乃木坂46 全シングル&名曲感想 #3 (※更新中)

歌手別シングル&名曲レビュー
カテゴリー

乃木坂46 全シングル&名曲感想 #3 ~2021-2024~

2012年~2020年

2021年

僕は僕を好きになる

2021年1月27日 売上約71万枚

作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦、編曲:杉山勝彦・石原剛志

26thシングル表題曲。

間に配信限定シングル「世界中の隣人よ」「Route 246」は出ていたが、CDシングルとしては前年の「しあわせの保護色」以来約10か月ぶりであった。

セールス的には2016年の「サヨナラの意味」以来の100万割れとなり、2017年の「インフルエンサー」から続いていた連続ミリオン記録は9作でストップした

3期生の山下美月が初センター。3期生がシングル表題曲センターを務めるのは2017年の「逃げ水」でダブルセンターだった大園桃子と与田祐希以来2度目(3人目)で、単独としては初となる。4期生から清宮レイ田村真佑が初選抜。

卒業を発表した堀未央奈は今作が最後の選抜入りとなった。

山下は元々カップリング曲で何回かセンター経験があるし、坂道AKBの「初恋ドア」(2019年のAKB48シングル「ジワるDAYS」収録)でも2019年時点での現役秋元オールスターが集まる中堂々センターを飾っていたりした。なので「逃げ水」時の大園・与田のような「大抜擢!」感は無く寧ろ「あれ、まだシングルでセンターやってなかったの?」という意外な印象の方が大きかった。

杉山勝彦の表題曲起用は2016年の「サヨナラの意味」以来、約4年ぶり(その間にもカップリング曲やアルバムリード曲で登場していた)。安心安定の杉山勝彦ナンバーだけあって実に乃木坂らしい清涼感のある王道ポップス。期待以上の良い曲である。

〈友達なんかいらないって思ってたずっと〉〈生きにくくしてる張本人は僕だ〉〈傷つきたくなくてバリア張ってただけ〉等、人生を生きにくいと感じている全ての人へ一番大事なのは自らの気の持ちようなのだと伝える応援歌となっている。

個人的にこの歌詞には非常に共感できる部分が多いし染みてくる。この歌詞でガラリと人生観まで変わるかと言われれば分からないが、人生の細かい部分部分でふとした不具合をおぼえた際に、この曲に背中を押してもらえるシチュエーションはあるだろうなと思う。(2024/8/17更新)

おすすめ度:A
収録アルバム:1stベスト『Time flies』

ごめんねFingers crossed

2021年6月9日 売上約69万枚

作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦・APAZZI、編曲:APAZZI

27thシングル表題曲。

センターは遠藤さくら。2019年の「夜明けまで強がらなくてもいい」以来2度目のセンターとなる。同じく4期生から早川聖来が初選抜。

卒業を発表した松村沙友理と大園桃子は今作が最後の選抜入りとなった。松村沙友理は1st「ぐるぐるカーテン」から最終参加の今作まで全27シングル全てで選抜入りを果たした事になる。

「Fingers crossed(フィンガーズクロスト)」とは英語圏にて相手の幸運や成功を祈る際に使用されるフレーズ・ジェスチャーであるという。

前作とは打って変わってスタイリッシュ系ダンスナンバー。シングル表題曲でここまでキャッチーさの薄い曲が来たのは初めてで、当時は「え、これシングル?」と疑ったし何度聴いてもサビすら覚えられなかった。

しかし最近になって急激にこの曲の良さを感じてきた。この転がるように進んでゆく曲調と鋭いメロディーがカッコ良いなと思えてきたのだ。曲だけでなく、カーレースをテーマとしたMVも合わせる事でより魅力が発揮される。実際僕もカラオケで本人映像を観てから「あれ、良い曲かも?」と思い始めた。

それまで良さが分からなかった非キャッチー系シングルにある日突然ハマる現象、J-POPあるあるだよね(過去にはB’zの「MOTEL」や嵐の「Face Down」等で起きたね)。(2024/8/18更新)

