嵐 全アルバム感想 #2
こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
この記事では嵐の各アルバム感想・それぞれのおすすめ度を、発売順に記載してまいります。
※前回(2001年の1st『ARASHI NO.1~嵐は嵐を呼ぶ~』から2007年の7th『Time』まで)の感想は下記記事でございます。
8th Dream “A” live
2008年4月23日、売上約32万枚
※1インスト
※2通常盤のみ収録
8thアルバム『Dream “A” live』。2007年の前作『Time』から約10ヶ月ぶり。
シングル「Happiness」(29万枚)「Step and Go」(37万枚)収録。通常盤にはラストに「Once Again」が収録されている。初回限定盤のみ特典CDが付属しており、そちらにはメンバー5人それぞれのソロ曲が収録。
1stアルバム『ARASHI NO.1~嵐は嵐を呼ぶ~』以来に初動が20万枚を突破。累計では30万枚を超え、この時点で1stアルバムに次ぐ2番売上となった。
2019年には翌年いっぱいでの活動休止を発表した影響で再ランクインする現象が起きた。
2008年の嵐というと6月に映画『花より男子FINAL』主題歌の「One Love」、8月にドラマ『魔王』主題歌&北京オリンピックテーマの両A面「truth/風の向こうへ」、11月に二宮主演ドラマ『流星の絆』主題歌の「Beautiful days」と出すシングルがどれも大ヒット。特に「truth/風の向こうへ」「One Love」はシングル年間1・2位を独占、「Beautiful days」も10位に食い込む等まさに嵐の人気が爆発した年である。
しかしそんな中今作の存在感はやや薄かった。上記の本格的な嵐旋風は08年の初夏以降に巻き起こったので2月リリースのシングル「Step and Go」、及び4月リリースの今作は「そういえば出てた」というか、夏以降の熱狂の頃には既に忘却の彼方だったような…。例年通り夏に今作をリリースしていれば、もっと高い売上を叩き出せたのではないか…とも妄想する。それほど2008年の嵐は上昇気流で、日々存在が巨大なものになっていってた記憶がある。
さて今作の感想であるが、やはり前作『Time』に引き続き「これぞ嵐!」という感じの良曲揃い。応援ソングとして売上の割りに代表曲の地位を得ている「Happiness」が入っているのでこの曲のキャッチーさを期待して今作を聴いても満足度は高いと思う。
また僕としては「Step and Go」も春ソングとしてかなりの名曲だと思うのだが何故か知名度が低い気が…。サビも素晴らしいしサクラップもキレッキレなのだが…。一応、嵐躍進の年である2008年リリースなのだがやはり発売が早すぎたか? もう数ヶ月後に発売していれば…でもこの年は夏以降大型タイアップのシングルが渋滞してたから2月しか無かったのかな。
アルバム曲では大団円を感じさせる壮大バラード「YOUR SONG」がお気に入り。今や乃木坂46の主力作家として名を馳せている杉山勝彦だけあって名曲だ。前作でも多田慎也が作家として参加していたが、AKBや乃木坂で名を広げるこの両者が、その数年前に嵐にも楽曲提供していたとは中々驚き。
おすすめ度:B+
3rdベスト 5×10 All the BEST! 1999-2009
2009年8月19日 売上約198万枚
【DISC.1】
【DISC.2】
【DISC.3 ARASHI’S Selection】(初回限定盤のみ付属)
3rdベストアルバム『5×10 All the BEST! 1999-2009』。ベスト盤としては2002年の『嵐 Single Collection 1999-2001』、2004年の『5×5 THE BEST SELECTION OF 2002←2004』に続く3作目。
デビュー10周年を記念した2枚組オールタイム・ベストアルバムであり、99年のデビューシングル「A・RA・SHI」から09年前半までの全シングル表題曲と、新曲「5×10」を時系列順に収録している。初回限定盤にはDISC.3としてメンバーがセレクトした全10曲を収録した『ARASHI’S Selection』が付属。また通常盤では「5×10」終了後にシークレットトラック「Attack it!」が収録されている。
