河村隆一 アルバム感想 #1 ~1997-2002~

河村隆一
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はじめに

こちらでは河村隆一のアルバム感想を載せていきます。

↓シングル他楽曲単位の感想は下記記事でございます

河村隆一 シングル&名曲感想 ~1997-2002~
河村隆一 シングル&名曲感想 ~1997-2002~ 1997年のJ-POP界の顔と言えば、安室奈美恵やGLAYと並んで河村隆一の名前も挙げられる。1996年末に活動休止を発表したロックバンド・LUNA SEAのボーカルRYUICHIがソ...

Cranberry Soda

1997年6月21日
初登場1位、初動25.0万枚、売上72.4万枚

収録曲

01.TWINKLE/02.BALLOON/03.ORANGE/04.REAL/05.RED/06.DEMO/07.SE,TSU,NA

作品概要

1stミニアルバム『Cranberry Soda』。1997年、LUNA SEAのボーカル・河村隆一がバンド活動休止に伴いソロ活動を開始してから初のアルバム作品。

この時点でシングル「I love you」「Glass」がリリースされており、前者は70万枚、後者はミリオン突破とそれぞれ大ヒットを飛ばしていたが今作にはどちらも未収録で全曲新曲で構成されている。「DEMO」はタイトルの通りデモテープの未完成音源で、フルアルバムにて完成形を発表すると公言し予告通り5ヶ月後の1stフルアルバム『Love』にて完成形「でも淋しい夜は…」として収録・発表された。また「SE,TSU,NA」は1stフルアルバムにAnother mixとして再度収録された。

ソロでは初のチャート1位を獲得。オール新曲のミニアルバムながら70万枚を超えるヒットとなりこの年の4シングルと同じ位のセールスを残した。

感想

1997年の河村隆一は無敵だった。シングル4作がどれも大ヒットを飛ばし、年末の1stフルアルバム『Love』が日本国内の男性ソロアーティストアルバム歴代1位を記録する天文学的大ヒット…。そんな無双状態だった1997年の彼のヒストリーの中でも、今作の存在はあまり語られない。確かに地味な立ち位置ではあるし内容もシングル無しなのでどれも一癖ある曲ばかり。下手したら4シングルそれぞれのカップリング曲の方がキャッチーなものが揃っていたと思う。

そんな今作だが、『Love』に代表される絶対的な1997年のオーラには包まれていてひたすら河村隆一のディープな世界を堪能できる。「TWINKLE」や「BALLOON」のどこか可愛らしいメロディーも魅力だしこの並びで聴くと「SE,TSU,NA」の名曲ぶりが『Love』の時よりも伝わってくる。『Love』だけ聴いて今作を聴かないのは非常にもったいない。無敵街道爆走中の河村隆一が、喧騒の中ふと立ち寄った喫茶店で休憩している、そんな一作。

しかしこの時点で「I love you」が70万枚超え、「Glass」に至ってはミリオン突破と大ヒットシングルが2作も出ていたのに容赦なく未収録にするのが凄い。その2つ入れてれば絶対もっと売れるの確定してるのに。リスナーも「え!?あの2曲入れないの!?」って絶対思っただろうし。目先の売上に飛びつかないあたり、よっぽど年末のフルアルバムに自信があって、照準を合わせていたんだろうな。まぁその戦略はしっかり大成功するわけだ。(2022.1.19更新)

おすすめ度★★★★☆

Love

1997年11月22日
最高1位、初動102.1万枚、売上278.8万枚

収録曲

01.I love you(Album mix)/02.好き/03.涙色/04.Birthday/05.Love song/06.BEAT(Album mix)/07.蝶々/08.Love/09.Evolution/10.小さな星/11.Glass(Album mix)/12.でも淋しい夜は…(Live)/13.SE,TSU,NA(Another mix)/14.Love is…(Album mix)/15.Christmas/16.Hope

