に当時「ビロードの闇」のショックもまだまだ尾を引いていた影響でこの曲もそんなにハマらず。翌年同じ冬ソングの「Harmony of December」が出て好印象だったのもあり益々この曲の印象は薄く…。
おすすめ度…C(悪くないけど…)
収録アルバム:9th『I album-iD-』、20周年ベスト『The BEST』
23rd 夏模様
2006年7月26日、約31万枚
作詞:Satomi、作曲:林田健司、編曲:佐久間誠、ストリングスアレンジ:佐藤泰将
沖縄歌謡風味のミディアムナンバー。夏がテーマだが「ジェットコースター・ロマンス」や「夏の王様」とは打って変わって落ち着いた曲調。夏の午後にゆったりと聴ききたくなる。派手さは無いけど、メロディーも良いしこれは中々に好きな曲である。
2006年当時はとにかくKAT-TUNの勢いが凄すぎて他のジャニーズはどれも影が薄くなってしまっていた。仲間内でカラオケ行ってもジャニーズではKAT-TUN(「Real Face」をはじめ1stアルバム収録曲も割かし浸透してた)が歌われる率が高かった中、ひとりの友人が唐突にこの曲を歌ったのを未だ覚えている。そこで初めて「結構良い曲だな」と感じた。やっぱ「カラオケで友達が歌ってた曲」ってのも影響力侮れない。
おすすめ度…B(良い曲)
収録アルバム:9th『I album-iD-』、20周年ベスト『The BEST』
24th Harmony of December
2006年11月29日、約30万枚
作詞・作曲:マシコタツロウ、編曲:ha-j
9thアルバム『I album-iD-』リリース2週間前の先行シングル。前作「夏模様」カップリングで初登場したマシコタツロウがシングルA面を担当。一青窈の「もらい泣き」やSMAPの「ユーモアしちゃうよ」を手掛ける作家で、KinKiにもこの後「変わったかたちの石」や「高純度romance」を提供する事となる。
前年の冬に「SNOW! SNOW! SNOW!」から1年ぶりの冬ソング。肩に力の入りまくっていた「SNOW! SNOW! SNOW!」と比べると今回はまったり・優雅な作風でメロディーの良さがより映える。KinKiから離れていた2005~2012年の間のシングルでは一番好きな曲である。新曲が出るたび90年代のヒット曲達と比べていた06年当時は「地味」と思っていたが…。現在のKinKiが持つ「聴かせる系」の魅力はこの頃から見え始めていたんだなと今になって思う。
おすすめ度…B+(良い曲)
収録アルバム:9th『I album-iD-』、10周年ベスト『39』他
25th BRAND NEW SONG
2007年4月25日、約22万枚
作詞・作曲:Gajin、編曲:CHOKKAKU、コーラスアレンジ:岩田雅之
デビュー10年記念の年に突入したものの、これまで30万以上をキープしていた売上がいきなり22万枚に下がってしまった。人気が激減する要素など無かったと思うが。この後も売上は回復せず、このシングルからアベレージが20万前後となる。
10周年ベストアルバム『39』の人気投票はこのシングルで行われた。初回盤・通常盤初回プレス分にアンケート『Your Favorite Song of KinKi Kids』が封入。この時点で発表されていた全129曲を対象に人気投票が行われ、このアンケート結果上位10曲を基に『39』が制作された。ちなみにこの曲自身も対象内で19位にランクインした(他の機会にアンケートしたら多分もっと下がると思う)。
アサヒ飲料『十六茶』CMソング。この曲は当時CMで聴かされまくったので強く印象に残っている。CDとCMでは歌詞が違っていて、CMでは商品のキャッチコピーに合わせて〈シュビドゥ~、美味しいと~♪〉と歌われていた(この音源は未作品化のようだ)。ただインパクトはあったものの、楽曲として好きかと問われると微妙。〈シュビドゥ~♪〉の部分の他に〈やっぱり キミの傍が~♪〉ともう一つのサビが存在し、盛り上がり部分が長いという満足感はあるけど…。「Hey! みんな元気かい?」の時と同じくご陽気過ぎるというか。