シングルでは「One Love」(56万枚)「truth/風の向こうへ」(65万枚)「Beautiful days」(47万枚)「Believe」(66万枚)「明日の記憶/Crazy Moon~キミ・ハ・ムテキ~」(62万枚)がアルバム初収録。「Believe」と両A面だった「曇りのち、快晴」は矢野健太 starring Satoshi Ohno名義だったため未収録。また今作リリース時点で既に27thシングル「Everything」が発売されていたが収録は見送られた。
10年後の2019年には20周年記念オールタイムベスト『5×20 All the BEST!! 1999-2019』がリリースされた。あちらは今作の続編ではなく拡大版となり、今作収録全シングルに加え「Everything」以降のシングル、更に「5×10」のアンサーソング「5×20」が収録されている。
嵐の人気が高まってきていた事、初収録ヒットシングルも多数あった事等から初動75万枚という衝撃の数字を記録。3週目には100万枚を突破し自身初のミリオンセラーとなった。2009年度年間アルバム1位。
09年終わり時点では150万枚弱の累計だったが、嵐の人気を決定づける根源となった今作はその後もグングン売上を積み上げ最終的にはダブルミリオン目前にまでセールスを伸ばした。この過程でSMAPのベスト盤『Smap Vest』を抜き、ジャニーズのアルバム史上でも最大のヒット作となった(後に自身の20周年ベスト『5×20 All the BEST!! 1999-2019』でこの記録をセルフ更新)。2019年初頭には翌年での活動休止を発表した影響で21位に急浮上。
僕は大ファンというワケでは無いけど一応デビューからシングルはずっと聴き続けていたので2008年の大ブレイクの時も、これまでもずっと良い曲を出していたのに「何故このタイミングでブレイク?」という驚きがあった。そもそも当時NEWSやKAT-TUN等勢いのある若手に押され気味で、やや地味な存在になり下がっていた嵐がここまで浮上するとは予想つかなかった。
そんなワケで今作は嵐の人気が爆発し、その勢いのまま最高のタイミングでリリースされたベスト盤。前年の大ブレイクによってついた新規ファンがこれまでの嵐を知るために役立ったのもあるし、長く聴いてきた人にも改めて過去曲の魅力を提示できたアルバムだった。ブレイク後だけでなく初期から良い曲を量産してきた事が分かる一作である。
欲を言えば「One Love」や「truth」を含んだオリジナルアルバムを聴いてみたかったなという気持ちもあったが、自作では無いジャニーズアイドルなのでそこを期待してもしょうがないかなとも思う(バンドやシンガーソングライターだと、創作に勢いがつくのかブレイク期のオリジナルアルバムは名盤になりがちなイメージがあるので…)。
初回盤のみ付属の自選盤に価値が残ってはいるものの、2019年には今作の拡大版と言える20周年ベスト『5×20 All the BEST!! 1999-2019』が出ているので、正直今作の役割は終わった感がある。しかし嵐の人気を不動のものにしたベストである事は間違いないし、嵐の歴史を語る上で欠かせない大ヒット作であったのは確かだ。
おすすめ度:B
5×10 All the BEST! 1999-2009 / 嵐
9th 僕の見ている風景
2010年8月4日 売上約113万枚
【DISC.1】
【DISC.2】
9thアルバム『僕の見ている風景』。前年のベストアルバム『5×10 All the BEST! 1999-2009』以来となるアルバム。オリジナルアルバムとしては2008年の『Dream “A” live』以来約2年4ヶ月ぶり。初回盤はプレミアムパッケージ・60ページブックレットが付属。
シングル「Everything」(43万枚)「マイガール」(56万枚)「Troublemaker」(70万枚)「Monster」(70万枚)収録。7月に発売されたばかりだったシングル「To be free」は未収録(次回作『Beautiful World』に持ち越し)。
初動で73万枚を売り上げ、その時点で嵐のオリジナルアルバムで最高のセールスとなった。結果的に100万枚を突破し、ジャニーズ歌手のオリジナルアルバムでは97年のKinKi Kids『A album』以来2作目のミリオンセラー。かつジャニーズ歌手のオリジナルアルバムで最大の売上となっている。また2枚組オリジナルアルバムでのミリオンとしては94年のB’z『The 7th Blues』、05年のサザンオールスターズ『キラーストリート』に続いて史上3組目であった。
