Mr.Children 全アルバムレビュー・おすすめ度 #1 ~『EVERYTHING』から『Q』~

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Mr.Children 全アルバムレビュー #1

こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
この記事ではMr.Childrenの各アルバム感想・それぞれのおすすめ度を、発売順に記載してまいります。

※シングルや楽曲単位の感想は下記記事でございます。

Mr.Children 全シングル&名曲レビュー #1 ~「君がいた夏」から「シーソーゲーム」~
Mr.Children 全シングル&名曲レビュー #1 こんにちは、J-POP大好き人間・マー(@kazeno_yukue)です。 わたくしマーが人生で最もハマったバンドと言えるMr.Children。J-POPに興味を持ち...

1st EVERYTHING

1992年5月10日 売上約45万枚

【収録曲】
01.ロード・アイ・ミス・ユー/02.Mr.Shining Moon/03.君がいた夏/04.風~The wind knows how I feel~/05.ためいきの日曜日/06.友達のままで/07.CHILDREN’S WORLD

1stアルバム『EVERYTHING』。

7曲入りのミニアルバムだが公式に1stアルバムとされており、初のフルアルバムとなった次回作『KIND OF LOVE』は2ndアルバムと位置付けられている。

1991年後半にプロデューサー・小林武史(通称コバタケ)とメンバーが初対面し、同年12月からレコーディングを開始。5月の今作でメジャーデビューとなった。8月に「君がいた夏」(2万枚)が1stシングルとしてリカットされた。全曲がアマチュア時代からのレパートリーとなる。

リリース当時は100位圏外。3rdアルバム『Versus』が出た直後の93年9月に初めて100位にランクイン。その後93年末~94年にかけて「CROSS ROAD」や「innocent world」での大ブレイクに引っ張られる形で延々とチャート下位にランクインし続け、95年1月に最高位である25位を記録。最終的に96年1月までランクインしており、合計83週登場というロングセラーになった。

後に見られるような難解な世界観は微塵も無く、非常にストレートでまっすぐなポップスが展開される記念すべきデビューアルバム。2003年頃に後追いで聴いた時にはこのあまりの爽やかさに逆に戸惑った程であったが、この風が通り抜けるようなストレートさは心地良い。「風~The wind knows how I feel~」や「CHILDREN’S WORLD」など少年の心を歌ったような楽曲は今聴くと新鮮だ。日本を代表するモンスターバンドのデビュー作という点でも聴く価値はある。

おすすめ度:C

2nd KIND OF LOVE

1992年12月1日 売上約118万枚

【収録曲】
01.虹の彼方へ/02.All by myself/03.BLUE/04.抱きしめたい/05.グッバイ・マイ・グルーミーデイズ/06.Distance/07.車の中でかくれてキスをしよう/08.思春期の夏~君との恋が今も牧場に~/09.星になれたら/10.ティーンエイジ・ドリーム(Ⅰ~Ⅱ)/11.いつの日にか二人で
ドラム鈴木英哉ボーカル曲

2ndアルバム『KIND OF LOVE』。

同年5月リリースされていた前作『EVERYTHING』はミニアルバムだったので初のフルアルバムという事になるが公式に今作は2ndアルバムとされている。

シングル「抱きしめたい」(今作と同発 6万枚)、更に1stシングル「君がいた夏」カップリングだった「グッバイ・マイ・グルーミーデイズ」を収録。「All by myself」は翌年の3rdシングル「Replay」カップリングとしてリカットされた。初回限定盤は特殊ケースに大型歌詞カード封入。

リリース当時は2週チャートインしたのみですぐに圏外へ。1993年夏にも3週程ランクインし、その後「CROSS ROAD」がロングヒットを飛ばし始めた94年初頭から安定してチャート下位に姿を見せるようになった。最高順位の13位は大ブレイク後の95年2月で記録。その後も着実にセールスを伸ばし、発売から3年4ヶ月後の96年4月ついに100万枚を突破した。週間チャートで一度もトップ10入りせずにミリオンを記録したアルバムは今作とB’zの『BAD COMMUNICATION』のみ。ミリオンを記録したアルバムでは最高順位が最も低い作品となる。最終ランクインは2000年1月であり、合計159週登場というロングセラーとなった。

