ZARD 歴代アルバム感想&おすすめ度 #1 ~1991-2001~
1st Good-bye My Loneliness
1991年3月27日 売上約25万枚
1993年9月1日(再発盤)
▼収録曲
01.Good-bye My Loneliness/02.愛は暗闇の中で/03.恋女の憂鬱/04.Oh!Sugar Baby/05.女でいたい/06.It’s a Boy
1stアルバム『Good-bye My Loneliness』。今作のみアーティスト名が「Zard」となっている。
2月10日にリリースされたデビューシングル「Good-bye My Loneliness」(20万枚)とカップリング「愛は暗闇の中で」を収録。「愛は暗闇の中で」はビーイング所属のヘヴィメタルバンド・BLIZARDのカバー。坂井泉水死去後の2008年には上木彩矢をゲストに迎えたリメイク音源が制作され、日本テレビ系アニメ「名探偵コナン」タイアップとなった他44thシングル「翼を広げて/愛は暗闇の中で」としてリリースされた。
順位としては初登場時の34位を越える事は無かったものの、リリースから長くの間チャートの50位~90位台を延々ウロウロ。何度かチャートアウトするも92年~93年とコンスタントにヒットを出していた余波で今作も地道に売れ続け、93年9月まで合計45週登場というロングセラーを記録した。93年9月にはポリドールからB-Gram RECORDSとして独立し再発盤がリリースされ、ポリドール盤は廃盤となった。
ややダークでハードな曲が多い。坂井さんのボーカルもまだ不安定で、歌い方が定まっていないという感じだ。現在聴くとこのサウンドにも時代を感じるけど楽曲自体は中々印象的なものも多い。特にラストの「It’s a Boy」等は全盛期にも引けを取らない切なさ全開の名バラードでお薦め。初期ということでスルーされてしまいがちな今作だが(実際僕もZARDを聴き始めてから10年くらい経って手に取った…)何気に良曲が隠れてるので聴かないのは勿体無い。初期のZARDってこんな感じだったんだと資料的な観点から聴いてみるだけでも意味はあると思う。ちなみに「恋女の憂鬱」と「女でいたい」はビーイング所属の女性ミュージシャン・川島だりあが作詞を手掛けている。ZARD楽曲で坂井さんが作詞していないのはこの2曲だけなのでは?
おすすめ度:C+
2nd もう探さない
1991年12月25日 売上約33万枚
1993年9月1日(再発盤) 売上約0.05万枚
▼収録曲
01.不思議ね…/02.もう探さない/03.素直に言えなくて/04.ひとりが好き/05.Forever/06.Lonely Soldier Boy/07.いつかは…
2ndアルバム『もう探さない』。前作『Good-bye My Loneliness』から約9か月でリリースされた。またこの時期は坂井泉水以外のバンドメンバーが存在しクレジットに名前が記載されている他ブックレットにも写真が載っている。
シングル「不思議ね…」(3万枚)「もう探さない」(3万枚)に加えカップリングから「素直に言えなくて」を収録。「素直に言えなくて」は坂井泉水死去後の2009年に、倉木麻衣をコーラスに迎えてリメイクしたバージョンが45thシングル「素直に言えなくて~featuring Mai Kuraki~」として発売される事となった。また7曲目「いつかは…」は初回生産分と2版目以降ではミックスが異なるらしい。
リリース後92年3月には100位以内から姿を消したが、次回作『HOLD ME』がリリースされた9月のタイミングで78位に再浮上。その後もチャート下位をユラユラと漂い続け、シングル「負けないで」が大ヒットを飛ばした時期である93年3月に最高順位となる36位を記録した。94年2月末までチャートインし、合計で57週という前作を越えるロングセラーとなった。
93年9月にはポリドールからB-Gram RECORDSとして独立し再発盤がリリースされ、ポリドール盤は廃盤となった。坂井泉水が死去したタイミングである2007年6月にはこの再発盤が1週だけ300位にチャートインしている。
前作のダーク路線と、今後定番となる爽やか路線が混在している過渡期といった印象のアルバム。「不思議ね…」は全盛期並に清涼感たっぷりのポップスだし、歌謡チックな「もう探さない」もサビのメロディーが残る良曲。冒頭のシングル2曲が印象的なのでその後がやや霞んでしまうかもしれないが、それでもスルーしてしまうのは勿体無い佳作だ。「素直に言えなくて」と「いつかは…」は坂井さん本人が作曲まで手掛けているが、ZARD史上でも4曲しかない本人作曲のナンバーがこんな初期に2曲も固まっているのは少々不思議ね…。
