乃木坂46 歴代シングル&名曲感想 #2 ~2017-2020~
2012年~2016年
2017年
インフルエンサー
2017年3月22日 売上約105万枚
作詞:秋元康、作曲:すみだしんや、編曲:APAZZI
17thシングル表題曲。自己最高となる初動87万枚。累計で100万枚を突破し、自身初のミリオンセラーを達成した。日本レコード協会からのミリオン認定としては前作に続き2作目。2017年年末の『日本レコード大賞』で大賞を受賞。
センターは白石麻衣と西野七瀬。この2人のセンターは2015年の13th「今、話したい誰かがいる」以来。2期生から寺田蘭世が初選抜。
初のミリオン突破、レコード大賞受賞、坂道人気の上昇と様々なタイミングや環境が重なって奇跡の代表曲となった今作。平成後期(サブスク時代到来前)は代表曲不在で悩む歌手も多かったけど、勢いのある内に一応「代表曲」と呼べる存在を生み出せたのは良かったと思う。
歴代最高難易度ダンス!と謳っていただけあって派手派手な曲調でインパクトは強いが、清楚ポップス系が好みの身としてはそんなに好きな部類ではない。前作「サヨナラの意味」で清楚ポップの天井叩いた感があったので、連続で同系統の曲出して埋もれるよりはこれくらい別路線で振り切った方が良いという判断だったのだろう。ここが大事な時期!ここでヒットを出すぞ!という運営の気合いは感じたよね。ただやっぱ自分から聴き返す事はまず無い。
すみだしんやはAKB48の「フライングゲット」も作曲していて、AKB・乃木坂それぞれで代表曲を手掛けたという意外に知られていない功績を持つ。そんで「フライングゲット」もそんなに好きな系統では無いので、申し訳ないがわたくしマーはすみだ氏の作風がハマらないようだ……。
「人々に影響を与える者」という意味の「インフルエンサー」という言葉はYouTuberやTik Tokerが活躍する現在こそ一般的な言葉となって知っているが2017年初頭当時は知らず、タイトルを知った時「え?インフルエンザの歌?」と勘違いした。「やすす遂にネタ切れか……」と。(2024/7/31更新)
おすすめ度:C
収録アルバム:3rd『生まれてから初めて見た夢』、1stベスト『Time flies』
スカイダイビング
2017年5月24日
作詞:秋元康、作曲・編曲:菅井達司
3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』リード曲。
歌唱メンバーは当時の最新シングル「インフルエンサー」選抜と同一。センターも同じく白石麻衣と西野七瀬。
夏に似合う爽快アイドルポップ。過去2作のアルバムリード曲は「僕がいる場所」「きっかけ」とどちらも乃木坂王道の儚さとメッセージ性のある曲だったが3作目は異なる軽やかな方向で来た。これはこれで新鮮で良かったしリード曲になるだけの華もある。浮遊感のあるサウンドが夏っぽくて爽やか。秋元Pの大好きなワード〈オープンカフェ〉と〈ポニーテール〉がのっけから登場。(2024/8/1更新)
おすすめ度:B
収録アルバム:3rd『生まれてから初めて見た夢』、1stベスト『Time flies』
逃げ水
2017年8月9日 売上約106万枚
作詞:秋元康、作曲・編曲:谷村庸平
18thシングル表題曲。前作「インフルエンサー」から2連続でミリオンを達成。
大園桃子と与田祐希が3期生から初の選抜入りかつダブルセンター大抜擢(これはかつて2期生の堀が「バレッタ」で抜擢された時と似ている)。運営が2期生での反省を踏まえたのか積極的に売り出されている感のあった3期生だがいきなりセンターに大抜擢するとは驚いた。