初期の名盤として名高い作品。文句なしの名バラード「抱きしめたい」やベスト盤にも収録された「星になれたら」など、甘酸っぱい青春ソング、キラキラしたポップスが満載。ほのぼのとしたカントリーソング「思春期の夏~君との恋が今も牧場に~」はドラムの鈴木英哉(通称JEN)がボーカルをとっている等、現在では考えられないようなレアな要素も。個人的には、この中では珍しくどこかモヤがかかったような鬱屈とした「Distance」がお気に入り。青春を感じさせる1枚である。

おすすめ度:B

3rd Versus

1993年9月1日 売上約80万枚

【収録曲】
01.Another Mind/02.メインストリートに行こう/03.and I close to you/04.Replay/05.マーマレード・キッス/06.蜃気楼/07.逃亡者/08.LOVE/09.さよならは夢の中へ/10.my life
ドラム鈴木英哉ボーカル曲

3rdアルバム『Versus』。

シングル「Replay」(8万枚)収録。10曲中5曲と、半数の曲の作曲にプロデューサー・小林武史(通称コバタケ)が携わっている。「逃亡者」は作詞・作曲が小林でドラム・鈴木がボーカルを務めている異色曲で、これは桜井が作詞曲&ボーカルに関わっていない唯一の楽曲である(インストを除く)。また「and I close to you」は後11月の4thシングル「CROSS ROAD」カップリングとしてリカットされた。初回限定盤はシースループラスチックケースでジャケットが3D仕様、大型歌詞カード付。

初登場3位を記録し、初のトップ10入りとなり自己最高順位を一気に更新。翌年以降もバンドの大ブレイクに引っ張られる形でチャート下位をウロウロし続け、合計105週というロングセラーとなった。最終ランクインは1997年3月。

アルバムタイトルは暗い曲と明るい曲が対(Versus)になるように交互に登場する事からきているらしい。確かに1曲目「Another Mind」にはこれまでには見られなかったような激しさが垣間見えるし、マイナーな響きが炸裂する「蜃気楼」もかなりダーク。一方、爽快でひたすら明るい「メインストリートに行こう」、さらに「LOVE」や「my life」など後にベスト盤に収録される人気のポップス、ドラム鈴木がボーカルをつとめた「逃亡者」等も収録されており(彼のボーカル曲はこれが最後)、全体的に中々バラエティに富んだ内容である。大ブレイク直前・孵化直前というポジションのアルバムであり、次回作以降が凄過ぎるのでやや霞んでしまいそうな立ち位置の作品ではあるが割とお薦め。

おすすめ度:C+

4th Atomic Heart

1994年9月1日 売上約343万枚

【収録曲】
01.Printing/02.Dance Dance Dance/03.ラヴ コネクション/04.innocent world/05.クラスメイト/06.CROSS ROAD/07.ジェラシー/08.Asia(エイジア)/09.Rain/10.雨のち晴れ/11.Round About~孤独の肖像~/12.Over
インスト

4thアルバム『Atomic Heart』。

シングル「CROSS ROAD」(125万枚)「innocent world」(193万枚)収録。「ラヴ コネクション」は6thシングル「Tomorrow never knows」のカップリング、「クラスメイト」は7thシングル「everybody goes~秩序のない現代にドロップキック~」のカップリングとしてそれぞれ後にリカットされた。また「雨のち晴れ」はリミックスを施された「雨のち晴れ Remix Version」として翌年の8thシングル「【es】~Theme of es~」カップリングに収録された。初回限定盤はプラスチックケース収納仕様。

1993年末の「CROSS ROAD」で初ミリオン、続く94年初夏の「innocent world」が初のチャート1位・大ヒットを飛ばし、まさにバンドが勢いに乗っている中で今作がリリースされ結果的に空前の大ヒット。累計300万枚を突破し、当時の邦楽アルバム売上の歴代最高記録を更新するメガヒットとなった(それまでの歴代1位は92年にリリースされたDREAMS COME TRUEの『The Swinging Star』だった)。この記録は96年にglobeの1stアルバム『globe』に抜かれるまで継続。94年の年間チャート3位、95年の年間チャート6位と2年にまたがって売れ続け、自身最大のヒット作となった。最終ランクインは97年5月。

大ブレイクの根源であり、バンドが明確に新たなステージに立ったなという事がわかる名作。実質1曲目の「Dance Dance Dance」からデジタルサウンドが全開で、前作『Versus』までのイメージとはかなり異なる新たな世界観が炸裂している。2曲目の「ラヴ コネクション」もこれまでとは違うタイプのロックンロールだし、「ジェラシー」や「Asia(エイジア)」なんかはかなりダークで混沌としたムードに包まれている。「クラスメイト」「Over」等はまだ前作までの空気が残ったミディアムバラードだがそれでも大幅にレベルが上がっているように感じる。