おすすめ度:B+
収録アルバム:1stベスト『Time flies』

君に叱られた

2021年9月22日 売上約62万枚

作詞:秋元康、作曲:youth case、編曲:石塚知生

28thシングル表題曲。

4期生の賀喜遥香が初センター。4期生の表題曲センターは遠藤さくらに続いて2人目。また同じく4期生から掛橋沙耶香が初の選抜入り。

今作を以て卒業した高山一実は最後の選抜入り。高山は1st「ぐるぐるカーテン」から今作までの全28シングルで選抜入りを果たした事になる。また今作発売後に卒業した生田絵梨花、星野みなみ、北野日奈子、新内眞衣も最後のCDシングル選抜入りとなった。

「センター遠藤さくらじゃないんだ」と思ったのが第1印象。もっと遠藤イチオシ体制で来るかと思ってたので。まぁ4期生では遠藤以外なら賀喜、もしくは筒井あやめが人気な印象だったので妥当な人選ではあったが。

「I see…」(これも賀喜センターだったね)を作曲したyouth caseがシングル表題曲で初の起用。嵐の「Love so sweet」や「One Love」等大ヒット曲も手掛けたヒットメイカーだけあって耳心地の良い爽やかアイドルポップに仕上がっている。安定した良い曲

ただ「帰り道は遠回りしたくなる」の時にも思ったんだけどこれもメロディーに対して歌詞が詰め込み過ぎな感じで、カラオケで歌うと早口言葉状態になっちゃう。(2024/8/19更新)

おすすめ度:B
収録アルバム:1stベスト『Time flies』

最後のTight Hug

2021年11月5日

作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦、編曲:杉山勝彦・谷地学

配信シングル。前年の「Route 246」以来約1年4か月ぶりの配信シングルで翌12月15日リリースのベストアルバム『Time flies』からの先行シングル扱い。

歌唱メンバーは当時最新シングルだった「君に叱られた」と同一(卒業した高山一実を除く)。

センターは同年大晦日に卒業する生田絵梨花。シングルで言うと2014年の「何度目の青空か?」以来2度目のセンター。

杉山勝彦のメロディーだけあってまさにザ・乃木坂な清楚系メロディアスナンバー。まぁわたくしマーの最初のイチ推しメンバーであった生田絵梨花の卒業曲というバチバチの個人的補正が入っている事もご了承頂きたいがこれは名曲

杉山勝彦といえば「君の名は希望」「僕がいる場所」「きっかけ」「サヨナラの意味」「ありがちな恋愛」など過去曲達の存在が大き過ぎて比較してしまうけど、これは十分並べるに値する出来である。メロディーがもう生田絵梨花なのよ。メロディーが超美人なのよ。意味不な事を書いているのは自覚してますがそういう事。ラストセンター曲がこの曲で本当に良かったと思う。

最後に余談。歌詞についてどうこう言うのは野暮とはいえ一つ疑問なのだが、元カレ(主人公)だかなんだか知らんけど結婚が決まっている女性をTight Hug(ギュッと抱きしめる)して大丈夫なのか? 余計なお世話だろうか? なんか心配になっちゃう。(2024/8/20更新)

おすすめ度:A
収録アルバム:1stベスト『Time flies』

2022年

Actually…

2022年3月23日 売上約58万枚

作詞:秋元康、作曲:NAMITO、編曲:APAZZI

29thシングル表題曲。

同年2月1日に加入したばかりの5期生・中西アルノがセンターに大抜擢。5期生唯一の表題曲選抜かつ乃木坂史上最速センター就任というサプライズだった……。が、加入前に被写体モデルとして活動していた際の画像が出回り、過去のSNSも流出する等の騒動に発展(公式によると一部捏造もあるとの事)。3月3日に一定期間の活動自粛を発表した。

