いきものがかり 歴代アルバム感想 #1 ~2007-2016~
こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
ここではいきものがかりのアルバム感想、各おすすめ度を発売順に綴ってまいります。
1st 桜咲く街物語
2007年3月7日 約26万枚
▼収録曲
01.SAKURA/02.KIRA★KIRA★TRAIN/03.HANABI/04.君と歩いた季節/05.コイスルオトメ/06.流星ミラクル/07.青春のとびら/08.ひなげし/09.ホットミルク/10.いろはにほへと/11.うるわしきひと/12.夏・コイ/13.タユムコトナキナガレノナカデ/14.SAKURA-acoustic version-
1stアルバム『桜咲く街物語』。メジャー1作目のアルバムであり、今作以前にはインディーズで3作アルバムが出ている。
シングル「SAKURA」(6万枚)「HANABI」(5万枚)「コイスルオトメ」(1万枚)「流星ミラクル」(2万枚)「うるわしきひと/青春のとびら」(1万枚)に加えC/Wから「ホットミルク」を収録。「夏・コイ」はインディーズアルバム『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました…』収録曲のリアレンジ。初回限定盤はスペシャルブックレット入りBOX仕様。
チャート順位は初登場の4位を超える事は無かったものの、その後3年以上に渡って売れ続ける驚異的なロングセラーを続けた。最終ランクインは2010年8月。2010年のベスト盤『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』に次ぐ自身2番目のロングセラーとなった。
デビュー曲「SAKURA」がヒットしたのは僕が高校2年の時。当時は正直「良い曲だけど一発屋だろうなぁ…」と思っていたし、2か月後の2ndシングル「HANABI」が今一つだったのもあってアルバムにまで手が伸びなかった(2010年頃に一応ベスト盤は聴いたんだけどそれっきり)。最近になってようやく「いきものがかりをしっかり聴いてみよう」と思い立ち1stアルバムである今作を聴いてみたんだけどビックリ。「こんなに良い曲揃いだったのか」と。
シングル以外でも「KIRA★KIRA★TRAIN」「君と歩いた季節」「タユムコトナキナガレノナカデ」等十分に気合の入った曲が並んでいる。後にいわゆる「国民的アーティスト」風を背負わされる事になるけど初期である今作はまだ粗削りな感じで、そこが今となっては魅力に感じられる。吉岡聖恵の歌い方もまだ「厚木のやんちゃな女の子」感が残っていていじらしい。
ただ男性メンバー二人もボーカルをとる「夏・コイ」は大好きな曲なんだけど、先にベスト盤『いきものばかり』の2010 versionを聴いていたせいか今作のバージョンはまだ未完成というか、キレが弱く思えてしまった。田中ユウスケ氏には申し訳ないが、これは本間昭光氏編曲の方が明確に良いかなぁ。
おすすめ度:B
2nd ライフアルバム
2008年2月13日 約25万枚
▼収録曲
01.Good Morning/02.茜色の約束/03.夏空グラフィティ/04.青春ライン/05.@miso soup/06.ソプラノ/07.花は桜 君は美し/08.ちこくしちゃうよ/09.心一つあるがまま/10.ニセモノ/11.東京猿物語/12.月とあたしと冷蔵庫/13.茜色の約束-acoustic version-
2ndアルバム『ライフアルバム』。
シングル「夏空グラフィティ/青春ライン」(3万枚)「茜色の約束」(4万枚)「花は桜 君は美し」(3万枚)に加えC/Wから「心一つあるがまま」を収録。初回限定盤は吉岡聖恵による描き下ろしイラスト入りフォトシート封入。m-floのベスト盤『Award SuperNova-Loves Best-』(8万枚)に阻まれたので最高順位は2位だったが、シングル・アルバム通じて自身初のTOP3入りとなった。
前作『桜咲く街物語』の頃までは「「SAKURA」の一発屋だろうな…」と勝手に思っていたワタクシだったが、その後も安定してスマッシュヒットを打ち続けていたので「あれ、意外と延命してるな」と感じていたのがこの時期だった。
