サザンオールスターズ 全シングル&名曲レビュー #6 ~「ピースとハイライト」から「愛はスローにちょっとずつ」~

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サザンオールスターズ 全シングル&名曲レビュー #6

こんにちは、J-POP大好き人間・マー(@kazeno_yukue)です!
サザンオールスターズシングル&名曲レビューパート6スタート。

※前回(「涙の海で抱かれたい~SEA OF LOVE~」から「I AM YOUR SINGER」まで)のレビューは下記記事です。

サザンオールスターズ 全シングル&名曲レビュー #5 ~「涙の海で抱かれたい」から「I AM YOUR SINGER」~
サザンオールスターズ 全シングル&名曲レビュー #5 こんにちは、J-POP大好き人間・マー(@kazeno_yukue)です! サザンオールスターズシングル&名曲レビューパート5スタート。 ※前回(「マンピーのG...

54th ピースとハイライト

2013年8月7日、約37万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

2008年のシングル「I AM YOUR SINGER」以降サザンは活動を休止。それまでも桑田さんソロに入ると自動的にサザンは休止状態になったりしていた事はあったけど、正式に活動休止宣言を出したのは初めてだったので「まさかこのまま解散か…?」と不安な5年間を過ごしていた。

そんな中2013年の6月24日(デビュー記念日前日)にYahoo!JAPANトップページに「明日はサザン35周年」の文字が浮かびネットは騒然。翌25日に公式サイト・新聞広告・マスコミ等を通じてサザン活動再開が正式表明。今作「ピースとハイライト」リリースに加え、スタジアムツアー『灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!』の開催が発表されわたくしマーも非常に嬉しかったのを覚えている。

フォルクスワーゲン『New Golf』CMソング。東アジア情勢をテーマにした社会派の歌詞となっており、曲調は明るいもののいわゆる「夏だ!サザンだ!」系のナンバーとは一線を画す。桑田さん曰く「その気になればサザン王道の夏ソングも制作できたが、新たなファンを呼び込むために刺激のある曲でリスタートを切りたかった」らしい。わたくしマーとしてはとにかくこの爽快なメロディーがツボで発売当時から大好きな一曲。当時大学4年生で、就職活動や卒業論文、更には地元仲間とのバンド活動やバイト等せわしない日々の思い出と共にある名曲。2013年の夏といえばAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」とこの曲がまず出てくる。

おすすめ度:A
収録アルバム:15th『葡萄』、ベスト『海のOh,Yeah!!

C/W 蛍

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐 & 片山敦夫、管・弦編曲:島健

「ピースとハイライト」カップリング曲。岡田准一主演映画『永遠の0』主題歌。桑田さんが映画製作サイドから熱烈オファーを受けたのが2013年3月。3月時点ではまだサザン活動再開は発表されてなかったし、編曲にバンド名が無い事から元々は桑田佳祐ソロとして発表する予定だったのかもしれない。ピアノやストリングスで構成された良メロバラードで良い曲である。映画にちなんで平和への祈りが込められている。

この歌詞がサザン自身の事を歌っているようにも感じられた。特に〈涙見せぬように 笑顔でサヨナラを また逢うと約束をしたね〉の部分なんかは活動休止前の「I AM YOUR SINGER」サビの歌詞へのセルフアンサーになっているようにも受け取れるし…。まぁ実際には戦争をテーマにしてるんだけど、2013年当時はサザン活動再開の熱狂と共に歌詞が5年間サザンを待っていた僕らへのメッセージになっているように聴こえて感動したものだ。

おすすめ度:B
収録アルバム:15th『葡萄』、ベスト『海のOh,Yeah!!

C/W 栄光の男

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

「ピースとハイライト」カップリング曲。三井住友銀行『NEVER STOP CHANGING』CMソング。当時は「ピースとハイライト」よりも一足先にCMで耳にしたので最初この曲が活動再開シングルなのかと思っていた。

長嶋茂雄をイメージして作られた曲。歌詞に登場する「永遠に不滅」というフレーズは、長嶋氏が実際に発言した「永久に不滅」を桑田さんが勘違いしたものらしく、スムーズに歌えるということで採用となったそうだ。軽快なテンポだがどこか男くさい雰囲気がたまらない。〈居酒屋の小部屋で 酔ったフリしてさ 足が触れたのは故意(わざ)とだよ〉のフレーズが好きなのだが〈わざとだよぉ〉の言い方が聴いててなんだか恥ずかしくなってきちゃうのは何とかならんものか。

おすすめ度:B
収録アルバム:15th『葡萄』、ベスト『海のOh,Yeah!!