僕は2002年頃に後追いで手に取ったのでまだスンナリと聴く事ができたが、当時リアルタイムで聴いていた人はこの変貌ぶりにさぞビックリしただろうなと思う。この時期、プロデューサー小林武史(通称コバタケ)のアドバイスによって桜井の曲作りにも変化が生じたらしいが(甘いラブソングだけでなく、もっと自らの内面を吐露したような曲を書いたらどうか、等)、結果的には大成功だったという事だろう。後のベスト盤『Mr.Children 1992-1995』に収録された曲が多く、実験的な曲も多いとはいえ、何よりアルバムとしてのまとまり感、そして勢いは凄まじいものがあり、売上だけでなく内容的にもJ-POP史に残る確かな名盤だ。

おすすめ度:A+

5th 深海

1996年6月24日 売上約274万枚

【収録曲】
01.Dive/02.シーラカンス/03.手紙/04.ありふれたLove Story~男女問題はいつも面倒だ~/05.Mirror/06.Making Songs/07.名もなき詩/08.So Let’s Get Truth/09.臨時ニュース/10.マシンガンをぶっ放せ/11.ゆりかごのある丘から/12.虜/13.花-Memento-Mori-/14.深海
インスト・SE

5thアルバム『深海』。

シングル「名もなき詩」(230万枚)「花-Memento-Mori-」(153万枚)収録。8月に「マシンガンをぶっ放せ」が自身初のマキシシングル「マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg-」(73万枚)としてリカットされた。

前作『Atomic Heart』以降の94年~95年にリリースされていた「Tomorrow never knows」「everybody goes~秩序のない現代にドロップキック~」「【es】~Theme of es~」「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」の4シングルはアルバムのコンセプトにそぐわないという理由で未収録となり、次回作『BOLERO』に持ち越された。累計売上では前作に及ばなかったが初動は跳ね上がり当時の歴代最高初動記録を更新した。

ミスチル史上、さらにはJ-POP史上に輝く大傑作にして問題作。「深海」という一つのコンセプトに沿って構成されておりアルバム全編を通してとにかく暗く、ディープな世界が広がっている。曲と曲が繋がっている部分も多く、海に潜っていく音「Dive」から「シーラカンス」の絶望的なアコギの響きに繋がる所や、「ゆりかごのある丘から」のラストのヘリの音が徐々にドラムの音に変わっていき、なだれ込むように「虜」がスタートする箇所などはあまりの狂気さに恐怖すらおぼえる。

バンドサウンドもこれまでのアルバムとはどこか質感が異なるがこれはニューヨークのスタジオでレコーディングされた成果のようだ。若くしていきなり音楽界の頂点に立ってしまった桜井の苦悩は想像を絶するものだったようで、何かもがくような精神がそのまま表れた結果このような作品が出来上がったのだろう。シングルの段階では暗く感じた「花-Memento-Mori-」だがアルバムの流れの中で聴くと救いの歌のように聞こえるのが不思議。

後に及ぼした影響も大きく、この時期の活動や作品は「深海期」と呼ばれ今なお語り継がれている。「ミスチルファンであり続けるための踏み絵」とまで言われ、現在はメンバーも今作に対してあまり好意的な感想は抱いていないみたいだけど、この唯一無二の世界観はとにかく凄まじい。ミスチルの歴史を語る上では欠かせない重要な一作だ。ミスチル最大の名盤だと思うし、個人的に歴代J-POP史上最も好きなアルバムである。

おすすめ度:A+

6th BOLERO

1997年3月5日 売上約328万枚

【収録曲】
01.prologue/02.Everything(It’s you)/03.タイムマシーンに乗って/04.Brandnew my lover/05.【es】~Theme of es~/06.シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~/07.傘の下の君に告ぐ/08.ALIVE/09.幸せのカテゴリー/10.everybody goes-秩序のない現代にドロップキック-/11.ボレロ/12.Tomorrow never knows(remix)
インスト

6thアルバム『BOLERO』。

シングル「Tomorrow never knows」(276万枚)「everybody goes-秩序のない現代にドロップキック-」(124万枚)「【es】~Theme of es~」(157万枚)「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」(181万枚)「Everything(It’s you)」(121万枚)収録。「Tomorrow never knows」はシングルでは打ち込みだったリズム隊を生で録り直したアルバムバージョン。前作『深海』に未収録だった94年末~95年のシングルは全て今作に回された

