B’z 歴代アルバム感想&おすすめ度 #1 ~1988-1998~

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B’z 歴代アルバム感想 #1 ~1988-1998~

B’z

1988年9月21日 初動約0.4万枚 売上約33万枚

▼収録曲

01.だからその手を離して/02.Half Tone Lady/03.ハートも濡れるナンバー~stay tonight~/04.ゆうべのCrying~This is my truth~/05.Nothing To Change/06.孤独にDance in vain/07.It’s not a dream/08.君を今抱きたい/09.Fake Lips

1stアルバム『B’z』。

当時のキャッチコピーは「最先端から加速する。(空想の未来なら、いらない。)」。1988年5月、ボーカリストを探していた松本孝弘にビーイング社長兼音楽プロデューサーだった長戸大幸が稲葉浩志のデモテープを聞かせた事から2人が初対面、その僅か4か月後に今作のリリースとなった。

デビューシングル「だからその手を離して」(今作と同発)とカップリング「ハートも濡れるナンバー~stay tonight~」を収録。作詞と作曲が1曲ずつ外部に任されており、「Nothing To Change」は亜蘭知子が作詞を、「孤独にDance in vain」は大槻啓之が作曲を務めている。

リリース当時は100位内に4週チャートインしたのみだったが、B’zがじわじわブレイクしてきた90年5月(4thシングル「BE THERE」がリリースされた時期)に再びチャートに復活。91年1月に最高位である47位を記録(2週連続)。その後も80~90位台をウロウロとさまよい続け最終的に92年9月(11thシングル「ZERO」発売の直前)までランクインしていた

記念すべきデビューアルバムだが、ドタドタした打ち込みサウンドがかなり目立ち肝心のギターは後方に引っ込んでいる。若き日の稲葉のボーカルも固い。後追いで聴くと全体的にメロディーも地味というかパッとしないものが多く、とてもじゃ無いが後に天下を獲るグループだとは思えない…。当時は「ロック」と「打ち込み」の融合を目指していたという事からこのようなサウンドになったようだが…。初期B’zはTM NETWORKに近いとよく言われているが確かに納得できる。英語が多用された歌詞からも、稲葉がまだ作詞の要領が掴めず試行錯誤していた感が伝わってくる。2人が出会って僅か4ヶ月という急ピッチで制作されたからか、手探り状態で生み出された今作の出来には未だに本人達も満足していないらしい。この中ではやはりシングルに選ばれた「だからその手を離して」が頭一つ抜けているというか耳に残る曲だなとは思ったが、現在のイメージのまま聴くと多分馴染めない一作である。

おすすめ度:D

B’z / B’z

OFF THE LOCK

1989年5月21日 初動約0.5万枚 売上約60万枚

▼収録曲

01.君の中で踊りたい/02.HURRY UP!/03.NEVER LET YOU GO/04.SAFETY LOVE/05.GUITAR KIDS RHAPSODY/06.夜にふられても/07.LOVING ALL NIGHT/08.OH! GIRL/09.ROSY/10.OFF THE LOCK

2ndアルバム『OFF THE LOCK』。前作『B’z』から8ヶ月ぶり。

シングル「君の中で踊りたい」(今作と同発)とC/W「SAFETY LOVE」を収録。キャッチコピーは「マインドも進化する。」。今作発売後、ライブが出来る曲数が揃ったという事で初の単独ライブツアー「B’z LIVE-GYM #00 “OFF THE LOCK”」が開催された。

前作『B’z』同様リリース当時は100位内に4週ランクインしたのみで殆ど売れなかったが、90年6月(5thシングル「太陽のKomachi Angel」が自身初の1位を記録した時期)にチャートへ復活。その後もブレイクに引っ張られる形でじわじわ売れ続け、91年1月に最高位である33位を記録。最終的に93年9月までランクインし続け、合計126週というロングセラーとなった

新人では異例の1000時間をかけて制作された事もあってか、前作と比べると全体的にサウンドもメロディーも良くなっているように思う。特に音楽少年の青春を歌った「GUITAR KIDS RHAPSODY」なんかは80年代後半の青い空気感が染みる良曲(僕は平成元年生まれなので実際に80年代後半の空気を体感した事は無いけど)だし、「OH! GIRL」もスピーディーで弾けた名曲である。ラストの「OFF THE LOCK」は歌詞が3行しか無い異色作で、途中ギターが「だからその手を離して」のフレーズを弾き始める所が中々面白い。相変わらず打ち込みメインでドタドタした感じもするし後追いでの違和感は凄いんだけど、大ブレイク前の作品の中ではまだ聴き易い一作かなと思った。

おすすめ度:C

OFF THE LOCK / B’z

BAD COMMUNICATION

1989年10月21日 初動約0.9万枚 売上約118万枚

▼収録曲

01.BAD COMMUNICATION/02.OUT OF THE RAIN-OFF THE LOCK STYLE-/03.DA・KA・RA・SO・NO・TE・O・HA・NA・SHI・TE-OFF THE LOCK STYLE-

1stミニアルバム『BAD COMMUNICATION』。

キャッチコピーは「エンドレスで、かまわない。止めるまで、DANCE空間。DANCE ORIENTED SPECIAL」

新曲となる表題曲の他、1stアルバム『B’z』収録曲「君を今抱きたい」、1stシングル「だからその手を離して」それぞれの全英語詞リメイクを収録した全3曲。

初登場は15位だったもののその後延々とチャートに居座り続け、1991年1月に最高位である12位を記録。その後92年3月ついに100万枚を突破した。最終的に93年9月までランクインしており合計で163週というロングセラーとなった。週間アルバムチャートにおいて一度もTOP10に入らずミリオンを達成した作品は今作とMr.Children『KIND OF LOVE』の2作のみ。

