JUDY AND MARY 歴代シングル&名曲感想 #1 ~1993-1996~
メンバーはYUKI(ボーカル)、TAKUYA(ギター)、恩田快人(ベース)、五十嵐公太(ドラム)。JUDY AND MARYは本当に4人の天才によって生み出された奇跡のバンドだったと思う。そんな彼らの楽曲を、シングル中心に振り返っていこう。ちなみに復活して欲しいバンドランキングでは常に上位に名を連ねるが、決して仲良しこよしのバンドでは無かったし、恐らく再結成は無いだろうと思われる…。
ジュディマリは、わたくしマーのJ-POP史の中でもかなり最初期の段階でハマったバンドの一組である。意識してしっかり聴き始めたのは2002年頃(当時中学1年生)であり、当時既に解散していたため音源は全て後追いで聴いているがいくつかの曲はリアルタイムでの記憶もある。
1st POWER OF LOVE
1993年9月21日
最高95位、0.3万枚
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
記念すべきデビュー曲。初期らしいパンキッシュなナンバー。どこがサビなのかよく分からない平坦な構成がどうにも受け入れられず当初はあまりピンと来ない曲だった。しかし最近になって改めて聴いてみると、〈窓から流れるHighway アトムの世界に続くの〉〈明日 世界が終わっても〉等、非現実的な歌詞を淡々としたビートに乗せる事で生まれる虚無感がクセになるなと感じてきた。こういう楽曲ってありそうであんまり無い気がする。
おすすめ度:C
収録アルバム:1st『J・A・M』、1stベスト『FRESH』他
2nd BLUE TEARS
1993年11月21日
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
冬をテーマにしたキャッチーなナンバー。チャート入りは逃したものの、解散後のベスト盤『The Great Escape-COMPLETE BEST-』での人気投票で選ばれておりファン人気の高い一曲。ロリータパンクなイメージの強い初期ジュディマリの中では異色の曲だったのかもしれないが、後の大ブレイクへの予兆が早くも垣間見える初期の名曲だと思う。フジテレビ系『めちゃ×2イケてるっ!』エンディングテーマであり、2006年には映画『シムソンズ』主題歌にもなった。
おすすめ度:B
収録アルバム:1st『J・A・M』、1stベスト『FRESH』他
3rd DAYDREAM
1994年4月21日
最高58位、1.3万枚
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
1stアルバムからのリカット。テンポはスピーディーだが、恩田が語るようにジリジリと追いつめられる緊迫感のようなものが滲み出ているダークな曲。3分半程であっという間に駆け抜けてしまう。サビは頭に残るけどそこまで好きな曲でも無い。この曲で『ミュージックステーション』に初出演した際に、赤いワンピースにミニスカートで登場したYUKIが印象的だった。この頃まではまだロリータパンク色が強かったように思う。
おすすめ度:C
収録アルバム:1st『J・A・M』、1stベスト『FRESH』他
4th Hello! Orange Sunshine
1994年8月21日
最高22位、9.9万枚
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
NHK BS 火曜日イメージソングであり、前作までと比べて大きく売上を伸ばした。中学生の頃に『CDTV』の過去ゲストライブ映像で初めて聴き、印象には残ってるけどそこまで好きでも無い曲。個人的に「RADIO」や「Cheese”PIZZA”」と比べると数段落ちるなぁという印象です。
おすすめ度:C
収録アルバム:2nd『ORANGE SUNSHINE』、1stベスト『FRESH』他
C/W RADIO
作詞:Tack & Yukky、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
テンポは爽快なんだけど歌メロはノスタルジックでキュンとくる。聴いても、歌っても、演奏しても非常に気持ちの良い曲だ。サビの〈FANTASTIC!!〉〈JUST SWEET!!〉という伸びやかなYUKIの声を聴くと、歌詞の通り電波に乗って夜の街を駆け抜けているような気持ちになる。中学生の頃とかに、夜中にこっそり外で友達と会ったり遊んだりしていた時のワクワク感やスリルが詰まっていると思う。
おすすめ度:B+
収録アルバム:2nd『ORANGE SUNSHINE』、1stベスト『FRESH』他
5th Cheese”PIZZA”
1994年11月2日