楽曲の方は清涼感のあるミディアムナンバーだが、サビの前にドビュッシーの「月の光」が突如挿入されるというトリッキーな構成になっている。この挿入は「曲の勢いが止まる」という否定的な声も目立ったが個人的にはもしこれが無かったら「平凡な一曲」という印象に終わっていたと思うので良いアクセントになっていると感じた。おかげで第一印象がそこまで強くなかった分、飽きが来ない。未だに結構聴き返すしね。
ちなみに「逃げ水」とは夏の日差しに照らされたアスファルトにゆらゆらと浮かぶ水のような蜃気楼のこと。僕はこの曲で「逃げ水」という言葉を知った。(2024/8/2更新)
おすすめ度:B
収録アルバム:4th『今が思い出になるまで』、1stベスト『Time flies』
アンダー
2017年8月9日
作詞:秋元康、作曲:白土亨、編曲:遠藤ナオキ
18thシングル「逃げ水」Type-Bカップリング曲。
アンダーメンバーによる楽曲でセンターは北野日奈子と中元日芽香。タイトルそのままにアンダーメンバーの心情を歌った曲で秋元康お得意のドキュメンタリーソング。
しかしこの歌詞をアンダー自らが歌うというのは中々にしんどいのでは。〈誰かに聞かれた 「あなたの人生はどこにあるの?」 当たっていない スポットライト〉〈人知れず 汗を流す影がある ステージを支えてるのに…〉〈時々思った 「私の夢なんて叶うのかな」 眩しすぎるわ メインキャスト〉なんて歌詞をアンダー本人達に歌わせるなんて酷だ。特にA面の「逃げ水」で後輩2人が華々しくセンターを飾っている裏でこれを歌わされる1期2期と考えると。
衝撃の歌詞ゆえにメロディーが入ってこないほど冷静には聴けないし何かボーカルも悲しみで震えているように感じる。当時ファンの間では「逃げ水」以上に(悪い意味で)話題になったし、リスナーとしてこの曲をどう受け止めたら良いのか未だに分からない。(2024/8/2更新)
おすすめ度:C
収録アルバム:アンダーベスト『僕だけの君~Under Super Best~』
いつかできるから今日できる
2017年10月11日 売上約110万枚
作詞:秋元康、作曲・編曲:Akira Sunset、京田誠一
19thシングル表題曲。シングル連続1位記録は歴代2位タイで並んでいたSKE48を上回り単独2位に。ちなみに1位はAKB48。
センターは齋藤飛鳥と西野七瀬。齋藤は「裸足でSummer」以来2度目のセンター。西野は「インフルエンサー」以来で単独センターと合わせて6度目のセンターとなり生駒里奈と並び最多となった。前作「逃げ水」のダブルセンターだった大園桃子と与田祐希は選抜から外れ今回3期生からの選出は無し。
西野が主人公・東島旭役で主演を務めた映画『あさひなぐ』主題歌。齋藤は舞台版の主演を務めた。ちなみに映画・舞台共に他にも乃木坂メンバーが多数出演している。
楽曲の方は乃木坂王道の清楚ナンバー。澄み渡った空気とほのかに漂う電子音、そしてEDMの混ざり具合が絶妙。過去の秋シングル「何度目の青空か?」や「サヨナラの意味」程の大作感は無くライトな仕上がりだけど確かな良い曲。
前作から僅か2か月(自身最短)という短いスパンでリリースされたのと『あさひなぐ』を観ていないので印象が薄いのか好きな曲を挙げていくと忘れがち。だけどいざ聴きかえすと良い曲だな~と思う。僕の中でそんなポジションのシングル。(2024/8/3更新)
おすすめ度:B+
収録アルバム:4th『今が思い出になるまで』、1stベスト『Time flies』
2018年
シンクロニシティ
2018年4月25日 売上約132万枚
作詞:秋元康、作曲・編曲:シライシ紗トリ
20thシングル表題曲。
初動111万枚を記録し、自身初の初動ミリオンを達成。Mr.Children(「名もなき詩」)、速水けんたろう・茂森あゆみ・ひまわりキッズ・だんご合唱団(「だんご3兄弟」)、宇多田ヒカル(「Addicted To You」)、AKB48(「Everyday,カチューシャ」)に続き歴代5組目となる。
