WANDS 歴代シングル&名曲感想 #1 ~1991-1996~
こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
B’zやZARDと共に90年代ビーイングブームを駆け抜けたWANDS。発足時(第1期)のメンバーは上杉昇(ボーカル)・柴崎浩(ギター)・大島康祐(キーボード)。心に残る名曲を数多く生み出してくれた彼らのヒストリーを追ってみよう。
ちなみにWANDSの歴代ボーカルは3名おり、上杉昇(第1・2期)、和久二郎(第3期)、そして現在の上原大史(第4・5期)。この記事では第1期・上杉昇時代の名曲たちを語ってゆく。
わたくしマーがJ-POPにハマったのは2002年であるため、リアルタイムでのWANDSはほぼ記憶に無い(アニメ「遊戯王」主題歌だった「明日もし君が壊れても」は知っていたがあくまで曲を知っていただけで歌っているのがWANDSという認識は無かった)。J-POPに目覚めてから同じビーイングバンドであるT-BOLANやFIELD OF VIEWらと一緒にハマり、ブックオフ等でアルバムをかき集めていった。
1st 寂しさは秋の色
1991年12月4日
最高63位、3.1万枚
作詞:上杉昇、作曲:栗林誠一郎、編曲:明石昌夫
記念すべきデビュー曲。関西テレビ系ドラマ「ホテルウーマン」挿入歌。2週間前にリリースされていたコンピ盤『ホテルウーマン オリジナルサウンドトラック』に一足早く収録されていたため厳密にはシングルカットとなるが、ミックスやギターソロが異なるらしい。
タイトル通り秋という季節の侘しさや哀愁を感じさせるロックバラードで、同時期に出たB’zの「ALONE」にも似たどっしりとした印象がある。デビュー曲にして心に染み渡るかなりの名曲である。作曲はZARDやDEEN等への提供でビーイングファンにはお馴染みの栗林誠一郎。やはりこの人の曲は良い。ちなみに上杉はこの当時若干19歳だったようだが全く19歳に見えない。こんなにクールで落ち着いた10代がいるのだろうか…。
おすすめ度:B+
1stアルバム『WANDS』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(remix)
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』(LIVE ACOUSTIC Version)
2nd ふりむいて抱きしめて
1992年5月13日
最高80位、2.0万枚
作詞:上杉昇、作曲・編曲:大島康祐
売上は低いがチャートでは下位をウロウロしていたようで最高位の80位は93年2月に記録している。
テレビ朝日系情報番組「OH!エルくらぶ」オープニングテーマ。打ち込み全開のダンサブルな曲調となった2nd。大島が在籍していた第1期のシングルの中で彼が作曲したものは意外にもコレだけである。大島作曲という点を意識すると確かに後の「時の扉」や「恋せよ乙女」の原型にも思える。ビーイングらしくタイトルがそのまま歌詞になっているサビは中々印象的で耳に残るが、まさにearly90’sといった軽い打ち込みサウンドはかなり時代を感じさせる。嫌いでは無いけど聴く回数はそんなに多くない。
おすすめ度:C+
1stアルバム『WANDS』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』
1stアルバム WANDS
1992年6月17日 約34万枚
Cloudy Sky
作詞:上杉昇、作曲・編曲:大島康祐
1stアルバムは6曲しか入っていなくて正直イマイチなんだけど、あえて1曲選ぶとしたらこの曲かなぁ。かなりearly90’sなスパコンサウンドで実に大島っぽい1曲である。〈Zen Zen かわく事がない〉や〈Dan Dan 崩れゆくなら〉など、後のFIELD OF VIEWの名曲を思わせるフレーズが飛び出してくるが、坂井泉水はこの曲からインスピレーションを得たのだろうか?(たぶん違う)
