T-BOLAN 歴代アルバム感想&おすすめ度 #1 ~1991-1999~

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T-BOLAN 歴代アルバム感想 #1 ~1991-1999~

こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
この記事ではT-BOLANの各アルバム感想・それぞれのおすすめ度を、発売順に記載してまいります。

1st T-BOLAN

1991年11月21日 売上約50万枚
1993年4月3日(再発盤)

▼収録曲

01.悲しみが痛いよ/02.気絶するほど愛してほしい/03.くちびるはNo kiss/04.離したくはない/05.DEAD END/06.Dreamin’

1stアルバム『T-BOLAN』。

1991年7月にシングル「悲しみが痛いよ」(8万枚)でデビュー。11月に今作がリリースされ、翌12月に「離したくはない」が1番Bメロの歌詞を変更したバージョンでリカット(47万枚)されロングヒットとなった。「離したくはない」に引っ張られ今作もじわじわ売上を伸ばし、累計50万枚を突破した。最高位である19位は92年3月に記録。最終ランクインは93年4月。

デビューシングル「悲しみが痛いよ」、及びT-BOLAN最大の有名曲と言っても過言では無い「離したくはない」こそ普遍的な名曲であるものの、それ以外のアルバム曲はダーク・マイナーロックという感じでメロディアス性は薄い。Wikiを見ると「トランスビートを採用して殆どの収録楽曲を制作していた」と書いてあり、確かに全てがギラギラ・コンピューターロック(?)という方向性。

なので「離したくはない」のような世界観を期待して聴くとズッコケる(「Dreamin’」はまだ爽やかな曲だが)。森友嵐士の熱いボーカル自体はこの頃から健在なんだけどね…。次回作『BABY BLUE』からが期待通りのT-BOLANのスタートって感じかなぁ。ちなみに「離したくはない」は1番Bメロの歌詞がシングルとは異なるアルバムバージョンとなっているが、演奏自体に違いは無いので違和感なく聴ける。

編曲にチラホラ名前のある西田昌史(西田魔阿思惟)は音楽プロデューサーかつハードロックバンド・EARTHSHAKERのボーカルで、川島だりあや久宝留理子に作曲提供したり後藤真希「横浜蜃気楼」の編曲を手掛けたりしているらしい。

おすすめ度:C

2nd BABY BLUE

1992年4月22日 売上約62万枚
1993年4月3日(再発盤)

▼収録曲

01.あふれでる感情/02.WALKIN’ IN THE RAIN/03.JUST ILLUSION/04.Heart of Gold/05.想い出がさがしてる/06.Lovin’you/07.薔薇色の悪女/08.Sorry My Love/09.Baby Blue/10.離したくはない(アコースティックバージョン)

2ndアルバム『BABY BLUE』。前作『T-BOLAN』は実質ミニアルバムだった為、今作が初のフルアルバムとなる。

シングル「JUST ILLUSION」(9万枚)に加え、2ndシングル「離したくはない」のカップリングだった「Heart of Gold」を収録。また「離したくはない」は前作に収録済であったが、アコースティック・バージョンとして今作にも収録された。最終ランクインは1993年5月。93年4月にはZAIN RECORDSから再発売されている。

基本路線は前作と同じギラギラ・ダークロックではあるんだけど、1曲目「あふれでる感情」のポップさや「Heart of Gold」のメロディアスさ等、曲調の幅が広がった。特に名曲だと感じたのはバラード曲の「Lovin’you」。他のロック曲は現在の感覚で聴くとサウンドやアレンジに時代性を感じるものが多いんだけど、こういうバラード曲になるとサウンドのシンプルさ故にメロディーの良さを素直に受け止める事が出来る

