Mr.Children 歴代アルバム感想 #2 ~2002-2012~
こんにちは、孤独なJ-POPファン、マー・田中(@kazeno_yukue)でございます。
この記事ではMr.Childrenの各アルバム感想・それぞれのおすすめ度を、発売順に記載してまいります。
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10th IT’S A WONDERFUL WORLD
2002年5月10日 売上約122万枚
▼収録曲
01.overture/02.蘇生/03.Dear wonderful world/04.one two three/05.渇いたkiss/06.youthful days/07.ファスナー/08.Bird Cage/09.LOVE はじめました/10.UFO/11.Drawing/12.君が好き/13.いつでも微笑みを/14.優しい歌/15.It’s a wonderful world
10thアルバム『IT’S A WONDERFUL WORLD』。
メジャーデビュー10周年記念日に発売された。仮タイトルは『この醜くも美しい世界』だったがドラム・鈴木英哉が「『DEAR WONDERFUL WORLD』はどうか」と提案してきて、そこから最終的に『IT’S A WONDERFUL WORLD』に決定したという。
シングル「優しい歌」(47万枚)「youthful days」(69万枚)「君が好き」(51万枚)に加えカップリングから「Drawing」を収録。2002年はCD不況が一気に襲いかかってきた年だったがそんなん知るかとばかりに前作『Q』以上の初動を記録。累計でも前作を超え100万枚を突破し、CD業界全体が急速に売上を落とす中で再びミリオンに返り咲くという離れ業を魅せてくれた。
今作発売後、ライブツアー『TOUR 2002 DEAR WONDERFUL WORLD』『TOUR 2002 IT’S A WONDERFUL WORLD』を開催予定だったが、7月に桜井が小脳梗塞で入院したため全公演が中止となった。約半年間の療養期間後、12月21日に横浜アリーナにて一夜限りのライブ『TOUR 2002 DEAR WONDERFUL WORLD IT’S A WONDERFUL WORLD ON DEC 21』を行った。
僕がミスチルファンになって初めてリアルタイムで発売日に購入した作品。そのため個人的に思い入れも強く、アニバーサリー的(?)な印象を勝手に持っているのだがミスチルにとってもこれは非常に重要なターニングポイントとなったアルバムだ。なんといっても王道ポップス路線に舞い戻ったというのが最大の注目点だろう。収録されている曲調は様々だが、全体的にポップかつ温かみのある雰囲気で進んでいく。『深海』から長らく続いていたモヤモヤ感が一気に払拭され、バンドがニュートラルなステージに立った事がハッキリと伝わってくる。
実質オープニングナンバーの「蘇生」では「何度でも僕は生まれ変わっていける」と高らかに深海脱出を宣言。冒頭の、1曲目インスト~そのままノンストップで3曲目まで続くという流れは『深海』の「Dive」~「シーラカンス」~「手紙」の流れをあえて意識したものに思えて仕方ない。ラスト前の「優しい歌」はミスチル自身のこれまでの活動の歩みを歌っているのではとも噂される総括的な曲。1曲目から聴いていきこの曲までたどり着くと何だか感動的だ。ここからミスチル自身2度目の全盛期を迎える。2012年のベスト『Mr.Children 2001-2005<micro>』に収録された曲も多く、現在ではあまり聴きかえす事は無いんだけど完成度という面では素晴らしいと思う。
おすすめ度:B+
11th シフクノオト
2004年4月7日 売上約141万枚
▼収録曲
01.言わせてみてぇもんだ/02.PADDLE/03.掌/04.くるみ/05.花言葉/06.Pink~奇妙な夢/07.血の管/08.空風の帰り道/09.Any/10.天頂バス/11.タガタメ/12.HERO
11thアルバム『シフクノオト』。
タイトルには「至福の音」「私服の音」「至福ノート(譜面)」等、様々な意味が込められている。仮タイトルは『コミックス』。
シングル「Any」(50万枚)「HERO」(55万枚)「掌/くるみ」(65万枚)に加え、カップリングから「空風の帰り道」を収録。また「タガタメ」は2003年9月からラジオ限定で解禁されていた曲であり今作で初のCD化となった。初回限定盤にはレコーディング風景やインタビューを収めたDVDが付属する。