アルノの自粛後は齋藤飛鳥山下美月のダブルセンターという形でテレビ披露され、MVも中西バージョン、齋藤・山下バージョンの2パターン制作された。

4期生から柴田柚菜が初選抜。

前述の通り中西アルノの件が3月3日にあり、更に追撃のように同じく5期の岡本姫奈も3月18日から活動自粛(グループの活動規約に違反)。ここからというタイミングでまさかの2連続で5期メン自粛と、2022年当時は波乱続きで冷静にこの曲を聴けない自分が居た。

しかしここから数年経ち冷静に聴き返した時「あれ、かなりカッコイイ曲では?」と覚醒。現在では結構好きな曲である。平手友梨奈が居た頃の欅坂46みたいなシリアスナンバーで聴いた当初こそ「絶対好きになれない」と思ったが、そういう曲こそハマると深いんですよね。MVのダイナミックな演出もかなり曲の良さを引き出している。当時確かに色々と騒動が起きてグループとして一瞬ピンチを迎えたが、結果的にそこで押しつぶされず更に強い乃木坂になったと思う。それだけのパワーをこの曲は秘めていたんだろう。

P.S. アルノも岡本も無事に復帰して良かったよ。(2024/8/21更新)

おすすめ度:B
アルバム未収録

絶望の一秒前

2022年3月23日

作詞:秋元康、作曲:ツキダタダシ、編曲:若田部誠

29thシングル「Actually…」Type-Dカップリング曲。

5期生による初の楽曲。センターは井上和。池田瑛紗と川﨑桜はお披露目前だったので不参加(MVにはシルエットで出演)。

A面の「Actually…」も(活動自粛になったとはいえ)同じく5期生の中西アルノだったので、運営としては当初5期生をアルノと井上の2TOP体制で進めていこうと考えていたのかな。

どこか退廃的な空気のある、クールで終末感漂う楽曲。初見のインパクトこそ薄いが繰り返し聴いてるとハマってくる。日常を切り取ったようなMVともバチリ合ってる。この曲を好きになったのはMVの効果が大きいね。

作曲のツキダタダシは「遙かなるブータン」「自惚れビーチ」等の他、古くはAKB48の「アンチ」等も手掛けていたりと割かし登場回数の多い作家。「アンチ」はAKB全盛期の曲(「Everyday,カチューシャ」カップリング)なので思い出深いし懐かしい。

あと3期生には「三番目の風」、4期生には「4番目の光」とそれぞれ期の数字を含んだ楽曲が用意されたが5期生には結局無かった。「5番目の情熱」とか来るかな?と思ってたんだけど。それはダサ過ぎるか。(2024/8/24更新)

おすすめ度:B
アルバム未収録

好きというのはロックだぜ!

2022年8月31日 売上約68万枚

作詞:秋元康、作曲・編曲:野村陽一郎

30thシングル表題曲。

センターは賀喜遥香。前年の「君に叱られた」以来2度目。4期生から金川紗耶弓木奈於が初選抜。前作センターだった中西アルノは選抜から外れ、今回5期生からの選抜は無し。

卒業を発表した樋口日奈は今作が最後の選抜入りとなった。また2024年に卒業する清宮レイと掛橋沙耶香もここが最後のCDシングル選抜入りだった。

タイトルが発表された時は本当に嫌だった。「何じゃこのタイトル、カッコ悪…」と。カップリングとかなら良いけどA面でこれかと。

ただこれまでも「ジコチューで行こう!」とか「君しか勝たん」(日向坂46)のようにタイトル発表時は「嫌だな」と思っても楽曲を聴いたら「意外と良いじゃん」ってなるパターンがあったので今回も逆に期待したのだが……印象は普通。自分に自信が持てない主人公が「君」を好きになった事で人生に前向きになってゆくという歌詞が「君の名は希望」と被るし。

