I WiSH 全シングル&名曲レビュー ~「明日への扉」から「スノードーム」~

歌手別シングル&名曲レビュー
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I WiSH 全シングル&名曲レビュー

こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)です。

2000年代初頭~中頃、フジテレビ系列の『あいのり』という番組の主題歌になった曲は必ずヒットするというジンクスがあった。ゆず、Every Little Thing、GLAY、スピッツらが主題歌を担当・大ヒットを飛ばしたその枠に2002年秋、彗星の如く現れたのがai(本名:川島愛。ボーカル、ピアノ担当)、nao(本名:菅原直洋。キーボード担当)の二人からなる音楽ユニット・I WiSH。

当時はハッキリとした顔写真も無く、テレビ出演も無い謎のユニットだったが、aiの澄んだ透明感のある歌声は天使の声等とも評され一躍話題となり、楽曲は大ヒット。時の人となった。aiの正体がシンガーソングライター・川嶋あいであるという事は当初は隠されており、2003年8月に公表されたがそもそも川嶋あいという歌手自体知らなかったし別に驚きは無かった。

2005年3月、川嶋がソロ活動に専念するため解散。このユニットの結成自体、実際には川嶋あいを世に出すためにレコード会社が仕掛けた戦略だったらしく、今となっては期間限定ユニットみたいな印象が強い。2008年には川嶋あいのバースデーライブにて一夜限りの再結成。更にデビュー20周年を迎えた2023年2月14日には新曲「スノードーム」を配信する等、基本お互いソロで活動しているが定期的にI WiSHとしての動きもある。

1st 明日への扉

明日への扉 (CCCD)

2003年2月14日 売上約77万枚

明日への扉

作詞・作曲:ai、編曲:nao・小澤純

デビューシングルにしてフジテレビ系列『あいのり』主題歌に抜擢され、年間チャート6位につけるダントツの最大ヒットを記録。発売日をバレンタインに合わせていたためO社の集計上不利な金曜発売であり、初登場は4位。2週目にチャート1位を記録した。当時『CDTV』を観ながら「うわっ、上がってきた!」と驚いたものである。初週に売れなかったのは集計上の理由もあるだろうが、当時テレビでのプロモーションも無かったし単に世間が発売を知らなかったのでは…とも思う。

当時(わたくしマーは中1)たまたま『あいのり』を観た際に初めて聴き、「なんて良い曲なんだ!」と衝撃を受けすぐさまシングルを購入した。当時のクラスメイト達の間でもこの曲の名曲ぶりはかなり話題になり、カラオケでも毎回必ず誰か歌っていた。透明感のあるメロディーは素晴らしく、何度聴いても飽きが来ない名曲である。発売時、「天使の声だよ・あの声は宝物だよ」というキャッチコピーがついていたがまさにその言葉の通りの歌声であると思う。元々は川嶋あい名義の「旅立ちの日に…」という曲がオリジナルであり、歌詞は異なるがメロディーはほぼ同じ。

おすすめ度:A+
収録アルバム:1st『伝えたい言葉~涙のおちる場所~』、ベスト『BEST WiSHES』

C/W もう一度…

作詞:ai、作曲:nao、編曲:渡辺善太郎

切なさ溢れるミディアムバラード。次の「帰らぬ日々よ」とごっちゃになりがちだが良い曲だ。

おすすめ度:B+
収録アルバム:ベスト『BEST WiSHES』

C/W 帰らぬ日々よ

作詞:ai、作曲:ai・nao、編曲:家原正樹

前向きなミディアムナンバー。こちらもやはり良い。カップリングの2曲とも、1stアルバムのオリジナル曲よりも出来が良い気がする。

おすすめ度:B
収録アルバム:ベスト『BEST WiSHES』

2nd ふたつ星

ふたつ星 (CCCD)

2003年8月27日 売上約10万枚

ふたつ星

作詞:ai、作曲:nao・ai、編曲:家原正樹・nao

日本テレビ系ドラマ『14ヶ月~妻が子供に還っていく~』挿入歌。CMでサビを聴き今回もめっちゃ良いじゃん!と思い迷わずシングルを購入。王道バラードであり、サビでのメロディー・転調の心地良さはJ-POP最強レベル。「明日への扉」と同列かそれ以上の大名曲であると思うのだが、現在では「明日への扉」の影に隠れてしまい全く語り継がれていないのが残念…。