2010年度年間アルバム1位となり、前年の『5×10 All the BEST! 1999-2009』に続いて2年連続での年間首位達成となった。2019年には翌年いっぱいでの活動休止を発表した影響で再ランクインする現象が起きた。
2008年の大躍進、2009年のベスト盤特大ヒットを経てすっかりジャニーズ界の王者となった嵐の貫禄を感じさせるアルバムである。代表曲となった「Troublemaker」や「Monster」はそれだけでアルバム全体の印象を引っ張り上げる存在感がある。またシングルだけでなくアルバム曲も非常にキャッチーなものが揃っている。特に当時ミュージックステーション等で披露されていた「movin’on」は良メロとカッコ良さが両立した名曲である。
他にも王道ポップスやバラードからスタイリッシュなナンバーまでアルバム曲以上シングル曲未満みたいな曲が幅広く連発されるので、ジャニーズソングが好きな人はまずハズさないアルバムであると思う。これまで別DISCになっていたソロ曲が今回は全体に散りばめられているので曲数が多いが、それでもダレずに聴けた。これが全盛期特有の勢いというヤツなのか…。僕としては大野ソロ「静かな夜に」がお気に入り。あと二宮のソロ曲は「とくべつ」と読むらしい。
ちなみにDISC.1が12曲、DISC.2が8曲という妙な構成になっているがこれの意図は不明。それぞれにコンセプトがあるという訳でもないしDISC.1が本編でDISC.2はおまけみたいな事も無い。何故こんなアンバランスな曲数にしたのだろうか。
おすすめ度:A
10th Beautiful World
2011年7月6日 売上約93万枚
10thアルバム『Beautiful World』。前作『僕の見ている風景』から約11ヶ月ぶり。初回盤はスペシャルパッケージ、48ページオリジナル歌詞ブックレット付属。
シングル「To be free」(52万枚)「Love Rainbow」(62万枚)「Dear Snow」(59万枚)「果てない空」(69万枚)「Lotus」(62万枚)収録。
11月28日にはセブンネットオリジナル盤がリリースされた。こちらにはシングル5曲が収録されておらず、替わりに嵐メンバーが自作した新曲「エナジーソング~絶好調超!!!!~」がラストに入っている。更にセブンネット限定フェイスタオル付き。
前作『僕の見ている風景』でオリジナルアルバム初の100万枚超えを記録したが、今作は93万枚でストップしミリオンには至らなかった。2011年度年間アルバム1位となり、松任谷由実(1989年~1991年)以来である3年連続の年間首位達成となった。2019年には翌年いっぱいでの活動休止を発表した影響で再ランクインする現象が起きた。
前作の延長線上のような一作。2011年のアルバムなんだけど入っているシングル5曲のうち「Lotus」以外の4曲が2010年の曲なので、全体的に2010年の空気が残っているというか…。
前年~2011年頭までは短いスパンでシングルが連発されていたが多過ぎて印象が被ったり区別がつかなくなるという事は無く、どれも素晴らしい名曲だ!と感動していたのを覚えている。ジャニーズにありがちな飛び道具的な曲が無くどれも王道J-POP風味の極上ポップスばかりだったのが良かった。他のグループに比べて明らかに嵐だけ良い曲があてがわれているような気さえしていたし…。インパクトという意味では薄いかもしれないけど、それでもシングルに関してはとにかく名曲だらけの絶頂期だったと思う。
アルバム曲は「まだ見ぬ世界へ」「遠くまで」辺りがシングル級。あと「虹のカケラ~no rain, no rainbow~」も抑え目のアレンジながら良メロポップスで良い。それ以外は正直前作の方がアベレージが高かったかなーと思うけどまぁそこそこの佳曲が並んでいる印象。ただ前作は全盛期特有のオーラでダレずに全編聴けたんだけど、今作では各ソロ曲でちょっとつっかえるかなぁ…。以前のようにソロ曲だけ別DISCにしてもらえるとより1曲1曲が映えただろうなと思う。
