サザンオールスターズ 歴代シングル&名曲感想 #1 ~1978-1981~

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サザンオールスターズ 歴代シングル&名曲感想 #1 ~1978-1981~

こんにちは、マー(@kazeno_yukue)です!
青山学院大学の音楽サークルを中心に結成されたサザンオールスターズ。メンバーは桑田佳祐(ボーカル・ギター)、大森隆志(リードギター)、関口和之(ベース)、松田弘(ドラムス)、原由子(キーボード)、野沢秀行(パーカッション)。国民的バンドの名曲たちを語っていこう。

1978年

勝手にシンドバッド

1978年6月25日、約52万枚
2003年6月25日(胸さわぎのスペシャルボックス)、約29万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:斉藤ノブ・サザンオールスターズ、管編曲:Horn Spectrum

1stシングル表題曲。

記念すべきデビューシングル。アサヒ飲料『三ツ矢サイダー』CMソング。初登場は132位だったが、1978年8月14日付で55位にランクインし10月9日付で最高位3位を記録。2003年にはリマスタリングを施した「胸さわぎのスペシャルボックス」として再発売され、オリジナルから25年の時を経てチャート1位を獲得。オリジナル盤とスペシャルボックスを合算すると累計売上は80万枚にのぼる。

現在もなお語り継がれる衝撃のデビュー曲。78年当時のインパクトは凄まじかったらしく、当時を知るうちの親は事あるごとに「とにかく斬新だった」と熱弁するし、タモリ等の著名人も当時を振り返って「彼らの登場は衝撃だった」と語っている。僕自身は生まれる遥か前なので当時の衝撃がどれ程のものだったのかは当然分からないんだけど、何だか今聴いても得体のしれない勢いみたいなものはひしひしと伝わってくる。しかし改めて考えると〈今何時?〉と聞かれて〈そうねだいたいね〉と返すというこのサビは凄い。果たしてこれは歌なのか…?いや、歌なんだけどさ。他の誰も思いつかないよね、やっぱり。

わたくしマー(平成元年生まれ)の世代だと2003年に再発売された時の記憶が一番大きくて、当時中学の仲間達の間で一時的に流行りカラオケでもよく歌われた。25年の時を経ても大ヒットを記録するあたり、やはり時代を超えた名曲という事なのだろう。この曲がリリースされた1978年といえば、沢田研二やピンクレディーが全盛の時代(ちなみにこの曲のタイトル自体、沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」を足したものなのだ)。当時のチャートの顔ぶれを見ると改めてサザンが息の長いバンドである事が分かる。

おすすめ度…B
収録アルバム:1st『熱い胸さわぎ』、限定ベスト『すいか』他

気分しだいで責めないで

1978年11月25日、約28万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎

2ndシングル表題曲。

当時の音楽業界では、ブレイクした曲から同じジャンルや曲調のシングルを3作連続でリリースするという3枚サイクルの戦略が生きており、それに沿って発売された曲。「勝手にシンドバッド」と「いとしのエリー」という2大名曲に挟まれてるので売れなかったイメージがあるがこの曲も30万枚近いヒットは飛ばしている。

要するに「勝手にシンドバッド」の2番煎じ的楽曲なわけで、事務所側から半強制的に作らされたという事で桑田さん自身もあまり好きな曲では無いらしい(一時期は「史上最低の曲」とまで言い放ったとか)。ただ90年代以降は良い思い出と思えるようになったようでライブでも演奏されている。ライブ映えするノリの良い曲だけど、やっぱり「勝手にシンドバッド」の影に隠れてしまった感は否めず印象は薄い。

おすすめ度…C
収録アルバム:2nd『10ナンバーズ・からっと

1979年

いとしのエリー

1979年3月25日、約73万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎

3rdシングル表題曲。

発売後、徐々にチャートを上昇し最高2位を獲得。「勝手にシンドバッド」を超える70万枚超えの大ヒットを記録した。1992年に「シュラバ★ラ★バンバ」「涙のキッス」でミリオンヒットを記録するまでの間はこの曲がサザン最大ヒット曲だった。

TBS系ドラマ『ふぞろいの林檎たち』主題歌。「勝手にシンドバッド」の強烈過ぎるインパクトによって、ともすればコミックバンドであるかのように思われていたサザンだが、そんな彼らの世間的な印象を見事に一変させたのがこの「いとしのエリー」。上の世代だと、曲とドラマがワンセットで印象付いている人も多いようだ。レイチャールズもカバーした普遍的なバラードの名曲。文句なしに良い曲である。サザンを一発屋扱いしていた人達も「もしかしたら凄いバンドなのかもしれない!」と考えを改めたらしい。本当に国民的な名曲だ。

おすすめ度…B+
収録アルバム:2nd『10ナンバーズ・からっと』、バラッドベスト『バラッド ’77~’82』他

お願いD.J.

