サザンオールスターズ 歴代シングル&名曲感想 #2 ~1982-1985~
こんにちは、J-POP大好き人間・マー(@kazeno_yukue)です!
サザンオールスターズシングル&名曲レビュー、第2弾スタート。
1978年~1981年
1982年
チャコの海岸物語
1982年1月21日、約58万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生
14thシングル表題曲。
60万枚に迫る大ヒットを記録。「勝手にシンドバッド」を抜き去り、この時点で「いとしのエリー」に次ぐ自身2番目の売上となった。
ザ・歌謡曲という感じ。『海のYeah!!』で初めて聴いた時から「なんか変な歌い方だな…」と思っていたがこれは当時人気だった田原俊彦の声を真似して歌われているという。「チャコ」は飯田久彦、「ミーコ」は弘田三枝子、「ピーナッツ」はザ・ピーナッツ(『ゴジラ』シリーズの「小美人」を演じていた双子歌手)をそれぞれモデルにしておりこれに加え曲中でも「愛してるよ~!」という掛け声が挿入されている等、全体的にお遊び感があってサザンの中でも特殊な一曲である。こういう異色曲が受けて80年代サザン最大ヒットになってしまうんだから分からないものだ。
ただ桑田さん自身はこの曲にそこまでの思い入れは無いのか、浮いてしまうと考えたのか久々の大ヒットにも関わらずオリジナルアルバムには未収録。限定ベストへの収録はあったものの、一般販売アルバムに入ったのは遥か未来となる1998年の『海のYeah!!』が初。実に16年近くの間、アルバムで聴くのが困難だったという…。
ちなみにこの年の紅白歌合戦では同会場にいた三波春夫を真似て派手な着物に白塗りの顔で登場し、「受信料は払いましょう!」等と発言、視聴者から大バッシング。NHKに謝罪文を書かされる事態となった。
おすすめ度:C+
収録アルバム:限定ベスト『HAPPY!』、ベスト『海のYeah!!』
匂艶 THE NIGHT CLUB
1982年5月21日、約30万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生
15thシングル表題曲。
「匂艶」は「にじいろ」と読む。アダルティーなフレーズが飛び交う歌謡ナンバー。ホーンセクションが加えられ派手な仕上がりになっている。『海のYeah!!』に収録されていたので早い段階から知っていたし、ダークなアレンジに隠れて実は結構メロディアスな所(特にBメロの部分はかなり好き)がお気に入りで中学時代にはよく仲間内カラオケで歌ったりしていたが、大抵周りの反応は「?」って感じであまり盛り上がらないため早々にレパートリーから外した。でも現在でも好きな一曲ではある。
おすすめ度:B
収録アルバム:5th『NUDE MAN』、限定ベスト『HAPPY!』他
思い出のスター・ダスト
1982年7月21日
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
5thアルバム『NUDE MAN』収録曲。
3連リズムで大人のムード溢れるナンバー。ともすれば地味の一言で片づけられてしまいそうな一曲でもあるが、やはり『バラッド ’77~’82』に収録されており、中学生時代何度も聴いたため思い入れが強い。こうした渋い曲も悪くないなと思わせてくれたナンバーである。スター・ダストとは横浜の米軍基地近くに実在する(した?)バーの名前であるという。いつの日にか現地に赴いてみたい。
おすすめ度:B
収録アルバム:5th『NUDE MAN』、バラッドベスト『バラッド ’77~’82』
Just a Little Bit
1982年7月21日
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生
5thアルバム『NUDE MAN』のラストを飾るジャズ・バラード。リズムが若干複雑で異端な雰囲気も醸し出すがメロディーの美しさは最高級。同アルバム収録の「Oh! クラウディア」とはまた異なるタイプのバラードでまさに珠玉のナンバーである。桑田さんと原さんのボーカルが重なる箇所が至高。『海のYeah!!』等の大ヒットベストには収録されていないので「TSUNAMI」以降世代には知名度は低いものの、意外と80年代バラード最高峰の一曲じゃないかと思う。
おすすめ度:B+
収録アルバム:5th『NUDE MAN』、バラッドベスト『バラッド ’77~’82』
Ya Ya(あの時代を忘れない)
1982年10月5日、約34万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:新田一郎
16thシングル表題曲。
マツダ『MPV』CMソング。歌詞に「better days」(メンバーが青山学院大学で所属していた軽音サークルの名前)が登場するように、大学時代の青春を思い返すバラードナンバー。メロディアスでまさに名曲というオーラを持つ一曲。『海のYeah!!』には収録されていないがファン人気も高く2006年頃にはMステでも歌われていた。まったりしてるのであまり何度も聴きたくはならないが間違いなく良い曲。そもそも僕が中学時代に『バラッド ’77~’82』を買ったのはこの曲(あと「私はピアノ」)が目当てだったといっても過言ではない。
おすすめ度:B
収録アルバム:バラッドベスト『バラッド ’77~’82』、限定ベスト『すいか』他
1983年
ボディ・スペシャルⅡ(BODY SPECIAL)