とびきり弾けたサマーソング「夏空グラフィティ」は新境地だったし、auのCMソングとなっていた「茜色の約束」なんかはメロディーが非常に良いなと当時から感じていたものだ。10年以上経って初めてしっかり聴いたんだけど前作同様シングル以外にもストレートな良曲が多い。リード曲的存在の「Good Morning」はシングル級の曲だし初めてメンバーが編曲に参加した「月とあたしと冷蔵庫」も夜に聴くと映えるしっとり名曲。まさに王道J-POPアルバム。そんな中「東京猿物語」はちょっとおふざけ要素も加わっており楽曲の幅を見せようというメンバーの意向を感じる(個人的にはあまりおふざけな作風は似合わない気もするが…)。
おすすめ度:C+
3rd My song Your song
2008年12月24日 約46万枚
▼収録曲
01.プラネタリウム/02.気まぐれロマンティック/03.ブルーバード/04.スパイス・マジック/05.かげぼうし/06.帰りたくなったよ/07.message/08.Happy Smile Again/09.くちづけ/10.僕はここにいる/11.プギウギ/12.幻/13.心の花を咲かせよう/14.帰りたくなったよ-acoustic version-
3rdアルバム『My song Your song』。前作『ライフアルバム』から約10か月ぶり、2008年2作目のオリジナルアルバム。
シングル「帰りたくなったよ」(6万枚)「ブルーバード」(9万枚)「プラネタリウム」(3万枚)「気まぐれロマンティック」(4万枚)に加えC/Wから「Happy Smile Again」「message」を収録。初回限定盤はスペシャル三方背BOX仕様で特典としてスペシャルブックレット等が付属する。シングル・アルバムを通じて自身初のチャート1位を獲得、前作から大幅に売上が向上した。
前作に引き続き屈託のない王道J-POP。バンドとしてのエゴや自己主張は見られずとにかく良い歌を届けようという作風のようだ。収録されている4シングルはどれもキャッチーな名曲だけど、「Happy Smile Again」のようなC/Wとは思えない曲も入っていたりでシングルだけのアルバムにはなっていない。大半のシングルで水野良樹が作詞・作曲を手掛けているので水野一強のグループかと思われがちだがアルバム曲では山下穂尊制作のものも多い。「スパイス・マジック」「心の花を咲かせよう」等、水野曲に引けを取らないキャッチーさの山下曲もあるし(特に「心の花を咲かせよう」はベスト盤皆勤賞)。また今作より吉岡聖恵も単独で作詞・作曲を始めたのでメンバー全員が曲を作れるという状態になった。
おすすめ度:B
4th ハジマリノウタ
2009年12月23日 約56万枚
▼収録曲
01.ハジマリノウタ~遠い空澄んで~/02.夢見台/03.じょいふる/04.YELL/05.なくもんか/06.真昼の月/07.ホタルノヒカリ/08.秋桜/09.ふたり-Album version-/10.てのひらの音/11.How to make it/12.未来惑星/13.明日へ向かう帰り道
4thアルバム『ハジマリノウタ』。
シングル「ふたり-Album version-」(5万枚)「ホタルノヒカリ」(4万枚)「YELL/じょいふる」(14万枚)「なくもんか」(3万枚)収録。初回限定盤はスペシャル三方背スリーブBOX仕様。また同年5月に開催されたライブツアー『いきものがかりのみなさん、こんにつあー!!2009~My song Your song~』最終公演から5曲のライブ映像を収めたDVDが付属する。
前作『My song Your song』を超える売上を記録し、オリジナルアルバムでは自身最大のヒット作となった。また2010年度年間アルバムチャート8位に食い込み、『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』(年間2位)と共に2作同時の年間トップ10入りを果たした。
前年2008年には紅白歌合戦に初出場するなどして、この時期には既に「国民的アーティスト」に片足突っ込んでいた感もあったいきものがかり。1曲目の「ハジマリノウタ~遠い空澄んで~」が大作バラードという事もあってかアルバム全体にどっしりした貫録を感じる。
