大事MANブラザーズバンド 歴代アルバム感想&おすすめ度 (※更新中)

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大事MANブラザーズバンド 歴代アルバム感想

大事な気持

1991年1月25日

▼収録曲

01.お別れにCry On/02.何だっつんだSummer/03.日本一のオッペケレディー/04.一日たりとも恋は欠かさず/05.明日は晴れるから/06.GO-GOバレンシア/07.泣きそうな空に/08.MO-RIO/09.強引 Love Again/10.今一番 大事な人/11.出さずのLove Letter

1stアルバム『大事な気持』。

1982年にボーカル・立川俊之の出身地・埼玉県草加市で結成。1991年にシングル「MO-RIO」と今作でメジャーデビュー。メンバーは立川を中心に山田哲生(ギター)、戸村公彦(ベース)、田岡広宣(ドラム)、吉田理恵(キーボード)。ちなみにブックレットによると吉田さんには「吉田Pin×2理恵」という公式ニックネーム?があるようだ。

シングル「MO-RIO」(今作と同発)とカップリング「一日たりとも恋は欠かさず」を収録。4か月後の5月25日に「何だっつんだSummer」が(カップリングとして「お別れにCry On」も)シングルカットされた。

皆さんは「それが大事」の一発屋バンドというイメージしかお持ちじゃないだろうけど、実は彼らにはもう一つ「埼玉のサザンオールスターズ」という異名がある(何かの雑誌では「草加のサザン」とも書かれてた)。それは立川さんの歌い方やキーボードの女性が居るとか分かりやすい理由もあるんだけど一番は何でもありな音楽性。バンドブームの名残っぽい真っ直ぐなロックから、レゲエ、バラード、はたまたラテン調、おふざけパーティーソングだったりと曲調は幅広く面白い。

「お別れにCry On」「何だっつんだSummer」「明日は晴れるから」等は特に立川さんのメロディーメイカーっぷりを堪能できる。「お別れにCry On」なんかは1曲目にして今作で1番の美しい名曲だと思う。ラテンロックのような「何だっつんだSummer」に関してはいつ聴いてもバンドメンバーの演奏力が物凄いと感じる。1度で良いからライブ映像を観てみたい。どこかに残ってたりしないのかな?

バンドと同じ草加市育ちのアイドル歌手・森尾由美をモデルにした「MO-RIO」も面白い。アイドルがテーマなのにサウンドはおどろおどろしいフラメンコ調で、そこに立川さんのべらんめえ口調でまくし立てる早口歌唱が乗る狂気作。しかも歌詞はほのかに芸能界の闇を歌うような飛びっぷりだし。何でデビューシングルにこれを選んだんだ。

この音楽性の幅広さは確かに80年代サザンっぽい。「それが大事」みたいなストレート応援歌を期待して聴くとガッカリするかもだが、逆に「それが大事」だけのバンドでは無いんだという事も伝わってくる。90年代J-POP好きには刺さるであろう、良いメロディー揃いである。

ファンハウス時代の今作と次回作『これも大事』はサブスクで配信されていない。しかし「それが大事」と2番ヒットの「うたをうたおう」に関しては例外的に配信されてる。それが可能ならファンハウスの全作品配信してくれ!ヒットしなかった割に中古店ではそこそこ見かけてきたので、入手自体は難しくないと思うけどさ。

PS.ジャケットの仏頂面丸坊主少年は誰?

おすすめ度:B+

大事な気持 / 大事MANブラザーズバンド

これも大事

1991年9月1日 売上約18万枚

▼収録曲

01.Birthday Time/02.青春の弱点/03.クレアによせて/04.この恋は終わらない/05.愛しい人と逢える時/06.それが大事/07.これが最後のLove/08.Autumn Avenueを君と/09.本来・婚礼・一生問題/10.For My Parents

2ndアルバム『これも大事』。前作『大事な気持』から約8か月ぶり。

1週間前にリリースされたばかりだったシングル「それが大事」(160万枚)とカップリング「Autumn Avenueを君と」を収録。

最大ヒット「それが大事」を含んだアルバム。ただ「それが大事」のシングル盤は91年10月中旬に初チャートインしじわじわ売れて行き、初めて1位を獲ったのが91年12月。そのまま92年の6月まで100位以内に居た形。つまり今作は「それが大事」が売れ始める前に制作・リリースされている。

「それが大事」のヒットに引っ張られる形で今作も91年12月に初チャートイン。じわじわと順位を上げて行き、最高順位の11位は年を越えた92年2月に獲得している。結果的にアルバムで最大ヒット作となった。