おすすめ度:C
1stアルバム『WANDS』
3rd もっと強く抱きしめたなら
1992年7月1日
最高1位、166.3万枚
作詞:上杉昇・魚住勉、作曲:多々納好夫、編曲:葉山たけし
47位に初登場した後、秋頃まで30位台をウロウロ。10月後半に中山美穂とのコラボシングル「世界中の誰よりきっと」がリリースされヒットした頃から引っ張られるようにチャートをじんわり昇っていき、年が明けた93年の1月ついに1位を獲得(2週連続)。初登場から29週目にして1位を獲るという物凄いチャートアクションだった。最終ランクインは93年5月。初のミリオンセラーとなり自身最大のヒット作となった。
三井生命CMソング。爽やかなメロディーに爽やかな歌詞、サビがそのままタイトルになっている分かりやすさ、カラオケでの歌い易さ等々、まさに90年代ビーイングソングの王道を極める一曲。発売は夏なんだけど若干のセツナ要素も相まってこの曲を聴くと秋を連想してしまう。王道過ぎて飽きが来たりもするんだけど、未だにカラオケでこの曲を歌う友人も多く、定期的に聴き返す度に「やはり名曲だな…」と再確認する。作曲の多々納好夫はBAADの「君が好きだと叫びたい」等で知られる作曲家。ビーイング中心に曲提供していたが、実は初期SMAPのアルバム曲なんかも手掛けていたりする。
また共同作詞の魚住勉はタイアップCMに出演していた浅野温子の夫だという。最初に魚住勉が元となる詞を作り、それを上杉が自分の言葉に置き換えたらしいが何故にそんな回りくどい制作スタイルを取ったのだろうか。この曲で当てようと思ったビーイングが上杉単独作詞では力不足だとでも判断したのだろうか…。
おすすめ度:A
2ndアルバム『時の扉』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(remix)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
世界中の誰よりきっと / 中山美穂&WANDS
1992年10月28日
最高1位、183.3万枚
作詞:上杉昇・中山美穂、作曲:織田哲郎、編曲:葉山たけし
中山美穂とのコラボレーションシングル。長渕剛「純恋歌」(初動20.8万枚)に敗れ初登場は2位だったが、翌週も2位、その後なんと5週連続3位をキープした後登場8週目にして遂に1位を獲得。累計で180万枚を越える大ヒットとなり中山美穂、WANDSそれぞれにとって最大売上となった。また作曲の織田哲郎にとっても最大ヒット曲である。
当時のビーイングの勢いを象徴するかのようにキャッチーなキラキラポップ・ナンバー。懐メロ音楽番組等で取り上げられる機会も多く、90年代J-POPを代表する一曲という風格を持つ名曲だ。ただ、一応はデュエットソングとなっているんだけど「Mステ」や「FNS歌謡祭」の過去映像を観ると殆ど中山美穂メインでWANDSはバックバンド扱いだったようで、本人らはどう思っていたのだろうか…。今作のヒットに引っ張られ「もっと強く抱きしめたなら」が売れたという事もあり、WANDSの大ブレイクに一役買ったコラボだったのは間違いないんだけど、当時尖っていた上杉は恐らく不服だったのではないか?と思う。当時の音楽番組で司会者(確かK田E里子)に「このコラボでWANDSのファン増えたでしょ~?」と聞かれた際に上杉が「どうっすかねぇ…」と精一杯の苦笑いで返していた映像が忘れられない。
後にWANDSのアルバムに収録された際には「Album Version」としてメインボーカルを上杉が、コーラスをB.B.クィーンズの宇徳敬子が担当。クリスマスやパーティーっぽさのあった原曲に対し、WANDSバージョンはどことなく秋っぽさを漂わせるミディアムソングとなっておりこちらも味があって良い。やはりメロディーが素晴らしいね。
おすすめ度:B+
2ndアルバム『時の扉』(Album Version)