あと当時から思ってるんだけど〈蒼色ぞ~〉〈太陽ぞ~〉って言ってないか?二人のうちどっちかは絶対〈ぞ〉って言ってるよ。CDだとそこまで感じないが、当時歌番組で聴いた時は露骨に〈ぞ〉って聞こえた。当時Mステで聴いた時、気になり過ぎて2ch(現5ch)の実況板を覗いたら同じことを言っている人が一人だけ居たのを覚えている。未だにこれモヤモヤするんだが。
おすすめ度…C(普通)
収録アルバム:10th『Φ』、20周年ベスト『The BEST』
26th 永遠に
2007年9月12日、約23万枚
作詞:Satomi、作曲:徳永英明、編曲:CHOKKAKU、コーラスアレンジ:竹内浩明
作詞はお馴染みのSatomi、作曲は当時カバーアルバム『VOCALIST』シリーズで再ブレイクを果たしていた徳永英明が担当。徳永は2009年のアルバム『WE ALL』にて今作をセルフカバーしている。
KinKi Kids10周年記念ソングとして制作。徳永英明らしい王道のピアノ・バラードという感じでメロディーも美しく良いハズなのだが、何故か当時からそこまでハマらない。KinKiバラードといえば「青の時代」や「to Heart」等の超名曲が君臨してるしそこと比べるとなぁ…。そこら辺と比べると「蒼さ」が足りないというかね。この時期は個人的にKinKiから離れていた頃でどうしても思い入れポイントが薄くなってしまう。
おすすめ度…C(普通)
収録アルバム:10th『Φ』、20周年ベスト『The BEST』
27th Secret Code
2008年8月27日、約22万枚
作詞:Satomi、作曲:井上日徳、編曲:井上日徳・堂島孝平、ブラスアレンジ:井上日徳・北原雅彦、コーラスアレンジ:Ko-saku
堂本剛主演フジテレビ系ドラマ『33分探偵』主題歌。当時は「堂本剛が金田一以来となる探偵役挑戦!」という事で話題になったが観てなかったのでどんなドラマだったのか知らない。どうやら金田一とは違いギャグ要素が強い探偵ドラマだったようだが。
ハイテンポなジャズ調の一曲。アレンジはかなり凝っているのが伝わってくるが…正直キャッチーさからは程遠く発売当時からそこまで好きでは無い。ライブで聴いたら印象は上がりそう。ちなみに剛はシンセサイザーで演奏に参加しているという。2008年の7月・8月は北京オリンピックやサザン活動休止等でミスチル「GIFT」・レミオロメン「もっと遠くへ」・サザン「I AM YOUR SINGER」辺りの記憶が強く刻まれた熱い夏だったのだが、この曲は埋もれてしまった。
おすすめ度…C(普通)
収録アルバム:11th『J album』、20周年ベスト『The BEST』
28th 約束
2009年1月28日、約21万枚
作詞:浅利進吾、作曲:加藤裕介、編曲:家原正樹・加藤裕介、コーラスアレンジ:高橋哲也
作詞の浅利進吾は同年の嵐「Everything」(作曲)も担当。作曲の加藤裕介は前年に嵐「One Love」を手掛け年間2位を獲得する大活躍を見せていた他、5年後の2014年には「鍵のない箱」で再びKinKiのシングルを作る事となる。
「ボクの背中には羽根がある」や「Anniversary」の路線に近い民族音楽風の一曲。恐らく意識していたようで編曲には家原正樹を招いている。しかしやはり似ているだけでヒットの再来とはならなかった。ただ発売当時こそ全く印象の残らない曲だなと思っていたが、今回久しぶりにしっかり聴いたら中々良いメロディーだなと思える部分もあった。09年当時は本当KinKiモードになれなかったのでね…。
おすすめ度…C+(普通+)
収録アルバム:11th『J album』、20周年ベスト『The BEST』
29th スワンソング
2009年10月28日、約18万枚
作詞:松本隆、作曲:瀬川浩平、編曲:ha-j、ストリングスアレンジ:佐藤泰将
2003年の「薄荷キャンディー」以来6年ぶりに松本隆が登場。「この曲に命を吹き込んでもらいたい」とKinKiのふたり自ら松本隆に作詞を依頼したという。作曲の瀬川浩平はこの後「流星」「輪郭-l’e contour d’amour-」等カップリング曲で度々登場する事となる。
