スピッツ シングル&名曲レビュー #1 ~「ヒバリのこころ」から「流れ星」~

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スピッツ シングル&名曲レビュー #1

こんにちは、孤独なJ-POP愛好家、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
ミスチルと並ぶ、わたくしマーの個人的殿堂入りバンド・スピッツ。草野マサムネ(ボーカル、ギター)、三輪テツヤ(ギター)、田村明浩(ベース)、崎山龍男(ドラム)の4人組。そんなスピッツのシングル曲を語っていこう。

1st ヒバリのこころ

1991年3月25日

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ

記念すべきデビュー曲。スピーディーで爽快なロックナンバーであり、1stシングルにして既にスピッツワールドが全開な名曲に仕上がっている。初めて聴いたのはJ-POPに興味を持ち始めた2002年頃だったのだが、イントロ~Aメロはスピード感があるのに対して、サビになるとテンポがゆったりになったように感じられるのが斬新だった。〈僕らこれから強く生きていこう〉という初期にしては珍しく(?)ストレートなサビの歌詞が印象的。CD音源も勿論良いけど、ライブにおいて一際輝きを増す楽曲でもある。

おすすめ度:A
収録アルバム:1st『スピッツ』、1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997

2nd 夏の魔物

1991年6月25日

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ

1stアルバム『スピッツ』からのリカット。〈古いアパート〉や〈魚もいないドブ川〉といった懐かしさを感じさせるフレーズが光る2nd。しかしファンの間では「この曲は流産について歌われていて、夏の魔物=赤ん坊を指しているのだ」というのが定説となっているらしい。その説を意識して聴くとちょっと怖いというか、こんなに軽快な曲なのに物悲しくなってくる。この曲に限らず、初期スピッツは何となく怖い曲が多い。しかしメロディーは素晴らしく、イントロからスピッツワールドに連れていかれる名曲。

おすすめ度:B+
収録アルバム:1st『スピッツ』、1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997

3rd 魔女旅に出る

1991年10月25日

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ、オーケストレーション:長谷川智樹

バンドサウンドにストリングスが導入されていて非常に優雅なアレンジになっている。歌詞に魔女という単語は出てこないが、この壮大なサウンドがファンタジー性みたいなものを醸し出しているので違和感は無い。いつものスピッツワールドとも若干異なる世界観が在るようにも思う。間奏はまるで箒に乗って空を飛び回っているような気分になる。『SPITZ JAMBOREE 1』でのライブ映像が素晴らしいのでオススメ。2番で登場するコーラス(恐らくギターの三輪テツヤによる)が好き。よくカラオケで練習したなぁ。

おすすめ度:B+
収録アルバム:2nd『名前をつけてやる』、1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997

4th 惑星のかけら

1992年8月26日

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ

ロックなスピッツ登場!という感じで、イントロからエレキギターが鳴り響くヘビーな曲。骨太で重たいサウンドとは対照的に草野さんのボーカルは何だか弱々しくて今にも消え入りそうな位だが、そのアンバランスさがまた一つの味となっている。歌詞ではまた珍妙な単語が並ぶ難解な世界が炸裂しており、特に〈君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い〉は強烈。盗んだスカートを自分で身につけてみたという事でしょうか…女装癖?

おすすめ度:B
収録アルバム:3rd『惑星のかけら』、1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997

5th 日なたの窓に憧れて

1992年11月26日

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ

3rdアルバム『惑星のかけら』からのリカット。シーケンスの音が印象的な、ポップで軽快な曲。ギターサウンドが目立ったアルバムから何故この曲がシングルカットされたのかは分からないが、確かに明るく爽やかでシングル向きのナンバーではある。全体的に初期スピッツは草野さんのボーカルに覇気が無いように感じるけどこの曲も例外では無く、バンドサウンドは目立つのに声がおとなしいので何となくダウナーな印象が残る。ところでこのCDジャケットは何の意味があるんだ?洋ホラー映画のポスターみたいで怖い。

おすすめ度:B
収録アルバム:3rd『惑星のかけら』、1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997

6th 裸のままで

1993年7月25日

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ、編曲:笹路正徳・スピッツ

プロデューサーに笹路正徳を迎えた6th。ようやくヒットチャートに入ろうという意欲が出てきたのか、ホーンアレンジを取り入れていたりそれまでには見られなかったようなポップな曲調が登場。歌詞にも〈君を愛してる〉という直球なフレーズを入れていたりして確かに売れようという気合いは感じる。