累計は132万枚となり、当時の自己最高売上を記録。現在では「帰り道は遠回りしたくなる」「ジコチューで行こう!」に次ぐ自身3番目のヒット作となっている。
2018年12月30日に第60回日本レコード大賞を受賞。前年の「インフルエンサー」に続き2年連続での受賞。
センターは白石麻衣。「インフルエンサー」以来4度目、単独としては2013年の「ガールズルール」以来2度目のセンターとなる。また3期生から久保史緒里と山下美月が初選抜。大園桃子と与田祐希も「逃げ水」以来2作ぶりに選抜され、3期生4人が選抜・福神入りした。
当初は同年5月にグループ卒業予定だった生駒里奈をセンターに据える方向で秋元Pもそのつもりで制作を進める予定だったというが、生駒からの「レコード大賞を獲った後の大事なシングルを自分の「卒業シングル」にしたくなかった。生駒里奈のイメージを付けない事で、自分の卒業後も長く歌い継がれる曲になってほしかった」という希望により白石センターとなったという。
「インフルエンサー」がダークサイドの代表曲だとしたら、こちらはライトサイドの代表曲という感じ。メロディーの良さ、瑞々しく神々しい空気もある。この時点での最大ヒットに加え、2度目のレコ大という立ち位置に名前負けしない大物感のある楽曲である。セールス面での全盛期だったこの2018年の中でも一際輝くシングルだしここがグループの人気・J-POP界での存在感・キャリアの最高到達点だった気がする。(2024/8/4更新)
おすすめ度:A
収録アルバム:4th『今が思い出になるまで』、1stベスト『Time flies』
ジコチューで行こう!
2018年8月8日 売上約133万枚
作詞:秋元康、作曲:ナスカ、編曲:野中”まさ”雄一
21stシングル表題曲。
初動は98万枚と前作から下がったが累計は微増。前作を僅かに超えこの時点で自身最大ヒットシングルとなった。
センターは齋藤飛鳥。前年の「いつかできるから今日できる」以来3度目、単独としては2016年の「裸足でSummer」以来2度目のセンター。2期生から鈴木絢音、3期生から岩本蓮加と梅澤美波が初選抜。3期生は大園桃子・山下美月・与田祐希も引き続き選抜された一方、久保史緒里が体調不良による活動休止のため選抜から外れた。
夏シングルらしい爽快なナンバー。メロディーは良いんだけどタイトルが好きじゃない。「ジコチューで行こう!」って名付けテキトー過ぎねぇか。乃木坂イズムを感じないのよ。同時期にAKB48がリリースした「センチメンタルトレイン」と急遽入れ替えたんじゃないの?と当時から思っている。あっちの方が坂道っぽいんだよね。松井珠理奈が世界選抜で1位を獲ったタイミングで大事なシングルだった事もあり、乃木坂用に準備してた気合の入った曲をあっちに回したのではないか。まぁ完全にわたくしマーの妄想ですが。
先程も書いたがメロディーは爽快で良い。作曲を担当したナスカは2人組の音楽ユニット。乃木坂初提供が齋藤飛鳥センターのこの曲で、齋藤卒業シングルの「ここにはないもの」でも再び曲提供する事となる。乃木坂以外だとこの前年に欅坂46へ「エキセントリック」を提供。近年は櫻坂46に「桜月」「Start over!」「何歳の頃に戻りたいのか?」と立て続けにシングルを提供して活躍している。(2024/8/5更新)
おすすめ度:C+
収録アルバム:4th『今が思い出になるまで』、1stベスト『Time flies』
帰り道は遠回りしたくなる
2018年11月14日 売上約137万枚
作詞:秋元康、作曲:渡邉俊彦、編曲:渡邉俊彦・早川博隆
22ndシングル表題曲。