2ndシングル「JUST ILLUSION」は長らく後のベストアルバム全てにスルーされていたので、30年以上の間今作でしか聴く事が出来なかった(2023年のベストアルバム『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』にてようやくベスト盤初収録)。この曲のみ作詞が森友嵐士ではなく女優の高樹沙耶となっているので、その辺で契約等の問題が生じていたのだろうか…? 調べると高樹沙耶は90年代初頭に栗林誠一郎やB.B.クィーンズに歌詞提供をしているのだがビーイングとどういう関係だったのだろう。

おすすめ度:C

1stミニ 夏の終わりに~Acoustic Version~

1992年9月22日 売上約49万枚
1993年4月3日(再発盤)

▼収録曲

01.サヨナラから始めよう/02.あふれでる感情/03.遠い恋のリフレイン/04.Teenage Blue/05.Heart of Gold/06.夏の終わりに

1stアコースティックミニアルバム『夏の終わりに~Acoustic Version~』。5thシングル「じれったい愛」と同時発売。

この時点までに発表していた楽曲の中から4曲をアコースティック・アレンジとしてリメイク。更に新曲として「遠い恋のリフレイン」「夏の終わりに」を収録している。5月にリリースされていた「サヨナラから始めよう」は今作にリメイクバージョンとして一旦収録された後、11月の3rdアルバム『SO BAD』にてようやくシングルバージョンが収録される事となる。

チャート初登場3位を記録。翌週には2位にランクアップしたが、当時大ヒットしていたサザンオールスターズ『世に万葉の花が咲くなり』の壁が厚く1位には届かなかった。93年4月にはZAIN RECORDSから再発売された。

94年8月には続編となる『夏の終わりにⅡ~Lookin’ for the eighth color of the rainbow~』が発売されている。更に活動再開後の2017年8月には今作と『夏の終わりにⅡ』の2作を軸としてメンバーが選曲したコンセプトベストアルバム『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』がリリースされた。

アコースティックバージョンといっても物凄く大人しいアレンジに変貌している訳ではなく、バンドサウンドでドラム等も普通に入っているのでガラリと印象が失われてはいない。むしろ純粋にメロディーの良さが映えて聴こえるので、原曲よりも普遍的な仕上がりになっている(原曲はモロに90年代的サウンドで、現在聴くとどうしても古さを感じてしまうので…)。なので他のオリジナルアルバムよりも飽きが来なくて何度も聴きたくなる一作。森友の熱い歌声と優しい演奏は意外にかなりマッチする。T-BOLANバラードが好きな人にはオススメなシリーズ。

新曲の「遠い恋のリフレイン」「夏の終わりに」は共に良い曲。特にギター五味孝氏作曲の「夏の終わりに」はタイトル通り夏の終わりの切なさを醸し出す名曲である。五味は他にも名バラード「Lovin’you」(2ndアルバム『BABY BLUE』収録)も作曲しているし、何気にソングライティング能力が高い人物のようだ。

おすすめ度:B

3rd SO BAD

1992年11月11日 売上約92万枚
1993年4月3日(再発盤)

▼収録曲

01.じれったい愛/02.ガラスの刹那さ/03.瑠璃色のため息/04.My life is My way/05.ためらいの真実/06.あこがれていた大人になりたくて/07.壊れかけのHistory/08.BOY/09.SO BAD/10.サヨナラから始めよう

3rdアルバム『SO BAD』。

2か月前の前作『夏の終わりに~Acoustic Version~』はリメイク・ミニアルバムだったのでフルアルバムとしては『BABY BLUE』以来約半年ぶり。この時期はかなりのハイペースで活動しており1週間後には次のシングル「Bye For Now」を間髪入れずにリリースした。

シングル「サヨナラから始めよう」(21万枚)「じれったい愛」(68万枚)収録。「サヨナラから始めよう」は『夏の終わりに~Acoustic Version~』にアコースティックリメイクが収録されていたが原曲は今回がアルバム初収録となる。

初動ミリオンを叩き出したDREAMS COME TRUE『The Swinging Star』、2週目ながら38万枚を売り上げたCHAGE&ASKA『GUYS』に阻まれ最高順位は3位だったが、前作を大幅に上回る30万枚の初動を記録。累計でミリオン目前まで伸ばし、T-BOLANのオリジナルアルバムでは最大売上となった。93年4月にはZAIN RECORDSから再発売されている。