おすすめ度:C+
3rd HOLD ME
1992年9月2日 売上約106万枚
1993年9月1日(再発盤)
▼収録曲
01.眠れない夜を抱いて/02.誰かが待ってる/03.サヨナラ言えなくて/04.あの微笑みを忘れないで/05.好きなように踊りたいの/06.Dangerous Tonight/07.こんなに愛しても/08.Why Don’t You Leave Me Alone/09.愛は眠ってる/10.遠い日のNostalgia/11.So Together
3rdアルバム『HOLD ME』。
シングル「眠れない夜を抱いて」(45万枚)に加えカップリングから「こんなに愛しても」を収録。「こんなに愛しても」はミックス変更、イントロ前の雑踏音追加等が施されたアルバムバージョンとなっている。今作発売後に初のライブツアー「ZARD FIRST LIVE “HOLD ME”」が開催予定だったが何故か突如中止となったらしい。
「眠れない夜を抱いて」が40万枚を超えるスマッシュヒットを記録した事もありアルバムでも一気に最高順位を更新したが鈴木雅之『FAIR AFFAIR』(19万枚)に阻まれ2位止まりだった。その後もブレイクの波は広がって行き、翌年シングル「負けないで」の大ヒット等もあって1年以上売れ続けるロングセラーとなり累計でミリオンを達成した。最終チャートインは94年5月。
後にベスト盤にも収録される「あの微笑みを忘れないで」や「遠い日のNostalgia」といった初期の名曲がここで登場するが、この2曲のようなポップ色は全体的には薄くどちらかと言えば歌謡曲的なムードの漂うナンバーが多い。とは言え前作までのダークさは影を潜めつつあり、まだ若干の荒さは残るものの現在のZARD像に繋がる最初の一作という印象のある良作である。余談だが「誰かが待ってる」と「愛は眠ってる」のサビのメロディーが酷似してる気がするのだが…同じ感想を抱いてる人は居ないのだろうか?最初聴いた時「あれ、同じ曲が2回入ってる!?」と思った程なのだが。
おすすめ度:B
4th 揺れる想い
1993年7月10日、売上約223万枚
▼収録曲
01.揺れる想い/02.Season/03.君がいない(B-version)/04.In my arms tonight/05.あなたを好きだけど/06.負けないで/07.Listen to me/08.You and me(and…)/09.I want you/10.二人の夏
4thアルバム『揺れる想い』。
シングル「In my arms tonight」(32万枚)「負けないで」(164万枚)「君がいない(B-version)」(80万枚)「揺れる想い」(139万枚)収録。「君がいない」はシングル時よりも半音低いBキーでの収録という事で「B-version」となっている。また「IN MY ARMS TONIGHT」は今作では何故か頭文字以外が小文字に表記されている。
「負けないで」「揺れる想い」がそれぞれミリオンセラーと明確な大ブレイクを果たした中でリリースされた事もありダブルミリオンを突破するメガヒットを記録。オリジナルアルバムでは自身最大のヒット作となった。また坂井泉水が亡くなったタイミングである2007年6月には1週だけ300位以内に再浮上する現象が起きた。
収録されている「負けないで」や「揺れる想い」という大ヒットシングルのイメージのまま、全体的に爽やかで勢いのあるイメージの一作。90年代J-POPのど真ん中を行く王道中の王道アルバムである。「Season」「あなたを好きだけど」「二人の夏」等アルバム曲にも一切ハズれが無いし、「Listen to me」みたいな弾けたノリの曲も登場し王道の範囲内で新たな一面も打ち出してきている。後々ベスト盤に選出された曲も多いものの、この時期ZARDが持っていた勢いがパッケージされた今作はやはり良い。ZARDのパブリックイメージそのままな一作なので、最初に聴くオリジナルアルバムとしてもオススメ。
おすすめ度:B+
5th OH MY LOVE
1994年6月4日 売上約200万枚
▼収録曲
01.Oh my love/02.Top Secret/03.きっと忘れない/04.もう少し あと少し…/05.雨に濡れて/06.この愛に泳ぎ疲れても/07.I still remember/08.If you gimme smile/09.来年の夏も/10.あなたに帰りたい
5thアルバム『OH MY LOVE』。