前年の「インフルエンサー」から6作連続のミリオンセラー。また累計は137万枚となり前作「ジコチューで行こう!」を超え自身最高売上を記録。現在乃木坂46の最大ヒットシングルとなっている。乃木坂のシングル売上トップ3は全て2018年の曲であり、この年がグループ人気のピークだったと言える。
今作をもってグループを卒業する西野七瀬がセンター。前年の「いつかできるから今日できる」以来であり通算7度目、グループ最多のセンター回数となった。単独センターとしては2015年の「命は美しい」以来4度目。3期生から伊藤理々杏と佐藤楓が初選抜。また西野と同時期に卒業した若月佑美の最終参加作品だった。
「気づいたら片想い」「夏のFree&Easy」「命は美しい」「今、話したい誰かがいる」「インフルエンサー」「いつかできるから今日できる」でセンターを務めグループ最多のセンター回数を誇り、超人気メンバーとして君臨していた西野七瀬の卒業シングル。
それだけに楽曲の方もザ・乃木坂イズムど真ん中と言える清純ポップ。これまでの「乃木坂っぽさ」をまとめて集大成を作りましたって感じだ。作曲と編曲を務めた渡邉俊彦は今作1回ポッキリの起用。これ以前もこれ以前も乃木坂どころか坂道系AKB系全体でも名前が登場しない。この1回だけの登場で超人気メン卒業シングル担当という大抜擢だったが見事な曲を生み出してくれた。
ただこの時期くらいから顕著になるが歌詞詰め込み過ぎでは? メロディーに対して隙間なく言葉が詰め込まれてる感じで、カラオケで歌うと早口言葉チャレンジみたいになり大忙しで疲れるのよね。僕の中でこの曲が「何度目の青空か?」や「サヨナラの意味」を超えてこない理由はそこかもしれない。もうちょっとゆとりのある歌だったらカラオケで入れやすいんだけど。
握手イベント参加券だったり、48ならば年に一度投票権が付いたりして数字と楽曲のヒット感にズレが出るのは秋元Gのお決まりである。それ故一応この曲が乃木坂46の最大ヒットシングルとなるがあまりそういう感覚は無いよね。超人気メン西野の卒業シングルという意味では座りは良いかもしれないがヒット曲としては「インフルエンサー」や「シンクロニシティ」の方が上かなと思う。AKB48の最大売上も「ヘビーローテーション」や「恋するフォーチュンクッキー」ではなく「さよならクロール」だからね。これクイズにしたら殆どの人が間違えるのでは。(2024/8/6更新)
おすすめ度:B
収録アルバム:4th『今が思い出になるまで』、1stベスト『Time flies』
2019年
ありがちな恋愛
2019年4月17日
作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦、編曲:野中”まさ”雄一
4thアルバム『今が思い出になるまで』リード曲。
センターは齋藤飛鳥と白石麻衣。歌唱メンバーは当時の最新シングル「帰り道は遠回りしたくなる」選抜と同一(このアルバム発売時点で卒業済みの衛藤美彩・西野七瀬・若月佑美は除く)。
安心盤石の杉山勝彦ナンバー。「僕がいる場所」をテンポアップさせたような感じで杉山勝彦らしいキレや鋭さを感じられる。流石に「僕がいる場所」や「きっかけ」には及ばないものの十分な満足度で、「乃木坂アルバムのリード曲にハズレ無し!」の法則はまたしても継承された。穏やかなAメロと激しいサビのギャップが好き。
アルバム曲ながら年末の『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2019』では「Sing Out!」と共に披露される等好待遇だった。ただテレビサイズに縮めるとラストサビの転調が何か唐突過ぎるように感じてイマイチ。(2024/8/7更新)
おすすめ度:B+
収録アルバム:4th『今が思い出になるまで』、1stベスト『Time flies』
Sing Out!