メロディーもサウンドも爽やかで本来なら好みの方向性だけど何かのっぺりしてるというか薄味に感じるのよね。作曲の野村陽一郎氏は日向坂46の名曲「キュン」「ドレミソラシド」を生み出した名作家なのだが……今回ばかりは秋元Pのタイトルが足を引っ張ったと思う。違うタイトルだったらもっと前のめりに楽しめたんじゃないかな。秋元Pの作詞センスは好きな所と嫌いな所両極端あるがこれは嫌いな所が全面的に出てた。(2024/8/25更新)

おすすめ度:C
アルバム未収録

バンドエイド剥がすような別れ方

2022年8月31日

作詞:秋元康、作曲・編曲:A-NOTE・S-TONE

30thシングル「好きというのはロックだぜ!」Type-Cカップリング曲。

5期生メンバーによる楽曲。センターは菅原咲月

5期生楽曲の中でも特に名曲と名高い。夏の青空が浮かぶ爽やかサマーポップだがメロディーの端々に切なさも盛り込まれている。90年代J-POPが好きな人にも刺さると思う。ポカリスエットのCMに似合いそう。今作がリリースされた時にはスルーしてたので気付かなかったが、後々5期生楽曲群にハマり始めた際に一気に好きになった。

A面の惨劇を考えるとこっちを表題曲にした方が良かったんじゃ……とか妄想するけど、カップリングだからこそ良いっていう部分もあるんでね。

作曲のA-NOTEは青葉紘季氏の別名。青葉紘季は角野寿和とのユニット「aokado」で過去に「孤独な青空」「ひと夏の長さより…」を提供している。乃木坂以外でも「365日の紙飛行機」(AKB48)、「僕はいない」(NMB48)、「制服と太陽」(欅坂46)、「暗闇」(STU48)など秋元グループへ多数提供経験あり。どれも切なさとキャッチーさの塩梅が絶妙な良曲ばかりだ。aokadoには今後も期待したい。

MVの方は、勉強に厳しい進学校に通うクラスメイト達(5期生メンバー)が少しずつ心を通わせ仲良くなってゆくというもの。爽やかな青を基調とした色味で、青春を感じる映像だよね。この曲の魅力を存分に引き立てている。(2024/8/26更新)

おすすめ度:A
アルバム未収録

ここにはないもの

2022年12月7日 売上約77万枚

作詞:秋元康、作曲:ナスカ、編曲:the Third

31stシングル表題曲。

今作で活動終了する齋藤飛鳥がセンター。「裸足でSummer」「いつかできるから今日できる」「ジコチューでいこう!」「Sing Out!」に続く通算5度目のセンターで、単独では4度目。4期生から林瑠奈が初選抜。

秋元真夏は翌年2月に、鈴木絢音は翌年3月に卒業したため今作が最後の選抜入り。結果的に1期生と2期生が参加した最後のシングルとなった。

「何度目の青空か?」「サヨナラの意味」「帰り道は遠回りしたくなる」「最後のTight Hug」系統のザ・乃木坂ど真ん中な清純ポップ。同系統の過去曲が多いゆえ、並ぶのは難しいんじゃないかというハードルを見事に飛び越えてきた名曲。サビのメロディーがとにかく素晴らしい。またAメロが歌謡風というか、昭和のフォークソング風な歌と語りの中間みたいな作りになっているのも面白い。そこが過去曲と一線を画す部分だよね。(2024/8/28更新)

おすすめ度:A
アルバム未収録

17分間

2022年12月7日

作詞:秋元康、作曲:姫野博行、編曲:APAZZI

31stシングル「ここにはないもの」通常盤カップリング曲。

5期生メンバーによる楽曲で、センターは川﨑桜

直球アイドルポップ。坂道シリーズというよりはAKBグループの方にありそうな曲調。元々AKBの17期用に作られた曲を乃木坂5期に回した、という説もあるらしい(秋元Pの采配か?)。ちなみに作曲の姫野博行氏はAKB48の「センチメンタルトレイン」を手掛けた人だ。