シングル「もう少し あと少し…」(84万枚)「きっと忘れない」(87万枚)「この愛に泳ぎ疲れても」(88万枚)収録。「この愛に泳ぎ疲れても」と両A面だった「Boy」は未収録(7年後のセレクション盤『ZARD BLENDⅡ~LEAF&SNOW~』にてアルバム初収録となる)。「きっと忘れない」は冒頭がゆったりしたアカペラに変更され全体のミックスもシングル時とは異なるアルバムバージョン。「雨に濡れて」はZYYG,REV,ZARD&WANDS名義で1993年6月に発表されていたシングル「果てしない夢を」カップリングであり、今作ではZARD単独ボーカルバージョンとして収録されている。
前作『揺れる想い』に引き続きダブルミリオンを達成する大ヒットを記録し、自身最高のロングセラーとなった。最終チャートインは95年11月。
清涼感のあるブルーがかったジャケットがまず前作とソックリだが、内容的にも前作の延長線上であり大きな変化は無い。シングル以上の爽やかミディアムナンバー「Oh my love」やツアーの定番曲「来年の夏も」、必殺のバラード「I still remember」等、どのアルバム曲も非常にレベルが高く本当に名曲揃い。特に「Oh my love」は個人的にZARDのTOP5には入ってくるナンバーだし坂井さん自身もシングルカットしたかったと発言している程にお気に入りらしい。高値安定故に後追いだと区別がつかなくなる恐れもあるけどじっくり聴けばそれぞれの味が見えてくるハズだ。
2007年の追悼番組で明かされた所によるとなんと今作の全収録曲にビデオクリップが存在しているらしい。制作は「ミュージックステーション」スタッフと共に行われたという事。確かにカラオケDAMの本人映像等でこの時期(90年代中頃)のMVを観ると「ミュージックステーション」そっくりの仕様になっているがスタッフが共通してたのね…。そりゃ似るわ。しかしわざわざ1テレビ番組のスタッフと協力体制でMVを作るとは、ビーイングと「ミュージックステーション」はかなり密な関係だったという事なのだろうか?
おすすめ度:B+
6th forever you
1995年3月10日 売上約177万枚
▼収録曲
01.今すぐ会いに来て/02.ハイヒール脱ぎ捨てて/03.Forever you/04.もう逃げたりしないわ 想い出から/05.あなたを感じていたい/06.気楽に行こう/07.I’m in love/08.こんなにそばに居るのに/09.Just believe in love/10.瞳そらさないで
6thアルバム『forever you』。ジャケット写真は1992年の3rdアルバム『HOLD ME』の頃のものであるらしい。
シングル「こんなにそばに居るのに」(78万枚)「あなたを感じていたい」(73万枚)「Just believe in love」(65万枚)収録。「こんなにそばに居るのに」はサビから始まりバンド感が強調されたアルバムバージョンにアレンジされている。「瞳そらさないで」はDEENに歌詞提供した曲のセルフカバー。
前作『OH MY LOVE』を越える初動を叩き出しミリオンセラーを記録。95年度年間4位につける大ヒットとなったが、累計売上・登場週数は前作を下回った。
これまでのアルバムはイメージ通りの王道ナンバーが1曲目だったので今作の「今すぐ会いに来て」の特殊な雰囲気は最初聴いた時に驚いたものだった。その後は割と王道曲が続くものの、5曲目までシングルが登場しない等の構成からか全体的に地味で大人しいアルバムという印象が強い。ただシングル「Just believe in love」は個人的ZARD隠れ名曲No.1の称号を与えたいナンバーだしタイトル曲「Forever you」もファン人気の高い名バラードで相変わらず個々のレベルは非常に高い。ただ唯一「瞳そらさないで」のまったりアレンジが残念。DEENの原曲にあるとびきり弾けたあの爽快感がたまらなく好きなので是非とも王道アレンジでセルフカバーしてほしかった所である。
おすすめ度:B
7th TODAY IS ANOTHER DAY
1996年7月8日 売上約165万枚
▼収録曲
01.マイ フレンド/02.君がいたから/03.サヨナラは今もこの胸に居ます/04.LOVE~眠れずに君の横顔ずっと見ていた/05.DAN DAN 心魅かれてく/06.眠り/07.心を開いて/08.突然/09.今日も/10.Today is another day/11.愛が見えない/12.見つめていたいね
7thアルバム『TODAY IS ANOTHER DAY』。今作よりプロデュースが坂井泉水名義になった。
シングル「愛が見えない」(72万枚)「サヨナラは今もこの胸に居ます」(55万枚)「マイ フレンド」(100万枚)「心を開いて」(74万枚)に加えカップリングから「眠り」を収録。FIELD OF VIEWに歌詞提供した3シングルのセルカバー、更に栗林誠一郎(Barbier)のセルフカバーを収録。全収録曲を解説したライナーノーツが別紙で付いている。