作品概要

1stアルバム『Love』。ミニアルバム『Cranberry Soda』から約5ヶ月ぶり、自身初のフルアルバム

シングル「I love you」(4位 75.4万枚)「Glass」(2位 101.1万枚)「BEAT」(4位 77.8万枚)「Love is…」(4位 72.5万枚)に加え、『Cranberry Soda』から「SE,TSU,NA」をAnother mixで収録。上記4シングルは全てAlbum mixとされている。「でも淋しい夜は…(Live)」は『Cranberry Soda』に収録されていたデモ音源「DEMO」の完成形としてライブバージョンで収録。

今作には当時隆一が行っていた楽曲提供作品のセルフカバーも多く収録されている。「好き」(Say a Little Prayerへ提供)「涙色」(酒井法子へ提供)「蝶々」(酒井法子へ提供)「小さな星」(Say a Little Prayerへ提供)「Christmas」(猿岩石へ提供)の5曲はセルフカバーである。

満を持してのフルアルバムだった事もあり初動ミリオンを叩き出したものの、B’zの『SURVIVE』(初動104.0万枚)に僅かに届かず初登場は2位。翌週も65万枚を売り上げ、2週目にして1位を獲得した。最終的に270万枚を突破する空前の大ヒットとなり、これは現在も日本国内の男性ソロアルバム売上歴代1位の記録である。98年度年間アルバムランキング4位。

感想

1997年の河村隆一は無敵だった、というのは当ブログ『風の行方』でよく言っていることだがその1997年の集大成がまさに今作『Love』である。男性ソロアルバム歴代1位、278万枚という売上も凄いが内容もその記録に全く見劣らず、素晴らしくキャッチーでポップかつ濃厚な河村隆一ワールドに溢れている。先行4シングルの名曲ぶりは言わずもがな。他「好き」「涙色」「小さな星」などもシングル級の必殺ナンバーでたまらん。小品に思える「Love song」「Love」等もメロディーがキレキレ。全体的にポップで温かみがあるんだけど鋭さも兼ね備えていてそこが誰も入り込めない1997年のオーラというものなのだろう。

わたくしマーとしても中学時代に出会ってから何回聴いてウットリしたか分からないほど聴き込んだ思い出の一作。波の音で始まり、波の音で終わっていくという全体の構成も美しく衝撃だった。僕のJ-POP史始まりの1作のひとつだしスピッツ『ハチミツ』、Mr.Children『深海』に並ぶ個人的J-POP3大名盤のひとつです。超おすすめ。

上記にもあるが前作『Cranberry Soda』に入っていたデモ音源「DEMO」の完成形が「でも淋しい夜は…(Live)」なんだけど「DEMO」と「でも」をかけている所が中学時代ニクイ事するな隆一~と思ったものだった(ここまでお気に入りのアルバムだとこんなちょっとした部分にも感動をおぼえるのだ)。

余談だがこんなに好きなアルバムだと力説しているけど、シングル曲のAlbum mixが、シングル収録時とどう違っているのかは未だに分からないんだよね。「I love you」のイントロの前に波の音が入っているのは明確に分かるけど他の3シングルの違いは…? CDで聴き比べた事もあるんだけど「BEAT」がほんのり全体的な音の広がりが違うかな~という程度だった。知っている方がいたら、違いを是非教えてください。(2022/1/25更新)

おすすめ度★★★★★+2

深愛~only one~

2001年12月19日
初登場5位、初動6.6万枚、売上13.1万枚

収録曲

01.Ne/02.in the sky/03.Tomorrow/04.forget about you/05.君の前でピアノを弾こう/06.夢で逢える/07.my first love/08.confession/09.きらら(ac live version)/10.静かな夜は二人でいよう/11.恋をしようよ/12.きよしこの夜/13.憂鬱(inst)/14.ジュリア/15.深愛~only one~

作品概要

2ndアルバム『深愛~only one~』。前作『Love』から約4年1ヶ月ぶり。2000年末のLUNA SEA終幕後、初のソロアルバム

シングル「Ne」(5位 16.7万枚)「静かな夜は二人でいよう」(6位 6.6万枚)「ジュリア」(6位 9.0万枚)「君の前でピアノを弾こう」(9位 6.1万枚)「恋をしようよ」(18位 3.6万枚)収録。13曲目は初回盤では「Merry X’mas and Happy new year」、通常盤では「憂鬱(inst)」が収録されている。またシングル曲には冒頭にSEが加えられたりと変更が施されている。