公式ではミニアルバムだが、日本レコード協会ではシングル扱いとなっている。そのため日本レコード協会において12cmシングル(マキシシングル)で初のミリオンセラーは今作とされている(O社では95年の福山雅治「HELLO」がマキシ初ミリオン)。

表題曲「BAD COMMUNICATION」は今やB’zの代表曲の一つにまでのぼり詰めたと言える程に知名度の高いナンバーだが、初出はシングルでは無くミニアルバムだったのだ(個人的に『B’z The Best “Pleasure”』収録の「E.Style」を先に聴いていたので、英語詞バージョンがオリジナルだと長らく誤解していた…)。デジタルなダンスビートナンバーでキャッチーさもあり今となっては名曲に感じるが、当時は実験的な試みとしてリリースされたものだった為、B’z本人らもヒットするなんて到底思っていなかったという。

肝心の内容だが、聴き慣れているからかやはり「BAD COMMUNICATION」は良いと思えるものの、他のリアレンジ2曲は7分超えという長さもさることながら歌が入っていない部分も多くて一度聴けば十分な感じもする。さらに97年にリリースされた非公認ベスト『Flash Back-B’z Early Special Titles-』には今作収録の3曲が全て入っており中古で格安入手が可能なので、コレクション的な目的以外で現在わざわざ今作を買う必要も無いかなと思う。

おすすめ度:D

BAD COMMUNICATION / B’z

BREAK THROUGH

1990年2月21日 初動約4万枚 売上約72万枚

▼収録曲

01.LADY-GO-ROUND/02.B.U.M/03.BREAK THROUGH/04.BOYS IN TOWN/05.GUITARは泣いている/06.LOVE & CHAIN/07.となりでねむらせて/08.HEY BROTHER/09.今では…今なら…今も…/10.SAVE ME!?/11.STARDUST TRAIN

3rdアルバム『BREAK THROUGH』。

1989年のミニアルバム『BAD COMMUNICATION』から5ヶ月ぶり、フルアルバムとしては『OFF THE LOCK』以来10ヶ月ぶり。キャッチコピーは「感性が誘惑された。創造力が突き抜けた。」

シングル「LADY-GO-ROUND」(2万枚)と2nd beat「LOVE & CHAIN」を収録。シングルと同時発売・シングル表題曲が1曲目という1stアルバム『B’z』から続いていた形式は今作までとなった。

前年の1stミニアルバム『BAD COMMUNICATION』がロングヒットしていた影響もあってか、初登場3位を記録し自身最高順位を大幅に更新。最終的に93年3月(12thシングル「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」リリースの直前)までランクインしており、合計124週というロングセラーとなった。

松本は「3枚目までにブレイクしなければ!」という思いが強くあったようで、タイトルもまんま「ブレイクするー」だしかなり気合が入っていたようだ…がその割には全体的にキャッチーさが薄いのでアルバム全体の印象はそこまで強くない。「B・U・M」(90年から94年まで存在したB’z中心の音楽制作集団の名前)は全英語詞でラップが炸裂する短い異色曲で試みとしては面白いが、あくまでアイデア止まりで明確な良さを感じる程では無いしその他の曲も微妙。時期的に「大ブレイクへ繋がるステップ作」だったともとれるが、それなら1stミニアルバム『BAD COMMUNICATION』の方がそう呼ぶに相応しい立ち位置だったと思うし…。個人的には影が薄い一作。ただ90年代に入りこれまでと比べて音がしっかりしてきたような感じは受ける。

おすすめ度:C

BREAK THROUGH / B’z

WICKED BEAT

1990年6月21日 初動約10万枚 売上約111万枚

▼収録曲

01.I Wanna Dance Wicked Beat Style/02.Komachi-Angel Red Hot Style/03.Bad Communication E.Style/04.Lady-Go-Round “W-40” Style

2ndミニアルバム『WICKED BEAT』。

同年2月の3rdアルバム『BREAK THROUGH』から4ヶ月ぶり。ミニアルバムとしては1989年の『BAD COMMUNICATION』以来約8ヶ月ぶり。

既存曲4曲(「君の中で踊りたい」「太陽のKomachi Angel」「BAD COMMUNICATION」「LADY-GO-ROUND」)の全英語詞リメイクで構成されている。BMGビクターからの発売だが、後にBMGルームスの設立に伴い発売権が移行している。初登場3位ながら1993年9月まで120週に渡って売れ続け、前ミニアルバム『BAD COMMUNICATION』に続く2作目のミリオンセラーとなった。

曲と曲の間が殆ど無く、ノンストップリミックスメドレーのような感じに仕上がっている異色作。正直一度聴けば十分かなという感じだしファン向けの要素が強い気もするので、当時B’zの勢いが高まっていたとはいえこれがミリオン越えしたっていうのはかなり意外だ。

「Bad Communication E.Style」は後に1998年のベスト盤『B’z The Best “Pleasure”』にショートバージョンが収録される事となる。僕が最初に買ったB’zのアルバムが『Pleasure』でありこのE.Styleをずっと聴いていた為、長らく全英語詞の楽曲なんだと勘違いしていたという…。なので未だに「BAD COMMUNICATION」に関してはオリジナルよりもこのE.Styleの方に馴染みがある。