今作での水野良樹はシングル制作だけに留まり、何とアルバム曲は全て山下穂尊(7曲)と吉岡聖恵(1曲)が手掛けている。アルバム曲も水野曲と大きな差は無く、メンバー3人全員が非常に優れたソングライターである事が分かる。これは大きな武器であると思う(大抵作詞・作曲の才能はグループ内の一人に集中する傾向があるから)。特に山下曲の「ハジマリノウタ~遠い空澄んで~」はシングル以上の貫録を纏う素晴らしい名曲である。また「夏・コイ」(1st『桜咲く街物語』収録)以来の全員ボーカル曲となる爽快ナンバー「てのひらの音」なんかも入っておりバラード一辺倒でも無い。この時点でまだメジャーデビュー4年目だったが既に10年選手かのような抜群の安定感を醸し出す名盤。
おすすめ度:B+
1stベスト いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~
2010年11月3日 約143万枚
▼DISC.1 収録曲
01.SAKURA/02.うるわしきひと/03.青春ライン/04.茜色の約束/05.KIRA★KIRA★TRAIN/06.ノスタルジア/07.未来惑星/08.夏・コイ-2010 version-/09.タユムコトナキナガレノナカデ/10.今走り出せば/11.花は桜 君は美し/12.ソプラノ/13.月とあたしと冷蔵庫/14.ホットミルク/15.コイスルオトメ
▼DISC.2 収録曲
01.気まぐれロマンティック/02.ブルーバード/03.じょいふる/04.心の花を咲かせよう/05.YELL/06.キミがいる/07.ちこくしちゃうよ/08.Happy Smile Again/09.ありがとう/10.雪やまぬ夜二人-2010 version-/11.くちづけ/12.スピリッツ/13.風と未来/14.残り香/15.なくもんか/16.帰りたくなったよ
1stベストアルバム『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』。
これまでにリリースされたシングル・C/W・アルバム曲からメンバーが選出した楽曲を集めた自身初のベストアルバム。初回生産限定盤はブックレット付き三方背BOX仕様、115分に及ぶ『完全撮り下ろし!! オンガク情報バラエティ「イキイキTV」』収録DVD付属に加え「いきものランド」ガイドマップ&ポスター、入園チケット風カード、ステッカー、ポストカード等が封入されている。
シングルでは前作『ハジマリノウタ』以降にリリースされていた「ノスタルジア」(4万枚)「ありがとう」(21万枚)「キミがいる」(6万枚)がアルバム初収録。更に事前に着うた配信されていた「今走り出せば」「スピリッツ」、新曲「風と未来」が収録されている。また「夏・コイ」「雪やまぬ夜二人」の2曲は今作用に新たにリアレンジされた音源。
シングルA面では「HANABI」「流星ミラクル」「青春のとびら」「夏空グラフィティ」「プラネタリウム」「ふたり」「ホタルノヒカリ」が未収録となった。これに関してメンバーの水野良樹は「夏空グラフィティ」「プラネタリウム」「ふたり」等も収録したかったが容量の関係で諦めた旨をTwitterにて発言している。メジャーデビュー10周年の2016年には今作の拡大版とも言えるオールタイムベストアルバム『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』がリリースされ、そちらには「夏空グラフィティ」「プラネタリウム」「ふたり」が収録されている。
初のベストアルバムであるという事、更にNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』主題歌としてヒットしていた「ありがとう」初収録の効果も後押しして初動45万枚を叩き出しチャート初登場1位。2週目も20万枚(この時点で自己最高累計を突破)と猛烈な売り上げを見せ、発売から9週目に100万枚を突破し自身初のミリオンセラーを記録。現在でもいきものがかり最大ヒットアルバムとなっている。2010年度年間アルバムチャート2位となり、前作『ハジマリノウタ』(年間8位)と共に2作同時の年間トップ10入りを果たした。また翌2011年度年間チャートでも10位に入っており2年連続年間トップ10入りも果たしている。その後も今作の需要は衰えず数年間に渡って売れ続け、1stアルバム『桜咲く街物語』の148週を大幅に上回る合計219週という自身最大ロングセラーを記録した。最終ランクインは2017年1月。