ミリオンシングル5曲収録というオリジナルアルバムとしては異例の内容もあって自己最高の初動売上をマーク。累計300万枚を突破する特大ヒットとなり、94年の『Atomic Heart』に次ぐ自身2番目のセールスを記録した。同一歌手がアルバム2作で300万枚突破を果たしたのは史上初だった(後にglobe、B’z、宇多田ヒカルが達成している)。今作発売後、バンドは無期限の活動休止期間に入った。

『深海』に未収録だったシングルが一気に収録されたこともあってベスト盤的な印象のあるアルバム。実際僕もミスチルを聴き始めた当初、先にベスト盤2枚を入手していたので結構曲が被ってる今作はチェックしなくても良いかな…とスルーしていたのだが、2003年頃に友人が貸してくれて初めて聴き、その攻撃的な内容に驚いた。前半の「タイムマシーンに乗って」や「Brandnew my lover」はエレキギターのリフが炸裂するかなりロックなナンバーだし、「傘の下の君に告ぐ」は社会批判全開な刺々しい歌詞が刺さる。吐き出すように〈夢も希望もありゃしないさ〉と叫ぶ桜井のボーカルは全作品中最もしゃがれており、やはり深海期なんだなという印象。シングルのイメージのまま聴いたらかなりショックを受ける内容だ。見方によっては『深海』よりも狂気的なアルバムかもしれない。シングルという個性豊かな楽曲が5曲も入っているのにしっかりアルバムとしてまとまって聞こえるのは流石。一番ロックで攻撃的だった頃のミスチルが聴ける衝撃の名盤である。

おすすめ度:A+

7th DISCOVERY

1999年2月3日 売上約181万枚

【収録曲】
01.DISCOVERY/02.光の射す方へ/03.Prism/04.アンダーシャツ/05.ニシエヒガシエ/06.Simple/07.I’ll be/08.#2601/09.ラララ/10.終わりなき旅/11.Image

7thアルバム『DISCOVERY』。

シングル「ニシエヒガシエ」(66万枚)「終わりなき旅」(107万枚)「光の射す方へ」(45万枚)に加え、カップリングから「Prism」を収録。5月に「I’ll be」(30万枚)がアップテンポにアレンジしたバージョンでシングルカットされ、そちらのバージョンは現在までCDアルバム未収録(一応2017年の期間限定配信ベスト『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』には選出された)。

活動休止期間を経て前作『BOLERO』から約1年11ヶ月ぶりのアルバムとなった。初動ミリオンを達成し累計180万枚を超えるセールスを記録したが、ブランクが響いたのか前作から100万枚以上下げる結果となった。今作発売後、ライブツアー「TOUR ’99 DISCOVERY」が開催され、そのうち真駒内アイスアリーナでの公演が後にライブアルバム『1/42』としてリリースされる事となる。

活動再開のアルバムだが全体的に重たく、ヘビーなサウンドが展開する作品。前作『BOLERO』もバンド感全開だったが今回はそれよりもやや温度の低い、ひんやりとしたバンド感が広がっているように思う。特に前半は「DISCOVERY」、「Prism」等の暗い低温ナンバーが続くのでとっつきにくさでは全アルバム中1番かもしれない。シングル曲の時点で結構マニアックだし。中盤以降は「Simple」のような優しいラブソングや、「#2601」のようなミスチル史上最強のハードロック感で叫びまくっている異色作があったりと、割と曲の幅広さもうかがえるけどアルバム全体の印象としてはやはり重たいの一言。よってライトリスナーが最初に聴くオリジナルとしてはあまりお薦めできないが聴き込むとハマるし、ラストの「Image」なんかは壮大なサビが圧巻の名曲なのでゆくゆくは手に取るべき。

おすすめ度:B

8th(ライブ盤) 1/42

1999年9月8日 売上約55万枚

【収録曲】
Disc One
01.DISCOVERY/02.アンダーシャツ/03.名もなき詩/04.Prism/05.Everything(It’s you)/06.I’ll be/07.花-Memento-Mori-/08.Simple
Disc Two
01.ラヴ コネクション/02.Dance Dance Dance/03.ニシエヒガシエ/04.ラララ/05.Tomorrow never knows/06.終わりなき旅/07.光の射す方へ/08.innocent world/09.Image/10.抱きしめたい