売上が復調した前作『IT’S A WONDERFUL WORLD』からさらに初動・累計共に跳ね上がり大ヒットを記録。2000年以降のオリジナルでは自身最大のヒットアルバムとなった。既にCD不況真っただ中だった2004年当時、ここまでセールス面で復調を見せたなんて今考えても本当奇跡的だ。
2002年は桜井の小脳梗塞により予定されていたライブツアー2本が中止になったものの、半年間の療養を経て12月11日にシングル「HERO」をリリース。更に12月21日には横浜アリーナにて一夜限りのライブを行い完全復帰に思えたが、次のシングル「掌/くるみ」までは1年というブランクが空いた。桜井は体調も回復し活動する気まんまんだったようだが、復活後のMステトークでドラム・鈴木の「諸事情」によって本格的な活動再開が遅れたという事が発覚。ブランクの詳しい理由は未だ不明だが、雑誌のインタビューではバンド活動を止めてしまったという責任から桜井が無理をしてしまわないように、あえて鈴木が休みをとった等と語られている。
前作でスタートした2度目の全盛期がいきなり絶頂に来た感のある名盤。全編通してとにかく隙が無い。1曲目からマイナーでやや変化球な曲だがこれはこれで凄く味があって良いし、シングル級の爽快ナンバーである2曲目「PADDLE」からはもう怒涛の勢い。重たいメッセージソング「タガタメ」と「HERO」の配置は意図的らしく、「タガタメ」で歌われているようなスケールの大きな悩みや問題も、元をたどれば一人のちっぽけな人間の想いから生まれくるのだ…という事をこのラスト2曲の流れで表しているんだとか。
前作に引き続き迷わず今作もリアルタイムで購入したので思い入れも半端無く何回聴いたかわからない。発売から数年経ち高校生になってから周りに聞くと、特にミスチルのファンってわけでは無いんだけど『シフクノオト』だけは持っているという人が多かった。ごく狭い範囲の話かもしれないが「あぁ、このアルバムは他より頭一つ抜けて世間的に浸透してるんだな」ということを肌で実感したものだ。もちろん内容・完成度のレベルも凄まじいし、21世紀に入ってからの名盤を一つ選ぶとしたらコレになるんじゃないかな。あと個人的に歴代“発売日が待ち遠しくて仕方が無かったCD”1位が今作である(どうでもいい?)。
おすすめ度:A+
12th I♥U
2005年9月21日 売上約113万枚
▼収録曲
01.Worlds end/02.Monster/03.未来/04.僕らの音/05.and I love you/06.靴ひも/07.CANDY/08.ランニングハイ/09.Sign/10.Door/11.跳べ/12.隔たり/13.潜水
12thアルバム『I♥U』。タイトルは「アイ・ラヴ・ユー」と読む。
シングル「Sign」(77万枚)、4曲A面「四次元 Four Dimensions」(92万枚)から「未来」「and I love you」「ランニングハイ」収録。「四次元~」からは「ヨーイドン」のみ未収録となった(2023年現在でも完全アルバム未収録)。歌詞カードは文字の並びによって絵が作られているという一風変わったものになっている。
「死の匂い」「衝動」「情熱」をテーマに掲げた一作というだけあって、全体的に激しい感じの曲が多い。1曲目かつリード曲の「Worlds end」から駆け抜ける系ナンバーで中々テンションが高く、その後も「Monster」「ランニングハイ」「Door」「跳べ」と叫び気味の曲が目立つ。特に「Monster」や「Door」はミスチルの持ち味であるメロディアスな要素が一切無く、ホントにただしゃがれ声で叫んでるだけの曲なので受け付けない人もいると思う。実際僕もこれらの良さを感じるまで時間がかかった。しかしその中で「僕らの音」「靴ひも」「CANDY」といった王道のミスチルナンバーも健在であり、これらはかなりの名曲。ラストの「潜水」は最初タイトル見たとき「また『深海』に戻るのか?」とギョッとしたけどそんなに重い雰囲気の曲でも無かったので安心した。
桜井さん曰く「自分の中では最高傑作だが、あまり良い評判をきかない」アルバムらしいが確かに好き嫌い別れる一作ではあるかもしれない。僕は前後作ほどではないけど安定して好きな一作である。ただ「Sign」は世界観的に前作『シフクノオト』の延長線上のような感じがするので、大ヒットシングルとはいえこのアルバムにおいては若干浮いているような気も。
