桑田佳祐 全シングル&名曲レビュー #1 ~「悲しい気持ち」から「東京」~

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桑田佳祐 全シングル&名曲レビュー #1

こんにちは、J-POP大好き人間・マー(@kazeno_yukue)です!
この記事では桑田佳祐ソロのシングルや名曲たちの感想と、各曲のおすすめ度を記載してまいります。

※ちなみにサザンオールスターズ本体のシングル&名曲感想も良かったらご覧ください。

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1st 悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)

1987年10月6日、約34万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:小林武史 with 桑田佳祐・藤井丈司

1985年にサザンオールスターズ活動休止、1986年には1年限定でKUWATA BANDとして活動、その翌年遂にソロ名義初となる今作をリリース。中山美穂の「CATCH ME」に敗れチャート最高位は2位だったものの34万枚を売り上げ、翌1988年6月のサザン復活シングル「みんなのうた」を上回るセールスを記録した。

失恋した男性の気持ちが歌われるが、曲調は非常に軽快なポップスとなっている。ジャンルで言えばモータウン・サウンドと呼ばれるらしい。サビの「ジャス・タメンニンラッ♪」の刻む感じが心地良いしメロディーも最高。しかし何より主張したいのはこの洗練されたサウンドである。80年代という時代を感じさせないこの編曲は小林武史(通称コバタケ)の手腕によるものだろう。わたくしマーが初めて聴いたのは中学時代、2002年のベスト盤『TOP OF THE POPS』でだったのだが、何だかそのずっと前から知っていたような懐かしさ・普遍性がある。

上記編曲クレジットのトップが「小林武史」になっている事からも、かなりコバタケのアイデアが盛り込まれている事がうかがえる。ここでコバタケの編曲能力に魅せられた桑田さんはこの後のソロ1stアルバムはおろか本家サザンのアレンジにもコバタケを迎え入れ、結局93年までこのタッグは続く事になる。コバタケといえば後90年代にMr.ChildrenやMY LITTLE LOVERプロデューサーとして大活躍するわけだが、実は一足先の80年代後期に桑田プロジェクトで名をあげていたのだ。

おすすめ度:A
収録アルバム:1st『Keisuke Kuwata』、ベスト『フロム イエスタデイ』他

2nd いつか何処かで(I FEEL THE ECHO)

1988年3月16日、約26万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:小林武史 with 桑田佳祐・藤井丈司

前作から約5か月ぶりのシングル。大ヒット中だった光GENJIの「パラダイス銀河」に敗れチャート最高位は2位。日本航空『JAL ’88 沖縄キャンペーン』CMソング、映画『彼女が水着にきがえたら』挿入歌。また2021年にはユニクロのCMソングに起用された。

しっとりしたミディアムソング。物悲しい雰囲気もあり季節で言えば秋を連想させるけど、このシングルの発売は春なんだよね。儚いメロディーがたまらなく、昔から大好きな一曲。「悲しい気持ち」同様に最初に聴いたのは『TOP OF THE POPS』でだったと思う。小林武史・藤井丈司による、キーボード主体のポップなアレンジがやっぱり好きだな。第1期ソロではどうしても「悲しい気持ち」に押し負けるのでこちらは目立たない存在だけど、2022年のソロ35周年ベスト『いつも何処かで』で1字違いでタイトルに抜擢されちょっと浮上した(?)。

このシングルの後、6月に「みんなのうた」でサザン復活。そして翌7月にソロ1stアルバムのリリース(ここだけバンドとソロのねじれ現象が起きる)。そのままサザンとして活動をしていくので、第1期ソロのシングルは早くも今作で最後となる。

おすすめ度:A+
収録アルバム:1st『Keisuke Kuwata』、ベスト『フロム イエスタデイ』他

3rd 真夜中のダンディー

1993年10月6日、約71万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐・片山敦夫

前作から約5年7か月ぶりのシングルで、ここからが第2期ソロ活動とされる。今作はサザンの活動と並行してリリースされた。時系列でいうと1993年7月にサザンとしてシングル「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」「素敵なバーディー(NO NO BIRDY)」同時発売、10月にソロとして今作、そして2か月後の12月には再びサザンとしてシングル「クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る)」の発売という流れだった。

レコードからCDへの過渡期だった第1期と異なり、市場が完全にCDに移行した93年。更にCDバブル真っ只中だった事もあり初動20万枚→累計70万枚超えと前作までから飛躍的にセールスが上昇。おまけに桑田佳祐名義では初めてのシングルチャート1位獲得となった。

本人が出演したキリンビバレッジ『JIVE』CMソング。エレキの弾き語り風に始まり、段々と音が重なり盛り上がっていく。小林武史がアレンジを手掛けていた前2作と異なりロック色が高まった。非常に男くさい、泥くさいいかにもソロっぽい作風である。中学時代Mステの過去映像で観たのが最初で、何だかんだ思い入れはある曲。