1983年3月5日、約33万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎
17thシングル表題曲。
女性の上半身ヌードをそのままのせた衝撃ジャケットゆえ、ジャケットの画像出しは自粛する。05年に再発された際にはなんと44作中最も高い18位を記録。このおっぱい目当ての層が動いた為だろうか?(限定盤『すいか』以外のアルバムには未収録であるからという説も有力)。ちなみに2002~2004年頃に音楽情報番組『速報!歌の大辞テン』で今作が紹介された際には、ジャケットの胸の部分にモザイク処理が施されていた。
ライブでは欠かせない盛り上げナンバーという事でかなり激しくギターが鳴っている。さらに放送禁止用語スレスレの〈Man Call〉というフレーズも飛び出す等自由奔放だが、どうにもキャッチーさが薄くそこまで好きになれない一曲。ちなみに「ボディ・スペシャルⅠ」も存在し原さん作曲のインストとして今作のカップリングに収録されている。そちらは原さんらしいのほほんとした空気感の曲でⅡとは全くの別物。
おすすめ度:C
収録アルバム:限定ベスト『すいか』
EMANON
1983年7月5日、約7万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生
18thシングル表題曲。
6thアルバム『綺麗』と同時発売であり、アルバムの方にも収録されているためか売上は低く10万枚を割っている。これまたどこがサビなんだかよく分からないような渋い一曲。初めて聴いたのは2ndバラッド集『BALLADE 2 ’83~’86』でだったのだが、あまりの地味さにこれがシングルだなんて思わなかった程だ。聴き込んでいくとこの地味さが染みてくる。意外と好きな曲である。タイトルの「EMANON」は逆さに読むと「No Name(ノー・ネーム)」となるが、正式な由来は未だに不明。
おすすめ度:C+
収録アルバム:6th『綺麗』、バラッドベスト『BALLAD 2 ’83~’86』他
そんなヒロシに騙されて
1983年7月5日
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
6thアルバム『綺麗』収録曲。
原さんボーカル曲であり、「私はピアノ」同様に後に高田みづえによってカバーされヒットを記録している。歌謡曲路線バリバリのナンバーだがメロディーがキャッチーで、「私はピアノ」程では無いものの好きな一曲。
『海のYeah!!』にも収録されているがその収録位置が謎で、基本的にざっくりとながら時系列順に並んでいるあのアルバムにおいて何故か90年代期にあたるDISC 2に、厳密には「素敵なバーディー(NO NO BIRDY)」(93年)と「マンピーのG★SPOT」(95年)の間に置かれている。順番に聴いているとそこだけ一気に10年近く時が戻っちゃってるんだけど…。
おすすめ度:B
収録アルバム:6th『綺麗』、限定ベスト『すいか』他
東京シャッフル
1983年11月5日、約12万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生
19thシングル表題曲。
3度目の紅白歌合戦出場を果たしたシングル。しかしメンバー全員楽器を持たずに、ミュージカル風にダンスを披露しながら歌うという一風変わったスタイルでのパフォーマンスだったという。昭和20年代の東京がモチーフとなっており楽曲の方にもかなーり昭和の雰囲気が漂うチョコマカナンバー。最初に聴いた時は全く意味が分からなかったが最近になって良いかもと思うようになってきた。「ボディ・スペシャルⅡ」同様、これも限定盤以外のアルバムには未収録。
おすすめ度:C
収録アルバム:限定ベスト『すいか』
1984年
ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
1984年6月25日、約30万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:新田一郎
20thシングル表題曲。
アルバム『人気者で行こう』先行シングル。当初は「海」が先行シングルとなる予定だったが、発売間近になって今作に差し替えられたという。映画『彼女が水着にきがえたら』挿入歌(1989年)。
流行に流されやすい当時の女子大生を風刺した楽曲。当時彼らが追及していたコンピューター・サウンドが全面に展開されているが、一方でキャッチーさも兼ね備えた名曲に仕上がっている。『海のYeah!!』に収録されていた事もあって中学時代から好きな一曲。また槇原敬之が98年にカバーアルバム『Listen To The Music』でカバーしておりそちらも最高の出来なのでチェックする価値アリだ。異常に過激なMVが存在するらしく2004年のMV集『ベストヒットUSAS(Ultra Southern All Stars)』に収録されているんだけど観た事は無い。
おすすめ度:B+
収録アルバム:7th『人気者で行こう』、限定ベスト『すいか』他
海
1984年7月7日
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎
7thアルバム『人気者で行こう』収録曲。
バンド「ジューシィ・フルーツ」に提供した楽曲のセルフカバーであるというが原曲は知らない。聴いていると目の前に夏の海の情景が広がる穏やかなミディアムナンバーで名曲。前述の通り「ミス・ブランニュー・デイ」にその座を奪われるまではシングル候補だったという事で確かに良い曲だ。