おすすめ度:B
13th HOME
2007年3月14日 売上約120万枚
▼収録曲
01.叫び 祈り/02.Wake me up!/03.彩り/04.箒星/05.Another Story/06.PIANO MAN/07.もっと/08.やわらかい風/09.フェイク/10.ポケット カスタネット/11.SUNRISE/12.しるし/13.通り雨/14.あんまり覚えてないや
13thアルバム『HOME』。
シングル「箒星」(42万枚)「しるし」(74万枚)「フェイク」(32万枚)収録。初回限定盤には2006年に行われたthe pillowsとの対バン形式のライブツアー『Mr.Children & the pillows new big bang tour ~This is Hybrid Innocent~』と『ap bank fes ’06』のライブ映像&インタビューの模様が収録されたDVDが付属する。
2007年度年間アルバムチャート1位となり、これは意外にも自身初であった(94年当時の歴代1位売上を記録した『Atomic Heart』は集計期間の都合で2年に分断されてしまい年間1位は未達成。更に2番ヒットの『BOLERO』も年末にGLAYのベスト『REVIEW-BEST OF GLAY』に抜かれてしまいこれまた未達成だった)。
「あえて言うまでもない日常の言葉、言動、景色等を大切に」がテーマ。象徴的でありリード曲である「彩り」をはじめ、優しく、ゆったりとした曲調のナンバーが続く。前作の反動からか、これまでで最もおとなしいアルバムである。故に「Another Story」「もっと」「やわらかい風」「SUNRISE」等確かに単体では素晴らしい名曲の数々も、こうして一挙に聴かされると良さが相殺されて埋没してしまうという弊害もあると思う。名バラードの宝庫と捉えるか、同じような曲ばかりと捉えるかで印象は大きく変わってくるだろう。レビューサイトやネットの書き込みを見て回るとバラードの連発に耐え切れず途中で再生を止めたという声もチラホラありミスチル史上でも最もファンからの評価が分かれるアルバムかもしれない。僕はリリース当時よりは落ち着いてきたものの、未だに好きなアルバムではある。
今作が発売された時の僕は高校生でありクラスメイトにミスチルファンが多く、フラゲ日には自分以外にも何人かがCDを所持していてどの曲が良かっただの感想を語り合うのが当たり前と化していた状況だったので問答無用で「名作」という印象が付いていたんだけど、もしもリアルタイムで無く、友人らとの共有体験も無く後追いで今作を聴いていたら僕も「同じような曲ばかりで退屈なアルバム」だと感じていたかもしれない。
僕がこのアルバムに抱いている印象・空気感というものはリアルタイムで今作に触れた「2007年の空気感」と一緒になっている。今作を聴くと僕は高校2年生のあの頃に戻るし、あの頃に戻りたいなとフト思った時に今作を再生する事もある。そういう意味で今作は僕にとって良い・悪いを越えて「青春の一枚」という所にまで到達しているのかもしれないので改めてこうして感想・批評を書くのは難しい…(結局何が言いたいのか分からなくなったスミマセン)。
おすすめ度:B+
14th(カップリング集) B-SIDE
2007年5月10日 売上約47万枚
▼DISC.1 収録曲
01.君の事以外は何も考えられない/02.my confidence song/03.雨のち晴れ remix version/04.フラジャイル/05.また会えるかな/06.Love is Blindness/07.旅人/08.デルモ/09.独り言/10.Heavenly kiss/11.ニシエヒガシエ EAST Remix
▼DISC.2 収録曲
01.1999年、夏、沖縄/02.花/03.さよなら2001年/04.I’m Sorry/05.妄想満月/06.こんな風にひどく蒸し暑い日/07.ほころび/08.my sweet heart/09.ひびき/10.くるみ-for the Film- 幸福な食卓/11.ニシエヒガシエ WEST Remix
カップリング集アルバム『B-SIDE』。オリジナルでは無いが公式に14thアルバムとされている。