1979年4月5日

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎

2ndアルバム『10ナンバーズ・からっと』収録曲。

アルバムのオープニングを飾る爽快なポップナンバー。シングルでも行けたと思う程にキャッチーで気持ちいい曲だ。間奏に謎の語りが収録されているがこれはアメリカのラジオDJウルフマン・ジャックの物まねをした桑田さんの声であるという。ちなみにこの間奏の桑田さんの遠吠えは2021年の桑田ソロ「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」でも聴ける。

おすすめ度…B
収録アルバム:2nd『10ナンバーズ・からっと』、限定ベスト『すいか

ラチエン通りのシスター

1979年4月5日

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

2ndアルバム『10ナンバーズ・からっと』収録曲。

「ラチエン通り」とは神奈川県茅ケ崎市に実在する市道の通称である。サビで重なる重厚なコーラスが魅力的なバラードで、中学時代に中古で買ったバラード集『バラッド ’77~’82』に収録されていた為、思い入れが強い。カラオケで歌おうとするとリズム・音程が中々つかめなくて苦戦する。桑田さんの中学時代の恋がテーマなんだとか。

おすすめ度…B
収録アルバム:2nd『10ナンバーズ・からっと』、バラッドベスト『バラッド ’77~’82』他

思い過ごしも恋のうち

1979年7月25日、約23万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎

4thシングル表題曲。

2ndアルバム『10ナンバーズ・からっと』からのリカットだがコーラスやホーンアレンジが変更されており、シングルバージョンはシングルでしか聴けないらしい。

映画『彼女が水着にきがえたら』挿入歌(1989年)。明るくノリの良い曲で、元々は前述の3枚サイクルに沿ってこの曲が3rdシングルになる予定だったらしいがメンバーの強い要望により「いとしのエリー」に差し替えられたという。決して悪くは無いんだけどやはり印象は薄い。Bメロで原さんの声が目立つ箇所があり、サビよりもそこのステップの方が耳に残る。

おすすめ度…C
収録アルバム:2nd『10ナンバーズ・からっと』(バージョン違い)、限定ベスト『すいか』(バージョン違い)

C調言葉に御用心

1979年10月25日、約38万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎

5thシングル表題曲。

ナビスコ『チップスター』CMソング、東宝映画『彼女が水着にきがえたら』挿入歌(1989年)。

「C調」とは「調子いい」→「ちょうしー」→「しーちょう」→「C調」という業界用語的な変形。中学時代に『海のYeah!!』を買う以前からカラオケで友人がよく歌っていたので知っていたし、結構良い曲だなと思っていた。ミディアムテンポの爽やかナンバーであり、サビ以上に〈たまにゃ Makin’love~〉の部分の軽快なメロディーが心地よく癖になる。息継ぎのタイミングが難しく何も考えずに歌うとサビで呼吸困難となるのでカラオケでは要注意。ちなみに山下達郎はサザンで一番好きな曲としてこの曲を挙げている。

おすすめ度…B
収録アルバム:3rd『タイニイ・バブルス』、限定ベスト『すいか』、他

1980年

涙のアベニュー

1980年2月21日、約10万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生

6thシングル表題曲。

FIVE ROCK SHOWと打ち出し、今作よりシングルを5ヶ月連続で1枚ずつリリースするという企画がスタート。同時にレコーディングに専念するという事でテレビ等のメディア露出を抑えていき、その為か6枚目にして初めてチャートトップ10入りを逃した。

横浜を舞台としたブルージーでまったりした曲。軽いバンドサウンドは今ではさすがに時代を感じる所もあるんだけど渋いメロディーのおかげでむしろ一つの味に思えてくる。中学時代によく聴いていたからか、『バラッド ’77~’82』に入っていた曲はどれも思い入れが強い。