おすすめ度:D

WICKED BEAT / B’z

RISKY

1990年11月7日 初動約31万枚 売上約169万枚

▼収録曲

01.RISKY/02.GIMME YOUR LOVE-不屈のLOVE DRIVER-/03.HOT FASHION-流行過多-/04.EASY COME, EASY GO!-RISKY Style-/05.愛しい人よGood Night…/06.HOLY NIGHTにくちづけを/07.VAMPIRE WOMAN/08.確かなものは闇の中/09.FRIDAY MIDNIGHT BLUE/10.It’s Raining…

4thアルバム『RISKY』。

同年6月の2ndミニアルバム『WICKED BEAT』から5ヶ月ぶり。オリジナルアルバムとしては2月の『BREAK THROUGH』から9か月ぶりとなった。

シングル「EASY COME, EASY GO!-RISKY Style-」(47万枚)「愛しい人よ Good Night…」(35万枚)収録。初めてTOP10入りした「BE THERE」、さらに初めてチャート1位を獲得した「太陽のKomachi Angel」の2シングルは共に未収録となった。初回盤はスリーブケース入り、写真集付属。

今作より松本孝弘の単独プロデュースとなっている。フルアルバムとしては初めてシングルと同時発売ではない単独発売となり、シングルが1曲目では無いという構成も初。初動31万枚を記録しアルバムで初の1位を獲得。さらに累計で169万枚を突破する大ヒットとなり、フルアルバムで初のミリオンセラーを記録した。最終ランクインは1994年1月。

ロックサウンドとデジタルビートの融合という1stから掲げてきたテーマが一つの完成形を迎えた。松本のギターがこれまでと比べてくっきり目立つようになりようやくイメージ通りのB’zが形を成し始めたという印象。楽曲の勢いも格段に上がっており実質1曲目の「GIMME YOUR LOVE-不屈のLOVE DRIVER-」からシングル級のクオリティ。歌詞の面でも〈二人ガードレールとCRUSHしても なんかおまえだけ助かりそう…〉という独特の超センスを纏った稲葉節が本格開花している。ラストの「It’s Raining…」はサビ以外は稲葉が電話で誰かと延々会話しているというスーパー異色ソング。これはこれで面白い。ユニットが一つ次のステージに突入したという感じのするターニングポイント的作品だ。

おすすめ度:B

RISKY / B’z

MARS

1991年5月29日 初動約66万枚 売上約173万枚

▼収録曲

01.孤独のRunaway/02.Mars/03.Loving All Night~Octopus Style~/04.Love & Chain~Godzilla Style~/05.LADY NAVIGATION~Cookie & Car Stereo Style~

3rdミニアルバム『MARS』。

前年の4thアルバム『RISKY』から約6ヶ月ぶり、ミニアルバムとしては『WICKED BEAT』から約11ヶ月ぶりとなった。テーマは「踊れるハードロック」

新曲2曲に加え、過去曲のリメイク3曲(それぞれ2ndアルバム『OFF THE LOCK』収録曲「LOVING ALL NIGHT」、3rdシングルC/W「LOVE & CHAIN」、8thシングル「LADY NAVIGATION」)を収録。「LADY NAVIGATION」の原曲は次のフルアルバム『IN THE LIFE』にも収録されず、7年後のベスト盤『B’z The Best “Pleasure”』まで放置される事となる。

前作『RISKY』の約2倍の初動を記録。累計173万枚を売り上げる大ヒットとなり、自己最高セールスを更新した。5作あるミニアルバムの中では最大のヒット作。最終ランクインは1993年9月。

1曲目「孤独なRunaway」はシングル級のキャッチーさを持ったロックナンバーで文句なしに良い曲だが問題は2曲目「Mars」だ。タイトル的に表題曲であるものの、歌詞は全てひらがなand改行無し四角詰め、全編インストに稲葉の物憂げな語りのみという前作の「It’s Raining…」をも超える超異色曲。ミニアルバムは「実験の場」としていた事が改めて窺えるナンバーだが異色過ぎて正直何とも評価し難い。その後の全英語詞リメイク3連はロックサウンドでカッコよく纏めているものの、全体的に実験色がかなり強く後追いではとても170万枚売れる作品だとは思えない。まぁそれだけ当時勢いに乗っていたという事なのだろう。

おすすめ度:C

MARS / B’z

IN THE LIFE

1991年11月27日 初動約104万枚 売上約240万枚

▼収録曲

01.Wonderful Opportunity/02.TONIGHT(Is The Night)/03.『快楽の部屋』/04.憂いのGYPSY/05.Crazy Rendezvous/06.もう一度キスしたかった/07.WILD LIFE/08.それでも君には戻れない/09.あいかわらずなボクら/10.ALONE

5thアルバム『IN THE LIFE』。

5月の3rdミニアルバム『MARS』から約半年ぶり、フルアルバムとしては前年の『RISKY』から約1年ぶりとなった。

シングル「ALONE」(112万枚)収録。3月にリリースされ自身初のミリオンシングルとなっていた「LADY NAVIGATION」は未収録(5月のミニアルバム『MARS』に全英語詞リメイクバージョンは収録済)。表記されていないが「ALONE」は冒頭にコーラスが追加されたアルバムバージョンとなっている。初回盤はスリーブケース&写真集付き。