この時点でアルバム未収録となっていたカップリング曲を全て収録。両DISC共にシークレットトラックとして「ニシエヒガシエ」カップリングだったリミックス2曲が収録されておりこれらはジャケットには記載されていない。歌詞カードは全て桜井による手書きで、1曲毎にメンバー全員での対談形式となるセルフライナーノーツが掲載されている。
カップリングという事で、やはりA面とは異なる軽い感じの曲というか、良い意味で力の抜けた曲が目立つ。シングル曲だけでなくオリジナルアルバムまで聴き込んでいるくらいのファンでないと良さを見出すのは難しいかもしれない。逆にファンからすると、「旅人」や「Heavenly kiss」といったカップリングだからこそ成立する隠れ名曲達に遂にスポットが当たるのか!と、発売当時は歓喜したものだが。個人的にDISC.1の後半はかなり至高。あくまでファン目線では良いアルバムだ。まあこれによって07年時点までのシングル、特に現在では入手が手間な初期の8cmシングル達を回収する必要が無くなったので存在意義はかなり高い一作。
▼今作にもハブかれたアルバム未収録曲たち
今作はあくまでカップリング曲集というテーマだったため、
・6thシングル「Tomorrow never knows」のシングルバージョン(6thアルバム『BOLERO』とベスト盤『Mr.Children 1992-1995』ではリズム隊が生音になっているがシングルでは打ち込み)
・12thシングル「マシンガンをぶっ放せ」のシングルバージョン(5thアルバム『深海』ではラストが次曲「ゆりかごのある丘から」と繋がっているがシングルでは独立している)
・17thシングル「I’ll be」(7th『DISCOVERY』収録のアルバムバージョンとはテンポもアレンジも全く異なる)
・27thシングル「四次元 Four Dimensions」収録の「ヨーイドン」(12thアルバム『I♥U』には未収録で2012年のベストにもスルーされた)
↑以上の4曲はアルバム未収録のまま放置される事となった。カップリングに限定せず、アルバム未収録曲全回収というテーマで一気にまとめてほしかった気もする。
おすすめ度:B
15th SUPERMARKET FANTASY
2008年12月10日 売上約127万枚
▼収録曲
01.終末のコンフィデンスソング/02.HANABI/03.エソラ/04.声/05.少年/06.旅立ちの唄/07.口がすべって/08.水上バス/09.東京/10.ロックンロール/11.羊、吠える/12.風と星とメビウスの輪/13.GIFT/14.花の匂い
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY』。
シングル「旅立ちの唄」(39万枚)「GIFT」(34万枚)「HANABI」(48万枚)、配信限定「花の匂い」に加えカップリングから「羊、吠える」を収録。また「風と星とメビウスの輪」は先に「Single Version」として「GIFT」のカップリングに収録されており、シングル時にはピアノとボーカルのみだったものが今作ではオーケストラを交えて大幅にアレンジされている。初回限定盤はライブ映像とPVを収録したDVD付き。
2004年の『シフクノオト』以来となる初動70万超えを果たし、累計でミリオンを突破。02年の『IT’S A WONDERFUL WORLD』からオリジナルアルバム5連続ミリオンという、CD不況の時代において驚異的過ぎる記録を打ち立てた。
消費されること、消費音楽を嫌うミュージシャンが多い中、今回は「消費されることをポジティブに捉えた」アルバム。桜井曰く「大量に消費されるからこそ起こる奇跡がある」という事でその言葉通りかなりキラキラしていてポップな内容。ミスチルなりにJ-POP王道をひたすら突っ走ってみましたという感じで非常に聴きごたえがある。桜井がラジオでふと耳にした「君の瞳に恋してる」に感銘を受け作ったというリード曲「エソラ」をはじめ、どの曲もメロディーがキレッキレで凄い。“大衆ウケ”や“売れ線”ってマイナスの意味で使われがちな言葉だけど、あえて開き直ってここまで極めると圧巻で何も言えなくなる。王道って素晴らしい。
ただ、僕はこれらの楽曲群自体は素晴らしいと思うが、こうしたくどい位のキラキラ系を受け付けない…という人の気持ちも分からなくは無い。ストリングスが多用され、プロデューサー・小林武史(通称コバタケ)が第5のメンバーと言える程に存在感を増してきてファンから本格的に不満の声が上がり始めたのもこの頃(前作『HOME』辺りからか?)だったように思う。特に往年のファン程そういう傾向が強いのかも。とは言え「ポップを極める」というテーマがあった今作において、コバタケの仕事は見事だったとしか言いようがないと思う。