昔はハジけ過ぎというか、ちょっと無理して明るく振る舞っているように感じていたが現在では普通に良い曲だと思える。音楽雑誌等で「オーバープロデュース」「ブレイクを狙って外した」的扱いを受けていたのでその影響で「失敗シングル」みたいな印象を植え付けられていた。ある種の印象操作、風評被害だったな。

草野さんは「これならミリオンいく」と自信満々だったらしいけどチャートでは前作までと同じく圏外。この結果に草野さんはかなり落胆したという。同時期のMr.Children「CROSS ROAD」でも似たエピソードがあった(「100万枚売れる曲ができた」発言)けどあっちはミリオンヒットを実現したのに対してこちらは遠く及ばない結果に……。世間がスピッツの魅力に気づくのはもう少し後の事になる。

おすすめ度:B
収録アルバム:4th『Crispy!』、1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997

7th 君が思い出になる前に

1993年10月25日 約12万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

4thアルバム『Crispy!』からのリカット。自身初のチャートインシングル(33位)であり、翌94年の1月にはこの曲で『ミュージックステーション』に初出演した。テレビ東京系『もっと素敵に!』テーマソング。ブレイク後の97年には味の素ギフトCMソングとなり再発売され36位まで再浮上した。

初めて聴いたベスト盤『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』の一曲目を飾っていたという事もあり、中学時代にめちゃくちゃ聴きまくった思い入れの強いナンバー。その事もあってかこのイントロを聴くと非常に懐かしい気持ちでいっぱいになる。まったり穏やかなバラードでそういう曲調はともすると地味とも言われかねないが、草野さんの優しいボーカル、そしてメロディーのみずみずしさはそんな感想を凌駕する程に素晴らしい。一時期聴き飽きていたが、改めてじっくり聴くとやはり名曲だなと思った。何となく、ピーンと澄んだ朝の空気を感じる曲だ。

おすすめ度:A+
収録アルバム:4th『Crispy!』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

8th 空も飛べるはず

1994年4月25日 約148万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:土方隆行・スピッツ

スピッツ三大ミリオン(これと「ロビンソン」と「チェリー」)の一つ。発売当時は最高28位だったが、大ブレイク後の96年にドラマ『白線流し』主題歌に起用された事でチャート急上昇。一気に1位にまで駆け上がり、148万枚のミリオンセラーとなった。まさに時を超えたヒット曲であり、発売は94年だが世間的には完全に96年のシングルとして捉えられている。リリース順に売上を見ていくとここでいきなり爆売れしたように勘違いするが、ミリオンを達成したのは「ロビンソン」の方が先である。

ドラマの内容(ちゃんと観た事無いけど)が青春物語だった事からこの曲もスタンダードな青春ソングとして確固たる地位を築いており、高校の合唱コンクール等でも聴く事があった(まぁだいたいこういうJ-POPを選曲すると賞は貰えないんだけどね)。遍性に溢れた、J-POP史に残る確かな名曲。爽やかな丘の上で歌う草野さんや、看護婦さんに囲まれ若干照れくさそうに歌う草野さん等、MVが印象的だ。

おすすめ度:A+
収録アルバム:5th『空の飛び方』(Album Version)、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

9th 青い車

1994年7月20日 約5万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:土方隆行・スピッツ

テレビ朝日系『OH!エルくらぶ』エンディングテーマ。中学時代に聴きまくったベスト盤『RECYCLE』に入っていた為、問答無用で好きになった曲。スピード感のある爽快なポップス。「裸のままで」程に振り切れているわけでもなく、何となく肩の力を抜いたようなスピッツらしいナンバーに仕上がっていて良い。一部では自殺の歌だとか何とか言われているけどたとえそうだとしてもこれは名曲だ。ただ、キーがあり得ない程に高いのでカラオケでは歌えないのよね。

おすすめ度:A
収録アルバム:5th『空の飛び方』(Album Version)、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

C/W 猫になりたい

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:土方隆行・スピッツ

BS-i放映ドラマ『恋する日曜日』第1シリーズ第25話『猫』主題歌(2003年)。最初は「青い車」ではなくこちらがA面になる予定だったという。ジャケットが猫になっているのはその名残か。優しい雰囲気のミディアムナンバーでTHEスピッツといった感じの曲。懐かしさを感じさせる歌詞が胸に染みる隠れ名曲だ。『一期一会』ではつじあやのにカバーされておりそちらも良い。