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』(Album Version)
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(Album Version remix)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』(Live Version)
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』(Album Version)
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』(Album Version)
4th 時の扉
1993年2月26日
初登場1位、144.3万枚
作詞:上杉昇、作曲:大島康祐、編曲:明石昌夫
自身初のチャート初登場1位を獲得。またもミリオンセラーを記録し、WANDSとしては「もっと強く抱きしめたなら」に次ぐ自身2番目のヒット曲となった。93年度年間7位。
前作を最後に大島が自身のユニット・SO-FIを結成するため脱退。新たに柴崎の知人であった木村真也がキーボードとして加入しこれ以降が第2期WANDSとなる。
テレビ朝日系ドラマ「ネオドラマ」主題歌。これはオムニバス形式の深夜帯ドラマであり、ビーイングと提携していたようで他にも大黒摩季、MANISH、DEENらが主題歌を手掛けている。
楽曲の方はダンサブルな打ち込みナンバー。元々は2ndシングルの候補曲として存在していた曲で、ストックされていた模様。大島脱退後のリリースであるにも関わらず大島作曲となっているのはそういう経緯だからなのだろう。同じく大島作曲の「ふりむいて抱きしめて」と比べるとよりメロディアスな要素が追加されているかな、と思う。安定して良い曲。サビに入る前の「ダダダッ・ダッ・ダダッ・ダダッ」というリズムがテンション上がる。
売上的には「もっと強く抱きしめたなら」に及ばなかったものの、現在では「もっと強く抱きしめたなら」を越える代表曲として認知されているような気もする。若い後追い世代には「世界が終るまでは…」、当時を知るリアルタイム世代には「時の扉」みたいな。
おすすめ度:B
2ndアルバム『時の扉』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(remix)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
C/W 声にならないほどに愛しい
作詞:上杉昇、作曲:織田哲郎、編曲:明石昌夫
MANISHに提供し20万枚のスマッシュヒットを飛ばした楽曲をセルフカバー。スピーディーかつメロディアスでまさにビーイング!という感じの爽快ナンバー。キーがかなり高いのでカラオケで歌う際には裏返り覚悟で臨まなければならないのがネック。3rdアルバム『Little Bit…』に収録されているバージョンはギターソロが異なる。
おすすめ度:B
3rdアルバム『Little Bit…』(ギターソロが異なる)
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5th 愛を語るより口づけをかわそう
1993年4月17日
初登場1位、112.1万枚
作詞:上杉昇、作曲:織田哲郎、編曲:明石昌夫
2ndアルバム『時の扉』と同時発売され、共に初登場1位を獲得。そのままシングルチャート・アルバムチャート共に4週連続で首位を守り、両方ミリオンという快挙を成し遂げた。
この曲が1位を獲得した週は2位がDEENの「このまま君だけを奪い去りたい」、3位がB’zの「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」でありトップ3をビーイングが独占。結局5週連続でビーイングがトップ3を独占するという凄い事態になっていた。それにしてもどれもタイトル長ぇよ!