おすすめ度:A
16th SENSE
2010年12月1日 売上約78万枚
▼収録曲
01.I/02.擬態/03.HOWL/04.I’m talking about Lovin’/05.365日/06.ロックンロールは生きている/07.ロザリータ/08.蒼/09.fanfare/10.ハル/11.Prelude/12.Forever
16thアルバム『SENSE』。
配信限定シングル「fanfare」収録。「365日」は2009年からNTT東日本・NTT西日本CMソングとしてオンエアされていた。また「ロックンロールは生きている」は今作直前の11月からラジオ限定で発表されていた。
このように新曲の発表自体は幾つかあったものの、2008年の前作『SUPERMARKET FANTASY』以降CDシングルの発売が1枚も無い状態であったため92年のデビューアルバム『EVERYTHING』以来となる全曲CD初収録のアルバムになった。また発売日直前の11月29日まで今作に関する発売日以外の詳細は全く明かされず、メンバーのプロモーション活動も全く無いという異例の戦略がとられた。アルバムを出すだけで一大出来事となるミスチル程の大物だからこそ可能な技だったがさすがにセールスは後退し、オリジナルでは00年の『Q』以来6作ぶりに100万枚を下回り、02年の『IT’S A WONDERFUL WORLD』以降続いていたオリジナルアルバムの連続ミリオン記録は5作でストップとなった。
ここ数作のアルバムとは全く色が異なるダークロック「I」で幕を開け、続けてアップテンポなんだけどどこか煮え切らない心情を吐露する「擬態」が来て今回は暗いアルバムなのかなと思いきや次の「HOWL」はとびきり弾けた曲。更にミスチルお得意の必殺王道バラード「365日」、ひたすらアッパーな「fanfare」もあったりと曲調は多彩で中々バラエティに富んでいる。今作に関してもファンサイトでは「ピアノが邪魔」とか結構言われていたけど曲のタイプがバラけているので一辺倒な感じはしないし僕は気にならなかった。
発売当時は「いつも通り、高値安定のミスチル」という印象でおすすめ度で言うと「B」位の感想だったんだけど、2年後の次回作がそこまで……という感じだった事もありその影響も相まって今作の印象は発売から数年経ってグングン伸びていった。12曲という(これ以前数作のミスチルでは)コンパクトな曲数故に聴きやすいし、それでいて内容の濃さ・曲調の幅は結構なもので現在ではかなり好きな一作。
おすすめ度:A
3rdベスト Mr.Children 2001-2005<micro>
2012年5月10日 売上約111万枚
▼収録曲
01.優しい歌/02.youthful days/03.君が好き/04.蘇生/05.Drawing/06.いつでも微笑みを/07.Any/08.HERO/09.タガタメ/10.掌/11.くるみ/12.Sign/13.and I love you/14.未来/15.ランニングハイ
3rdベストアルバム『Mr.Children 2001-2005<micro>』。『Mr.Children 2005-2010<macro>』と2作同時発売。2001年のベスト『Mr.Children 1992-1995』『Mr.Children 1996-2000』の直接の続編。
今作は2001年から2005年までのシングル、アルバムから選出されているが27thシングル「四次元 Four Dimensions」から「ヨーイドン」が未収録となった。「overture」と繋がっていた「蘇生」はイントロ部分に編集が施されて独立したバージョンになっている。初回限定盤にはPVを収めたDVDが付属。
年間アルバムチャートにて2位となり、1位の『<macro>』共に年間1、2位を独占。これは98年にB’zが『B’z The Best “Pleasure”』『B’z The Best “Treasure”』で達成して以来14年ぶりで、井上陽水、B’zに続く史上3組目の記録となった。