収録シングル「サヨナラから始めよう」「じれったい愛」はどちらもT-BOLANのパブリックイメージを形作った名曲。ギラギラロックでもバラードでもない、ポップ路線という新たな方向性を見つけ出した。この92年はシングル4枚、フルアルバム2枚、ミニアルバム1枚と超ハイペースで活動していたんだけどそんな多忙な中でも模索をし続けていたのだろう。イメージ通りのT-BOLANが始まった!という印象のアルバム。

ただアルバム曲もポップスだったりバラードだったりブルースだったりと割と様々な曲調を展開しているが、聴き終わるとやっぱりシングル2曲の印象しか残らないかな…という所もある。「My life is My way」は以前にライブ映像で聴いた(観た)事があってそちらは大迫力で素晴らしかっただけに、スタジオ音源は意外とショボいな…と感じてしまった(余談だがサザンオールスターズの「女呼んでブギ」でも同様の感想を抱いた事がある)。

おすすめ度:C+

4th HEART OF STONE

1993年5月26日 売上約86万枚

▼収録曲

01.びしょ濡れの優しさの中/02.すれ違いの純情/03.涙の笑顔/04.Only Lonely Crazy Heart/05.Shiny Days/06.Out of Time/07.おさえきれない この気持ち/08.泥だらけのエピローグ/09.Friends/10.Heart of Stone/11.Bye For Now

4thアルバム『HEART OF STONE』。

シングル「Bye For Now」(118万枚)「おさえきれない この気持ち」(82万枚)「すれ違いの純情」(74万枚)収録。「Shiny Days」には大黒摩季が、「Heart of Stone」には近藤房之助・坪倉唯子・川島だりあ・宇徳敬子・大田紳一郎らがコーラスとして参加している。

前作『SO BAD』以降、「Bye For Now」が自身初のミリオンセラー、更に「おさえられない この気持ち」で初のチャート1位を獲得するなど躍進を果たし満を持してリリースされた今作は3週連続1位を獲得。ただ売上の方は累計86万枚とミリオンには届かず、前作すら下回ってしまった(93年度年間アルバムチャートでは9位にランクイン)。結果的にオリジナルアルバムでのチャート1位獲得は今作が唯一となる。

今作がリリースされた1993年はアルバムチャート年間1・2位をZARD『揺れる想い』・WANDS『時の扉』が占め、シングルでは3月から7月末までビーイング歌手が18週連続で1位を獲得。新人ではDEEN・BAAD・REV・ZYYGがデビュー。そんな風にビーイングが音楽シーンを席巻していた時期に出された今作はまさにT-BOLAN王道の1枚。シングル3曲は言わずもがなの名曲だし、1曲目「びしょ濡れの優しさの中」もキャッチーかつスピーディーな良曲。表題曲「Heart of Stone」もT-BOLANらしい無骨な曲でアルバム全体を締めてくれている。オリジナルアルバムの中で最初に聴く1作としてオススメである。

しかし最大ヒット曲「Bye For Now」(知名度では「離したくはない」に及んでいない気もするが…)も入っているし発売タイミングもバッチリだったのに、なぜ80万枚台で終わってしまったのか地味に謎だ。余裕でミリオン突破できる位の環境は整っていたと思うのだが…。

おすすめ度:B

5th LOOZ

1993年12月8日 売上約61万枚

▼収録曲

01.わがままに抱き合えたなら/02.悪魔の魅力/03.Dear/04.傷だらけを抱きしめて/05.想い出の落書き/06.Hot Hip Love/07.刹那さを消せやしない/08.Pretty Woman/09.Rockin’ In The Life/10.不安なくちびる/11.真夜中のLove Song