王道J-POPを掲げるいきものがかりのベストアルバムという事で、それぞれの楽曲の良さは文句なし。どれもキャッチーさに溢れた名曲ばかりだ。吉岡聖恵の歌声は変なクセも無くストレートで、かつ無機質過ぎないという天性のボーカリストであると思う。
ただ31曲も選んでおきながらアルバム・C/Wからも大量に選出しておりシングル曲は全く網羅されていない。資料的に聴きたい初心者リスナーはここが少し不満に感じる点でもあるだろう。僕自身も最初に今作を聴いたとき(いきものがかりで最初に聴いたアルバムが今作だった)ベストなのに知らない曲が大量に入っていたので何が何だか分からず戸惑ったものだ。オリジナルアルバムを一通り聴いてから今作に戻ると中々豪華な選曲だなという事に気付くんだけどね。まぁ無理に通して聴こうとせず、知っている曲・気になっている曲だけをピックアップして楽しむというのが良いと思う。
2016年には拡大版と言えるオールタイムベスト『超いきものばかり』が出たので、今作はもう用済みかと思いきやそんな事は無い!と強く主張したい。それは2010 versionと銘打たれた「夏・コイ」「雪やまぬ夜二人」のリアレンジ2曲が収録されているという点だ。「夏・コイ」は男性メンバーも歌う爽やかなサマーポップス、「雪やまぬ夜二人」は雪の情景が目の前に浮かぶウィンターバラードでどちらもかなりの名曲。どちらも原曲より大幅に完成度が上がっているので是非とも今作収録の2010 versionの方を強くオススメしたいし、何より山下穂尊の才能にビビる。シングルA面のメインライターである水野の影に隠れてしまっているが、山下も全く引けを取らない優秀なソングライターである。
おすすめ度:B+
いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~ / いきものがかり
5th NEWTRAL
2012年2月29日 約41万枚
▼収録曲
01.歩いていこう/02.笑ってたいんだ/03.いつだって僕らは/04.KISS KISS BANG BANG/05.会いにいくよ/06.地球/07.センチメンタル・ボーイフレンド/08.白いダイアリー/09.恋詩/10.NEW WORLD MUSIC/11.愛言葉/12.おやすみ
▼DISC.2 なまものばかり~メンバーズBEST LIVEセレクション~(初回生産限定盤のみ付属) 収録曲
01.SAKURA-2010 LIVE at 日本武道館 ver.-/02.ありがとう-2010 LIVE at 横浜アリーナ ver.-/03.気まぐれロマンティック-2009 LIVE at 渋谷C.C.Lemonホール ver.-/04.歩いていこう-2011 LIVE at 国立代々木競技場第一体育館 ver.-/05.キミがいる-2010 LIVE at 日本武道館 ver.-/06.じょいふる-2010 LIVE at 日本武道館 ver.-/07.YELL-2010 LIVE at 日本武道館 ver.-/08.ブルーバード-2010 LIVE at 横浜アリーナ ver.-/09.コイスルオトメ-2010 LIVE at 横浜アリーナ ver.-/10.心の花を咲かせよう-2011 LIVE at 横浜スタジアム ver.-
いきものがかりの5thアルバム『NEWTRAL』。
2010年のベスト盤『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』を経て初のアルバムで、オリジナルアルバムとしては2009年の『ハジマリノウタ』以来約2年2か月ぶりのリリース。ボーカル・吉岡聖恵の28歳の誕生日にリリースされた。故に当日は吉岡のバースデーパーティー兼今作の発売記念イベントが六本木ヒルズアリーナで行われた(この模様はニコニコ生放送で生中継されたらしい)。
シングル「笑ってたいんだ/NEW WORLD MUSIC」(5万枚)「歩いていこう」(6万枚)「いつだって僕らは」(3万枚)収録。『いきものばかり』に収録されていた「ノスタルジア」「ありがとう」「キミがいる」の3シングルは未収録となった。
初回生産限定盤はスペシャル三方背スリーブBOX・デジパックケース仕様、ポストカード、ライブツアー2012チケット特別抽選先行案内など封入。また初回生産限定盤のみ、メンバー自身がセレクトしたライブ音源10曲を収録したライブアルバム『なまものばかり~メンバーズBEST LIVEセレクション~』が付属している。