「in the sky」(工藤静香)「Tomorrow」(メモリーキャッツ)「my first love」(上原多香子)「きらら(ac live version)」(工藤静香)「きよしこの夜」(KIYOSHI(氷川きよし))「深愛~only one~」(Say a Little Prayer)の6曲は提供曲のセルフカバー

278万枚を突破した前作『Love』から一気に累計13万枚。シングル「Ne」の売上をも下回ってしまい、『Love』から265万人が去る大暴落となってしまった

感想

中学時代、今作を初めて聴いた率直な感想は「なんじゃこりゃ、全然良くない…」だった。前作『Love』はわたくしマーの心の名盤トップ3に入るほどにお気に入りで大好きだったので、2ndである今作もさぞかし大名盤なのだろう、どんな名曲を聴かせてくれるのだろうと期待値マックスで聴いたのがマズかったのか。2001年の河村隆一は徹底的に97年の栄光を追い求め、シングル・アルバムのジャケットも統一し、アルバムの構成まで『Love』をなぞったものになっていたのでより比較してしまったんだよね(その年1発目のシングルをアルバム1曲目にする、2・3曲目は提供曲のセルフカバーを配置、中盤にライブ音源を1曲収録する、15~16と多めの曲数にする等)。

「Ne」や「ジュリア」、表題曲「深愛~only one~」は名曲だと思ったが、他のシングルやアルバム曲がどうにも最初ハマらなかった。97年に纏っていた河村隆一の絶対的なオーラが消え去ってしまったというか…これは上手く言葉に出来んのだけど。97年でいうと「Glass」に相当する「静かな夜は二人でいよう」も思いっきりフツーのバラードって感じで…。全曲ポップで良い曲なんだけどそれ以上でもそれ以下でも無いというかね。普通過ぎるよと。97年にはもっとキレと鋭さがあったのよと。中学時代のマーはガックシきたんですよね。大成功だった1997年の再来を目指し見事に失敗した…4年で時代はすっかり変わっていた…それが2001年の河村隆一…という印象がやっぱり。

しかし初めて聴いてから20年程経ってやっと冷静に聴けるようになり、やっと最近になって好きなアルバムになってきた。殿堂入りの『Love』を除外して考えようと。このアルバム単品で考えたら非常に心地いいポップス集じゃないかと現在は感じている。上原多香子へ提供した「my first love」なんかは雄大な自然の中にいるような気持ちになれる名曲だし。後になって「意外に良かったんだ」と徐々に評価を上げていったアルバムだった。(2022/2/7更新)

おすすめ度★★★★☆

人間失格

2002年7月17日
初登場18位、初動1.7万枚、売上2.2万枚

収録曲

01.So Deep/02.かけがえのない人/03.愛欲のまなざし/04.古(いにしえ)の炎(ひ)/05.liar’s hymn/06.うたかた/07.Stop the time forever

作品概要

2ndミニアルバム『人間失格』。1997年の『Cranberry Soda』以来のミニアルバム。アルバムとしては前作『深愛~only one~』から約7ヶ月ぶり。

同年7月27日に公開された映画『ピカレスク 人間失格』で主人公・太宰治役を演じた河村隆一が、太宰の人間性にインスパイアされて制作された書き下ろしコンセプトミニアルバム。「Stop the time forever」はこの映画の主題歌にもなっている。コンセプトにそぐわないため4月にリリースされていたシングル「Sugar Lady」は未収録

前作『深愛~only one~』もその前に比べかなり暴落したが、今作はコンセプトミニアルバムという特殊な作品である事も響きトップ10落ち、累計2万枚と売上はかなり不振だった。