5thアルバム『LOOZ』。前作『HEART OF STONE』から約半年でのリリース。

シングル「刹那さを消せやしない/傷だらけを抱きしめて」(73万枚)「わがままに抱き合えたなら」(40万枚)収録。初動は前作と比べて10万枚程下降。翌94年の年間1位となるDREAMS COME TRUE『MAGIC』の2週目(52万枚)にぶち当たり最高順位は2位であった。

翌94年8月にアコースティックミニアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’ for the eighth color of the rainbow~』をリリース。95年にボーカル・森友嵐士が心因性発声障害を発症(この時点では原因不明で、99年に病名が判明したらしい)、活動休止状態となり96年にベストアルバム『SINGLES』『BALLADS』を相次いでリリース。リミックス展開等を経て99年に解散となった。オリジナルアルバムとしては2022年の『愛の爆弾=CHERISH~アインシュタインからの伝言~』まで約29年空く事となる。

シングル「刹那さを消せやしない」や「わがままに抱き合えたなら」はT-BOLANらしさど真ん中な感じの良曲。特に「刹那さを消せやしない」はT-BOLAN楽曲の中ではとびきり爽やか・キャッチーなまさにビーイング王道のヒットナンバーで大好きな一曲である。また、前作『HEART OF STONE』から半年しか経っていないスピードリリースだったのに何だか全体を通して一気に古さが抜けたように聴こえる。

以前までは良くも悪くもバブリー臭があったのが、今作では普遍的なバンドサウンドに進化しているように感じる。このまま活動を続けていたらどのような方向性に進んでいたのか興味深い所だが、結果的にこのまま解散となってしまったのは惜しい。

今作最大の名曲はやはり3曲目「Dear」であろう。ギター・五味孝氏作曲の熱い名バラードで、シングル曲以上に風格のある大名曲である。「離したくはない」の進化形とでも言えるだろうか。五味孝氏は「Lovin’you」(『BABY BLUE』収録)や「夏の終わりに」(『夏の終わりに~Acoustic Version~』収録)も作曲しているし何気に天才バラードコンポーザーである。強いて言えば3曲目という前半にこんな名バラードが配置されているので、アルバム冒頭でいきなりクライマックスを迎えてしまうような妙な構成になっているのが玉に瑕か。

おすすめ度:B

2ndミニ 夏の終わりにⅡ~Lookin’ for the eighth color of the rainbow~

1994年8月6日 売上約34万枚

▼収録曲

01.悲しみが痛いよ~Acoustic version~/02.泥だらけのエピローグ~Acoustic version~/03.Lookin’ for the eighth color of the rainbow~8番目の虹の色をさがしに~/04.すれ違いの純情~Acoustic version~/04.シャイなJealousy~Acoustic version~/05.マリア~Acoustic version~

2ndアコースティックミニアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’ for the eighth color of the rainbow~』。アルバムとしては『LOOZ』から8ヶ月ぶり。

1992年の『夏の終わりに~Acoustic Version~』に続く企画盤第2弾で、既存曲をアコースティック・アレンジにリメイクしている。更に新曲として「Lookin’ for the eighth color of the rainbow~8番目の虹の色をさがしに~」「マリア~Acoustic version~」が収録されており、このうち「マリア」は1か月後にアップテンポにリアレンジしたバージョンでシングルカットされた。

翌95年にボーカル・森友嵐士が心因性発声障害(この時点では原因不明で、99年に病名が判明したらしい)を発症し活動休止状態に。96年にベストアルバム『SINGLES』『BALLADS』が相次いでリリースされ、リミックス展開等を経て99年に解散となったため、メンバーが制作した新作アルバムとしては今作が解散前ラストとなった。

活動再開後の2017年8月には『夏の終わりに~Acoustic Version~』と今作の2作を軸としてメンバーが選曲したコンセプトベストアルバム『T-BOLAN~夏の終わりにBEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』がリリースされた。