大抵の場合、一発屋と呼ばれる歌手でも売上を調べてみると直後数作は余波でそこそこヒットしていたりするものだが大事MANブラザーズバンドの場合は「それが大事」(160万枚)の次の「うたをうたおう」が4万枚。チャート史上稀に見る落差。156万人どこ行った?というまさに一発屋中の一発屋。キングオブ一発屋である。

ただ僕も中学時代に「それが大事」目当てで今作を買った1人だが、「それが大事」以外のクオリティの高さに驚いた。1曲目「Birthday Time」のキレと勢いは完全にシングル級、2曲目「青春の弱点」もセツナロックと呼べる名曲(サビがサザンの「涙のアベニュー」に似てる)、続く「クレアによせて」なんかも極上メロディーが炸裂する名バラード。冒頭だけで「それが大事」だけのバンドでは無い事が伝わる濃厚な内容で、中学時代の僕は一気に虜になってしまったものだ。

個人的に最もお気に入りの曲は7曲目の「これが最後のLove」。「MO-RIO」や「何だっつんだSummer」の進化系といえるラテンロックで、立川さんの狂気的な早口歌唱はもちろんバンドの演奏力も半端ない。ライブ映像が観たい。

立川さんのべらんめえ口調全開な歌い方は聴く人を選ぶと思うけど最高の個性である。アルバムをすべて聴いた後には、寧ろ「それが大事」が綺麗すぎるというか優等生過ぎてつまらなく感じてくる。「それが大事」だけあえて飛ばすようになったら、もうあなたは立派な大事MANファンといえるだろう(自論)。

何でも前年の2シングル1アルバムがどれも不発に終わりレコード会社から「次で売れなかったら契約打ち切り」と宣言されていたらしく、背水の陣で制作されたのが「それが大事」、そして今作だったのだろう。その気合いがビンビンに伝わってくる。総じて前作『大事な気持』の進化系という感じで素晴らしいアルバム。

最大ヒット「それが大事」が収録されてる事から、今作がアルバムでの代表作となるんだろうけど残念ながらサブスク未配信。できればファンハウス時代の作品も配信頼むよ。

おすすめ度:A+

これも大事 / 大事MANブラザーズバンド

夏を待つ理由

1992年7月1日 売上約1万枚

▼収録曲

01.Say Yeah!!/02.ゆるぎない幸せのカタチ/03.Bye-Love/04.砂に消えた恋/05.夏を待つ理由/06.いなせでいこうよ!!/07.今年もお見事ワイハの衆/08.下町 My Favorite Sister/09.ちょっとずつ不本意な恋/10.人情MAN/11.荒波のうた

3rdアルバム『夏を待つ理由』。前作『これも大事』から約10か月ぶり。ファンハウスから日本コロムビアに移籍後初の作品

当初はシングル無しのアルバムとしてリリース。3週間後の7月21日に「Bye-Love」(0.6万枚)が(カップリングとして「夏を待つ理由」も)シングルカットされた。移籍前のシングル「うたをうたおう」は未収録

タイトルやジャケットの通り夏を感じさせるアルバム。その中でも「Bye-Love」はシングル化されただけあってかなり気合の入ったヒット性のある曲だし「ゆるぎない幸せのカタチ」も心地よいミディアムナンバー。「今年のお見事ワイハの衆」では一部キーボードの吉田さん(多分)が歌うパートもあったりと新たな境地も見せている。ただ前作まであった「MO-RIO」や「これが最後のLove」のような、狂気的ラテン路線の曲が無いのは寂しいところ。立川さんのべらんめえ早口歌唱を楽しみたい人にとっては物足りない部分もある。

また「埼玉のサザンオールスターズ」と呼ばれる彼らだが今作が全アルバム中で最もサザンっぽい。シングルカットされた「Bye-Love」なんかはモロに「YOU」だし。随所に80年代~90年代初頭のサザンぽさが散りばめられている。僕はサザン好きなので今作のテイストも好みだ。爽やかかつおしゃれな雰囲気もあり。

移籍して初のアルバムという事で気合を入れて作られたと思うんだけどチャート的には最高52位、約1万枚と不振に終わってしまった。「それが大事」旋風の余波はもう消え去ってしまってたのか。「それが大事」は最終チャートインが92年の6月なので今作リリースの直前までは売れ続けていたワケなのだが……。確かに「それが大事」のようなストレート応援歌は皆無なので、人が付いてこなかったのは分からなくもない。「それが大事」は好きだけど大事MANブラザーズバンド自体には別に興味ないよっていう人が殆どだったんだろうね。

おすすめ度:B

夏を待つ理由 / 大事MANブラザーズバンド

著者:マー・田中(@kazeno_yukue)

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