KinKi Kidsらしいキレが戻って来たようなスタイリッシュな曲。当時テレビでサビだけ聴いた時から「おっ、今回は中々良いぞ」と思った記憶はあるがやはりKinKi熱が最も低かった時期だったので借りるには至らず。後々改めて聴いたのだが…フルで聴くと「普通に良い曲」位に留まった。サビのキレに比べてA・Bメロがそこまで刺さらないというか。ただ松本隆の手腕か全体的に美しいオーラに包まれているのは確かでそこは魅力である。
2009年は大学受験(浪人)を控えていてそこまで音楽を聴けていなかったなーと思う。同時に「90年代J-POP最高!最近の曲ダメダメ」モードが最高潮だった頃なので…KinKiに限らず新曲というものにどうしてもハマれない時期でもあった。昔の曲の方が圧倒的に輝いて見えていたのである。2010年に大学へ入学すると同時にブーム中だった嵐やAKB48にハマり、リアルタイムの音楽というものに前のめりになっていく。なので2009年以前と2010年以降で僕の音楽の捉え方は大きく異なる。
おすすめ度…C+(ここぞというタイミングで出してたらもっと名曲扱いされていただろう)
収録アルバム:11th『J album』、20周年ベスト『The BEST』
30th Family~ひとつになること
2010年12月1日、約19万枚
作詞:堂本剛、作曲:堂本光一、編曲:吉田建、ストリングスアレンジ:旭純
前作から約1年1か月ぶりのシングルで、当時は過去最長のリリーススパンであった。
シングルA面では2000年の「好きになってく 愛してく」以来となるKinKi Kids自作。今回は剛が先に詞を書き、そこに光一が曲を乗せたという。中々にメッセージ性の強いワールドワイドな世界観だが曲調は温かみがある。綺麗なメロディーで流石は光一である。
2010年に入り大学へ入学しちょっと余裕が出来たのと、90年代だけでなく嵐やAKB等最新の楽曲の良さにも気づき始めていた頃だったので今作も当時から割かし好印象だった。後に『K album』でしっかり聴いたら更に素晴らしいメロディーだなこれは…と更に好きになった。『K album』全体の印象が良かった故にこの曲も引っ張り上げられた感もある。
おすすめ度…B+(良い曲+)
収録アルバム:12th『K album』、バラードベスト『Ballad Selection』他
31st Time
2011年6月15日、約17万枚
作詞:U-Key zone・mikula、作曲・編曲:U-Key zone、ストリングスアレンジ:SimonHale
U-Key zone(ユー・キーゾーン)はトラックメイカー・音楽プロデューサーで、V6や嵐、安室奈美恵らにも楽曲を提供している。ユニットか何かなのかなと思っていけどどうやら個人のようだ。特徴的な名前だからか提供回数の割に強く印象に残っている作家である。
ゲーム『真・三國無双6』イメージソング。全体通して不穏な空気が流れる。恐らく全シングル中最もマニアックな曲。当時テレビでサビだけ聴いた時は全く記憶に残らなかった(「良い」とも「悪い」とも感じず本当にただ記憶に残らなかった)。
後に『K album』でしっかり聴いて、この無機質な感じが癖になる意外に良い曲だなと思えた。マニアックだけど一応サビは広がりのあるメロディー。KinKiの二人もこの曲はお気に入りらしい(先日のNHK特番での発言)。聴けば聴くほど味が出てくるスルメソングである。ただシングルA面として意識的に繰り返し聴いたから馴染めたのであって、もしカップリングとかに入ってたら1回聴いてスルーしていたろう。何かこの無機質で機械的なトラックを聴くと工場の風景が思い浮かぶんだが同じ現象が起きる人いますでしょうか。淡々と作業が繰り返される深夜の工場の感じ。
おすすめ度…B(良い曲)
収録アルバム:12th『K album』、20周年ベスト『The BEST』
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著者:マー・田中(@kazeno_yukue)
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