アコースティック・リアレンジアルバム第2弾。弾き語りのみという訳ではなくドラムも入っているので大人し過ぎる事も無く程よい塩梅で楽しめる。前回もそうだったけどモロに90年代的ビーイングサウンドだった原曲と比べて純粋にメロディーが映えて聴こえるため、普遍的な良さを感じられる仕様となっている。T-BOLANがいかに素晴らしいメロディーメイカーだったのかという事が伝わるアルバムである。

現在では前作と今作全ての楽曲が収録されている上位互換ベスト『T-BOLAN~夏の終わりにBEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』が存在するのでそちらを聴いても良いんだけど、5曲という聴きやすさもあるし1曲1曲が残るので僕としては今作から是非聞いてもらいたい(中古屋なら200円以内で転がっていると思うので…)

おすすめ度:B

1stベスト SINGLES

1996年8月8日 売上約121万枚

▼収録曲

01.離したくはない/02.じれったい愛/03.Bye For Now/04.マリア/05.おさえきれない この気持ち/06.傷だらけを抱きしめて/07.SHAKE IT/08.すれ違いの純情/09.LOVE/10.わがままに抱き合えたなら/11.刹那さを消せやしない/12.愛のために 愛の中で/Hold On My Beat(※シークレットトラック)

1stベストアルバム『SINGLES』。1994年の『夏の終わりにⅡ~Lookin’ for the eighth color of the rainbow~』から約2年ぶりのアルバムであり、T-BOLAN自身初のベストアルバム

95年のライブ中に森友が心因性発声障害を発症(この時点では原因不明で、99年に病名が判明したらしい)。シングルのリリースは続いていたもののそれも96年3月に止まり事実上の活動休止状態になっている中、突如今作がリリースされた。更に同年12月には兄弟盤とも言えるバラードベストアルバム『BALLADS』がリリースされる事となる。

『LOOZ』以降のシングル「LOVE」(58万枚)「マリア」(78万枚)「SHAKE IT」(26万枚)「愛のために 愛の中で」(24万枚)がアルバム初収録だった。一方、1st「悲しみが痛いよ」3rd「JUST ILLUSION」4th「サヨナラから始めよう」15th「Be Myself/Heart of Gold 1996」の4シングルは未収録となった。また最終曲「愛のために 愛の中で」が終了してから約5分後にシークレットトラックとして「Hold On My Beat」(1stシングル「悲しみが痛いよ」のカップリング)が収録されている。

V6の『SINCE 1995~FOREVER』に阻まれ初登場2位。翌週もSMAPの『SMAP 009』に阻まれ2位であり、3週目にようやく1位を獲得した(そこから2週連続1位)。活動が鈍っていた時期だったがやはり初のベストアルバムという事で需要は高かったようで、アルバムでは初(そして唯一)のミリオンセラーを記録する大ヒットとなった。

キャリア初のベスト盤、更に初収録シングル4曲投入という事で発売当時は重宝されたと思う。しかし2010年に出たベストアルバム『LEGENDS』と全曲が被っているので、現在今作を入手する必要は無い。『LEGENDS』は今作収録の全曲に加えその他のシングル全般、及びアルバム・カップリングからも選りすぐりの楽曲を集めた2枚組決定盤として君臨している。

T-BOLANのベスト盤はこの後いくつか出ていて、どれも代表曲・ヒット曲は同じように入っているので逆に考えるとどれを選んでも良いとも言えるんだけど、どうせ買うor借りるなら『LEGENDS』が良い。T-BOLANのベスト盤としては最古となるので音質が一番良くないというのもあるし…(一応リマスタリングはされているようでオリジナルアルバムより音は良くなっているように感じるが)。

ただ、わたくしマー・田中が一番最初に買ったT-BOLANのCDが今作だった(2003年頃の話)ので、「思い入れ」という点では深いものがあるアルバム。いわばT-BOLANとの出会いの作品が今作だった。当時は確か『CDTV』で知っていた「じれったい愛」や「マリア」が目的で買ったと思うんだけどそれ以外にも名曲の連発で「凄いバンドだ!」と驚いた記憶がある。12曲+隠し1曲という非常にスマートなボリューム、更に曲順も良くて流れるように全曲聴けた。そういう意味では感謝している一作である。