まさにビーイングど真ん中という感じのポップで爽快なナンバー。「声にならないほどに愛しい」を更に進化させたような曲でサビの突き抜け感がとにかく心地良い。WANDSのシングルの中で最も明るくポップな曲なんじゃないかと思う。それ故に飽きやすいという見方もあるんだけど、初めて聴いた時から何だかんだずっとお気に入りの一曲。
おすすめ度:B+
3rdアルバム『Little Bit…』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(remix)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
2ndアルバム 時の扉
1993年4月17日 約162万枚
星のない空の下で
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:WANDS
上杉が亡くなった親友について綴ったとされるストレートなロックナンバー。キャッチーさ抜群のサビも素晴らしいがAメロ・Bメロの少し切ない雰囲気も好き。シングルと肩を並べるか、それ以上の名曲であると思う。最初に聴いた時は勝手に織田哲郎辺りの作曲だと思い込んでいたので柴崎浩作曲だと知った時には驚いた。
おすすめ度:A
2ndアルバム『時の扉』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
6th 恋せよ乙女
1993年7月7日
初登場1位、81.9万枚
作詞:上杉昇、作曲:大島康祐、編曲:葉山たけし
怒涛のリリースでリスナー側も疲れたのか連続ミリオンは途絶えたものの、1位は獲得。ちなみに1993年3月にB’zの「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」が1位を獲得して以降、同年7月末のチャートまでビーイング歌手が18週連続で1位を獲得しておりその最後のシングルが今作であった。当時のビーイングブームがいかに凄かったかが分かる記録である。
「ブティックJOY」CMソング。「ふりむいて抱きしめて」「時の扉」と同じく、脱退した大島の作曲シングル。「時の扉」をより攻撃的にした感じの曲でインパクトは強いがメロディーはそこまででも無く、第2期WANDSのシングルの中ではそんなに好きな方でも無い。全体的にキーが高くカラオケでは気合が必要だが、特にBメロの〈僕もけしきも~〉〈人もしかいも~〉が極度に高くて辛い。
おすすめ度:C+
3rdアルバム『Little Bit…』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』(Remix)
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
3rdアルバム Little Bit…
1993年10月6日 約95万枚
Little Bit…
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
夜明け前の空気を醸し出すバラード。ストレートではなく若干癖のあるメロディー展開でこの時期では新鮮な一曲。聴き込むほどに好きになっていく曲である。ベスト盤の類には収録されていないので聴くには3rdアルバムを入手するしか無い。
おすすめ度:B
3rdアルバム『Little Bit…』
7th Jumpin’ Jack Boy
1993年11月17日
初登場2位、82.7万枚
作詞:上杉昇、作曲:栗林誠一郎、編曲:葉山たけし
今作よりB-Gram RECORDSに移籍。初動28.6万枚を記録したが、当時大ヒットしていた藤井フミヤの「TRUE LOVE」がそれを上回る38.8万枚を叩き出してきた為最高順位は2位だった。
ミズノスキーウェア・インパルスCMソング。Aメロ・Bメロはスリリングな空気で進んでいきサビになると爆発的にキャッチーになる。疾走感・メロディアス・セツナ感とWANDSの魅力が全て詰まったような一曲で素晴らしき大名曲。僕が最初に買ったベスト盤『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』には何故か収録されていなかったので、しばらくこの曲の存在を知らなかった(その後Mステの過去映像で知り、なんて良い曲なんだと感銘を受けすぐさま購入した)。ちなみに4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』では生音で重たいサウンドにアレンジされているが、この曲に関しては疾走感のあるシングルバージョンの方が断然良いと思う。
おすすめ度:A+
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』(生音アレンジバージョン)
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
8th 世界が終るまでは…
1994年6月8日
初登場1位、122.1万枚
作詞:上杉昇、作曲:織田哲郎、編曲:葉山たけし
「恋せよ乙女」以来の1位獲得。更に「愛を語るより口づけをかわそう」以来のミリオン突破となり、1994年度年間10位に食い込む大ヒットとなった。「もっと強く抱きしめたなら」「時の扉」に次ぐ自身3番目の売上となり、WANDS最後のミリオンセラーである。
シングル4作・アルバム2作と超ハイペースで活動していた93年と打って変わって、94年にリリースされたCDは今作だけだった。
テレビ朝日系アニメ「SLAM DUNK」エンディングテーマ。今なお根強い人気を誇るアニメ主題歌という事で、僕の世代ではWANDSで最も人気&知名度の高い曲である(このテの人気アニメを殆ど観ずに育ってきた僕は、2002年頃になってようやく90年代ヒット曲として今作を認知したわけだが)。壮大なスケールのロックバラードでAメロの〈大都会に~♪〉からもう雰囲気抜群。とびきり開放的でキャッチーなのに、どこか退廃的なムードも合わせ持つ奇跡の名曲である。
