KUWATA BAND 全シングル&名曲レビュー ~「BAN BAN BAN」から「ONE DAY」~

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KUWATA BAND 全シングル&名曲レビュー

サザンオールスターズの桑田佳祐が、妻である原由子の産休中であった1986年4月から1年限定で結成・活動したロックバンドKUWATA BAND。メンバーはリードボーカルの桑田佳祐を中心に、今野多久郎(パーカッション、ギター)、河内淳一(リードギター)、松田弘(ドラムス)、琢磨仁(ベース)、小島良喜(キーボード)。

シングル4作の他、全英語詞であり唯一のオリジナルアルバム『NIPPON NO ROCK BAND』とライブアルバム『ROCK CONCERT』、ライブビデオ『ONE DAY KUWATA BAND~ROCK CONCERT(AT TOHO STUDIO,19th Oct.1986)』をリリース。1987年1月~2月に行われたライブツアーをもって解散した。今回は4作出たシングルを紹介してゆく。

1st BAN BAN BAN

1986年4月5日、約45万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:KUWATA BAND

デビューシングルにして、4枚出したシングルの中で最大のヒットを記録した。休止前サザンのシングルよりも売れているし、サザン本体に当てはめるとこの時点で「いとしのエリー」「勝手にシンドバッド」「チャコの海岸物語」に次ぐ4番目の売上。86年の年間4位に食い込むなど、後追いだとあまり分からないが地味に大ヒットしていたようだ。

資生堂CMソング。桑田ソロ35周年の2022年にはユニクロのCMソングにも起用された。歌詞にある通り〈緑の風〉を感じるような、ひたすら爽やかで軽快なデビュー曲。この曲を知ったのは中学生の頃に買った桑田佳祐名義のベスト盤『TOP OF THE POPS』でだったのだが、初めて聴いたその時からとてもお気に入りの一曲だ。サザンオールスターズとも桑田ソロとも異なる雰囲気があり、若干洋楽の香りも入っている。1986年という時代を考えてみるとかなり洗練されたポップスだったのではないだろうか。歌詞は少し切ないんだけど、この新緑の木漏れ日が浮かぶようなキラキラした世界観は素晴らしく胸を打つ。

おすすめ度:A
収録アルバム:ライブ盤『ROCK CONCERT』(ライブバージョン)、桑田佳祐ベスト盤『フロム イエスタデイ』他

BAN BAN BAN / KUWATA BAND

2nd MERRY X’MAS IN SUMMER

1986年7月5日、約31万枚

作詞:桑田佳祐、作曲・編曲:KUWATA BAND

3rdシングル「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)」と同時発売。資生堂CMソング。2022年には「BAN BAN BAN」と同じくユニクロCMソングに起用された。セールス的にはKUWATA BANDで3番目のシングルだが、サザン本体に当てはめると2年後の復活シングル「みんなのうた」と同等(わずかに上回る)売上

作曲のクレジットは桑田佳祐ではなくKUWATA BANDとなっている。軽快なテンポのポップな曲。メロディーの良さはもちろん、渇いたドラムの響きや間奏での絶妙なシンセサイザーの音色等アレンジが多彩で何度聴いても飽きない名曲。夏のクリスマスってどういう事?と思うが、オーストラリアなど南半球では夏にサンタがやって来るという風習が存在するらしい。

KUWATA BANDのドラムスはサザンのメンバーでもある松田さんが叩いているのだが、この曲ではコーラスに原由子も参加しているという事でもはや半分サザンじゃんという気がしなくもない。完全に余談だが『TOP OF THE POPS』ではDisc-2の1曲目に収録されていたので、長らくこの曲がKUWATA BANDのデビュー曲だと勘違いしていた。

おすすめ度:B+
収録アルバム:ライブ盤『ROCK CONCERT』(ライブバージョン)、桑田佳祐ベスト盤『フロム イエスタデイ』他

MERRY X’MAS IN SUMMER / KUWATA BAND

3rd スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)

1986年7月5日、約35万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:KUWATA BAND

2ndシングル「MERRY X’MAS IN SUMMER」と同時発売。チャート初登場は5位だったが、徐々に順位を上げ6週目に1位を獲得。当時サザン本体ではシングルチャート1位を獲得していなかったため、桑田さんにとってこの曲が初のシングル1位獲得曲となった(サザンがシングル1位を初獲得するのは89年の「さよならベイビー」)。年間8位に食い込んでおり、「BAN BAN BAN」と合わせて86年度年間トップ10に2作送り込んでいる。

マイナーコードのロックチューンであり、かなりアダルティーなムードが全開。タイトルでもある「スキップビート」という単語を連発する箇所では完全に「スケベ~スケベ~スケベ~スケベ~」と歌っており、桑田さんらしい独特の言葉遊びはKUWATA BANDでも健在だ(以前歌番組でカバーしてたSuperflyは「スキビ~」って歌ってたけど)。ブラック寄りのアレンジに隠れているが結構メロディアスな曲であり、こちらも中学時代からお気に入りの一曲。

おすすめ度:B+
収録アルバム:ライブ盤『ROCK CONCERT』(ライブバージョン)、桑田佳祐ベスト盤『フロム イエスタデイ』他

スキップ・ビート(SKIPPED BEAT) / KUWATA BAND

4th ONE DAY

1986年11月5日、約19万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:KUWATA BAND

ラストシングル。しっとりとしたピアノの調べから始まり、やがて壮大なアレンジに展開してゆくシングル唯一のバラード。桑田さんはこの曲について「格好つけ過ぎた」としてライブでも滅多に演奏しないそうだけど、ライトリスナー的にはかなり完成された曲だと感じる。重たいバラード故にちょっと間延びする感じがして、初めて知った頃には前の3シングルに比べてあまり好きではなかったのだが、聴いていく内に段々とこの渋い魅力にハマっていった。大人の哀愁を匂わせるナンバーである。このリリースの翌年、解散コンサート『KUWATA BAND “FINAL” ぼくら:1987』を行い、KUWATA BANDはその幕を下ろした。

おすすめ度:B
収録アルバム:ライブ盤『ROCK CONCERT』(ライブバージョン)、桑田佳祐ベスト盤『フロム イエスタデイ』他

ONE DAY / KUWATA BAND

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