おすすめ度:C

2ndベスト BALLADS

1996年12月12日 売上約38万枚

▼収録曲

01.遠い恋のリフレイン/02.LOVE/03.真夜中のLove Song/04.マリア~Acoustic Version~/05.おさえきれない この気持ち/06.サヨナラから始めよう~Acoustic Version~/07.シャイなJealousy~Acoustic Version~/08.Lovin’ You/09.Dear/10.BOY/11.Lookin’ for the eighth color of the rainbow/12.涙の笑顔/13.離したくはない(Out Take 1992.3.2)

バラードベストアルバム『BALLADS』。同年8月のベストアルバム『SINGLES』に続いてリリースされた作品で、ジャケットの体裁も同じようなものになっている。

これまでに発表された楽曲群の中からバラード曲をセレクトして収録。このうち「LOVE」「おさえきれない この気持ち」は『SINGLES』と被っている。ラストの「離したくはない(Out Take 1992.3.2)」はピアノ弾き語りの未発表音源。初登場は7位で、3週目に最高位である6位を記録した。今作をリリース後バンドは活動凍結状態となり、99年に解散となる。

バラード曲を集めたベストアルバム。T-BOLANの他のベストはオーソドックスな選曲のものが多いので、どれか一つベスト盤を聴いた後で次に聴く一枚として良いのではないか?と思う。メロディーが素晴らしいT-BOLANだけあってバラード曲はどれも浸れる。そもそも代表曲「離したくはない」もバラードだし最大ヒットシングル「Bye For Now」(今作には未収録だが)もギリギリバラードと呼べると思うのでT-BOLAN=バラードというイメージを持つ人も多いんじゃないかな。ただ「Heart of Gold」や「夏の終わりに」が入っていればより締まったと思うんだけど未収録なのが残念。

2017年に出たコンセプトベスト『T-BOLAN~夏の終わりにBEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』と被っている曲も多いが、今作なら1枚で気軽に聴けるし中古でも安価で結構見かけるので未だにオススメの作品。

おすすめ度:B

リミックス 1999 REMIXES

1999年1月23日 売上約9万枚

▼収録曲

01.じれったい愛 ’98/02.おさえきれない この気持ち ’99/03.刹那さを消せやしない ’99/04.離したくはない ’99/05.悲しみが痛いよ ’99/06.Bye For Now ’98/07.No.1 Girl ’99/08.Heart of Gold ’99/09.傷だらけを抱きしめて ’99/10.わがままに抱き合えたなら ’99/11.すれ違いの純情 ’99/12.BOY ’99

リミックスアルバム『1999 REMIXES』。

1996年のバラードベスト『BALLADS』以来、約2年ぶりにリリースされたアルバム。96年以降活動凍結中だったが、98年11月にリミックスシングル「じれったい愛 ’98」が突如リリースされ、年明け1月に今作が発売された。

徳永暁人を始めとしたビーイング所属のアレンジャーによってリミックスされた楽曲を収録しており、T-BOLANのメンバーは制作に関わっていない。当時メンバーによるプロモーション活動などメディア出演は一切無かったという。

先行シングル「じれったい愛 ’98」(2万枚)及びカップリング「Bye For Now ’98」を収録。プロモーション等の本人稼働が一切無かった割には累計で10万枚弱と悪くない売り上げを記録した。しかしバンド活動再開とはならず、99年12月には解散が発表されベスト盤『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS & MORE』がリリースされる事となる。