売上は前作『forever you』を若干下回ったがオリジナルアルバムでは自身最高となる初動を記録した。
中学時代、「CDTV」で知って衝撃を受けた「マイ フレンド」を聴きたいがために購入した一作でZARDの中でもかなり古くに入手したので馴染み深いアルバム。モナコで撮影されたというジャケット写真のイメージ通りに夏っぽく開放的なイメージのある作品だ。前述のミリオンシングル「マイ フレンド」、個人的ZARDナンバー1ソングになり得る「心を開いて」、どっしりしたタイトルチューン「Today is another day」、更にFIELD OF VIEWに歌詞提供し大ヒットを記録した3シングルのセルフカバーと盛り沢山の内容で95~96年のZARDを総括したベスト的内容である。後のベスト盤に収録された曲も多いため、現在から見ると微妙なラインナップかもしれないがこの時期のシングルが好きな人ならば今作も気に入ると思う。ZARDのオリジナルアルバムでは次回作と並んで好きな一枚。
おすすめ度:A
1stセレクション ZARD BLEND~SUN&STONE~
1997年4月23日 売上約200万枚
▼収録曲
01.君に逢いたくなったら…/02.揺れる想い/03.君がいない/04.心を開いて/05.Good-bye My Loneliness/06.IN MY ARMS TONIGHT/07.あの微笑みを忘れないで/08.Oh my love/09.来年の夏も/10.ハイヒール脱ぎ捨てて/11.Don’t you see!/12.眠れない夜を抱いて/13.こんなに愛しても~Hold Me~
初のセレクションアルバム『ZARD BLEND~SUN&STONE~』。
当時のTVスポットでは「サマー・ベスト・アルバム」というキャッチコピーが付けられていたが、2年後の『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』が初の公式ベストアルバムとされているため、今作は厳密には「夏をテーマに選曲されたセレクションアルバム」という位置付け。
ただ世間的には初のベスト盤と捉えられたようで、ここ2作のオリジナルを上回りダブルミリオンに到達する大ヒットを記録した。1997年度年間5位。坂井泉水が亡くなったタイミングである2007年6月には2週のみ300位以内に再浮上する現象が起きた。
直近のシングル「Don’t you see!」(60万枚)「君に逢いたくなったら…」(63万枚)がアルバム初収録。このシングル2曲含めいくつかの曲でリミックスが施されている。また「Good-bye My Loneliness」はミックス変更に加えボーカルがリテイクされている。全曲リマスタリング。
またビーイング創業者・長戸大幸が、97年4月26日に同じビーイング所属のB’zがかつて所属していたBMG JAPANからB’zサイドに無許可で発売される事が決定していた非公認ベスト『Flash Back-B’z Early Special Titles-』への抗議として、わざわざ今作の発売日を同週にぶつけて『Flash Back』の1位獲得阻止を狙ったという逸話がある。結果、『Flash Back』を20万枚程上回る形で2位に抑え今作が首位となり長戸の思惑は達成された。
サマーセレクションアルバムという位置付けではあるもののギラギラな夏全開みたいな曲は無く(〈Summer night〉と歌ってた「こんなにそばに居るのに」や〈灼熱の夏に踊らせて!〉とまで言っていた「愛が見えない」は選ばれていない)、全体的にどことなく夏っぽいZARD王道曲がチョイスされている感じでそこまで夏に拘っているという訳でも無い。しかしあくまで企画アルバムであるという事を強調したかったのか(公式ベストという一手を残しておくためにも)最大ヒットかつ代表曲の「負けないで」や前年のミリオンシングル「マイ フレンド」は外してあり、言うなれば寸止めベストみたいな内容になっている。
現在では今作独自のミックス違いを楽しむという面で価値が残る一作。デビュー曲「Good-bye My Loneliness」はリテイクで97年の声になっているし、「IN MY ARMS TONIGHT」は明確に原曲とサウンドが異なるので分かりやすい(「乾いた印象の音」になっているという事だが、昔から今作のは乾いた音というよりは「こもった音」に感じるのだが…)。