ベスト盤がミリオンヒット、紅白にも連続出場とすっかり「国民的アーティスト」のポジションに足を踏み込んだ時期。ジャケット写真やタイトルからはクールなイメージが浮かぶが内容は別にクールでは無い。1曲目「歩いていこう」こそ6分超えの大作バラードだがその後は3連続でアッパーな楽曲が続く(「まぁ「笑ってたいんだ」も意外に6分超えてるんだけどね…)。特にリード曲として各音楽番組で披露しまくっていた「KISS KISS BANG BANG」はあの「じょいふる」を超えたんじゃないかという程に弾けたナンバーでアクセントとして非常に良い。
ただ前半の1曲1曲が濃い分、6曲目以降の印象が薄くなってくる。どれも良質な雰囲気はあるので何度も聴きかえせば染みてくるんだろうな。後半では吉岡聖恵が作詞作曲を手掛けた「白いダイアリー」が頭一つ抜けて良いメロディーだった。吉岡はアルバム1作につき1曲程しか曲を作らないけど、水野・山下に引けを取らないライティング能力があると思う。結局3人とも天才って事ですね…。
DISC.2 なまものばかり~メンバーズBEST LIVEセレクション~
初回生産限定盤にのみ付属するいきものがかり初のライブアルバム。ひとつの公演を丸ごと収録しているワケでは無く、2009年~2011年に行われたライブ音源からメンバー自身がセレクトしているので時期も場所もそれぞれバラバラ。でも時期によるボーカルや演奏の違いが分かる程のファンでは無いからか、サラリと聴いている分にはまるで一本のライブかのように思える。
CDに忠実に演奏するのを基本としているのか、非常に丁寧なボーカル・演奏で安定感抜群。ライブ盤ならではのガツンとした熱狂・うねりみたいなものは皆無である(せいぜい「じょいふる」が他より盛り上がる位か)。まぁいきものがかりの曲が好きなリスナーはそこまでのライブ感を求めていないだろうからOKなのかな。トークも入っておらず(曲終わりの吉岡の「ありがとうございました!」とか位)本当に楽曲音源のみという感じ。
印象的だったのは「コイスルオトメ」のアレンジが2016年のベスト盤『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』収録(「激情編」という副題が付いている)の本間昭光アレンジバージョンだった事。スタジオ音源の方を先に知っていたので、「このライブが元になっているのか…!」という驚きがあった。このアレンジは熱いロックバラードとなっていて断然原曲よりも好みだ。
おすすめ度:B
2ndベスト バラー丼
2012年12月19日 約28万枚
▼収録曲
01.風が吹いている-UK recorded version-/02.ありがとう/03.プラネタリウム/04.帰りたくなったよ/05.SAKURA/06.YELL/07.歩いていこう-piano intro version-/08.心の花を咲かせよう/09.茜色の約束/10.ふたり/11.明日へ向かう帰り道/12.コイスルオトメ/13.風が吹いている
いきものがかりのバラードベストアルバム『バラー丼』。
この時点まで発表されていたいきものがかりの全楽曲の中からバラードに該当する曲をピックアップしてまとめた自身初のバラード集。初回生産限定盤にはバラー丼限定仕様のマフラータオル、いきものカード付属。
シングル「風が吹いている」(7万枚)がアルバム初収録の他、「ふたり」もシングルバージョンでは初収録。また「歩いていこう」はピアノのイントロを追加した新バージョン。更にロンドンのリアル・ワールド・スタジオでレコーディングを行った「風が吹いている-UK recorded version-」が初収録音源として収められている(これはいきものがかり自身初の海外レコーディング音源である)。
2年前にリリースしたベストアルバム『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』と12曲中7曲が重複している影響もあってか累計売上は30万を下回り振るわなかったが、3rdアルバム『My song Your song』から5作連続でのチャート初登場1位を獲得。ランクインも81週とロングセラーにはなった。最終ランクインは2017年1月。