「年齢的に枯れていく自分」を意識して制作されたというが、93年当時の桑田さんの年齢は37歳。2010年代以降の感覚だとまだまだ中堅の年齢(2022年現在だとback number・いきものがかり・SEKAI NO OWARI辺りの年齢)だが、20代で大ブレイクを遂げるミュージシャンが多かった90年代での37歳は既に大御所手前のオッサンミュージシャン位の域に行ってたんじゃないかな。90年代の30代と、令和の30代は何か違う。

おすすめ度:B
収録アルバム:2nd『孤独の太陽』、ベスト『TOP OF THE POPS』他

4th 月

1994年8月24日、約34万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐・小倉博和

2ndアルバム『孤独の太陽』1か月前にリリースされた先行シングル。ギタリスト・音楽プロデューサーの小倉博和が編曲に携わっている。小倉博和は桑田さんのソロライブの他、Bank Bandのap fesでもギターとしてよく顔を見るミュージシャンだ(チリチリ頭と眼鏡がトレードマーク)。調べると僕が小学生時代に好きだったドラマ『透明人間』(香取慎吾主演)のサウンドトラックも担当されていたらしい。

アコースティックギターとハーモニカ主体。弾き語りに近い形で、シングルA面としてはかなり暗い曲調である。桑田さん曰く、亡くなった母親に送る歌であるという(桑田さんのお母様は製作期間中の94年2月に他界)。サザンとは明らかに違う内省的な作風。アルバム『孤独の太陽』まっしぐらという感じで、全シングルの中でも最もソロっぽい一曲である。コアなファンからは人気が高いが、僕としては暗すぎてあまり聴きかえさない曲だ。

一応34万枚は売り上げたが、ミリオンが当たり前だった94年において桑田佳祐のシングルが30万台というのはかなりコケた方だと思う。まぁアルバム先行シングルだし、曲調が曲調だけにヒットは狙っていなかったんだろうけどね。『孤独の太陽』からなら、「飛べないモスキート(MOSQUITO)」を先行シングルにしていれば少なくとも2倍の60万枚程度は売れたと予想する。そこをあえて「月」にしたのは桑田さんの強い拘りだったのだろう。

おすすめ度:C
収録アルバム:2nd『孤独の太陽』、ベスト『TOP OF THE POPS』他

5th 祭りのあと

1994年10月31日、約81万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐・小倉博和

2ndアルバム『孤独の太陽』から約1か月ぶり。8月にシングル「月」、9月に『孤独の太陽』、そして10月に今作と3か月連続でのリリースだった。初動15万枚を記録したが、DREAMS COME TRUEの「すき/きづいてよ」(初動18万)に阻まれチャート最高順位は2位。累計では80万枚に達し、この時点でのソロ最大ヒット曲となった(現在では「白い恋人達」「波乗りジョニー」に次ぐ3番ヒット)。93年から始まった第2期ソロは今作までとなる。

日本テレビ系ドラマ『静かなるドン』主題歌の他、TBSラジオ『爆笑問題カーボーイ』エンディングにも起用。「月」や『孤独の太陽』の尖ったテイストから一転して情緒あふれるメロディアスナンバー。制作時期は『孤独の太陽』と被っていたと思うがアルバムコンセプトに合わないので外したんだろう。ファン人気も高く、これは名曲。情けない男が主人公だが全体的に染みる。よくお笑い芸人が言う「「カッコ悪い」こそ「カッコ良い」」という言葉があるがこの曲こそまさにそれだ。2022年のベスト『いつも何処かで』に選ばれなかったのは意外だった。ベスト盤の類には必ず入る代表曲だと思っていたので…。

発売時期は近いものの『孤独の太陽』には未収録。この後ソロライブや、Mr.Childrenとのコラボシングル「奇跡の地球」等があり、翌95年5月には再びサザンとして活動を開始したためアルバム入りのタイミングを逃した。故にヒットシングルでありながら2002年のベスト『TOP OF THE POPS』で救済されるまで実に8年間アルバム未収録であった。

おすすめ度:A
収録アルバム:ベスト『TOP OF THE POPS』、ベスト『I LOVE YOU-now & forever-』

6th 波乗りジョニー

2001年7月4日、約111万枚

作詞・作曲・編曲:桑田佳祐、管編曲:山本拓夫、弦編曲:島健

前作以降、ソロが行われる事は無くサザンとしての活動が続いていた。特に前年2000年のサザンは「TSUNAMI」が年間1位の特大ヒット、バラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~』のダブルミリオン、更には年末にレコード大賞受賞と1年通して大活躍。そんな中、サザンのギター・大森隆志が休養を発表(大森さんは後2001年8月に正式脱退)し、これをきっかけにしてか、サザンは今後のステップアップを目標に活動を休止。再び桑田さんはソロ活動に入り、実に7年ぶりのシングルとして今作がリリースされた。ここからが第3期ソロ活動とされる。

初動51万枚を叩き出し初登場1位を獲得。2週目は浜崎あゆみの「UNITE!」に首位を譲るも3週目には再び1位に返り咲いた。累計ではソロ初のミリオンセラーを記録。2001年の年間シングル4位に食い込む大ヒットとなった。