おすすめ度…B
収録アルバム:3rd『タイニイ・バブルス』、バラッドベスト『バラッド ’77~’82

恋するマンスリー・デイ

1980年3月21日、約7万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

7thシングル表題曲。

FIVE ROCK SHOW第2弾。3rdアルバム『タイニイ・バブルス』と同時発売であり、そちらにも収録されているためトップ20入りを逃した。

女性の生理の際の憂鬱な気分を歌った異色作。レゲエを取り入れているのだが全体的に何となく湿っぽく暗い雰囲気が漂っている。テーマもテーマだし、どう考えてもシングルで切るようなタイプの曲では無いと思うのだが…。桑田さんのボーカルも妙に力が抜けているというか覇気が無い感じでありそれがより一層暗さに拍車をかけている。〈ちょっと聞いて ユウコ oh…〉の部分(ここがサビ?)のムーディーな展開はちょっと耳に留まるものがあるけど、やっぱりA面っぽさは皆無。

おすすめ度…C
収録アルバム:3rd『タイニイ・バブルス』、限定ベスト『すいか

私はピアノ

1980年3月21日

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生

3rdアルバム『タイニイ・バブルス』収録曲であり初の原由子メインボーカル曲。後に高田みづえのカバーでシングル発売され最高5位、49.3万枚のヒットを記録した。

サビのドラマチックなメロディー展開がたまらない名曲。中学時代に『FNS歌謡祭』の過去映像で高田みづえバージョンを先に聴き「良い曲だな」と思い、その後サザンの原曲も聴こうと中古で『バラッド ’77~’82』を入手した。

サザンバージョンでは2番の中頃で〈おいらを嫌いになったとちゃう~ ん~ そんなことないわいな~ あっそう!〉という謎の掛け合いが炸裂する。正直この掛け合いは必要なのか?という気もするんだけど、もしかしたらそここそがサザンらしさの表れなのかな。一筋縄ではいかないよみたいな。ザ・歌謡曲というオーラがある。歌詞にラリー・カールトンやビリー・ジョエルが登場するのもシャレオツ(原さんが敬愛しているのだとか)。

おすすめ度…B+
収録アルバム:3rd『タイニイ・バブルス』、バラッドベスト『バラッド ’77~’82

いなせなロコモーション

1980年5月21日、約11万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

8thシングル表題曲。

FIVE ROCK SHOW第3弾だが、レコーディング時間などの都合により前作から2ヶ月の間が出来ている。アサヒ飲料『三ツ矢サイダー』CMソング。スピーディーで爽快な曲。ブルージーだったりマニアック寄りなシングルが多いこの時期としては珍しくストレートでキャッチーだ。ライブでの迫力は桁違いだと思うので、ぜひライブで体感したい曲の一つである。FIVE ROCK SHOWの5作中、唯一『海のYeah!!』に収録された事もあり知名度も高い。

おすすめ度…B+
収録アルバム:限定ベスト『すいか』、ベスト『海のYeah!!

ジャズマン(JAZZ MAN)

1980年6月21日、約5万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生

9thシングル表題曲。

FIVE ROCK SHOW第4弾。リリース当時の最高順位は33位だったが05年の一斉再発盤で32位へと更新した

「ジャズマン」というタイトルだけあってとりあえずジャズが基調となっているらしい。桑田さん曰く、アレンジャー・八木正生に大きな影響を受けたという。最初に聴いた時は何だかチャカチャカして忙しい曲だなという印象しかなかったのだが何回か聴いたら結構悪くないと思うようになった。しかし89年の限定ベスト『すいか』にしか収録されておらずオリジナルアルバム未収録な為か知名度は低い。

おすすめ度…C+
収録アルバム:限定ベスト『すいか

わすれじのレイド・バック

1980年7月21日、約5万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

10thシングル表題曲。

FIVE ROCK SHOW最後となる第5弾。最高順位の28位は05年再発盤で記録(1980年当時の最高順位は41位)。98年にはニッポン放送『テリーとうえちゃんのってけラジオ』エンディングテーマに。