この年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピックのNHKテーマソングであった「風が吹いている」でいきものがかりに興味を持った人が手に取るには最適なベストアルバムだったかもしれないが、現在では特筆すべきポイントはあまり無い。「風が吹いている」を含んだベストならば2016年のオールタイムベスト『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』が存在するし、「明日へ向かう帰り道」以外は全曲が被っている(新録を除く)のでわざわざ今作に拘る必要性は薄い。
ただ美メロバラードというのはいきものがかりの魅力の一つであるので、アップテンポの曲は聴きたくない!とにかくバラードだけをピックアップして聴きたい!という欲求がある人にはオススメできる。やはりメロディーの良さは格別であるし“うた”の良さを再確認できる。バラード集という事で当然大人しめな曲調が続くので睡眠時のお供なんかには最適である。
初のロンドンレコーディングが行われたという「風が吹いている-UK recorded version-」はオーケストラを前面に押し出しより雄大なスケールに仕上がっている。元々オリンピックらしい壮大な曲だったのを更に特盛・重厚にしているので胸焼けしそうな部分もある。たまーに聴く位で良いかな…。僕としては原曲の方が好き。ちなみに9分を超える大作に仕上がっている。
おすすめ度:C+
6th I
2013年7月24日 約22万枚
▼収録曲
01.笑顔/02.1 2 3~恋がはじまる~/03.ぱぱぱ~や/04.恋跡/05.ハルウタ/06.マイサンシャインストーリー/07.なんで/08.あしたのそら/09.風乞うて花揺れる/10.MONSTER/11.恋愛小説/12.東京/13.風が吹いている/14.ぬくもり
6thアルバム『I』。
バラードベスト『バラー丼』から約半年ぶり、オリジナルアルバムとしては『NEWTRAL』から1年5か月ぶりの作品。タイトルの『I』はいきものがかりの頭文字「I」、また「愛」や「哀」等様々な意味を掛け合わせたものであるという。
シングル「ハルウタ」(6万枚)「1 2 3~恋がはじまる~」(2万枚)「笑顔」(5万枚)に加えカップリングから「あしたのそら」を収録。
また「風が吹いている」は一足先に『バラー丼』に収録されていたが、今作にも再び収録された。これは自身初の事である(ベスト盤でアルバム初収録となったシングルは『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』の時の「ノスタルジア」「ありがとう」「キミがいる」があるがこれらはいずれもオリジナルアルバムには未収録となっている)。
初回生産限定盤はスペシャル三方背BOX仕様。特典として「イッキーモンキーのiラジオ」を収めたDVD、スペシャルパノラマフォトシート、いきものカード、「いきものがかりのみなさん、こんにつあー!! 2013 ~I~」チケット特別抽選先行案内などが付属している。
3rdアルバム『My song Your song』から6作連続のチャート初登場1位を獲得したが、40万を超えた前作『NEWTRAL』から大幅に売上は下がった。
「風が吹いている」でバラードを極めたという意識があったのか全体的にバラード少な目で明るいアルバムという印象。
冒頭の良メロポップス「笑顔」、アップナンバー「1 2 3~恋がはじまる~」でだいぶ聴き応えがあるし5曲目の「ハルウタ」が特に印象強い。これは映画『名探偵コナン』主題歌で、「ブルーバード」を彷彿とさせる激しめナンバーなのだが何故かオールタイムベスト『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』には収録されなかったのでしっかり聴いたのは初めて。かなりの名曲だと感じたんだけどベスト盤から弾かれたのはメンバーが仕上がりに納得していないとかの理由でもあるんだろうか…?
あとアルバム曲ではラストナンバー「ぬくもり」が名バラードで気に入った。「風が吹いている」で壮大に終わるという道もあっただろうけどそれだと達し過ぎだったと思うので「ぬくもり」がラストで良かったと思う。
おすすめ度:B
7th FUN! FUN! FANFARE!