自身出演のコカ・コーラ『No Reason』キャンペーンCMソング。リリースと同時に一気に代表曲まで上り詰めた感のあった文句なしのヒット曲。当時僕は小学6年生で、まだそこまで音楽に興味が無かった(アニメの主題歌や、Re:Japanの「明日があるさ」、はっぱ隊の「YATTA!」等バラエティー番組発のCD等は好きで買っていたが)けどこの曲はコーラのCMで嫌というほど流れていたので染みついた。第3期ソロはコカ・コーラと共にあったと言える程印象的なタイアップだった。

サザンを含めて数ある代表曲の中でも1・2を争う知名度を誇るがそれも納得の名曲ぶり。こんなにキャッチーなのに聴き飽きる事も無く未だに新鮮な気持ちで聴ける。1番サビ・2番サビ・ラストサビと、少しずつ音や楽器の数が増えて段々盛り上がっていくのが上手い。意識して聴くと分かるが1番のサビは抑え目で意外と大人しい。2番で加速して、ラストサビで爆発する心地よさ。これは何度聴いても飽きない。桑田佳祐、本当に天才ポップス職人です。

余談だが、リリース月日(7月4日)がわたくしマーの誕生日と一緒なのが嬉しい。友人知人とよく同じ誕生日の芸能人は?という会話になるが、もし「同じ誕生日のCDは?」という話題になったら迷わずこのシングルを挙げてドヤ顔をしたい。

おすすめ度:A+
収録アルバム:ベスト『TOP OF THE POPS』、ベスト『I LOVE YOU-now & forever-』他

7th 白い恋人達

2001年10月24日、約123万枚

作詞・作曲・編曲:桑田佳祐、弦&管編曲:島健

前作と同等の初動52万枚を記録し初登場1位。累計では123万枚に到達し2作連続のミリオン、「波乗りジョニー」から2連続で自己新記録を更新し、ソロ最大ヒットシングルとなった。2001年年間シングル6位。既にCD不況が市場を侵食し始めていた2001年の暮れにシングルでミリオンまで引っ張ったとは。物凄いアーティストパワーである。

自身出演のコカ・コーラ『No Reason』キャンペーンCMソング。「波乗りジョニー」と双璧をなす代表曲。あちらが夏の名曲ならば、こちらは冬の名曲である。イントロが流れた瞬間に雪の風景が思い浮かぶ。ウィンターソングの決定版とも言えるんじゃないか。これも「波乗りジョニー」と同じく、発売と同時に代表曲の座に着いた感が。

前年に「TSUNAMI」でサザン最大ヒット(どころか歴代シングルトップクラスの売上)を叩き出した直後なのに、息切れするどころかソロで2連続ミリオンて…2001年の桑田さんはノリにノッていた。しかもただのミリオンじゃない、夏と冬それぞれで代表曲ダブル輩出だからね。

おすすめ度:A
収録アルバム:ベスト『TOP OF THE POPS』、ベスト『I LOVE YOU-now & forever-』他

8th 東京

2002年6月26日、約54万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY

前年から忍び寄り始めていたCD不況が本格的に業界を襲った2002年。ヒットチャート前線の歌手達が軒並み売上を下げていく中、桑田さんも例外ではなく初動25万、累計54万と前作から約半減のセールスとなった。ただ全体的に売上のアベレージが下がっていた事もありソロシングル初の2週連続1位を獲得。年間では11位につけた。

今作リリース後、9月に3rdアルバム『ROCK AND ROLL HERO』、11月にベストアルバム『TOP OF THE POPS』を出し翌2003年には再びサザンが始動。「波乗りジョニー」から続く第3期ソロ活動最後のシングルが今作となる。

桑田さん曰く「サスペンスドラマ的な雰囲気」。シングルA面にしてはかなり重いシリアス調の曲である。前年「波乗りジョニー」「白い恋人達」のキャッチーさは何処へやら。一気にマニアック度が上がった。ダークな雰囲気で恐怖すら感じる。前年と比べて売上が大幅に下がったとはいえ、この曲調で50万枚を超えだったのは今思えば十分なヒットだったと思う。雰囲気や世界観は悪くないが、6分半もあるのでベスト盤を聴いていても飛ばしてしまう事が多い。ちなみに編曲のTHE BALDING COMPANYとはアルバム『ROCK AND ROLL HERO』制作にあたって名付けられたサポートミュージシャン達の総称。

ただ、わたくしマーがJ-POPやチャートに本格的に興味を持って初めて出た桑田佳祐のシングルだったので思い入れは非常に強い。当時中学1年生、2002年の初夏が蘇る。チャートや売上に興味を持ち始めていた頃で、当時『CDTV』で今作が2週連続1位になったのを見て「桑田佳祐スゲー!」と感銘を受けたのを覚えている。あと中尾彬が女性の首をシメる(?)シーンがMVにあり、その場面が丁度サビなので『CDTV』等で何回も流れていたのが印象深い。

おすすめ度:C
収録アルバム:3rd『ROCK AND ROLL HERO』、ベスト『I LOVE YOU-now & forever-』

2007年以降のレビュー(9th「明日晴れるかな」~)は下記記事です

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