2012年にはアニメソングのライブイベント「Animelo Summer Live 2012-INFINITY∞-」にて、シークレットゲストとして上杉が登場。作曲した織田哲郎と初共演を果たし「世界が終るまでは…」を披露するという落涙モノのステージが実現した。上杉は自らのWANDS時代を「アイドル時代」と揶揄したり半ば黒歴史的に捉えているイメージが強かったので、こうして人前に出て全盛期ど真ん中の大ヒット曲を歌ったという事実にかなり驚いたものだ。当時このライブを観に行っていたというバイト先の後輩(世代的にWANDSの事はよく知らない)が「何かよく知らないオジサンが出てきて「世界が終るまでは…」を歌ってましたよ」と僕に報告してきて、「何言ってんだ、それ天下の上杉昇だぞ!!!」とよく分からんテンションでキレてしまった苦い思い出がある。この場を借りて彼に謝りたい。
おすすめ度:A
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
C/W Just a Lonely Boy
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:WANDS
WANDSにしては明るく、どこかパーティーソング的なノリでもあるポップソング。男性の「鈍い鈍い!」という呟きや、女性の「ウフフッ♪」(タレントのローラみたいな声)というSEが随所に盛り込まれておりこれも新鮮。1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』で初めて聴いて以来大好きなナンバーであり、WANDS全体でも一番好きな曲である。この開放的な感じが素晴らしい。1stベストはこの曲が入っているという点で大いなる価値がある。
おすすめ度:A+
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6』
9th Secret Night~It’s My Treat~
1995年2月13日
初登場1位、63.1万枚
作詞:上杉昇、作曲:栗林誠一郎、編曲:池田大介
シングルでは自己最高の初動売上を記録。同時に最後の1位獲得シングルとなった。突然のロック化にリスナーも戸惑ったのか、累計売上は前作から半減。
TBS系「CDTV」オープニングテーマ。栗林誠一郎の「IT’S MY TREAT」という曲が原曲としてあるらしく、厳密にはカバー曲であるという。前作までと異なりかなりロック方面に振り切った曲調。メロディーというよりはサウンドの重たさ・カッコ良さに重きをおいた感じで、初めて聴いた中学生の頃には正直全く良さが分からなかった。WANDSは「世界が終るまでは…」が最後の名曲だな…と長らく思っていたのだけど、数年経ってある時期を境に急激にこの曲の魅力に取りつかれて現在では結構好きになっている。サビも良いがCメロの〈大空に 浮かぶ月が~〉の部分がまさに至高である。
おすすめ度:A
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
4thアルバム PIECE OF MY SOUL
1995年4月24日 約96万枚
FLOWER
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
ロック化したWANDSを象徴するような破滅的ロックナンバー。「世界が終るまでは…」等ヒットシングルのイメージでアルバムを手に取ったライトリスナーを門前払いするかのような曲で、初っ端から〈PUNK ROCKを聞いては Milkを飲む老婆〉という奇抜フレーズが飛び出す。更にサビは思いっきり潰れたデスボイスが炸裂する。正直メロディー重視で聴いていた頃には全く良いと思わなかったのだが、数年経って聴き返したらかなり尖った名曲であると一気に認識が変わった。
おすすめ度:B+
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』
Love & Hate
作詞:上杉昇、作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
今作の中ではまだポップな方で、従来のWANDSファンにとっての受け皿として機能したのではないかと思われる一曲。しかし歌詞は煮え切らない内容で、この時期の上杉が抱えていた苦悩が滲み出ている。〈鏡を覗き込んで 見えないものとただ 一人きり向き合って もがき苦しむ〉等を読むとやはり上杉はプロデュースされている自分からの脱却に悩んでいたのだろうな…と思う。
おすすめ度:B+
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』
MILLION MILES AWAY
作詞:上杉昇、作曲:木村真也、編曲:葉山たけし
アルバムのラストを締めるミディアムナンバーで、曲調は優しいんだけど歌詞はかなり熱いものがある。〈粉々に砕けたガラスのようだ この心は〉と一度は崩れ落ちた自分を認めるものの、〈だけどまだ白い旗は上げない 果てしないしがらみを一人行こう〉と、ボロボロに打ち砕かれながらももう一度前を向く力強さ。これが素晴らしい。日常生活の要所要所でこの曲に救われる事もある。第2期WANDS終盤に燦然と輝く大名曲である。作曲は何とこれまで曲を手掛けてこなかった木村。上杉・柴崎と比べるとどうしても「じゃない方」「デカメガネ男」といったイメージしか無かった木村がこんな名曲を放っていたとは…木村、すげぇよお前!