前ベストの時と同じく、シングルをほぼ網羅しつつ代表的なアルバム曲を初出順に並べるという非常にオーソドックスかつ分かりやすい構成。『シフクノオト』リード曲でありCMタイアップまであった「PADDLE」が外されたのは意外だったが、その他は順当な選曲。『1996-2000』の迷いの時期を抜け、王道ポップス路線に回帰し第2の全盛期を迎えた彼らの魅力を思う存分に楽しめる。文句なしの決定盤である。
僕がミスチル(含めJ-POP全般)を本格的に聴き始めたのがこのベストの収録時期だったので、『1992-1995』『1996-2000』よりもリアルタイム感は抜群に強いし思い入れも深い。このシングルは発売日に買って登下校中に聴きまくったなぁとか、この曲はテスト期間中に聴いていたなぁとか、クラスの皆で感想を言い合ったなぁとか…。やはり自分の音楽の原点はミスチルなんだなと再認識させてくれたアルバムであった。
おすすめ度:A+
4thベスト Mr.Children 2005-2010<macro>
2012年5月10日 売上約119万枚
▼収録曲
01.Worlds end/02.僕らの音/03.箒星/04.しるし/05.フェイク/06.彩り/07.旅立ちの唄/08.GIFT/09.HANABI/10.花の匂い/11.エソラ/12.fanfare/13.擬態/14.365日
4thベストアルバム『Mr.Children 2005-2010<macro>』。『Mr.Children 2001-2005<micro>』と2作同時発売。
こちらは2005年から2010年までのシングル、アルバムから選出されている。05年の27thシングル「四次元 Four Dimensions」の曲は「ヨーイドン」を除いて『<micro>』に収録され、今作は同年の12thアルバム『I❤U』収録曲からスタートしている。2010年までが対象期間なので11年の配信限定「かぞえうた」と、12年4月に出たばかりだった34thシングル「祈り~涙の軌道/End of the day/pieces」は未収録となった。初回限定盤にはPVを収めたDVDが付属。
『<micro>』と比べるとこちらの方が順位・セールス的に上であり、2007年の13thアルバム『HOME』以来の年間チャート1位獲得となった。
こちらも『<micro>』同様、シングルを網羅しつつアルバムの代表曲を押さえた文句なしの構成。この時期になるとオリジナルアルバムで安定してミリオンを出せるのは彼らだけになり、J-POP界の完全なるトップという無敵時代に突入していた。
それと同時にプロデューサー・小林武史(通称コバタケ)のオーバープロデュースが一部のファンから批判され始めたのもこの辺りからだった。ざっくり言うと「ストリングスの存在感やピアノの装飾が過剰になり、本来のバンドサウンドを侵食している」というクレームである。僕は02年以降のミスチルはどれもリアルタイムで接しておりファン心理もあってどの曲も無条件に(←言い方が悪いかも)受け入れていた感じだったんだけど、古くからのファン、それこそデビュー当時とか90年代の大ブレイク期からの往年のファンからするとまるで第5のメンバーかの如くコバタケがライブやアレンジに介入してくるサマは我慢ならない所があったのかもしれない。
しかしやはり楽曲のメロディーや歌詞はキレッキレで衰え知らず。収録曲どれも素晴らしく良い曲ばかりなのは確実だ。これからミスチルを聴いていこうという人はとりあえず2001年の『Mr.Children 1992-1995』『Mr.Children 1996-2000』そして今回のミクマク、計4作を手に取れば良い。一切の被りが無いので選びやすい。
2008年くらいから、もし次のベスト盤が出るとしたらきっとこんな感じの内容だろうな~と予想し、iPod等でオリジナルベストを勝手に制作して聴いていたので正直この並びに新鮮さは無かったりする(『<micro>』も同様)んだけど、やはりこうして公式に出ると感慨深いものがある。圧巻の内容である。全ての曲に思い出があるし、それぞれの曲を初めて聴いた時の状況や感動が昨日の事のように蘇って来る。ミスチルの歴史を振り返りながら僕自身の青春を振り返っている気持ちになれるアルバムだった。
おすすめ度:A+
※続きは下記記事でございます
※Mr.Children 関連記事(アルバム編)
※Mr.Children 関連記事(シングル&名曲編)
著者:マー・田中(@kazeno_yukue)
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