おすすめ度:A+
収録アルバム:1st『伝えたい言葉~涙のおちる場所~』、ベスト『BEST WiSHES』

C/W サマーブリーズにのって

作詞:ai、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

ロッテ『モナ王』CMソング。恋人との夏を爽やかに歌いあげる胸キュンサマー・ポップ。初のアップテンポだったが違和感無く聴けた。夏の海や青空が目の前に広がる名曲。初期ELTみたいな爽やかさがありポカリのCMソングとかにも似合いそう。恋愛絶頂期の無敵感が曲に表れており、ラストサビでは〈神様にもわからない 宇宙一の恋〉とまで言い切っていて勢いバツグン。こんな恋愛をしてみたかった。1stアルバムでは「Sweet Palau Mix」としてちょっとまろやかなアレンジになっている。個人的にはシングルバージョンの方が爽快感があって好みだ。

おすすめ度:B+
収録アルバム:1st『伝えたい言葉~涙のおちる場所~』(Sweet Palau Mix)、ベスト『BEST WiSHES』

C/W Flower

作詞:ai、作曲:nao・ai、編曲:家原正樹・nao

キャッチーなサビが心地よく響くミディアム・バラードでこれまた名曲。前作のカップリング同様、1stアルバムのオリジナル曲よりも数段良いと思う。これ収録すればよかったのに。

おすすめ度:B+
収録アルバム:ベスト『BEST WiSHES』

3rd 約束の日

約束の日(初回生産限定盤)(CCCD)

2004年5月19日 売上約4万枚

約束の日

作詞:ai・山口光、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

リクルート社結婚情報誌『ゼクシィ』コラボレーション曲でありズバリ結婚ソング。これまでの2シングルと合わせて実は恋愛三部作だったそうで、歌詞に〈明日への扉〉〈二つの星〉というフレーズも盛り込まれている。当時CM等でサビを耳にはしていたが今回は何かキレが無いな…と思い購入せずスルー。数年後にアルバムで聴いたけどやっぱり印象は上がらなかった。メロディーがのっぺりしてるというか、間延びするというか…。結婚相手の台詞とはいえaiの澄んだ声で〈が、幸せにするから。〉とか言われるのは超絶違和感である。

おすすめ度:C
収録アルバム:2nd『WISH』、ベスト『BEST WiSHES』

C/W あなたが旅立ったあの春のにおい

作詞:ai、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

まったりバラード。「約束の日」は買わなかったので当然この曲もリアルタイムでは聴いておらず後追い。だからなのか、前作までのカップリングと比べてこちらもパッとしないように思ってしまう。思い出補正の有る・無しが原因なのだろうか?

おすすめ度:C
収録アルバム:ベスト『BEST WiSHES』

4th キミと僕

キミと僕 (CCCD)

2004年8月18日 売上約2万枚

キミと僕

作詞:ai、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

テレビ東京系アニメ『SDガンダムフォース』エンディングテーマ曲。シングルA面では初となる明るめなポップナンバー。前作以降リリースチェックもしなくなり、知らぬ間に出ていたシングルだったので当然スルー。なので後追いで聴いた一曲。突き抜けたサビでは無いけどもテンポよく歌詞を刻んでいく感じが心地良くてそこそこ好き。

おすすめ度:C+
収録アルバム:2nd『WISH』、ベスト『BEST WiSHES』

C/W Tomorrow

作詞:ai、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

数少ない弾けサイドの一曲。爽快ではあるが詞もメロディーも凄く平均的というか普通な印象。

おすすめ度:C
収録アルバム:ベスト『BEST WiSHES』

5th Precious days

Precious days

2005年2月9日 売上約1万枚

Precious days

作詞:ai、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

解散直前に発売された卒業ソング。〈帰り道 ファーストフードに寄って よく見つかって先生に怒られたね〉という校則厳し目なフレーズから察するに、高校というよりは中学校の卒業がイメージされているのかな。たぶん僕自身が学生だったリリース当時に聴いていたら何とも思わなかったんだろうけど、学校という組織から卒業した現在聴くとやはりフレーズの一つ一つが懐かしく響いてくる。解散前のシングルとしては地味かもしれないが中々良い曲だ。