自身初のライブアルバム『1/42』。

企画盤ながら公式に8thアルバムとされている。50万枚限定生産(にもかかわらず売上が50万枚以上になっているが、これはO社の推定売上枚数算出方法の関係によって起こった現象。まぁ深く考えなくていい)。

タイトルは「ワンフォーティーセカンド」と読み、前作『DISCOVERY』を引っ提げて行われたライブツアー「Mr.Children Concert Tour ’99 DISCOVERY」の全42公演のうちの1つという意味がある。1999年6月26日の真駒内アイスアリーナ公演の音源が収録されているが「抱きしめたい」のみ7月10~11日の沖縄宜野湾市海浜公園野外劇場公演の音源となっている。MCは一部を除いて全面的にカットされている。

また、なぜか今作はダウンロード配信・サブスク配信共に行われていない

ロックバンド・Mr.Childrenを体感できる一作。いつもの作り込んだスタジオ・アルバムとは異なり、生の迫力を感じる事ができる。「名もなき詩」の1番のサビや、「ラララ」等でファンが大合唱する所なんかは会場全体がひとつになったような一体感が生まれ最高。聴いているとまるで自分もその場にいるかのような臨場感を味わえる。観客の歌うアカペラ版「innocent world」の歌い回しが違うと桜井さんが指摘する箇所は笑えるし、直後に「そこんとこ踏まえて…」と言って本当に「innocent world」のイントロが始まる瞬間は鳥肌モノだ。また「ニシエヒガシエ」の間奏部分はライブ用にアレンジされていてスタジオ音源よりも格段にカッコよくなっているので是非注目してみてほしいポイントだ。アルバムを引っ提げてのツアーのため、『DISCOVERY』からはほとんどの曲が演奏されているが「♯2601」だけが選ばれていない。最もライブ映えしそうなこの曲だけがなぜセットリストから弾かれてしまったのかが謎である。

おすすめ度:C+

9th Q

2000年9月27日 売上約89万枚

【収録曲】
01.CENTER OF UNIVERSE/02.その向こうへ行こう/03.NOT FOUND/04.スロースターター/05.Surrender/06.つよがり/07.十二月のセントラルパークブルース/08.友とコーヒーと嘘と胃袋/09.ロードムービー/10.Everything is made from a dream/11.口笛/12.Hallelujah/13.安らげる場所

9thアルバム『Q』。

シングル「口笛」(72万枚)「NOT FOUND」(60万枚)に加え17thシングル「I’LL BE」のカップリング「Surrender」を収録。この「Surrender」は曲始めにシングル時には無かったドラム・鈴木英哉のカウントが入っている。

当時人気絶頂期だった浜崎あゆみの『Duty』(初動168万枚)に阻まれてチャート初登場2位となり、94年の『Atomic Heart』から続いていたアルバム連続1位記録が5作でストップ。さらに累計売上も89万枚となり93年の『Versus』以来6作ぶりにミリオンに届かなかった等、やや人気の失速を思わせるチャートアクションとなってしまった。

重たかった前作『DISCOVERY』から一転して、何かから解き放たれてフッと軽くなったかのように自由気ままな雰囲気が広がる。これまでのようなメロディアスさはあまり意識されていないが、かといってバンド感が出ているというわけでもない。何とも表現しがたい奇妙なアルバム。何でもテンポやコード進行をダーツで決めたりと、曲作りにおいてもかなり自由な試みがなされたらしい。「深海からの脱出」からくる自由さなのかと言うとそういうわけでもなく、これはこれでまた妙な方向へ突っ走ってしまった感がある。

ただ一度聴いた時には「なんじゃこりゃ」と思うけど、何度も聴き込んでいくと徐々にこの奇妙さが癖になりハマっていく。個人的に、「聴けば聴くほど好きになる」という意味の「スルメ曲」とか「スルメアルバム」といった表現の仕方を知ったキッカケになったのはこの作品(ネットでこのアルバムの感想を見て回ってたら巡り合った)。ファンになればなるほど好きになっていくアルバムだろう。僕自身現在ではミスチルで五本の指に入るほどに好きな一作である。初心者が最初に聴くオリジナルアルバムとしてはオススメしない

おすすめ度:A

※これの続き(2001年のベスト『肉骨ベスト』から2010年の『SENSE』)は下記記事でございます

Mr.Children 全アルバムレビュー・おすすめ度 #2 ~『肉骨ベスト』から『SENSE』~
Mr.Children 全アルバムレビュー #2 こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。 この記事ではMr.Childrenの各アルバム感想・それぞれのおすすめ度を、発売順に記載してま...

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