往年の代表曲たちを、1999年当時のビーイングアレンジャー達(主に徳永暁人)がリミックスした企画アルバム。リミックスといっても歌が分解されているとか、ぶっ壊されているとかいう事は無いのでその点は安心できる。捉え方によっては新感覚デジタルアレンジとも取れる仕上がり。最初に聴いた時にはやはり違和感があり「何じゃこりゃ…全然良くねぇ…」と思ったのだが、数年経って久しぶりに聴くと中々面白かった。確かに原曲の方が良いという気持ちは変わらないけど、これはこれで新たなる一面という感じもする。

「刹那さを消せやしない」なんかはAメロをマイナー調にした事でサビの躍動感が増しているし、「離したくはない」もどこかカラッとしたポップスに変貌している。T-BOLANの楽曲を一通り聴いた後で、番外編的な気持ちで手に取ってみる事をオススメする。また各曲の出だし部分を聴いただけではまず原曲が何なのか当てられないと思うので、敢えて曲名を見ずにイントロクイズ的に聴いてみるのも面白いと思う。

おすすめ度:C+

3rdベスト T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS & MORE

1999年12月1日(初回盤) 売上約8万枚
1999年12月8日(通常盤) 売上約3万枚

▼収録曲

01.刹那さを消せやしない/02.Bye For Now/03.マリア/04.LOVE/05.じれったい愛/06.離したくはない/07.悲しみが痛いよ/08.Hold On My Beat/09.サヨナラから始めよう/10.びしょ濡れの優しさの中/11.すれ違いの純情/12.泥だらけのエピローグ~Acoustic ver.~/13.Heart of Stone/14.No.1 Girl/15.Be Myself/16.Smile/17.Heart of Gold(Live at LOOZ)

3rdベストアルバム『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS & MORE』。解散に伴うベストで、同年1月のリミックスアルバム『1999 REMIXES』から11か月ぶり。ベストとしては『SINGLES』『BALLADS』に続く3作目。

ボーカル・森友嵐士の喉の不調が心因性発声障害によるものであると判明。これが決定打となり森友の申し出によってT-BOLANの解散が決定、今作の発売へと繋がった。

長らくアルバム未収録となっていた「Be Myself」(9万枚)がアルバム初収録。また未発表曲「Smile」、ライブ音源「Heart of Gold(Live at LOOZ)」も収録。シングルでは「JUST ILLUSION」「おさえきれない この気持ち」「傷だらけを抱きしめて」「わがままに抱き合えたなら」「SHAKE IT」「愛のために 愛の中で」「Heart of Gold 1996」「じれったい愛 ’98」が未収録だった。

初回限定盤は2枚組であり、Disc.2はDisc.1と同じ17曲のオリジナルカラオケ音源が収録されたカラオケ盤となっている。

最初に言ってしまうとT-BOLANのベスト盤としては2010年にリリースされた『LEGENDS』が最もオススメだと僕は思っているので、現状今作を手に取る意義はあまり無い。まぁ代表曲「離したくはない」の他、ヒット曲「Bye For Now」「マリア」等はやはりしっかり収録されているので、中古屋で安く見かけたなら…という位。

今作の特徴というと「刹那さを消せやしない」が1曲目という目立つ位置に置かれている所でしょうか。ビーイングらしいキャッチーな名曲であるもののあまり注目されないイメージの曲だし僕自身大好きな一曲なのでこの曲順はちょっと嬉しい。あと未発表曲「Smile」の名曲ぶりが目を引く。制作時期がいつ頃なのか分からないが、T-BOLANの真骨頂である熱いロックバラードで素晴らしい。ただやはり『LEGENDS』にもしっかり収録されているので、今作を手に取る理由に「Smile」を挙げる事は出来ないかな…。

初回盤に付属しているカラオケDisc。これは一度聴いてみたい(僕は通常盤しか聴いていないのでカラオケ盤は未聴)。なぜならライブ音源である「Heart of Gold(Live at LOOZ)」にもしっかりカラオケバージョンが用意されているからだ。ライブ音源のカラオケって一体どういう仕上がりになっているのか…?

おすすめ度:B

※続きは下記記事でございます

著者:マー・田中(@kazeno_yukue)

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