おすすめ度:B
収録アルバム:2nd『WISH』、ベスト『BEST WiSHES』

C/W 最後のホーム

作詞:ai、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

バラード曲。悪くないがただでさえ切ないのに解散という当時のグループの状況を踏まえると余計に悲しく聴こえてくる。

おすすめ度:C
収録アルバム:ベスト『BEST WiSHES』

6th LOVE SONGS 4 YOU

LOVE SONGS 4 YOU

2008年2月14日 売上約0.4万枚

デビュー5周年、解散から3年を記念して突如リリースされたスペシャルシングル。5年ぶりにボーカルを録り直した「明日への扉」、「ふたつ星」「約束の日」のリミックス、未発表曲1曲。計4曲入り。同時に3枚組全曲集『The Complete Collection of I WiSH』もリリースされたが今作収録の4音源は入っていない。

明日への扉~5 years brew version~

作詞・作曲:ai、編曲:小澤純・nao

ボーカルを再録したバージョン。さらっとなぞるように歌っている感じというか。何だか原曲にあった神々しさが失われてしまったような…。まぁ年月を重ねてボーカルスタイルが変化してきたんだろうが…。楽曲自体は大名曲だが、どうしても「明日への扉」を聴く際には2003年の原曲を聴いてしまうのでこちらの音源に手は伸びない。

おすすめ度:C
アルバム未収録

ふたつ星~Dramatic Mix~

作詞:ai、作曲:nao・ai、編曲:家原正樹・nao

こちらはリミックスで歌い直しはされていない。原曲と大きな違いは無いので、原曲を持っている人ならわざわざこれを聴く事も無いし、逆に原曲を知らない人ならそのまま原曲を聴いた方が良い。しいていうなら「Dramatic Mix」という名をつける程ドラマチックさは感じなかった(むしろ薄れているようにも思えたのだが…)。

おすすめ度:C
アルバム未収録

約束の日~Happy Wedding Mix~

作詞:ai・山口光、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

こちらもリミックス。そもそも原曲をそこまで聴き込んでいないので違いが分からないが「ふたつ星」同様にほとんど変化ナシ。

おすすめ度:C
アルバム未収録

永遠というこの瞬間に

作詞:ai、作曲:nao、編曲:家原正樹・nao

未発表曲。曲としてはごく普通のI WiSHバラード。決して悪くは無いがそこまでハマりもしないという実にnaoらしい一曲である。まぁこのシングル盤でしか聴けないので貴重な音源ではある。

ストックだという説や、このシングルの為に書き下ろされたという説も飛び交っていたが真相は不明だった。しかし2023年に「スノードーム」が配信された際のReal Soundの記事で、「川嶋あいとnaoの2人がI WiSHとして楽曲を作るのは解散した2005年以来になる」と書かれていた。つまり「永遠というこの瞬間に」はやはり2005年以前に作られたストック曲だったという事のようだ。確かになんとなく、現役時の声のような気はしていたが…。

おすすめ度:C+
アルバム未収録

配信 スノードーム

スノードーム/I WiSH

2023年2月14日

デビュー20周年を記念し、デビュー日である2月14日に配信リリースされた。同じタイトルだが曲の中味が異なる2曲「スノードーム~冬~」「スノードーム~春~」を収録。I WiSHの音源としては2008年の「LOVE SONGS 4 YOU」以来、実に15年ぶりである。

スノードーム~冬~

作詞:川嶋あい、作曲:nao

まさかのクール・ナンバー。現役時代にもこんなスタイリッシュ系の曲あったかな? 15年ぶりの新曲でこんなI WiSHらしくない曲が来るとは意外で面白かった。まぁ曲調としては次の「春」の方が好きなんだけどこっちも悪くは無い。「冬」と「春」2曲あるからこそお互いが映えてる感じがする。

おすすめ度:C+
アルバム未収録

スノードーム~春~

作詞:川嶋あい、作曲:nao

こちらはI WiSHらしいミディアム・ハートフル系の曲。ピュアなメロディーが良いね。I WiSHに求めているものはやはりこれだ。解散期間を挟んで才能が充電されたのか、naoのメロディーにもキレを感じる。現役時は10代・学生イメージの曲が多かったがこの曲は社会人視点。大人になり、それぞれの道を進んでいた当時のリスナーが久しぶりに集まった同窓会的楽曲である。「明日への扉」当時中学生だったわたくしマーも現在では34歳。そんな僕自身の時の流れにも浸れる
曲だった。

おすすめ度:B+
アルバム未収録

※I WiSHの全アルバム感想は下記記事でございます

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