初動のみでミリオンを記録し、累計で自身初の200万枚突破作品となった(この1991年末はCHAGE and ASKA『TREE』の史上初アルバムダブルミリオン突破を皮切りに、DREAMS COME TRUEの『MILLION KISSES』、そして今作とアルバム売上の更新が相次いだ)。今作の売上は翌年のチャートに反映され、1992年度アルバム年間2位となっている。オリジナルアルバムでは95年の8th『LOOSE』に次いで自身2番目のセールス。トップ100内登場数は98週となっており最終的に94年1月までチャートインしていた。

『RISKY』までのデジタルビート色や『MARS』でのハードロック色とはまた一味変わったポップandロック(曲によっては歌謡チックなものも)色の目立つ作風になった一作。特に1曲目「Wonderful Opportunity」の突き抜け感は最高だし、更に多数のベスト盤に収録されシングルと同等かそれ以上の人気と地位を持つ「もう一度キスしたかった」は文句なしの名曲。その他もこの2曲程では無いものの適度にポップかつロックであり聴き心地は良い。アコースティック調の「あいかわらずなボクら」が微笑ましく終わった後、「ALONE」のコーラスが聴こえてくる部分はこのアルバムのハイライト。

おすすめ度:B

IN THE LIFE / B’z

RUN

1992年10月28日 初動約119万枚 売上約219万枚

▼収録曲

01.THE GAMBLER/02.ZERO/03.紅い陽炎/04.RUN/05.Out Of Control/06.NATIVE DANCE/07.MR.ROLLING THUNDER/08.さよならなんかは言わせない/09.月光/10.Baby,you’re my home

6thアルバム『RUN』。1991年の前作『IN THE LIFE』から約11ヶ月ぶり。

同月発売の先行シングル「ZERO」(131万枚)収録。5月にリリースされ年間3位の大ヒットとなっていた「BLOWIN’」はコンセプトの違いから未収録。この曲はそのまま1998年の2ndベスト『B’z The Best “Treasure”』に初収録されるまで約6年半の間放置される事となる。

初回盤はスリーブケース入り、フォトカード付き。当初はアルバムタイトルは先行シングルと同じ「ZERO」とする予定だったが、4曲目「RUN」が完成した際にこちらの方がタイトルに相応しいと判断され変更になったという逸話がある。

前作『IN THE LIFE』を超える数字でまたしても初動ミリオンを記録しダブルミリオンを突破する大ヒットとなった。2作連続200万枚超えを果たしたが、累計売上・登場週数共に前作を若干下回った。

先行シングル「ZERO」の作風のまま、ハードロックに振り切れた一作。初めてライブツアーのメンバーとのセッションから制作が始まったという事で、「今までと違う事をやろう」という明確な意図の元作られたようだ。とはいえ現在の感覚では「いつものB’zらしいアルバム」なんだけどね。ベスト盤で先に知っていた「RUN」「さよならなんかは言わせない」「月光」の他にも、ライブでは振り付けで一体感が生まれる「NATIVE DANCE」やアコースティック調の「Baby, you’re my home」など佳作が多い。ハードロック色が強いといっても全10曲とそこまで長くは無くて一気に聴けるので好感触。同年に大ヒットしていたとはいえ、この作風では確かに「BLOWIN’」を入れるスキは無いよね。

おすすめ度:B

RUN / B’z

FRIENDS

1992年12月9日 初動約70万枚 売上約135万枚

▼収録曲

01.Prologue Friends/02.SCENE 1.いつかのメリークリスマス/03.SCENE 2.僕の罪/04.2-2.Love is…/05.SCENE 3.恋じゃなくなる日/06.SCENE 4.SEASONS/07.SCENE 5.どうしても君を失いたくない/08.6.いつかのメリークリスマス(Reprise)

4thミニアルバム『FRIENDS』。

6thアルバム『RUN』から約1か月ちょっとでのリリース。ミニアルバムとしては91年の『MARS』以来1年7か月ぶり。

アルバム全体を通してストーリー性を持つコンセプトアルバムとなっており、それぞれの曲にトラック番号とは別の番号表記が付けられている。初回盤はスリーブケース仕様。

初動70万枚を記録し初登場1位。結果的にミリオンセラーは達成したものの、200万枚を超える大ヒットを記録していた前2作のフルアルバム『IN THE LIFE』『RUN』から比べると大幅に売上はダウン。ミニアルバムに限定すると91年の『MARS』、96年の『FRIENDSⅡ』に次ぐ3番目の売上となった。93年度年間アルバムチャート6位。最終ランクインは93年10月。

全曲がミディアム~バラードナンバーとなっているコンセプトアルバム。今作の最大トピックはやはりシングル級かそれ以上に有名な「いつかのメリークリスマス」の収録だろう。B’zの代表曲という枠を越えクリスマスの定番ソングという地位にまで上り詰めた感のある名曲だが元々はミニアルバムの1曲に過ぎなかったのだ。現在では数多くのベスト盤に収録されているがこの曲が最も存在意義を放つ場所はココであると感じる。またバラード中心と言っても20周年ベスト『B’z The Best “ULTRA Treasure”』にファン投票10位で収録された「恋じゃなくなる日」なんかは割とロック色が強くこれまた名曲。どの曲も良メロだし随所に配置されたインストもこの切なく哀しい世界観を盛り上げていて非常に染みる。他のアルバムとは一線を画したここでしか聴けないB’zが聴けるのでオススメな一作である。