2019年5月29日 売上約121万枚
作詞:秋元康、作曲:Ryota Saito・TETTA、編曲:野中”まさ”雄一
23rdシングル表題曲。
初動は100万枚で、「シンクロニシティ」「帰り道は遠回りしたくなる」に続き3作目の初動ミリオン。同時に2017年の「インフルエンサー」から7作連続でのミリオン突破となった。2019年の年間シングルチャートではAKBの「サステナブル」「ジワるDAYS」に次ぐ3位。
センターは齋藤飛鳥。前年の「ジコチューで行こう!」以来、通算4度目のセンター。2期生から渡辺みり愛、3期生から阪口珠美が初選抜。
「みんなで歌う喜び」をコンセプトとしクラップやストンプを取り入れた異色な楽曲。キャンプファイヤー的な趣がある。超人気メン西野七瀬が卒業後の新生乃木坂を打ち出した感もあったが楽曲としてはそこまで好きな方でも無く、聴き返す事も少ない。クラップをしながらのダンスは見応えがあるので音源よりMVで楽しむタイプの曲。(2024/8/11更新)
おすすめ度:C+
収録アルバム:1stベスト『Time flies』
夜明けまで強がらなくてもいい
2019年9月4日 売上約119万枚
作詞:秋元康、作曲:山田裕介:編曲:APAZZI
24thシングル表題曲。
初動96万枚。累計は2017年の「インフルエンサー」から8作連続のミリオン。
4期生の遠藤さくらが初選抜にして初センター。更に4期生からは賀喜遥香と筒井あやめも初選抜されフロントメンバー入りし、センターとその両隣を4期生が務める布陣となった。
白石麻衣が1列目から外れるのは2013年の「君の名は希望」以来。またキャプテン桜井玲香は今作リリース前の9月4日に乃木坂としての活動を終了しており、最後の選抜入りとなった。
当時最若手だった4期生3人が初選抜にして初フロント中心を固めるという過去最大級に大胆な布陣。過去の抜擢系では「バレッタ」が新人1人(堀)、「逃げ水」が新人2人(大園・与田)がセンターでそれらも衝撃だったが、今作は飛び越えてセンターと両隣2人、つまり1列目の中心3人共が新人だからね。しかも絶対的フロントだった白石サマを19作ぶりに2列目へ蹴り落としてね。
当時の僕は乃木坂への興味がやや薄れ気味だった頃だったので、「あぁ新人がセンターなのね、ふ~ん。秋元Pのお好きな大抜擢選抜ね」位の印象だったのだが深いファンの方々はどういう反応だったのだろうか。遠藤さくらは加入当初から人気だったようだし、前作「Sing Out!」収録の4期生楽曲「4番目の光」で一足先にセンターを務めていたし、深いファンの間では「次のシングルは遠藤センターっしょ!」と予想されたりしてたのでしょうか。それとも青天の霹靂だったのでしょうか。
楽曲の方は少女の心の葛藤や悩みを歌うシリアス系。良い曲だけど、最若手初センターとなる晴れの舞台にしては妙に険しすぎたような気も。MVも何だか全体的に仄暗いトーンでね。ただ歌詞の方は結構好き。〈今日こそは 今日こそは 自分らしく生きる〉〈不安とは 不安とは 期待の裏返しか〉とかのフレーズには勇気づけられたもんだよ。
あと、遠藤・賀喜・筒井とまだ顔がハッキリしていない新人3人がいきなりフロントにドーン!と現れた事で、初めて襲われましたよ。
「若い子がみんな同じ顔に見える」というあの感覚にね。
2010年にAKBを見始めてから数多の新メンバーや新グループの登場を経験してきたが先人たちがよく言う「同じ顔に見える」なんて現象は起きなかったのよ。もちろん見慣れた現在では全然違う顔だと分かるけど、正直2019年当時、遠藤・賀喜・筒井は判別つかなかった。この時わたくしマーは丁度30歳になったタイミングだったのだが遂に俺もOSSANの仲間入りか、これがover30の世界かと身構えたもんだよ。(2024/8/12更新)
おすすめ度:B
収録アルバム:1stベスト『Time flies』
2020年
しあわせの保護色
2020年3月25日 売上約112万枚
作詞:秋元康、作曲:Masanori Ura、編曲:武藤星児
25thシングル表題曲。
初動99万枚。累計は2017年の「インフルエンサー」から9作連続のミリオン。
センターは今作の活動をもってグループを卒業する白石麻衣。2018年の「シンクロニシティ」以来、通算5回目のセンターとなる。単独センターとしては「ガールズルール」「シンクロニシティ」に続く3回目。