木村作曲だった事もあってか、上杉・柴崎脱退後の第3期WANDSでまさかのセルフカバー(ボーカリスト変更の他、原曲は生演奏だったのを打ち込みに変更)が行われ『WANDS BEST』に収録された。僕が最初に聴いたのはこっちの3期バージョンだったのだが正直印象に残らず、後々『PIECE OF MY SOUL』にて原曲を聴きこんな名曲だったのかと衝撃を受けた次第である。和久に罪は無いが、やはりこの曲は上杉が歌うからこそ響いてくるんだと思うので3期バージョンはオススメしない。
おすすめ度:A+
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(3期によるカバー)
10th Same Side
1995年12月4日
初登場2位、23.4万枚
作詞:上杉昇、作曲:上杉昇・柴崎浩、編曲:WANDS
安室奈美恵の「Chase the Chance」(初動22.5万枚)に阻まれ最高順位は2位。前作での突然のロック化にファンは動揺したようでセールスは約3分の1に激減してしまった。
出だしはアコギメインで静かに始まるのだがサビでは爆音サウンドに変貌。上杉のボーカルもかなり荒れたデスボイスのようになっている超絶ヘビー曲。『PIECE OF MY SOUL』の世界を引きずっている感じでかつてのイメージとは程遠い曲調だが、2期初の完全自作シングルだし、上杉&柴崎のやりたい音楽と世間的なWANDSのイメージがかなり乖離していたという事が伺える。「Secret Night」同様にこれも最初全く良いと思わなかったのだがある時期を経て急に好きな曲になってしまった。メロディーだけでなくサウンド全体の空気(?)も含めて楽しむように僕の聴き方が変わっていった影響だろう。
おすすめ度:B+
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(remix)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
11th WORST CRIME~About a rock star who was a swindler~
1996年2月26日
初登場9位、13.5万枚
作詞:上杉昇、作曲・編曲:柴崎浩
上杉・柴崎脱退前最後のシングル。
TBS系「CDTV」オープニングテーマ。やはりロック方面へ傾倒した楽曲でありキャッチーさは薄いため最初は良さを見いだせなかったがある時期を(以下略)。サブタイトルは「詐欺師だったロックスターについて」という意味。後にWANDSだった頃を「アイドル時代」として揶揄するような発言をする上杉が付けたとなるとかなーり意味深なタイトルである。やはりこの時期既にWANDSとしての活動に限界を見ていたのだろう。
おすすめ度:B
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(remix)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY』
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS』
この後、ビーイングの音楽プロデューサー・長戸大幸が求めるスタイルと自らの音楽性の違いを理由に上杉が脱退。そして上杉の居ないWANDSには興味が無いとの理由で立て続けに柴崎も脱退(二人は97年にal.ni.coを結成しシングル3枚・アルバム1枚を発表し01年に解散。その後、上杉は猫騙、柴崎はabingdon boys schoolへとそれぞれ活動の場を移す)。
残った木村はWANDS継続を決め、新ボーカリストに和久二郎、新ギタリストに杉元一生を迎え第3期WANDSを結成する事となる。
※この続き、第3期(12th「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」~以降)のレビューは下記記事です
※WANDS 関連記事(アルバム編)
著者:マー・田中(@kazeno_yukue)
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