感想

ジャケット写真は温度低いし、コンセプト元である映画も何だか固そうなのでどんより漆黒な作品かと思っていたけど聴いてみるとそうでもなく、「So Deep」のようなロック、「かけがえのない人」のようなしっとりバラード、「うたかた」のような明るめポップと結構色んなジャンルの曲が入っている。太宰治にインスパイアされたというだけあってテーマはどれも重たい愛を歌っている。映画とセットで聴けばきっともっと深く味わい深く聴こえてくる曲ばかりだろうな。メロディアス系隆一バラードが好きな僕としては「かけがえのない人」や、ラストの壮大バラード「Stop the time forever」がお気に入り。

コンセプト元となった『ピカレスク 人間失格』という映画は全く知らなかったし観ていない。「昭和のナルシスト」太宰治を「平成のナルシスト」河村隆一が演じるという事で当時話題になったらしいが…。ちなみに太宰の著作『人間失格』を映画化したわけではなく、猪瀬直樹の著作『ピカレスク-太宰治伝-』を原作としており太宰治の生涯を描いた作品であるという。大学時代文学部で、太宰治のゼミにも入っていた事がある身としてはいずれ観てみたい(お前それなのに知らねーのかよっていう指摘は無視する)。(2022/2/8更新)

おすすめ度★★★★☆

very best of songs…

2002年9月26日
初登場8位、初動4.5万枚、売上7.5万枚

収録曲

01.I love you/02.Glass/03.SE,TSU,NA/04.BEAT/05.Love is…/06.Ne/07.静かな夜は二人でいよう/08.ジュリア/09.君の前でピアノを弾こう/10.恋をしようよ/11.Sugar Lady[ballad version]

作品概要

ベストアルバム『very best of songs…』。ミニアルバム『人間失格』から約2ヶ月ぶり。

自身初のベストアルバム。ここまでリリースされていたシングル9作と、ミニアルバム『Cranberry Soda』収録曲だった「SE,TSU,NA」、そしてこの時点での最新シングル「Sugar Lady」のバラードバージョンを収録。4曲(「Glass」「BEAT」「Ne」「Sugar Lady[ballad version]」)のPVを収録したDVDと、河村隆一書き下ろしエッセイ集(48ページ)が付属する。

2013年に高音質SHM-CD仕様で再発された時には『very best of songs…[essence]』と新たなタイトルが付けられ付属品無しのCDのみであった。

感想

今作が出た当時の印象は「確かにベストだけど、正直ビミョー…」。楽曲自体はどれも名曲なんだけど、この並びで聴いてもあまりワクワクしないというか。97年・01年とほぼ2年分のシングルしか入っておらず、1stアルバム『Love』と2ndアルバム『深愛~only one~』を揃えれば「Sugar Lady」以外の楽曲は揃う。特に『Love』を大絶賛していたわたくしマーは、今作だけでは河村隆一の魅力がイマイチ伝わらないぞ…と歯がゆく感じたし、「河村隆一のアルバム貸して!」と言ってくる友人には今作ではなく迷わず『Love』を渡していたものだった。

しかし今のところ河村隆一のベストアルバムは今作と04年の『Dear…』2作のみしか出ていない。その内『Dear…』はバラード曲を集めたセレクション盤になっているので、河村隆一の純粋なるベスト盤を聴こうと思ったら今作一択となるわけだ。前述の通り楽曲自体の素晴らしさは言わずもがなだし誰もが『Love』『深愛~only one~』のフルアルバム2枚を聴く気力があるわけではない。河村隆一のヒット期を手軽におさえるには分かり易いベスト盤であるのは事実であろう。

ジャケットやブックレットに隆一の写真が無い。『Love』や『深愛~only one~』のブックレットではこれでもかと本人の写真が散りばめられていたのだが…。付属のエッセイ集も、長い文章ではなく細かいポエム集のような仕上がりで暗めなトーン。言うなれば、かつてCHAGE and ASKAのASKAが一部オリジナルアルバムのブックレットに載せていたような世界観系散文詩のダウナー版だ。せっかくのベスト盤なのになんでこんな暗いんだよ? 栄光の97年を追い求め見事に撃沈した01年のショックから抜けきれずダークモードに陥っている(闇堕ちしている)のだろうか…と、当時は妙に心配になったものだ…。(2022/2/9更新)

おすすめ度★★★★☆

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