おすすめ度:B

FRIENDS / B’z

The 7th Blues

1994年3月2日 初動約105万枚 売上約163万枚

▼DISC-1 収録曲

01.LOVE IS DEAD/02.おでかけしましょ/03.未成年/04.闇の雨/05.MY SAD LOVE/06.Queen of Madrid/07.ヒミツなふたり/08.Strings of My Soul/09.赤い河/10.WILD ROAD

▼DISC-2 収録曲

01.Don’t Leave Me/02.Sweet Lil’ Devil/03.THE BORDER/04.JAP THE RIPPER/05.SLAVE TO THE NIGHT/06.春/07.破れぬ夢をひきずって/08.LADY NAVIGATION/09.もうかりまっか/10.farewell song

7thアルバム『The 7th Blues』。

92年のミニアルバム『FRIENDS』から1年3か月ぶり、フルアルバムでは『RUN』以来1年5か月ぶりのリリース。自身初の2枚組オリジナルアルバム。

1か月前の先行シングル「Don’t Leave Me」(144万枚)収録。前年にリリースされ自身最大のヒットとなっていた「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」と「裸足の女神」の2シングルは共に未収録となった。

初動ミリオンを記録し3週連続の1位を獲得。2枚組のオリジナルアルバムとしては史上初のミリオンであり、未だ歴代最高売上となっている(2枚組オリジナルでのミリオンセラー自体はこの後2005年にサザンオールスターズの『キラーストリート』、2010年に嵐の『僕の見ている風景』が達成している)。ただチャートイン週数はこれまでの作品と比べてガクンと減り16週に留まっている。94年度年間アルバムチャート4位。

先行シングル「Don’t Leave Me」の流れのまま全体的にブルージーで重たい雰囲気の溢れるアルバム。B’zの二人が自分達のルーツをハッキリと提示した作品でありこれまでのように売れ線だとかヒットチャートとの兼ね合いを一切無視してやりたいようにやっている印象。この94年は重たい作風が目立った事に加えメディア露出も激減し現在では「暗黒時代」なんて呼ばれているがそれを象徴する一作。

ただ暗黒といってもファンク調だったりブラスアレンジが効いた曲も多く「おでかけしましょ」のように弾けた曲もあるので、あくまでキャッチーさが薄いというだけで何もどん底に暗い…という感じでも無い。突き抜けた一曲というのは無いんだけど全体通してこの時期だからこそ、このアルバムだからこそ!という独特さに包まれた曲ばかりで完成度は非常に高いと思う。個人的には90年代B’zで最も好きなアルバムである

大ヒットシングルとはいえ「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」「裸足の女神」の2曲は今作に入れる隙は無く、未収録にしたのも頷ける(ただ、僕がレコード会社の人間だったら「せめてボーナストラックとして入れてくれませんかね…?」と言うかもしれないがね…)。逆に半年以上先のシングル「MOTEL」の方が今作の空気を引きずった作風でハマっていると思う。改めて順番に聴いていくと90年代前半のB’zはアルバム毎に作風がどんどん変化しており面白い。それでいて安定して大ヒットを飛ばしまくっていたというのが恐ろしい…(普通だったらファンが一気に離れて大爆死してもおかしくない程の変貌ぶりだなと…)。

おすすめ度:A

The 7th Blues / B’z

LOOSE

1995年11月22日 初動約133万枚 売上約300万枚

▼収録曲

01.spirit loose/02.ザ・ルーズ/03.ねがい(“BUZZ!!” STYLE)/04.夢見が丘/05.BAD COMMUNICATION(000-18)/06.消えない虹/07.love me, I love you(with G Bass)/08.LOVE PHANTOM/09.敵がいなけりゃ/10.砂の花びら/11.キレイな愛じゃなくても/12.BIG/13.drive to MY WORLD/14.spirit looseⅡ

8thアルバム『LOOSE』。94年の前作『The 7th Blues』から約1年8ヶ月ぶり。

シングル「ねがい(“BUZZ!!” STYLE)」(149万枚)「love me, I love you(with G Bass)」(139万枚)「LOVE PHANTOM」(186万枚)収録。前年にリリースされていた「MOTEL」は未収録

B’zは2人であるという原点に立ち返り、これまでの制作スタッフ集団「B+U+M」を解散させ松本・稲葉2人が中心となって制作された。今作から稲葉もサウンド作りから参加。また池田大介がアレンジャーとして初参加している。フォトブックレット付でスリーブケース入りだが通常盤のみの発売。

当時の歴代最高初動を記録し、累計でトリプルミリオンに到達。B’zのオリジナルアルバムでは最大ヒット作となった。96年度年間アルバムチャート3位。

B’zの二人が自分達のルーツを全面提示した前作『The 7th Blues』から打って変わってポップ&ロック路線へと回帰した。収録シングルの時点で明らかにポップ&キャッチーな空気が炸裂していたし。前94年は「暗黒時代」なんて呼ばれていたが、いくら年が変わったからといってここまでガラリと変わるものか…?という位に作風が転換していて面白い。

収録されている3シングルはもはや説明不要な程の名曲揃いだし、就職活動をしたくない大学生の嘆きを歌った超絶ナンバー「ザ・ルーズ」(〈おとうさんゴルフの素振りをやめて~〉なんて歌詞をここまでカッコよく仕上げられるのは彼ら位であろう)、後のベスト盤にも収録される名バラード「消えない虹」等アルバム曲も充実。ただシングルやリード曲があまりにも強過ぎて後半のアルバム曲の印象がやや薄い気もする。とは言えやはりオリアル最大ヒットだけあって凄まじい勢いを感じるし「ねがい」「love me, I love you」はシングル時とかなり異なるアレンジが施されているのでベスト盤を持っていても一聴の価値アリ。