現在では全曲が後のベスト盤に収録されているのでわざわざ今作を手に取る必要性は薄いけど、アルバムからも良い曲が厳選されているしコンパクトに纏められているので中々楽しめる一作ではあると思う。夏が好きな人や、特に初夏が好きな人にはジャケットの開放的な感じも含めてオススメ。
おすすめ度:B
8th 永遠
1999年2月17日 売上約115万枚
▼収録曲
01.永遠/02.My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~/03.WAKE UP MAKE THE MORNING LAST~忘れがたき人へ~/04.Brand New Love/05.運命のルーレット廻して/06.遠い星を数えて/07.新しいドア~冬のひまわり~/08.GOOD DAY/09.I feel fine,yeah/10.少女の頃に戻ったみたいに/11.息もできない/12.風が通り抜ける街へ/13.フォトグラフ
▼初回特典8センチCD 収録曲
01.Can’t Take My Eyes Off Of You/02.Can’t Take My Eyes Off Of You~Readymade Wizard Mix Short Cuts~
8thアルバム『永遠』。
シングル「風が通り抜ける街へ」(28万枚)「永遠」(62万枚)「My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~」(33万枚)「息もできない」(24万枚)「運命のルーレット廻して」(24万枚)「新しいドア~冬のひまわり~」(20万枚)「GOOD DAY」(22万枚)に加え、カップリングから「遠い星を数えて」「少女の頃に戻ったみたいに」を収録。「Brand New Love」はWANDSに歌詞提供した曲のセルフカバー。初回盤にはピチカートファイヴの小西康陽プロデュースによる「Can’t Take My Eyes Off Of You」の8センチCDが付属している。
97年辺りからシングル売上は下り坂になっていたがアルバムでは何とかミリオンまで引っ張り、現状オリジナルアルバム最後のミリオンセラーとなっている。坂井泉水が亡くなったタイミングである2007年6月には1週だけ270位に再浮上する現象が起きた。
往年の代表作家である織田哲郎・栗林誠一郎に加え、GIZAの代表作家・大野愛果や後にday after tomorrowのギタリストとしてデビューする北野正人など新たなコンポーザーを積極起用しておりバラエティ豊かな一枚となった。新曲が3曲のみという事でリアルタイムで聴いていたファンにとっては微妙だったのかもしれないけど僕は後追いで手に取ったので関係無かったし、何よりラストの「フォトグラフ」が名曲過ぎて最高。シングル大量収録に関しても直後の『ZARD BEST』2作、2006年の『Golden Best~15th Anniversary~』では弾かれているものや、ZARD屈指のカップリング2曲が入っているので満足。一見とっ散らかって見えるラインナップだが通して聴くとこれが何故か素晴らしく感じる。僕の中では前作『TODAY IS ANOTHER DAY』と並んでお気に入りのオリジナルアルバムである。
おすすめ度:A
1stベスト ZARD BEST The Single Collection~軌跡~
1999年5月28日 売上約303万枚
▼収録曲
01.負けないで/02.君がいない/03.揺れる想い/04.果てしない夢を/05.もう少し あと少し…/06.きっと忘れない/07.この愛に泳ぎ疲れても/08.こんなにそばに居るのに/09.Just believe in love/10.愛が見えない/11.マイ フレンド/12.心を開いて/13.永遠(Intro Piano Version)/14.運命のルーレット廻して(Re-mix Version)
初のベストアルバム『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』。1997年の『ZARD BLEND~SUN&STONE~』はあくまでセレクションアルバムという位置づけで、今作は初の公式ベストアルバムという触れ込みで大々的に発表された。
「果てしない夢を」はZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄として93年に発売された曲(72万枚)。ちなみにミックスが2種類存在し、今作に収録されているのは白盤(通常盤)バージョンとなる。また「きっと忘れない」「こんなにそばに居るのに」はシングルバージョンではアルバム初収録。