あと前作辺りから作詞作曲クレジットにコードネームのような謎の表記が増えてきたけどこれらは一体誰なんだ? 100+、iiiSAK、Octobar、QQとかの皆さんは本当名曲ばかりを作っておられるが個人なのかユニットなのかもよく知らない。そんな中「Dear Snow」の作曲では元WANDS(第1期・第4期在籍)のキーボード・大島こうすけが登場しており驚くと同時にあぁ、やっと知ってる人がクレジットに来た…と妙に安心した。
おすすめ度:B
11th Popcorn
2012年10月31日 売上約95万枚
嵐の11thアルバム『Popcorn』。2011年の前作『Beautiful World』から1年3か月ぶり。初回盤はスペシャルパッケージ仕様でステッカーの他オリジナル絵本『愛と勇気のポップコーン~Popcornができるまで~』が付属する。
シングル「迷宮ラブソング」(64万枚)「ワイルド アット ハート」(65万枚)「Face Down」(62万枚)「Your Eyes」(55万枚)収録。また「駆け抜けろ!」は相葉・大野出演の日産自動車『セレナS-HYBRID』CMソング、「証」は日本テレビ系『ロンドンオリンピック2012』テーマソングだった。
2019年には翌年いっぱいでの活動休止を発表した影響で再ランクインする現象が起きた。
印象としてはここ2作(『僕の見ている風景』『Beautiful World』)と変わらず、適度にキャッチーで適度にカッコ良いジャニーズナンバーが並ぶ。「ワイルド アット ハート」が好みならそのまま気に入るアルバムであろう。ここ数作と同様にソロ曲を本編にぶち込んでいるので全16曲と長いが、キャッチーな曲が続くのでそこまで長さを感じずに聴ける。
アルバム曲の中ではロンドンオリンピックテーマソング「証」がシングル級、もしくはシングル以上の貫禄がある大作に仕上がっている。超大型タイアップだけあってかなりの気合が入っているし確かな名曲なんだけどちょっと盛り過ぎというか、遂に嵐が正式に「国民的グループ」の鎧を背負わされたんだな…と当時感じたものだ。嵐が一つの到達点に行き着いた感がこの曲によって強く出たと思う。
あと相変わらず作詞作曲クレジットに名を連ねているコードネームの方々は一体何者なのか…? 日本人なのか、外国人なのか、ソロなのか、ユニットなのかも何もかも不明なのだが、一つだけハッキリしているのは楽曲制作能力が素晴らしいという事。そこだけはハッキリした事実だ。
おすすめ度:B
12th LOVE
2013年10月23日 売上約84万枚
12thアルバム『LOVE』。2012年の前作『Popcorn』から約1年ぶり。初回限定盤はスペシャルLOVE BOX仕様で、60ページフォトブックレットと「P・A・R・A・D・O・X」のMVを収録したDVDが付属する。
シングル「Calling/Breathless」(88万枚)「Endless Game」(55万枚)収録。
初動のみで2013年の年間アルバム1位に登場し、そのまま最終的にも2011年の『Beautiful World』以来の年間首位獲得となった。2019年には翌年いっぱいでの活動休止を発表した影響で再ランクインする現象が起きた。
ジャケット写真のクールな感じの通り全体的にスタイリッシュなイメージのアルバム。先行シングルの「Breathless」や「Endless Game」がまずクールな感じだったのでその路線を拡張した雰囲気。なのでこの時期のシングルが好みならば中々の名盤に感じられるのではなかろうか。飛び抜けたアルバム曲というのは無いけどしいて言えばラストのバラード曲「Tears」が良メロで特に好み。わたくしマーとしては前2作(『Beautiful World』『Popcorn』)よりもワンランク上の印象で結構好きな一作である。
ここ数作で増してきていた作詞作曲クレジットのコードネーム率は更に多くなり過去最多クラスに…。誰なのか分からないけどとにかく楽曲制作能力の高い凄い方々だ。そんな中相葉のソロ曲「夜空への手紙」の作詞はロックバンド・サザーランドの阿部祐也。サザーランドは2004年頃にプロミスのCMソング等で知りちょこちょこ聴いていたので、こんな所で名前を見かけるとは意外だった(バンド自体は2008年に解散)。Wiki情報によると相葉の亡くなった祖父への想いを綴った曲らしいが作詞自体は阿部さんなわけなので二人打ち合わせを重ねて作ったという事なのかな。これも中々の名曲。
おすすめ度:B+
コメント