2014年12月24日 約18万枚
▼収録曲
01.FUN! FUN! FANFARE! -The Beginning-(instrumental)/02.GOLDEN GIRL/03.ラブソングはとまらないよ/04.熱情のスペクトラム/05.キラリ/06.LIFE/07.春/08.明日ハレルカナ/09.ジャンプ!/10.虹/11.陽炎/12.SNOW AGAIN/13.ワンゴール/14.涙がきえるなら/15.マイステージ/16.LIGHTS OUT -The Ending-(instrumental)
7thアルバム『FUN! FUN! FANFARE!』。
シングル「ラブソングはとまらないよ」(2万枚)「熱情のスペクトラム/涙がきえるなら」(3万枚)「GOLDEN GIRL」(1万枚)に加えカップリングから「虹」を収録。
初回生産限定盤はスペシャル三方背BOX・3面アザージャケットデジパックCD+DVDケース仕様、特典として「報道バラエティ『NEWS123』」を収めたDVD、「FUN! FUN! FANFARE!特製ミニポスターセット」「いきものカード044」「いきものがかりのみなさん、こんにつあー!! 2015~FUN! FUN! FANFARE!~ チケット特別抽選先行案内」が付属している。
2016年3月にはメジャーデビュー10周年記念ベスト『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』をリリース。そして2017年1月には「放牧宣言」と称してグループの活動休止を宣言したため、オリジナルアルバムとしては2019年12月の『WE DO』まで約5年間空く事となる。
相変わらず安定の王道作風。タイトルやジャケットはパリピ感万歳に異様に弾けているが、内容自体は特別弾けているという訳では無い。「ラブソングはとまらないよ」や「GOLDEN GIRL」等のシングルはリリース当時「悪くは無いんだけどマンネリだな…」と感じていたが、こうしてオリジナルアルバムの中で聴くとやはり風格があるなと思えた。少し時間を置いてフラットな気持ちで聴いたのも良かったのかもしれない。
また今作はシングル以上にアルバム曲が充実。「キラリ」「LIFE」「SNOW AGAIN」「マイステージ」等はどれもシングル級の良曲である。特に「SNOW AGAIN」は90年代ウィンターソングのようなキレッキレオーラを纏っており、オールドJ-POPファンの方には是非オススメの一曲だ。せめてベスト盤に選出してあげて欲しかった…。ただコンセプチュアルな感じを狙ったのか冒頭とラストにインストが入ってるんだけど、どちらも1分弱で終わってしまうしこれは特に無くても良かったような…。
おすすめ度:B
3rdベスト 超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~
2016年3月15日 約34万枚
▼DISC.1 収録曲
01.SAKURA/02.キミがいる/03.気まぐれロマンティック/04.茜色の約束/05.あなた/06.キラリ/07.帰りたくなったよ/08.ふたり/09.コイスルオトメ-激情編-/10.涙がきえるなら/11.いこう/12.なくもんか/13.心の花を咲かせよう/14.地球
▼DISC.2 収録曲
01.ありがとう/02.じょいふる/03.ブルーバード/04.いつだって僕らは/05.翼/06.歩いていこう/07.YELL/08.GOLDEN GIRL/09.Good Morning/10.Sweet! Sweet! Music!/11.1 2 3~恋がはじまる~/12.東京/13.恋詩/14.熱情のスペクトラム/15.マイステージ/16.会いにいくよ
▼DISC.3 収録曲
01.風が吹いている/02.笑ってたいんだ/03.ラブソングはとまらないよ/04.NEW WORLD MUSIC/05.うるわしきひと/06.夏空グラフィティ/07.KISS KISS BANG BANG/08.花は桜 君は美し/09.プラネタリウム/10.LIFE/11.ラブとピース!/12.真夏のエレジー/13.笑顔/14.夢題~遠くへ~ -No Fade Out ver.-/15.ぼくらのゆめ
▼DISC.4 超B面ばかり+メンバー泣きの三曲(初回生産限定盤のみ付属) 収録曲
01.ホットミルク/02.甘い苦い時間/03.二輪花/04.蒼い舟/05.月夜恋風/06.最後の放課後/07.夏色惑星/08.おもいでのすきま/09.オリオン/10.my rain/11.赤いかさ/12.ホントウノヒビ/13.ハジマリノウタ~遠い空澄んで~/14.白いダイアリー/15.ノスタルジア-Original Lyrics ver.-
ベストアルバム『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』。