『海のYeah!!』で昔から馴染み深い事もあり、一時的にはサザンで最も好きな曲はコレであった程だ。高校3年の夏にずっとリピートしていたので、聴くとあの頃の受験…将来…等漠然とした不安、そして未来への期待が入り混じった複雑な時代を思い出す。
おすすめ度:A
収録アルバム:7th『人気者で行こう』、バラッドベスト『BALLAD 2 ’83~’86』他
Tarako
1984年10月21日、約13万枚
作詞:Keisuke Kuwata & Tony Haynes、作曲:Keisuke Kuwata、編曲:SOUTHERN ALL STARS & Paul Fox
21stシングル表題曲。
アメリカ・ロサンゼルスでレコーディングされ、カップリング含めて全英語詞。現在のところ唯一となる全英語詞シングル。ベストはおろか『すいか』や『HAPPY』といった限定盤にさえ入っていない完全アルバム未収録楽曲。
日本テレビ系バラエティ『いい加減にします!』オープニングテーマ。これは三宅裕司や伊東四朗が出演し、サザンも準レギュラーとして出ていたショートコント番組らしい。楽曲としては割とスピード感もあってカッコイイ仕上がりだが、どこがサビなのかよく分からない構成や、全英語詞という事もあってとっつきにくい印象がある曲だ。
2019年にサブスク解禁されてからはちょこちょこ聴くようになり、聴いている最中は中々良いじゃんと思うんだが終わるとメロディーを覚えてないんだよな…。限定ベストにすら未収録という事は桑田さん自身の評価も低いのだろう。
おすすめ度:C
アルバム未収録
1985年
Bye Bye My Love(U are the one)
1985年5月29日、約39万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ & リアル・フィッシュ
22ndシングル表題曲。
何気に80年代のシングルでは「チャコの海岸物語」に次ぐ2番ヒットを記録。矢口博康率いるリアル・フィッシュがサポートメンバーとして参加している。仮タイトルは何故か「陰核の疼き」だったという。
シンセサイザーを用いた民族的なサウンドが展開する一曲。不思議な世界へと誘われるような世界観が心地良く、癖になるナンバーである。シングル「ミス・ブランニュー・デイ」やアルバム『人気者で行こう』で追い始めたコンピューターサウンドを更に追求したような感じ。〈い~ことだ~よねユーアーダワッ!〉のリズムが桑田節が効いてて心地良い。『海のYeah!!』に収録された事もあってか知名度は高く、中学時代の仲間内カラオケでも頻繁に歌われ思い出深い一曲である。
おすすめ度:B+
収録アルバム:8th『KAMAKURA』、バラッドベスト『BALLAD 2 ’83~’86』他
メロディ(Melody)
1985年8月21日、約27万枚
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
23rdシングル表題曲。
8thアルバム『KAMAKURA』約1か月前にリリースされた先行シングル。今作より原由子が産休に入ったため、コーラスとして代わりにジューシィ・フルーツのイリアが参加している。
スローテンポだがシンセサイザーの影響なのか全体的に電子的な空気が漂う。一発で残るタイプでは無いがじわじわ染みてくる魅力があり結構好きなナンバー。アルバム『KAMAKURA』のCMは明石家さんまがこの曲を口パクするという内容であり、00年代にもバラエティ番組等でよく流れたため聴くとさんまを思い出す。
おすすめ度:B
収録アルバム:8th『KAMAKURA』、バラッドベスト『BALLAD 2 ’83~’86』他
愛する女性とのすれ違い
1985年9月14日
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ・藤井丈司
8thアルバム『KAMAKURA』収録曲。
『バラッド2』で初めて聴いた時から好きなメロディアスバラード。実験的な曲や尖った曲が多いとされる『KAMAKURA』だが結局はメロディーの良いストレートな曲が最も印象に残っている。これは好みによるんだろうな。
おすすめ度:B+
収録アルバム:8th『KAMAKURA』、バラッドベスト『BALLAD 2 ’83~’86』他
鎌倉物語
1985年9月14日
作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:大谷幸
8thアルバム『KAMAKURA』収録曲。
原由子メインボーカル曲。「江ノ電」や「日影茶屋」等のワードが散りばめられた情緒溢れるミディアムナンバーで珠玉の名曲。『海のYeah!!』に入っていた事でかなり早い段階から知っていたし馴染み深い曲。「海」と共に高校3年の頃聴きまくった。原さんボーカルではこれが一番好き。
当時原さんは妊娠中だった為、自宅マンションにレコーディング機材を持ち込みベッドの上で歌入れをしたという。
鎌倉には実際高校2年生時に学校行事で行ったが実に雰囲気の良い場所だった。この曲を聴きながら、再び鎌倉へ行って現地を満喫するのが僕の夢。
おすすめ度:A
収録アルバム:8th『KAMAKURA』、バラッドベスト『BALLAD 2 ’83~’86』他
※この続き(「みんなのうた」~以降)のレビューは下記記事です
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著者:マー・田中(@kazeno_yukue)
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