おすすめ度:A
収録アルバム:1stスペシャル盤『花鳥風月

10th スパイダー

1994年10月26日 約3万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

5thアルバム『空の飛び方』からのリカット。ニッポン放送『伊集院光のOh!デカナイト』オープニングテーマ。アップテンポの軽快なナンバーで、ライブではイントロのアコギで歓声があがる。やはりベスト盤『RECYCLE』で聴きまくったので思い出深い一曲。サビも良いがBメロの〈洗いたてのブラウスが~〉の部分が特にお気に入り。メロディーがツボ。

小学生の頃は母親が毎朝CDデッキでこの曲(というか『RECYCLE』)を流していたため、長らくこの曲を聴くと朝起きて学校に行かなくてはならないというあのダルい気分が蘇りあまり好きな曲ではなかった(超個人的な理由…)のだが、中学生になりJ-POPに興味を持ってからは普通に聴けるようになり好きな曲になった。

おすすめ度:B
収録アルバム:5th『空の飛び方』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

11th ロビンソン

1995年4月5日 約162万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

フジテレビ系『今田耕司のシブヤ系うらりんご』エンディングテーマ。2001年にはキリンビバレッジ『午後の紅茶』CMソングにもなった。長らくネクストブレイクアーティストと呼ばれ続けていた彼らがまんをじして放った本格ブレイクソング。チャート最高順位は4位だが、ロングセラーとなり累計では160万枚を突破。自身初のミリオンセラー、最大のヒット曲となった。CDが売れに売れまくった95年の年間で9位に食い込んだ。

文句なしの名曲であり、未だにスピッツの全楽曲の中でも個人的TOP3には常に入る程に好きなナンバー。道の片隅に捨てられた猫から、雄大な宇宙にまで話が飛躍するあたり、かなり振り幅の大きな歌詞に仕上がっている。イントロの印象的なアルペジオは三輪テツヤ氏が編み出したらしいが、どこか物悲しさを感じさせるサウンドで、非常に素晴らしいアクセントになっている。ちなみに数あるスピッツの楽曲の中でもトップクラスでキーが高い(一般男性では歌うの不可能)のでこんなに好きな曲なのにカラオケで歌った事は数える程度しか無い(勿論すべて撃沈した)。

おすすめ度:A+
収録アルバム:6th『ハチミツ』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

C/W 俺のすべて

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

ゴリゴリしたロックテイストの曲。ライブでは盛り上げナンバーとして重要な位置を占める。特にベース・田村氏のはっちゃけ具合は見ものである。当初は「ロビンソン」ではなくこちらがシングルA面としてリリースされる予定だったそうで、もしもそうなっていたら今頃どんなスピッツになっていたんだろう…。

おすすめ度:B
収録アルバム:1stスペシャル盤『花鳥風月

12th 涙がキラリ☆

1995年7月7日 約98万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

TBS系『CDTV』オープニングテーマ。初動18万枚を売り上げたが、B’zの「love me,I love you」がそれを上回る初動45万枚を叩き出した為チャート最高順位は2位。「ロビンソン」での大ブレイクの勢いに乗りミリオン目前の大ヒットとなった。

ミディアムテンポであり、イントロのジャージャッジャ~というギターの音から一気にスピッツワールドに持っていかれる。よく聴くとベースが面白い動きをしていて、特に2番サビ前のベースは癖になる。何でも歌詞は夏の夜の野外デートがテーマになっているらしいが、ただロマンチックなだけでなく〈ガイコツ〉といった妙におどろおどろしい表現が飛び出すあたりが何ともスピッツらしい。〈本当はちょっと触りたい〉ってのが一番のホンネなんでしょうねぇ、ええ。夏を感じる名曲。

おすすめ度:A
収録アルバム:6th『ハチミツ』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

13th チェリー

1996年4月10日 約161万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

シングルとしては「涙がキラリ☆」以来約9か月ぶり。ただこの年の1月フジテレビ系ドラマ『白線流し』主題歌に「空も飛べるはず」が起用され、自身初のシングル1位・「ロビンソン」以来のミリオンを記録する大ヒットを飛ばしていた。

初動35.2万枚を売り上げたが、同日発売だったMr.Childrenの「花-Memento-Mori-」が63.9万枚を叩き出したため初登場は2位。しかしその後も順調に売上を伸ばしていき、4週目にして1位を獲得。最終的なセールスは「花-Memento-Mori-」を上回った。「ロビンソン」に匹敵する累計となり自身3作目のミリオンセラー、年間4位に食い込む大ヒットとなった。