55th 東京VICTORY

2014年9月10日、約14万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

三井住友銀行CMソング、TBS系『2014 アジア大会&世界バレー』テーマソング他。2020年東京オリンピックに向けて「前を向いていこう」という想いが歌われている。真面目系ソングという感じで当時は普通に良い曲、くらいなイメージだったがその後も2018年にCMソングに起用されたり、2019年にスポーツ情報番組テーマソングに使われたりと定期的にメディアで使われた事で耳にする機会が多くグングン印象が上昇。発売当時より今の方が好きな曲だ。世間的にもいつも間にやら活動再開後、2010年代サザンの代表曲にまで上り詰めてしまった(売上的には「ピースとハイライト」の半分以下なのだが)。

おすすめ度:B+
収録アルバム:15th『葡萄』、ベスト『海のOh,Yeah!!

C/W 天国オン・ザ・ビーチ

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管・弦編曲:曽我淳一

「東京VICTORY」カップリング曲。桑田さん曰く「昭和の演芸的ナンバー」。サザン伝統のご陽気エロ系ナンバーという感じでそこまで力まずに制作・歌唱されたような、肩の力の抜けたようなカップリングらしい曲だけど逆にそこが魅力。〈GO 広い海 GO〉が「郷ひろみ」に聞こえたりする言葉遊びが面白い。こういう、詞とメロディーと歌い回しの独特な混ざり合いがサザンの魅力だと思うのでかなり満足度が高い。リリース当時は「東京VICTORY」以上にリピートして聴いていたが、エロ系ソングゆえ複数人でのカラオケで歌うと微妙な空気になるのがしんどい。ちなみにMVに吉井和哉や星野源、AKB48など多くの著名人が出演している。

おすすめ度:B
収録アルバム:15th『葡萄

15thアルバム 葡萄

2015年3月31日

アロエ

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ・曽我淳一、弦編曲:島健

『WOWWOW 2015』CMソング。アルバムのリード曲としてCMだけでなくミュージックステーション等でも披露されていた。ポップともロックとも言えない不可思議な世界。でもサザン節炸裂という感じの名曲。サビの歌詞が最初ずっと〈Shock Shock Shock Zero!〉と言っていると思っていたので実際には〈勝負 勝負 勝負出ろ!〉だと知った時は驚いた。「アロエ」という言葉に特に意味は無い(仮歌の段階では「anyway」だったという)。〈杏仁豆腐とジャージャー麵が食いてぇ~〉というセリフというか叫び(?)も思い付きで入れたので意味は無いらしい。

おすすめ度:B+
収録アルバム:15th『葡萄』、ベスト『海のOh,Yeah!!

はっぴいえんど

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:島健

JTB『旅を楽しむ大人の家族篇』CMソング。リリース当初Mステでも披露されたし後にベスト盤にも選出され、「アロエ」に次ぐリード曲とされていた印象。穏やかに自らの半生を振り返るようなミディアムソング。桑田さんからのメンバーへの気持ちも含まれているそうで、『葡萄』全体に流れる熟年者視点ムードの根源。最初はそこまで好きでも無かったがベスト盤に入った事で再び聴くようになり、印象が上がった一曲だ。

おすすめ度:B
収録アルバム:15th『葡萄』、ベスト『海のOh,Yeah!!

彼氏になりたくて

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:島健

甘酸っぱい失恋ソング。大御所ベテランバンドとは思えないほどのピュアさを感じる曲。このアルバムの中だけでなく、キャリア全体でもここまでキラキラした曲も珍しいのではないか。メロディーも切なくポップでかなり好きな一曲である。余談だがカラオケでこの曲を歌った際に友人が「ミスチルの曲かと思った」と言った事がある。確かにミスチルっぽさを感じるミディアムバラードだ。