時間差で特典が付き、第1次特典は「ZARD ARTIST FILE」、第2次特典はビデオ「showreel」(3種類の中から1種類選ぶ形式)、第3次特典がCD-ROM「ZARD ENHANCED CD」。更に今作に同封されたハガキを郵送した人から抽選で600人を単独ライブへ招待するという企画も実施(ライブ自体は同年8月31日に旅客船「ぱしふぃっくびいなす」で行われた)。これらの特典祭りの影響で今作を複数枚購入する人が続出したという。
チャート集計上不利な金曜発売であったが1週目で130万枚を突破し自身初の初動ミリオンを記録。最終的に300万枚を突破するメガヒットとなり、ZARD史上最大のヒット作となった。99年度年間ランキングでは宇多田ヒカルの『First Love』に次ぐ2位。また坂井泉水が逝去したタイミングである2007年6月には18位に急上昇。10月まで断続的にランクインした。
初期のシングルは入っていないものの、3大ミリオンをはじめその他全盛期の有名シングル大多数が収録されている。前年に大ヒットを飛ばしたB’zの『B’z The Best “Pleasure”』もそうだったけど、この時点でキャリア10年に及んでないのにこれでもまだヒット曲が入りきっておらず残っているというのが凄い。
後々この時期も含めた更にオールタイムなベストが出る事になるけど、1枚でヒット曲をある程度押さえたいならば現在でも申し分無しの一作であるし中古でも安い値段で見かけるので入手も手軽。更に姉妹盤である『ZARD BEST~Request Memorial~』と組み合わせればお腹いっぱいに90年代ZARDを堪能できる。この2作をZARDの入口にするのは現在でもオススメ。
おすすめ度:B+
ZARD BEST The Single Collection~軌跡~ / ZARD
2ndベスト ZARD BEST~Request Memorial~
1999年9月15日 売上約149万枚
▼収録曲
01.Don’t you see!/02.あなたを感じていたい/03.息もできない/04.君に逢いたくなったら…/05.あの微笑みを忘れないで/06.Oh my love/07.サヨナラは今もこの胸に居ます/08.My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~/09.Forever you/10.突然/11.遠い日のNostalgia/12.雨に濡れて(ZYYG,REV,ZARD&WANDS)/13.I still remember/14.MIND GAMES
2ndベストアルバム『ZARD BEST~Request Memorial~』。
同年5月の初ベスト『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』に付いていたアンケート葉書を元にして制作されたリクエストベストであり、投票結果の上位14曲を順位通りに収録している。
4月にリリースされていたシングル「MIND GAMES」(14万枚)がアルバム初収録。「雨に濡れて」はZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄名義のシングル「果てしない夢を」カップリングだったシングルバージョンで収録。また「遠い日のNostalgia」は最後のサビがカットされたバージョンとなる。今作封入の葉書による抽選で5000名にバス型のオルゴールがプレゼントされたという(音色は「揺れる想い」)。
当初の発売予定日は99年9月24日だったがavexがglobeのベストアルバム『CRUISE RECORD 1995-2000』を同週にぶつけてきたため、ZARDの連続1位記録更新を狙ったビーイングによって発売日が変更されたという逸話がある。結果的にチャート1位・ミリオンを突破し、92年の3rdアルバム『HOLD ME』から今作まで9作連続ミリオンセラーという記録を打ち立てた(同時に今作がZARD最後のミリオンセラー)。また坂井泉水が亡くなったタイミングである2007年6月には33位に急浮上した。
前作から漏れたヒットシングルの他、アルバムの表題曲や欠かせない名曲が堪能できる一作。中学時代、前作『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』とセットで買ってきて最初は有名曲が入った『軌跡』ばかり聴いていたんだけどしばらく経ってみると「あれ、『Request Memorial』も名曲揃いじゃね?」という感覚になり気が付けばこちらばかり聴くようになっていた。当時の僕が「隠れた名曲」とか「アルバムの名曲」とかいうものに魅力を感じやすい多感な時期だったというのもあるかもしれないが…。前作『軌跡』と今作で90年代ZARDのおいしい所をたっぷり味わえる。