カントリー調の軽やかな曲。「ジャズマン」と同じくオリジナルアルバム未収録だが、こちらは『バラッド ’77~’82』に収録されていた為、思い入れが深くアコギでよく弾き語りしたりした(ベストに収録されるかされないかで曲の明暗って分かれるんだなぁと思う)。

終盤ではマナという人のコーラスが入ってくるのだがずっと子供達の合唱だと思っていた。ってかマナって誰? カップリングの「FIVE ROCK SHOW」はサザンで唯一3人以上のメンバーがボーカルをとっている曲であり、05年の再発盤が売れたのはこれ目当てのファンが多かったからだろうか。

おすすめ度…B
収録アルバム:バラッドベスト『バラッド ’77~’82』、限定ベスト『すいか

シャ・ラ・ラ

1980年11月21日、約8万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生

11thシングル「シャ・ラ・ラ/ごめんねチャーリー」両A面1曲目。

自身初の両A面シングル。しかし公式サイトでは「シャ・ラ・ラ」の単独A面表記になっているようだ。

桑田さんと原さんのデュエット曲。シングルA面では初であり、意外にも唯一の曲であるという。またもオリジナル未収録だが『バラッド ’77~’82』で早いうちに知っていたため思い入れは深い。

まったりとした良い曲。シングルにしては地味かもしれないがその地味さが魅力というか。歌詞はどういう意味なのかイマイチよく分からないんだけど、原さんパートで登場する「横浜」という単語だけで何となくシャレオツに感じる。実はクリスマスソングであり、終盤で突如〈雪になりそな Merry merry merry Christmas Amen〉と歌い出す(何で若干ヘンな声で歌っているのかは謎だ)。

おすすめ度…B
収録アルバム:バラッドベスト『バラッド ’77~’82』、限定ベスト『すいか

ごめんねチャーリー

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦管編曲:八木正生

11thシングル「シャ・ラ・ラ/ごめんねチャーリー」両A面2曲目。

歌謡曲的と言おうか、何だか時代性を感じる一曲。ホーンが使用されていたりダイナミックな演奏なんだけどやはり時代のせいかあまり迫力を感じない。ちなみに歌詞にある〈モンタさん〉はもんたよしのり、〈竜童さん〉は宇崎竜童。そしてチャーリーはレイ・チャールズ。

おすすめ度…C
収録アルバム:限定ベスト『すいか

1981年

Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)

1981年6月21日、約5万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

12thシングル表題曲。

映画『モーニング・ムーンは粗雑に』主題歌。自身最低の順位&売上となった逆の意味で記念すべきシングル。ダスティン・ホフマン、エリック・クラプトン、オノ・ヨーコらの名前が登場するロックナンバー。イマイチつかみにくいメロディーでそこまで好きな曲では無いが、ここ数作のシングルを差し置いて『ステレオ太陽族』に収録された。

ちなみにサザンがミュージックステーションに初出演した1988年6月24日の回で、その時の新曲だった「みんなのうた」と共に何故かこの曲も披露された。「勝手にシンドバッド」や「いとしのエリー」のような有名代表曲ならば分かるが、よりによってどうしてこんな最低売上・低知名度な曲を初出演で選んだんだ?桑田さんのこだわりだろうか。

おすすめ度…C
収録アルバム:4th『ステレオ太陽族』、限定ベスト『すいか

栞のテーマ

1981年9月21日、約6万枚

作詞・作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ

13thシングル表題曲。

映画『モーニング・ムーンは粗雑に』挿入歌。4thアルバム『ステレオ太陽族』からのリカットながら現在でも強い人気を誇る名バラード。メロディーが良いし全体的に可愛らしい印象の曲。発売当時はそこまでのヒットではなかったが、88年に映画『彼女が水着にきがえたら』の挿入歌に起用されたり、『海のYeah!!』へ収録されたりとピックアップされる機会が何度かあり、後年のファンにも浸透していった。

なんでもタレントの佐藤栞里、女優の貫地谷しほり、ももいろクローバーZの玉井詩織、元SKE48の金子栞、シンガー新山詩織の名前の由来になったのはこの曲なんだとか。影響力が凄い。

おすすめ度…B
収録アルバム:4th『ステレオ太陽族』、限定ベスト『すいか』他

続き(「チャコの海岸物語」~以降)のレビューは下記記事です

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著者:マー・田中(@kazeno_yukue)

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