今のところ5期生楽曲でいちばん好きなのはコレ。乃木坂さしさは薄いが、アイドルポップとしてフラットに見ればかなり極上の一曲である。新世代の勢いっていうのはいつの時代も実力以上のエネルギーを放つものだな。

コレに関しては音源ではなくYouTubeのMV先行で知ったのもデカい。MVは歌詞とは関係なく学校が舞台で、校内にある5時17分で止まっている時計を5期メンバー全員で再び動かそうとするコンセプト。これがまた青春を感じる蒼い世界観で良いのよ。

通学バスの中で毎朝17分間だけ一緒になる他校の女子。その女子への恋心を一方的に募らせる主人公。ピュアな歌詞だとほほえましく感じる一方、Gpoogle検索窓で「17分間 歌詞」と調べると「17分間 歌詞 気持ち悪い」というサジェストが出てきてしまうのが辛辣。いや別にこの主人公は後を付けたり、学校を調べたりはしてないのよ。心の中で「僕のエンジェル」と呼び、「毎日の髪型をチェック」したり「17分間だけ同じ空気吸っていられる」と貴重な時間を自己完結で満喫しているだけで。ただ2番サビ終わりで〈告白まで count down!〉と叫んでいるので自己完結から卒業し接触を図りに動き出すのも時間の問題ではあるが。(2024/8/29更新)

おすすめ度:A
アルバム未収録

2023年

人は夢を二度見る

2023年3月29日 売上約58万枚

作詞:秋元康、作曲:松尾一真、編曲:APAZZI

32ndシングル表題曲。

センターは久保史緒里山下美月。2017年の「いつかできるから今日できる」以来のダブルセンター体制。久保は表題曲初センター。山下は2021年の「僕は僕を好きになる」以来2度目のセンターとなる。

4期生から佐藤璃香松尾美佑、5期生から五百城茉央一ノ瀬美空井上和川﨑桜菅原咲月の計7人が初選抜。

久保と山下は「くぼした」の愛称で親しまれるコンビ。カップリングでは過去「未来の答え」「不眠症」でダブルセンターを務めたが、シングル表題曲ではここが初センターというのは意外だった。安定した2人ゆえもう何度かダブルセンターやっている気になっていたのよね。特に久保は表題曲センター自体ここが初とは。翌2024年に山下が卒業したので、「くぼした」コンビでの表題曲センターは今作が最初で最後となった。

楽曲の方も安心盤石な乃木坂ポップス。清楚色だけでなく鋭さも兼ね備えた名曲だ。Aメロ・Bメロ・サビとキレキレメロディーが連発されるが僕が特に好きなのはアンニュイなイントロ。このイントロを聴くと曲の世界にグッと引き込まれるのよ。個人的にも乃木坂で歴代トップ10に入る程に好きな曲だね。「くぼした」含む3期生が最古世代となり、かつ5期生が一気に5人選抜されたりと新たな風を感じるシングルでもあった。

ちなみに作曲の松尾一真氏は今作の5か月後にデビューする乃木坂の公式ライバル・僕が見たかった青空の1stシングル「青空について考える」を手掛ける人物。(2024/8/31更新)

おすすめ度:A+
アルバム未収録

心にもないこと

2023年3月29日

作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦、編曲:杉山勝彦・石原剛志

32ndシングル「人は夢を二度見る」Type-Aカップリング曲。

5期生メンバーによる楽曲で、センターは池田瑛紗

鉄板作家・杉山勝彦だけあってこちらもA面に負けず劣らずな名曲。電子ポップとでも言うのだろうか。メロディー冴えまくり。5期生曲のこの打率の高さは何なんだ? 5期生に特別気合の入った曲が与えられているのか、それとも偶然なのか。まぁ秋元グループは押し出し中の新入りに良曲をあてがう傾向があるので、近い将来6期生が入ったら今度は「6期曲が良い!」ってなる、そういう風に時代が廻っていくだけなのかもしれないが。