現役1期生11名全員で1・2列目を占めるフォーメーションとなった。4期生では前作1列目だった遠藤さくら、賀喜遥香が3列目となり筒井あやめは選抜から外れた。
デビュー曲「ぐるぐるカーテン」から全てのシングルで選抜・更に福神入りしている絶対的超人気メンバー・白石麻衣の卒業シングルにしては軽めだなーって印象。乃木坂らしいふんわり清楚ポップではあるんだけどどうしても「サヨナラの意味」(橋本奈々未卒業曲)と比べてしまうとメロディーのキレが無いように感じちゃう。当時も薄い印象だったしこの後に出る「最後のTight Hug」(生田絵梨花卒業曲)、「ここにはないもの」(齋藤飛鳥卒業曲)が良かっただけに余計この曲は埋没してしまっている。
このシングルのリリースとちょうど同時期にコロナ期が始まり、自粛を余儀なくされる時代に突入した。なので当初5月5日から3daysで行われる予定だった東京ドームでの卒業公演が中止になってしまった。それが可哀想だったね。東京ドームでの卒コンは後に齋藤飛鳥、山下美月が実現するがどちらも2daysで、幻となったものの白石の3daysは最大規模だった。結局卒業自体を延期し、10月28日の配信ライブにて乃木坂での活動を終了。
ジャケット写真は「宇宙船で繰り広げられる近未来のプロム」がテーマでメンバーが皆透明なヘルメットを被っているものだったが後追いで見ると完全にコロナをテーマにしてるように勘違いしてしまう。全くの偶然である。(2024/8/13更新)
おすすめ度:C
収録アルバム:1stベスト『Time flies』
じゃあね。
2020年3月25日
作詞:白石麻衣、作曲:浦島健太・H.Shing、編曲:菊池博人
25thシングル「しあわせの保護色」Type-Aカップリング曲。
白石麻衣のソロ楽曲で、作詞も本人が手掛けている。坂道シリーズで秋元康以外が作詞を手掛けたのは初で、乃木坂メンバーが作詞した初の楽曲でもある(4年後の2024年に山下美月が「桜月」を作詞)。
AKBもそうなんだけど大物メンバーが卒業する際にはシングルA面で表向きの卒業曲を出し、カップリングではよりパーソナルな真の卒業曲を用意するというのが秋元Pのやり方だ。今回で言うと「しあわせの保護色」は表向き枠、この「じゃあね。」がパーソナル枠。
で、大抵パーソナル卒業曲の方が良かったりするんだけどこの曲もその例にもれず良い曲。白石だけの歌声を聴くという機会も意外と無かった(というか他曲でソロパートがあっても個人個人の歌声までは判別できていない)ので新鮮だった。癖も無くそつのない歌声である。
〈あの夏の歌声 覚えていますか?〉というフレーズを聴くと白石が初センターを務めた「ガールズルール」が出た2013年の夏を思い出す。あの夏の僕は就職活動、卒業論文、アルバイト、地元仲間とのバンド活動などで「最後の青春」を謳歌していた。
この「じゃあね。」を聴くことであの煌めいた思い出が蘇りエモい感情になった。大学最後のあの夏聴いていた「ガールズルール」のセンター白石も遂に卒業かと。白石の歴史だけでなく乃木坂の歴史、そして自分の7年間とか色々なものが重なってね。曲の良し悪しを飛び越え、特別な感情を揺り動かされた曲であった。(2024/8/14更新)
おすすめ度:B
アルバム未収録
I see…
2020年3月25日
作詞:秋元康、作曲:youth case、編曲:佐々木博史
25thシングル「しあわせの保護色」Type-Dカップリング曲。
4期生楽曲で、センターは賀喜遥香。dTV配信ドラマ『サムのこと』主題歌。このドラマの主演は同じく4期生の遠藤さくらだった。
MV公開直後から「SMAP感がすごい」としてトレンド入り、同年6月にYouTube再生回数が1000万回突破、現在までで累積3000万回を超える等カップリングにも関わらず大きな反響を呼んだ曲である。A面の「しあわせの保護色」が1400万回という点を踏まえるとやっぱりかなりの反響だよね。この反響を受けてか翌2021年5月には4期生のみで『ミュージックステーション』に出演、この曲を披露した。
軽快なダンスナンバーで確かにSMAP感があるのは同意。作曲のyouth caseはSMAPにこそ提供経験は無いものの、嵐の「Love so sweet」「One Love」の他Hey! Say! JUMPやキンプリ・なにわ男子らにも多数提供しているので自ずとジャニーズ感が出るのは当然なのかもしれない。聴いているこっちも楽しくなってくる良い曲だよね。各期の代表曲というのは存在するんだろうけどこれは頭一つ抜けて世間に響いた感がある。