というわけでスピッツの代表曲。「空も飛べるはず」と「ロビンソン」、そしてこの「チェリー」。この三つは三大巨頭だろう。J-POPとかの枠組みをも超越した名曲であり、この曲を知らない人なんてこの世に居るのだろうか?と思いたくなる程の超スタンダード・ナンバー。〈“愛してる”の響きだけで 強くなれる気がしたよ〉のフレーズが取り上げられがちだが、個人的にはラストの〈ズルしても真面目にも生きてゆける気がしたよ〉がお気に入り。何度聴いても、この透明感のある歌声に包まれると鳥肌が立つよね。

おすすめ度:A+
収録アルバム:7th『インディゴ地平線』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

14th 渚

1996年9月9日 約83万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

江崎グリコ『ポッキー坂恋物語』CMソング。前年の「涙がキラリ☆」同様7月7日リリース予定だったが、延期して9月9日となった。ゾロ目にはこだわりたかったようだ。シングルでは初めて初登場1位を獲得。80万枚を突破する大ヒットとなった。

海の中にいるかのようなみずみずしさを感じる爽やかな名曲。全盛期スピッツここにあり。リリースされた時期もあってかこの曲を聴くと小学1年生の秋を思い出す。1か月後にリリースされた7thアルバム『インディゴ地平線』ではシーケンスで作られたイントロが追加されている。

おすすめ度:A
収録アルバム:7th『インディゴ地平線』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

15th スカーレット

1997年1月29日 約60万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

小泉今日子と小林薫が主演のTBS系ドラマ『メロディ』主題歌、三井生命CMソング(2012年)。王道のスピッツワールドが展開されるミディアムナンバー。暖かみのあるメロディーは最高で、わたくしマー的にスピッツで一番好きな曲はコレ

ドラマ主題歌のオファーが来た時、メンバーは7thアルバムの「初恋クレイジー」をリカットしたいと希望したがどうしても新曲を!という強い要望により頑張って制作されたという。「初恋クレイジー」も良い曲だが、もしスピッツの要望が通ってたら「スカーレット」は生まれなかったわけで…。説得してくれたテレビ局さん、ありがとう。

おすすめ度:A+
収録アルバム:8th『フェイクファー』(Album Mix)、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

16th 夢じゃない

1997年4月23日 約33万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:笹路正徳・スピッツ

奥菜恵主演のテレビ朝日系ドラマ『ふたり』主題歌に抜擢されたことから、93年発売の4thアルバム『Crispy!』から4年の歳月を経てリカットされた。イントロからスピッツワールドに引き込まれる切ないバラード。『Crispy!』収録時の音源とは異なりシンセサイザーを差し替え録音しリミックスが施されているらしいがちゃんと聴き比べた事が無いので違いを実感した事は無い。ちなみにカップリングの「君だけを」も同様に『Crispy!』からのリカットで、同じドラマ内で挿入歌として使用された。

おすすめ度:B
収録アルバム:4th『Crispy!』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

17th 運命の人

1997年11月27日 約28万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ・棚谷祐一

93年の『Crispy!』以来の付き合いだった笹路正徳から離れ、ロックバンド・カーネーションの棚谷祐一がサポーターとして参加。2年後の99年には映画『月光の輝き』主題歌に採用された。

ジャカジャカっと刻まれるアコギが印象的な明るいポップス。生音と打ち込みを混ぜ合わせたりと新しい一面も打ち出されているが、楽曲としても普通に名曲。〈走る 遥か~〉の広がり感はたまらない。売上が30万枚にも届かなかったのが不思議でならない。もう少し売れてもよかったと思う。8thアルバムでは半音下げられたバージョンが収録されているがこれはオリジナルはキーが高すぎるからという理由らしい…これは誰目線の理由なのだろう?

おすすめ度:A
収録アルバム:8th『フェイクファー』(Album Version)、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

18th 冷たい頬/謝々!

1998年3月18日 約8万枚

8thアルバム『フェイクファー』の1週間前に急遽発売された先行両A面シングル。アルバムと連動しているジャケットのモデルは田島絵里香。このモデルを選ぶ審査にはスピッツのメンバーも参加したという。

冷たい頬

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ・棚谷祐一

コニカ『Revio』CMソング。ベスト盤『RECYCLE』を自主的に聴き始めた中学生の頃は「ロビンソン」や「チェリー」ばかり聴いていたためアルバム後半の曲たちには全く注目していなかった(「楓」除く)。なのでこの曲の魅力に気づいたのは結構後の事だ。穏やかなAメロから打って変わってサビでは力強くなるリズムの変化が癖になる。Aメロ→Aメロ→サビ→サビ→Aメロという若干普通とは異なる曲構成が特徴的。

おすすめ度:B+
収録アルバム:8th『フェイクファー』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

謝々!