照れ隠しから、好きな相手に思ってもない事を言ってしまい後悔する心情が歌われる。相変わらず秋元Pはこういう恋愛下手男の心理を描くのが上手い。天邪鬼な言葉をぶつけるだけぶつけた挙句それでも「分かってほしい」「許してほしい」って、改めて読むと彼女に聖母マリアを求めてんのかって位身勝手な心情。でもこの気持ち分かるんだよな……。(2024/9/1更新)

おすすめ度:A
アルバム未収録

おひとりさま天国

2023年8月23日 売上約65万枚

作詞:秋元康、作曲:Akira Sunset・丸谷マナブ・ha-j・遠藤ナオキ、編曲:APPAZI

33rdシングル表題曲。

5期生の井上和が初センター。5期生がシングル表題曲のセンターを務めるのは「Actually…」の中西アルノに続いて2人目。

3期生の中村麗乃、5期生の池田瑛紗が初選抜。中村は2016年のグループ加入から実に7年経っての初選抜だった。

恋人がいない人生、おひとりさまライフを満喫しようという極上の開き直りソング。男が歌うと悲しくなるがアイドル女子が歌うと華やかであまり気にならない。

最初は「ジコチューで行こう!」や「好きというのはロックだぜ!」と同じくタイトルが嫌だった。いかにも秋元センスの悪い所が前面に出てるなって感じでね。しかも井上和が初センターに抜擢され5期生躍進の大事なタイミングでこんなタイトルかよ……と。

しかしこの曲の真髄はライブだろう。僕が2024年に初参加した「真夏の全国ツアー2024」の明治神宮野球場公演で、この曲のイントロが流れた瞬間の大歓声。あれは一生忘れられないだろう。この曲の持つ真のパワーというものをカラダで感じたね。ライブで評価が明確に上がった曲のひとつ。

何だかんだでタイトル含め曲のインパクトは強いので、もし普通の清楚ポップやシリアス系など王道乃木坂ソングだったらせっかくの井上初センターが埋もれていた可能性が高いよな……と今になって思う。次回作の「Monopoly」の方が曲としては好きだが、あれだと井上和のキャリア的には逆に埋もれてた。安定を捨てて冒険を取った戦略が非常に上手くいったパターンだと感じるね。結果的に井上和及び5期生躍進の根源になったと思うし、予想以上に近年の代表曲になった感がある。(2024/9/3更新)

おすすめ度:B
アルバム未収録

Monopoly

2023年12月6日 売上約61万枚

作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦、編曲:杉山勝彦・谷地学・尾上榛

34thシングル表題曲。

センターは遠藤さくら賀喜遥香。遠藤は2021年の「ごめんねFingers crossed」以来、賀喜は前年の「好きというのはロックだぜ!」以来、両者共に通算3度目のセンターとなる。

3期生から向井葉月、4期生から黒見明香、5期生から冨里奈央が初選抜。向井は2016年のグループ加入から実に7年経っての初選抜だった。

4期生のエース・遠藤さくらと賀喜遥香のダブルセンター、更に鉄板作家・杉山勝彦の登板と安心安定の盤石布陣。楽曲の方もキレキレの乃木坂ロックで実に爽快。これは一発で好きになった。AメロBメロサビどれも良メロだし特に1番ラストの〈愛は僕のMonopoly~〉の後は曇り空から一気に晴天に飛び出したような抜群の爽快感で最高。この曲で最も高まるのは1番ラストだね。

前作「おひとりさま天国」が冒険作だとしたら今作は手堅くまとめた一作だが、だからこそ楽曲としてはこっちの方が安定してて好き。「真夏の全国ツアー2024」で、明治神宮野球場にて生で聴いた時の高まりはやっぱり凄かった。イントロのパワーが凄い。(2024/9/4更新)