おすすめ度:B

LOOSE / B’z

FRIENDSⅡ

1996年11月25日 初動約96万枚 売上約146万枚

▼収録曲

01.Friends Ⅱ/02.SNOW/03.傷心/04.BABY MOON/05.sasanqua~冬の陽/06.ある密かな恋/07.きみをつれて

5thミニアルバム『FRIENDSⅡ』。

95年の8thアルバム『LOOSE』から約1年ぶり。ミニアルバムとしては4年ぶりであり、1992年の4thミニアルバム『FRIENDS』の続編。ただ全曲で一つのストーリー性を持っていた前作とは異なり、今作は1曲1曲独立している。「SNOW」意外は長らくライブ未演奏だったが2021年に行われた『B’z presents LIVE FRIENDS』にて残り全曲も25年越しにライブ披露された(ちなみに「SNOW」「傷心」は1996年の『ミュージックステーションスーパーライブ96』にてテレビ披露された事はあった)。ミニアルバムの中では91年の『MARS』に次ぐ2番目の売上となった。

『FRIENDS』に続いておとなしめの作風だが今作はより上質で大人な佇まいの逸品という感じ。一応リード曲的な貫禄のある「傷心」こそややロックだが、全体的にパブリックイメージからかけ離れた落ち着きっぷりなので「これがB’z!?」と驚くリスナーも居る事だろう。ただB’zらしくないから駄目かというとそんな事は全く無く、これはこれで大人なB’zを堪能できる名作だと感じる。松本によるインストナンバーも良い味を出していて素晴らしい。ミニアルバムという「実験の場」だからこそ生み出された、キャリア史上他に無い名盤。僕としては90年代B’zの中で『The 7th Blues』と並んで好きなアルバム作品。

おすすめ度:A

FRIENDSⅡ / B’z

Flash Back-B’z Early Special Titles-

1997年4月26日 初動約47万枚 売上約99万枚

▼DISC.1 収録曲

01.It’s not a dream/02.LOVE & CHAIN/03.SAFETY LOVE/04.となりでねむらせて/05.君の中で踊りたい/06.LADY-GO-ROUND/07.HURRY UP!/08.Half Tone Lady/09.GUITARは泣いている/10.OUT OF THE RAIN-OFF THE LOCK STYLE-/11.GUITAR KIDS RHAPSODY/12.だからその手を離して

▼DISC.2 収録曲

01.OH!GIRL/02.夜にふられても/03.LOVING ALL NIGHT/04.Nothing To Change/05.BREAK THROUGH/06.NEVER LET YOU GO/07.君を今抱きたい/08.STARDUST TRAIN/09.SAVE ME!?/10.BAD COMMUNICATION/11.ROSY/12.DA・KA・RA・SO・NO・TE・O・HA・NA・SHI・TE-OFF THE LOCK STYLE-

非公認ベストアルバム『Flash Back-B’z Early Special Titles-』。5thミニアルバム『FRIENDSⅡ』と9thアルバム『SURVIVE』の間にリリースされた。

今作は1st~3rdアルバム及び1stミニアルバムが収録範囲。1stアルバム『B’z』から5曲、2ndアルバム『OFF THE LOCK』から9曲、1stミニアルバム『BAD COMMUNICATION』から3曲全て、3rdアルバム『BREAK THROUGH』から7曲が収録されている。

いわゆる最初期に当たる今作該当時期の代表原盤権のみかつて所属していたBMGが持ったままだったようで、今作はB’zのメンバー並びに所属事務所には無許可でリリースされた。故に今作は公式サイトのディスコグラフィーにも記載されていない。権利関係の問題でメンバー写真が使えないためブックレットはCGイラストで構成されている。初回盤はCDケースが1枚ずつに分かれている。通常盤は2枚組専用ケース。

メンバーから今作に対して特にコメントは無かったそうだが、ビーイング側は今作への抗議としてZARDの『ZARD BLEND~SUN&STONE~』の発売日を同週にぶつけて今作の1位獲得を阻止。結果、20万枚程の差(ZARDは初動66万枚だった)で今作は2位となり、ビーイング側の思惑は達成された。しかしチャート上では今作もB’zの作品として扱われるため、アルバム連続1位記録及び2002年の『GREEN』まで続いていたアルバム連続ミリオン記録という2つの記録が分断される事となってしまった

B’zサイドに許可無く勝手に出されてしまった作品という事でファンからの評判はかなり悪いアルバム。前述の権利問題の関係でメンバーの写真が一切使えないというのを踏まえても凄い手抜き感が漂うCGイラスト連発のブックレットも何だかなぁ…という感じ。ただ「ブレイク前のB’zをちょっと聴いてみたい」という場合には非常に手っ取り早い一作であるというのも一つ事実としてあると思う。一応リマスタリングはされているようで当時の4作と比べると音が持ち上がっているし。更に言うと個人的にオリジナルアルバム一作ずつで聴いた時よりも今作で聴いた時の方がそれぞれの曲が良く感じた。これはやはり音質が向上してクッキリ聴こえるようになったからだろうと思う(初期4作は常にモヤがかかったような貧弱な音)。ファンの方には怒られるかもしれないけど、漠然と初期B’zを聴いてみたいな~と思っている人なんかには今作をオススメしたい。現在では今作も中古で投げ売りされているので、初期4作を揃えるよりも安く、かつ素早く入手できるので。