都内各所を走り回るMVも元気で良い。ラストサビのシーンでは背後に電車が通るタイミングを見計らって撮影しなければならずかなり苦心したとか(場所は秋葉原だって)。
あとカラオケDAMでは本人映像(MV)が配信されている。これはかなり特例。本人映像は基本シングル曲のみに対応するものだがこんないちカップリング曲に、しかも4期生曲というファン向け色の強い楽曲で本人映像が付くというのは異例だ。
確かに最新機種LIVE DAM Aiではシングル以外のいくつかの曲にも本人映像が付いていたり、それこそ3期生曲の「三番目の風」にも本人映像が付いていたりとかなり乃木坂を優遇してくれてはいるんだけど、この「I see…」はその一つ古い機種のLIVE DAM STADIUMの段階で本人映像が付いていたのよ。LIVE DAM STADIUMは基本シングル曲にしか本人映像付かなかったので、細かい話だがほんと特別待遇だったと思うしそれだけの結果を出した曲と捉えられたんだろうね。(2024/8/14更新)
おすすめ度:B+
アルバム未収録
世界中の隣人よ
2020年6月17日
作詞:秋元康、作曲・編曲:taka
配信限定シングル。
2020年3月以降のコロナ感染拡大に対して、拡大防止の呼びかけ・自粛を心掛けている人々・医療従事者への感謝を歌う曲として制作。
5月25日にYouTubeにてMV公開。反響の大きさを受け、6月17日に配信シングルとしてリリースされた。
配信開始から2020年12月31日までのダウンロード及びストリーミングによる全収益約811万円を含む1000万円が、日本赤十字社の活動全般へ寄付された。
当時の現役メンバー全員に加え、生駒里奈や西野七瀬を含む卒業生11名も参加。現役メンバーと卒業生が共に楽曲参加したのは初であった。また2020年2月に配属された新4期生5名は初参加が今作となった。
得体のしれないウイルスの登場により世界が一変、緊急事態宣言の発令など史上初の経験に混沌としていた2020年5月当時の気持ちを思い出しながら聴く曲。リアルタイムで聴いてこそな時事ネタだったので時が過ぎた現在では評価が難しい。曲そのものは乃木坂王道の数ある清楚バラードの一つという感想かな。(2024/8/15更新)
おすすめ度:C
収録アルバム:1stベスト『Time flies』
Route 246
2020年7月24日
作詞:秋元康、作曲:小室哲哉、編曲:小室哲哉・Music Design
配信限定シングル。「世界中の隣人よ」から2か月連続の配信。
「Route 246」とは「ルート・ツー・フォーティーシックス」と読み、国道246号線の事を指す。
センターは齋藤飛鳥。
小室哲哉は2018年1月に音楽活動からの引退を表明していたが、古くから親交のある秋元康からのオファーは断れず(?)2年3か月ぶりに公に楽曲提供。元々センター齋藤飛鳥が小室哲哉の曲を好きだったという事で、ダメ元で秋元Pに「小室哲哉さんに曲作ってもらうのとかって無理ですかね」とお願いしたら実現したという。
ザ・小室哲哉な曲。globeやtrf、TM NETWORK辺りの既存曲を乃木坂がカバーしたんか?って程にザ・小室ナンバーで笑ってしまう。90年代の小室曲は好きなの沢山あるし、いかにもなエッセンスも抜群に盛り込まれてるのだが何故かこの曲にはそこまで惹かれない。そのまんま過ぎるからかな。小室曲は好きなのだが、乃木坂で聴きたいわけじゃないんだよな。
メディアで「小室哲哉×乃木坂46の化学反応!」等と謳われたが、これは化学反応というよりか小室曲を乃木坂がカラオケしてるって感じしかしない。ここは王道とされるダンス系ではなく、ミディアムやバラード系を提供して欲しかった。それならば真の化学反応が見れたと思う。(2024/8/16更新)
おすすめ度:C
収録アルバム:1stベスト『Time flies』
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著:マー・田中(@kazeno_yukue)
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