2006年に15周年ベスト『Golden Best~15th Anniversary~』、2016年に最終奥義的4枚組ベスト『Forever Best~25th Anniversary~』と立て続けにベスト盤が出た現在では今作の価値は微妙と思われるかもしれない。しかしシングルコレクション要素の強い『Golden Best』ではアルバム曲がイマイチ堪能できないし、『Forever Best』は4枚組というそのボリューム故に胃もたれする人も居ると思うので、『軌跡』と今作のセットをZARDの入り口とするのは現在でも十分オススメコースである。中古屋でも多分ワンコインで入手できると思うし。
おすすめ度:A
ZARD BEST~Request Memorial~ / ZARD
ライブ ZARD Cruising & Live~限定盤ライヴCD~
2000年1月26日 売上約30万枚(30万枚限定生産)
▼収録曲
01.揺れる想い/02.君がいない/03.心を開いて/04.Don’t you see!/05.世界はきっと未来の中/06.フォトグラフ/07.もう少し あと少し…/08.眠れない夜を抱いて/09.My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~/10.IN MY ARMS TONIGHT/11.あの微笑みを忘れないで/12.この愛に泳ぎ疲れても/13.遠い星を数えて/14.負けないで
ライブアルバム『ZARD Cruising & Live~限定盤ライヴCD~』。
前年のベストアルバム『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』に封入されていた葉書の抽選で当選した人が招待された船上ライブ「LIVE AT THE PACIFIC VENUS」の模様をCD化したもの。ライブ自体は99年8月31日に旅客船「ぱしふぃっくびいなす」にて行われた。
DISC-2はCD-ROM『LIVE SPECIAL CD-ROM~Cruising HAZARD~』。更に特典としてVHSビデオカセット『ZARD making of CRUISING & LIVE The Day Of 1999.8.31』 が付属しておりライブの前日から当日までのメイキング映像とライブのダイジェスト映像が収録されている。
30万枚の限定生産盤としてリリースされ、安室奈美恵『GENIUS 2000』(初動53万枚)に阻まれ2位となりアルバム連続1位記録がここで途切れた。限定盤だったものの現在中古屋でもそれなりに見かけるしレア化はしていない模様。
一般的なライブアルバムと比べると全体的にこもったような音になっている。ボーカルもバンドサウンドに埋もれるような感じで前に出ている訳では無い。ただZARDのライブ自体が貴重なので、その音源を収めた今作もかなり聴きごたえはある。歌詞を飛ばしたり、MCが妙にぎこちなかったりとライブ経験の薄さが垣間見える部分もあるがファンとしてはそこがいじらしくて良い。今ではそんなに聴きかえす事も少ないけど、生の坂井泉水が喋っているというだけで有難みがありテンションが上がるので存在意義はかなり高い一作ではあると思う。
おすすめ度:B
ZARD Cruising & Live~限定盤ライヴCD~ / ZARD
9th 時間の翼
2001年2月15日 売上約37万枚
▼収録曲
01.Get U’re Dream/02.この涙 星になれ/03.promised you~with P-edition~/04.痛いくらい君があふれているよ/05.窓の外はモノクローム/06.お・も・ひ・で/07.明日もし君が壊れても/08.世界はきっと未来の中~another style 21~/09.hero/10.揺れる想い(Gomi’s New York Remix)/11.負けないで(Gomi’s 10th Anniversary Special Mix)/12.時間の翼
9thアルバム『時間の翼』。
シングル「世界はきっと未来の中~another style 21~」(20万枚)「痛いくらい君があふれているよ」(12万枚)「この涙 星になれ」(12万枚)「Get U’re Dream」(24万枚)「promised you~with P-edition~」(11万枚)に加え、カップリングから「お・も・ひ・で」を収録。