2010年の『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』、2012年の『バラー丼』に続く自身3作目のベストアルバム。メジャーデビューしてちょうど10年の日にリリースされた。タイトルの「てんねん記念」とは「メジャー10年」の10を英語にした「ten」と、天然記念動物・カワウソ(ボーカル吉岡聖恵の風貌に似ているとされる)の意が掛かっている。
『いきものばかり』同様、これまでにリリースされたシングル・カップリング・アルバム曲からメンバーが選出した楽曲を収録している。シングルでは前作『FUN! FUN! FANFARE!』以降にリリースされた「あなた」(2万枚)「ラブとピース!/夢題~遠くへ~」(1万枚)がアルバム初収録。また新曲として「いこう」「翼」「Sweet! Sweet! Music!」「真夏のエレジー」「ぼくらのゆめ」の5曲が含まれている。この内「ぼくらのゆめ」は8月に次のシングルとしてリカット(新曲「ラストシーン」と両A面 1万枚)された。
初回生産限定盤にはDISC.4が付属。こちらには『超B面ばかり+メンバー泣きの三曲』として、主にアルバム未収録となっていたカップリング曲に加えメンバーそれぞれが「泣きの1曲」として選んだ3曲が収録されている。このうち「ノスタルジア」はインディーズ1stアルバム『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました…』収録の歌詞に戻したバージョン(演奏自体はメジャー版と同一である)。
シングルA面では「HANABI」「流星ミラクル」「青春のとびら」「青春ライン」「ホタルノヒカリ」「ハルウタ」が未収録となった。このうち「青春ライン」以外は前ベスト『いきものばかり』にも未収録。また『いきものばかり』リリース時に水野良樹がTwitterにて容量の関係で収録を断念したと発言した「夏空グラフィティ」「プラネタリウム」「ふたり」の3曲は今作に収録された。
翌2017年1月に「放牧宣言」と題してグループとしての無期限活動休止を発表したため、結果的に今作は活動休止前を総括したベストアルバムという立ち位置になった。
時系列ではなく、各DISCの冒頭に代表曲・有名曲を配置しそれぞれ独立したアルバムとして聴く事が出来る重量級ベストアルバム。王道志向のいきものがかりだけあってシングルA面曲のクオリティは文句なし。どれも素晴らしい楽曲ばかりだ。今作独自のアレンジが加えられ熱いロックバラードと化した「コイスルオトメ-激情編-」なんかは原曲よりも断然好きだし今作ならではのポイント。実質的に『いきものばかり』の拡大版として機能する内容なので、一先ずいきものがかりを聴いてみようと思い立った人は今作を手に取るのがオススメです。
ただ『いきものばかり』の時もそうだったけど今回もアルバム・カップリングから存分に選出されておりシングル曲は全く網羅されていないので資料的に聴きたい場合には不満が残るだろう。楽曲至上主義故に聴いてもらいたい曲が多いのは分かるがちょっと選び過ぎだと思う。この量ではどんなに良い曲でも埋もれてしまう。まぁ3枚組の重量級ベストを一気に聴くライトリスナーはそんなに居ないとは思うけど、もっとスマートな分量にしても良かったんじゃないかなとは感じる。15周年辺りで是非とも機械的なシングルコレクションのリリースを望む(次回作『WE DO』にスルーされた「ラストシーン」もそこで回収という事で…)。
DISC.4 『超B面ばかり+メンバー泣きの三曲』
初回限定盤のみ付属するカップリングコレクション+3。シングルA面は水野良樹、カップリング曲は山下穂尊が手掛けるという大まかな役割分担があるため実質的に山下DISCとなっている。役割だけ見ると水野と比べて二番手作家という位置に感じるが、楽曲のクオリティにはそこまで差は無くアルバムの山下曲には名曲も多い。今作収録のカップリングは流石に軽い感じの曲が多いが、逆にこれぞ路上出身バンドという雰囲気で中々悪くない。「最後の放課後」や「おもいでのすきま」なんかは特に良い曲だなと思った。
「メンバー泣きの三曲」はどの辺がどう「泣き」なのか気になるが、メンバーそれぞれが選んだという事でやはりそれぞれの自作曲が収録されている。「ハジマリノウタ~遠い空澄んで~」は山下必殺のバラードだし「白いダイアリー」も吉岡屈指の名曲だと思う。ただやはりこうして重量級ベスト盤の隅っこで聴くよりも、それぞれ収録先のオリジナルアルバムで聴いた時の方が俄然名曲に感じたな。
おすすめ度:B+
超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~ / いきものがかり
※この続きは下記記事です
著者:マー・田中(@kazeno_yukue)
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