おすすめ度:B+
収録アルバム:15th『葡萄

バラ色の人生

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

アナログ世代の悲哀を歌ったポップナンバー。「はっぴいえんど」に並び、アルバム『葡萄』全体に流れる熟年者の立ち位置という空気の根源はこの曲にもある。仮タイトルがまさに「アナログ世代」で元々は1曲目に配置する予定だったという。歌詞も胸に染みるものがあるが何よりメロディーやアレンジにキレと鋭さを感じる。

おすすめ度:B+
収録アルバム:15th『葡萄

1st配信 闘う戦士たちへ愛を込めて

2018年6月15日

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:原由子

2015年の『葡萄』以降、2016年にはまたしれっと桑田ソロに移行。シングル「ヨシ子さん」「君への手紙」、2017年にはアルバム『がらくた』とソロ活動は精力的だったもののわたくしマーとしては「サザンやらないの~?」という気持ちだった。そんな中2018年、記念すべきデビュー40周年に自身初の配信シングルとして今作がリリースされた。

池井戸潤原作・長瀬智也主演の映画『空飛ぶタイヤ』主題歌。タイトルの「戦士」は「もの」と読む。企業の不祥事や闇をテーマにした社会風刺色の強い一曲。タイアップ映画の原作が大手自動車メーカーのリコール隠しをテーマとしているためそこに合わせて制作されたのだろう。当時久々のサザン活動で嬉しかったが、この曲自体はさほどキャッチーで無くテーマも身近に感じられなかったのでイマイチハマらなかった。

2018年当時まだ配信で音楽を買うという事に慣れていなかったわたくしマーは今作を華麗にスルー。それも馴染まなかった要因の一つだろう。要はCD化されないとしっかり聴けなかったわけだ。驚異的なアナログ人間である。翌2019年の夏には満を持してApple Musicに加入、見事サブスクデビューを
果たす事になる。

おすすめ度:C
収録アルバム:ベスト『海のOh,Yeah!!

2nd配信 壮年JUMP

2018年7月23日

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:原由子

サザンメンバー全員出演の『三ツ矢サイダー』CMソング。当初はベスト盤『海のOh,Yeah!!』収録の新曲としてCMオンエアされていたがテレビ披露されていく内に反響が高まったため急遽配信が決まったという。

サザンらしい王道ポップス。やはり「闘う戦士たちへ愛を込めて」のような尖った曲調よりも、こういうキラキラ系の方が好みなので当時はかなりリピートした。デビュー曲「勝手にシンドバッド」と同じ三ツ矢サイダーのCMソングなのも、40周年で初心に戻った感があって良い。歌詞の〈アイドル〉というフレーズが同年に亡くなった西城秀樹を意識しているとの説が流れているが、西城の訃報が流れたのはこの曲が完成した後だったらしいので単なる噂のようだ。

タイトルは漫画雑誌「少年ジャンプ」をもじったもの。しかしわたくしマー、最初このタイトルを見た瞬間に「Hey!Say!JUMPが元ネタ!?」と何故かジャニーズグループの名前が浮かんでしまった。自分の思考回路がどうなってるのか全くわからない。

おすすめ度:B
収録アルバム:ベスト『海のOh,Yeah!!

3rd配信 愛はスローにちょっとずつ

2019年8月12日

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦&管編曲:原由子

「壮年JUMP」以来の配信楽曲で、サザンデビュー40周年記念本『SOUTHERN ALL STARS YEAR BOOK「40」』付属という形でCD化もされた。元々は2019年3月~6月に行われていたライブツアー『LIVE TOUR 2019 “キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!』にて初披露された楽曲の完成形。

日本テレビ系ドラマ『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』主題歌。失恋した男が主人公の優しいラブバラード。サザンバラードの魅力が詰まったキレキレメロディーの名曲である。この時期になるとアナログ人間の僕も配信というものを理解してきて(やっとかよ…)リアルタイムでダウンロード購入したので当時聴きまくった。2019年の夏を思い出す。

新型ウイルスが流行した翌2020年には2度の無観客ライブを開催。2021年以降はまたも桑田佳祐ソロに戻り東京オリンピックテーマソングなどを発表、サザンとしての活動は実質休止状態にある。宙ぶらりんになっているこの「愛はスローにちょっとずつ」がアルバム収録される日は来るのか、そもそも『葡萄』以来のアルバムが出る事はあるのか。気長に楽しみに待つとしよう。

おすすめ度:A
アルバム未収録

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