更に1998年にWANDSに歌詞提供した楽曲のセルフカバー「明日もし君が壊れても」、デビュー10周年を記念した「揺れる想い」「負けないで」のリミックスバージョンも収録。表題曲「時間の翼」は2番サビ以降から始まる未完成楽曲となっており2004年の次回作『止まっていた時計が今動き出した』にて完成版が発表されたがキーやアレンジが変更されている。
前作『永遠』までと比べて大きく売上を落としたものの、オリジナルアルバムとしては最後の1位獲得作となった。なお何故か今作のみ廃盤となっており、現在では2012年にリリースされた12枚組アルバムBOX『ZARD Album Collection~20TH ANNIVERSARY~』内に収納されている一作として購入できる。
僕がJ-POPに興味を抱いたのが今作発売の翌年である2002年であり、ZARDに関してはその時点からの新曲を「CDTV」等で追いつつ中古で『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』や『ZARD BEST~Request Memorial~』及び90年代のオリジナルアルバムを揃え聴きまくっていたので、今作収録時期のシングルは長らくすっぽり抜けていた。だからか未だに今作自体の印象も思い入れも他と比べて2段階くらい薄いという…。
時代の流れなのかアレンジャー一新の影響なのかこれまでよりもバックサウンドが軽く打ち込み感が半端ない。それ故にどの曲もメロディーこそそれなりに良いもののかつての名曲たちを思うと軒並み小粒に思えてしまう。10周年記念という事で制作されたという「揺れる想い」と「負けないで」のリミックスも何だかなぁ…という感じ。僕がリミックスに苦手意識があるというのもあるけど、ただ長いだけで「良い!」とは思えない。このリミックス2曲の収録・時間の影響でアルバム本編が妙に短く感じてしまうのもイマイチな点だ。
ただ活動全体を通して見ると、90年代の大ヒット期を終え、02年以降の「第2章」へ向かう過渡期を切り取っているという意味でキャリア史上最も異色で他に無い一作という見方も出来る。
おすすめ度:C
2ndセレクション ZARD BLENDⅡ~LEAF&SNOW~
2001年11月21日 売上約23万枚
▼収録曲
01.私だけ見つめて/02.あなたを感じていたい/03.もう少し あと少し…/04.My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~/05.黄昏にMy Lonely Heart/06.Boy/07.Stray Love/08.Take me to your dream/09.You and me(and…)/10.あなたに帰りたい/11.Just for you/12.Ready,Go!/13.Change my mind/14.カナリヤ/15.クリスマス タイム(ZARD Version)/16.永遠~君と僕との間に~/遠い星を数えて
2ndセレクションアルバム『ZARD BLENDⅡ~LEAF&SNOW~』。1997年の『ZARD BLEND~SUN&STONE~』に続くセレクションアルバム第2弾。
シングル数曲に加え、この時点でアルバム未収録だったカップリング曲を多くセレクト。「クリスマス タイム」はBarbierのシングルとして95年に発売されていた曲のセルフカバー。「永遠」はキャノンCMで使用されたショートバージョンを収録。またシークレットトラックとして「遠い星を数えて」がオリジナルバージョンで収録されている。全曲リマスタリング。坂井泉水が亡くなったタイミングである2007年6月には104位まで再浮上した。
4年半前の前作『ZARD BLEND~SUN&STONE~』のテーマが夏だったのに対して今作は冬がテーマ。ただ実質的にはセールス全盛期のカップリング集といった趣きが強い。「きっと忘れない」カップリングだった「黄昏にMy Lonely Heart」や、「この愛に泳ぎ疲れても」と両A面だったにも関わらずオリジナルアルバムでスルーされていた「Boy」等は今作で初めて聴いてかなり好きになった。ミディアムorバラードが多いので印象が被るという面もあるが一つ一つは確かな良曲ばかりだし、ジャケット写真のイメージのまま、バラード集として聴いても良い一作。BOXは別としてこの時期の8cmシングルは入手・収集が手間なのでお手軽感もある。
おすすめ度:C
ZARD BLEND Ⅱ~LEAF&SNOW~ / ZARD
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著者:マー・田中(@kazeno_yukue)
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