おすすめ度:C

Flash Back-B’z Early Special Titles- / B’z

SURVIVE

1997年11月19日 初動約104万枚 売上約172万枚

▼収録曲

01.DEEP KISS/02.スイマーよ!!/03.Survive/04.Liar! Liar!/05.ハピネス/06.FIREBALL/07.Do me/08.泣いて 泣いて 泣きやんだら/09.CAT/10.だったらあげちゃえよ/11.Shower/12.Calling

9thアルバム『SURVIVE』。

非公認初期ベストアルバム『Flash Back-B’z Early Special Titles-』から約7か月ぶり。オリジナルアルバムとしては1995年の『LOOSE』以来約2年ぶりであった。

シングル「FIREBALL」(75万枚)「Calling」(100万枚)「Liar! Liar!」(79万枚)収録。前作『LOOSE』以降に発売されたシングルの内「ミエナイチカラ~INVISIBLE ONE~/MOVE」「Real Thing Shakes」は未収録。前作同様に通常盤のみの発売でフォトブックレット付スリーブケース入り。またCD EXTRA仕様となっておりパソコンに入れると「Liar! Liar!」のPVが見れる。

シングルでは91年の「LADY NAVIGATION」から96年の「Real Thing Shakes」まで13作連続ミリオンを記録していたが97年頭の「FIREBALL」で途切れた。今作も前年のミニアルバム『FRIENDSⅡ』の売上は超えたもののフルアルバムとしては前作『LOOSE』を大きく下回りセールス面でのピークは過ぎてきていた。

前作に続いてポップとロックの混ざり合いが絶妙な一作。90年代前半では固かった稲葉のボーカルもここまで来ると現在のイメージ通りの声になってきていて、後追いで聴いても違和感は無いだろう。ただ前半に派手だったりリード曲っぽい風格のアルバム曲やシングルが固まっているせいで後半の曲が印象に残らないという感じもある。この点も前作と同じ感想で、これ以降のB’zのオリジナルアルバムは割とそういう印象のアルバムが多くなってくる(B’zというよりビーイングの傾向がコレにちかいような…)。まぁ10周年直前の作品でありB’zとしてはベスト前の集大成のような一作とされているようなので(メンバーも後々B’zのNo.1アルバムはどれかとの問いに今作を挙げているらしい)そう思って聴くと貫禄のようなものを感じなくも無い。

おすすめ度:B

SURVIVE / B’z

B’z The Best “Pleasure”

1998年5月20日 初動約271万枚 売上約513万枚

▼収録曲

01.LOVE PHANTOM/02.love me, I love you/03.Easy Come,Easy Go!/04.ZERO/05.ALONE/06.裸足の女神/07.愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない/08.LADY NAVIGATION/09.太陽のKomachi Angel/10.BE THERE/11.Don’t Leave Me/12.Bad Communication E.Style/13.Calling/14.さまよえる蒼い弾丸

1stベストアルバム『B’z The Best “Pleasure”』。

初のオフィシャル・ベストアルバム。ベスト盤の発売は96年頃からレコード会社が提案していたがメンバーが頑なに拒否しており実現していなかったらしい。デビュー10周年という節目のこの年ようやく実現。企画当初は『Golden Best』というタイトルで、11thシングル「ZERO」から23rdシングル「Liar! Liar!」までを機械的に収録した内容だったらしいがファンからの批判が殺到し変更されたという。

全曲リマスタリング。時間差で特典が付き、初回生産特典はB4版204ピースジグソーパズル、第2生産特典はポストカード、第3生産特典は300ピースジグソーパズル。また全てにB’z特製トレーディングカードが付属。9月には今作の兄弟盤としてファン投票リクエストアルバム『B’z The Best “Treasure”』がリリースされた。

この時点で「BE THERE」(34万枚)「太陽のKomachi Angel」(46万枚)「LADY NAVIGATION」(117万枚)「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」(202万枚)「裸足の女神」(173万枚)「さまよえる蒼い弾丸」(69万枚)の6シングルはアルバム初収録だった。また「ALONE」「love me, I love you」はシングルバージョンではアルバム初収録。

2008年に20周年ベスト『B’z The Best “ULTRA Pleasure”』、『B’z The Best “ULTRA Treasure”』がリリースされ、更に2013年にシングルコレクション『B’z The Best ⅩⅩⅤ 1988-1998』、『B’z The Best ⅩⅩⅤ 1999-2012』がリリースされた現在では今作でしか聴けないシングル曲は無いが、楽曲としては「Bad Communication E.Style」のショートバージョンのみ未だ今作でしか聴けない

B’zの初ベストという事で発売前から大きな話題を呼んだ今作は当時のアルバム初動歴代1位を記録。最終的に国内初の500万枚突破作品となり、前年に発売され当時歴代1位だったGLAYの『REVIEW-BEST OF GLAY』を抜き去り日本新記録を樹立する特大メガヒットとなった。ただ1年後に宇多田ヒカルの『First Love』が700万オーバーを記録しあっさり抜き去られ、現在では歴代2位となる。ベストアルバムに限定すると歴代1位。