おすすめ度:B+
アルバム未収録

2024年

チャンスは平等

2024年4月10日 売上約58万枚

作詞:秋元康、作曲・編曲:中村泰輔

35thシングル表題曲。

今作をもってグループを卒業する山下美月がセンター。前年の「人は夢を二度見る」(久保史緒里とダブルセンター)以来通算3度目。単独としては2021年の「僕は僕を好きになる」以来2度目。

センター山下美月と同期である3期生は全員選抜され、特にフロント5名は全て3期生という布陣。3期生の吉田綾乃クリスティーが加入8年目にして初選抜。これにより3期生は(卒業済みの大園桃子を含め)全員がシングル選抜入りを経験した唯一の期となった。

山下の他、今作の活動をもって卒業する3期生・阪口珠美も最後の選抜であった。

80年代ディスコナンバーとでも言うのだろうか? これまでの卒業清楚ポップシングルとは全くテイストの異なるご陽気な曲。「サヨナラの意味」や「ここにはないもの」と比べるのは野暮かもしれないがやはり求めていた曲調ではなく好きになれない。メロディーもそんなに強くないし、かと言って斬新なテイストだ!という事もない。こういうディスコ系はAKB48の方で量産され尽くしてきたイメージで。

3期生のエースかつ功労者である山下美月の卒業シングルがコレで良かったのか? 山下本人がベタな卒バラを嫌いこのような曲調を望んだのだとしたら仕方ないが……ここは坂道ド真ん中のメロディアス清楚ポップが聴きたかった。いくらベタだとか過去の焼き直しとか言われても良いじゃんか、ここだけは。(2024/9/6更新)

おすすめ度:C
アルバム未収録

車道側

2024年4月10日

作詞:秋元康、作曲:古城康行、編曲:APAZZI

35thシングル「チャンスは平等」全Typeカップリング曲。

アンダーメンバーによる楽曲で、センターは筒井あやめ

普段選抜されないメンバーも含めA面の方に3期生を全員投入した事で、割を食ってそこから弾き出される形となった筒井あやめがセンターに。筒井は初のアンダー入りにして初センターだった。更に同じような形で初アンダー入りとなった菅原咲月、前作では選抜入りしていた冨里奈央をフロントに配置し、一部ファンからは「過去最強のアンダーメンバー」とも呼ばれる布陣が出来上がった。

公式YouTubeにおいて現在「チャンスは平等」が320万回再生、この「車道側」が375万回再生という事で「表題曲を上回ったカップリング曲」として大きな話題に(「らいおんハート」に対する「オレンジ」みたいなものか)。

乃木坂らしいメロディアス清楚ポップで、まぁ普通にファンにはこっちの曲の方が刺さるよなと思う。「チャンスは平等」に落胆したファン達の受け皿として機能し、カウンター的に支持を得てる面もあるだろうけど。でもやっぱり良い曲だよね。メロディーは爽やかなんだけど、イントロだけ何故かサイケというか幾何学的なサウンドをぶち込んでて、そんな「一筋縄ではいかぬぞ」って意識も好き。作曲の古城康行氏は登場回数は多くないものの、AKB48の「マジすかロックンロール」を手掛けていたりと意外に古株作家。

MVは学校が舞台。メンバーがそれぞれバスケ部・ダンス部・吹奏楽部・軽音楽部・帰宅部に分かれ新学期の生活を送る模様が描かれている。写真も含め、青春を感じる映像で曲の良さをより引き立てている。「バンドエイド剝がすような別れ方」のMVと近い青春感。こういうの好きなんだよね。(2024/9/7更新)

おすすめ度:B+
アルバム未収録

夏桜

2024年4月10日

作詞:山下美月、作曲:伊藤心太郎、編曲:野中”まさ”雄一

35thシングル「チャンスは平等」通常盤カップリング曲。

卒業する山下美月のソロ楽曲で、作詞も本人が手掛けている。

数少ない「秋元康以外の人物が作詞を手掛けた曲」の一つ。これの他には2020年に白石麻衣が作詞した「じゃあね。」(白石の卒業シングル「しあわせの保護色」に収録)がある。