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ・棚谷祐一

ホーンが目立つ明るいナンバー。まぁ普通に耳触り良い曲。「冷たい頬」と同様にこちらも『フェイクファー』に収録されているが、先行シングルならせめてカップリングはアルバム未収録にすれば良かったのに…と思わない事も無い。

おすすめ度:C+
収録アルバム:8th『フェイクファー

19th 楓/スピカ

1998年7月7日 約14万枚

両A面シングル。初登場は19位だったが翌週10位にランクアップした。

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ・棚谷祐一

8thアルバム『フェイクファー』からのリカット。当時はTBS系『CDTV』7月-8月のオープニングテーマとして起用されたが、その後もいくつかタイアップが付いた。

1999年には反町隆史と江角マキコ主演ドラマ『Over Time-オーバー・タイム』挿入歌、2010年には常盤貴子主演スペシャルドラマ『お母さんの最後の一日』主題歌、2019年には乃木坂46主演ドラマ『ザンビ』エンディングに起用。また2022年に川口春奈・目黒蓮(Snow Man)主演フジテレビ系ドラマ『silent』で挿入歌として使用されたのは記憶に新しい。

僕が初めて聴いたのは2002年頃の『CDTV』でその時は「隠れた名曲」として紹介されていた。その後ベスト盤『RECYCLE』で聴き込み「これは名曲だ」と確信。切なさ全開の名バラードで、サビの〈さよなら~〉の高音が涙を誘う。その物悲しい曲調は季節で言えば秋~冬を連想させるがシングル発売されたのは意外にも夏の始まりだったのね。

その後も音楽番組等で何かと「隠れた名曲」として扱われていたが、ゆっくりゆっくり人気が上がりいつしか三大ミリオンに次ぐ存在となり、今やスピッツの代表曲として確固たる地位を築いてしまった。この20年でめちゃくちゃ出世した曲。合唱コンクールとかでも歌われ、歌手がこぞってカバーするなど所謂「スタンダードな名曲」の仲間入りをしたと思う。

おすすめ度:B+
収録アルバム:8th『フェイクファー』、非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、他

スピカ

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:スピッツ・棚谷祐一

『フェイクファー』制作時にレコーディングされておりシングル化も考えられていたらしいが未発表となっていた1曲。日本航空『リゾッチャ』CMソング。2005年にはアニメ『ハチミツとクローバー』第24話挿入歌に使用された。『ハチクロ』にはこれの他にもスピッツの曲が多数使用されている。その際スピッツは「シングル曲を使用しない事」を条件に楽曲使用を許可したという。

エレキギターが目立つロック・ナンバー。『一期一会』では椎名林檎がカバーしており、実は僕はその林檎バージョンを先に聴いた。その後元々のスピッツバージョンを聴いたせいか、個人的にこの曲はスピッツが椎名林檎をカバーした曲みたいな印象になっちゃった。まぁそれだけ林檎のカバーが見事だったという事も言えるだろう。

おすすめ度:B+
収録アルバム:1stスペシャル盤『花鳥風月

20th 流れ星

1999年4月28日 約2万枚

作詞・作曲:草野マサムネ、編曲:白井良明・スピッツ・クジヒロコ

スペシャル・アルバム『花鳥風月』からのリカット。96年に辺見えみりに提供していた曲をセルフカバーしたもの(辺見えみりはこの他にも「ハニーハニー」「夢じゃない」「サンシャイン」等もカバーしているらしい)。う~ん、この曲は初めて聴いた時からどうにも印象が薄い。良く言えば味があるとも捉えられるんだけど、シングルとして聴くとやはり圧倒的な地味さは拭えない。1番はAコードで、2番から何故かCコードと一気にキーが上がるのは面白い。あとMVの宇宙服姿は何のメッセージ?

ちなみにコレが最後の8cm(縦長)シングルで、2006年のメンバー公認シングルコレクション『CYCLE HIT Spitz Complete Single Collection』の発売に伴いこれら90年代のシングルは全て廃盤となった。枚数が売れなかった事もあってか、このシングルは中古でも見つけた事が無いしカップリングの「エトランゼ(TANAYAMIX)」と「愛のしるし(LIVE ’98 version)」はこのCDでしか聴けないため今となっては結構貴重。

おすすめ度:C
収録アルバム:1stスペシャル盤『花鳥風月』、2ndシングル集『CYCLE HIT 1997-2005

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