90年代のB’zはアルバムコンセプトというものを非常に重視していて、方向性に合わなければミリオン超えの大ヒットシングルでも容赦なくアルバム未収録にしていた。その為この時点で放置されていたシングルも多く、それらがアルバムで聴ける!という点でも当時かなり重宝された一作だと思われる。日本記録を樹立した大ヒット作とは言えこの後多数のベスト盤が出ている現在では流石に価値が薄いが、1枚である程度ヒット曲を押さえられる点、中古でかなり安い値段で買える点等には注目できる。公式ベスト群の中では最も古いリマスターなので音が一番良くないんだけど、それでも98年の作品なので音量が低過ぎるとかいう事は全く無い。更に兄弟盤『B’z The Best “Treasure”』と合わせれば90年代B’zのおいしい部分を格安で堪能できるので、ちょっとB’z聴いてみようかなという人には現在でもオススメである。

おすすめ度:B+

B’z The Best “Pleasure” / B’z

B’z The Best “Treasure”

1998年9月20日 初動約250万枚 売上約443万枚

▼収録曲

01.BLOWIN’/02.恋心(KOI-GOKORO)/03.TIME/04.Liar! Liar!/05.ねがい/06.愛しい人よGood Night…/07.Pleasure’98~人生の快楽~/08.ミエナイチカラ~INVISIBLE ONE~/09.もう一度キスしたかった/10.FIREBALL/11.Real Thing Shakes/12.MOTEL/13.いつかのメリークリスマス/14.RUN-1998 style-/HOME(ワンコーラス・アコースティックバージョン)

2ndベストアルバム『B’z The Best “Treasure”』。

同年5月にリリースされていた1stベスト『B’z The Best “Pleasure”』に続く兄弟盤で、ファン投票によるリクエストベストとなっている。この時の投票1位は「恋心(KOI-GOKORO)」(「ZERO」2nd beat)であった。全曲リマスタリング。「Pleasure’98~人生の快楽~」と「RUN-1998 style-」は今作用に新録音された音源を収録している。14曲目終了後にシークレットトラックとして当時の最新シングル「HOME」のアコースティックバージョンが収録されている(ワンコーラス)。

初回生産特典は秘蔵写真やインタビューを掲載した100ページに及ぶ本「B’z The Book Treasure」、第2生産特典はB’z特製トランプ(全4種)。また投票20位の曲を当てたら抽選で10万名に音の出るB’z人形がプレゼントされるという企画が封入はがきを用いて行われた。ただ問題がムズ過ぎたのか正解者が5万名に留まったため抽選で5万名の不正解者にも人形がプレゼントされる事になったという(ちなみに正解は「Wonderful Opportunity」)。

今作では「BLOWIN’」(176万枚)「MOTEL」(131万枚)「ミエナイチカラ~INVISIBLE ONE~」(「MOVE」と両A面 123万枚)「Real Thing Shakes」(114万枚)の4シングルがアルバム初収録。また「ねがい」はシングルバージョンでは初収録となる。

2008年に20周年ベスト『B’z The Best “ULTRA Pleasure”』、『B’z The Best “ULTRA Treasure”』がリリースされ、更に2013年にシングルコレクション『B’z The Best ⅩⅩⅤ 1988-1998』、『B’z The Best ⅩⅩⅤ 1999-2012』がリリースされた現在では今作でしか聴けない楽曲は無いが、新録音2曲のみ現在でも今作でしか聴けない

兄弟盤『B’z The Best “Pleasure”』が日本記録を樹立する特大ヒットを飛ばしていた中でのリリースだった事もあり当然のように今作も大ヒット。400万枚を突破し自身2番目のヒット作となり、98年の年間アルバムチャート1位・2位をB’zが独占した(1975年の井上陽水以来の記録)。年間チャートで1位を獲得していない作品の中では歴代1位の売上である。現在では歴代アルバムチャート5位につけている。また発売日をB’zのデビュー日に合わせた為、チャート集計上不利な日曜日発売(2日間のみの集計)であった。故に本来の初動が分散されたようで初動250万から2週目も100.4万枚と、2週連続でミリオンを記録した。

中学時代、前作『B’z The Best “Pleasure”』とセットで買ってきて最初は代表シングル満載の前作ばかり聴いていたが、次第に今作の方が好きになっていった。僕が中古で買った当時(02~03年頃)でも「ミエナイチカラ」「Real Thing Shakes」「MOTEL」辺りは今作でしか聴く事が出来ず、それらの曲にハマっていくにつれて今作をリピートしまくるようになっていった。当時の僕が「目立たないけど実は名曲」みたいなものを好きになりがちな時期だったというのもあるかもしれないが、現在でも今作のラインナップは最強だと思う。現在ではもっとオールタイムなベストが多数出てはいるもののB’zで一番好きなベストはどれかと問われたら今作になる。兄弟盤『B’z The Best “Pleasure”』と組み合わせる事で90年代B’zの大ヒット曲や人気曲はほぼ押さえられるし、この2作は中古で格安で揃えられるので大ヒット期のB’zを聴いてみようかなと思っている人にはこの金銀セットがオススメ。

まぁ書く前から何となく分かっていたんだけど、感想が『ZARD BEST~Request Memorial~』とほぼ同じになってしまった…。

あれも今作と全く同じ立ち位置(純粋ベストと姉妹盤のファン投票ベスト)だし。どうやら僕は「オーソドックスベスト発売後にそれと兄弟盤として発売されるファン投票ベスト盤」というものを好む傾向があるようだ(細かい趣向だな)。

おすすめ度:A+

B’z The Best “Treasure” / B’z

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著者:マー・田中(@kazeno_yukue)

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