AKB48時代から、大物メンバーが卒業する際にはシングルA面で表向きの卒業曲を出し、カップリングではより卒業メンバーに寄り添ったパーソナルな真の卒業曲を用意する、というのが秋元Pのやり方。今回でいうと「チャンスは平等」が表向き枠、この「夏桜」がパーソナル枠。

山下美月卒業専用パーソナルバラード。作曲はAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」等を手掛けた伊藤心太郎氏。「チャンスは平等」を酷評してしまったのでバランスを取ろうというつもりは無いが、この曲は良い。〈美しい月が照らす白道〉等さりげなく自分の名前も入れたりと、最後にして山下の作詞センスの良さも知れたし。季節の移り変わりや自然を表すフレーズが随所にあり全体的にとても美しい仕上がりの曲である。

思い切ってこの曲を表題曲にしても良かったんじゃないかなとも思うんだよね。勿論ソロ歌唱じゃなくて選抜メンバー歌唱という形にして。確かにカップリングだからこその魅力だし、歴代シングル群の中に放り込んだらそりゃ地味かもしれないけど。それでも山下美月の卒業シングルにふさわしい説得力と潜在能力はこの曲の方が秘めていると思う。コレを選抜メンバー全員で歌う画を見てみたかった。(2024/9/8更新)

おすすめ度:B
アルバム未収録

チートデイ

2024年8月21日 売上約52万枚

作詞:秋元康、作曲:川浦正大、編曲:野中”まさ”雄一

36thシングル表題曲。

センターは5期生の井上和。前年の「おひとりさま天国」以来、通算2度目のシングル表題曲センター。

5期生の小川彩が初選抜にして初福神・フロントメンバーに抜擢された。またかつて「Actually…」にて史上最速センター抜擢→史上最速活動自粛の騒動以来選抜から遠ざかっていた5期生・中西アルノが、7作ぶりに選抜復帰。

2年連続で夏ソングを担当する井上。「おひとりさま天国」の時はベテランの中に新人が放り込まれちゃいました状態だったが、1年経った今作ではすっかりセンターの顔になっているというか、落ち着いていて随分貫禄が出てきた。両脇が池田と小川で、同期2人に挟まれているのも心強いんだろうね。

学校をズル休みして、好きな子とバイクで海へ向かおうという青春ソング。作曲の川浦正大氏は2014年の「何度目の青空か?」以来の登場。「おひとりさま天国」は異色の曲だったが今回は爽快さ極まる乃木坂夏ソングのド真ん中。井上センターのシングルで遂に王道曲が来たのが嬉しいし、期待以上の良メロソングで満足。今年参加した「真夏の全国ツアー2024」の1曲目がコレで、とんでもない会場の盛り上がりを体感できたのも良い思い出。

「チートデイ」って「ダイエット中に食事制限を解除し好きなものを食べる日」だと思っていたのだがどうやら直訳すると「反則の日」「ズルの日」という意味もあるらしく。最初タイトルが発表された時は「ダイエットの曲!?秋元Pいよいよネタ切れか」と危惧したが「ズル休みの歌」って事なのね。歌詞を読む前は〈Bayside boo~♪〉が〈ペース配分~♪〉に聞こえてて、「ダイエットするにあたっての食事や筋トレのペース配分」を歌う自分磨きソングだと思ってた。井上の「(ズル休みして)ごめんなさぁ~~い!」って台詞も後で歌詞をじっくり読んだ後に意味が分かった。(2024/9/9更新)

おすすめ度:B+
アルバム未収録

※随時更新中

※乃木坂46 関連記事一覧

※欅坂46 関連記事一覧

著者:マー・田中(@kazeno_yukue)

コメント

タイトルとURLをコピーしました