最高15位、7.7万枚
作詞:YUKI、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
ポップな曲調、軽やかなメロディーはキュートで初期の佳作といった印象の曲。歌詞の通り〈抜けるような青空〉が目の前に浮かぶ。サビよりもBメロの〈とろけるcheeseみたい 恋を知らないふたり〉の部分の方が好み。ベスト盤『FRESH』には未収録だったので音源を入手したのは結構遅かった。
おすすめ度:B
収録アルバム:2nd『ORANGE SUNSHINE』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
C/W クリスマス
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
東海銀行クリスマスキャンペーンソング。こちらはストレートなバンドサウンド。『FRESH』に未収録だったので音源を手にしたのは遅かったのだが、『CDTV』の過去ゲストライブ映像で観た事があったので曲自体は古くから知っていた(その時は「隠れた名曲」的な扱いで紹介されていた)。
曲調は爽快なのに歌詞が若干切ない。特にラストでバンドが止みギターのアルペジオのみになる〈目が覚めるまでそばにいて…〉の部分がかなり切ない。なんか、朝になって目が覚めたら結局「あなた」は居なくなっているんじゃないだろうか…等と勝手に事後ストーリーを考えては悲しい気持ちになってしまう。この寂しさは何となく浜崎あゆみの「teddy bear」に通じるものがある。メロディー含めかなり好きな一曲である。クリスマスソングの名曲に数えられる。
おすすめ度:A
収録アルバム:2nd『ORANGE SUNSHINE』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
6th 小さな頃から
1995年1月21日
最高37位、3.9万枚
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
2ndアルバムからのリカット。フジテレビ系『Rooms』エンディングテーマ、映画『シムソンズ』挿入歌。ノスタルジックで透明感あふれる名曲。クリアなアルペジオが涼しさを感じさせる。〈かわいた風に ゆきづまっても こわくはないわ 1人じゃない…〉の後の流れるようなギターソロが涙腺を刺激する。
おすすめ度:B+
収録アルバム:2nd『ORANGE SUNSHINE』、1stベスト『FRESH』他
C/W 自転車
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
こちらも2ndアルバムからのリカット。サンサンとした夏の太陽を感じさせる弾けた痛快ポップ。ジャキジャキ刻まれるエレキのリズムが心地いい。ひたすら青春だなぁって感じの良曲だ。
おすすめ度:B+
収録アルバム:2nd『ORANGE SUNSHINE』、1stベスト『FRESH』他
7th Over Drive
1995年6月19日
最高4位、67.0万枚
作詞:YUKI、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
トヨタ・カローラツーリングワゴンCMソング、第21回全国高等学校クイズ選手権エンディングテーマ(2001年)、日清食品『野菜スープヌードル』CMソング(2006年)。
初のTOP10入りを果たしたブレイク作。まさしく風のように突き抜けるYUKIのハイトーンボイスに夏っぽい爽快な曲調が合わさって、ポップかつ切ない独特の世界観が作り上げられている。常に後ろでソロを弾いているようなTAKUYAイズムが姿を見せ始めるのもこの頃からだ。
個人的にわたくしマーのJ-POP始まりの曲のうちの一つ。元々は母親が8cmシングルを持っており、まだそんなに音楽に興味の無かった中学1年生時にそれを何気なく聴いたらあまりの名曲ぶりに驚愕した。初めてこの曲のサビを聴いた時の衝撃・興奮は一生忘れる事は無いだろう。それ程の感動だった。この衝撃をキッカケに一気にJ-POP全般にハマっていったのでやはり僕にとっては始まりの一曲という印象が非常に強い。僕は「懐かしさ」や「ノスタルジー」というものを感じさせてくれる音楽が好きなのだが、そういった点でこの曲は最強だ。大名曲。なんつーか「青春をありがとう」って感じである。
ジャケットにうつるYUKIを見て、「こんなに可愛い人がこの世に居るのか!?」という衝撃も同時に受けた。この衝撃はかなりのもので、この世で最も可愛い女性はYUKIだと思ったものだ。僕の当時の燃え上がりは凄まじく、寝ても覚めても授業中にもひたすらYUKIの事を考えてしまう程に病におかされていた。当時は携帯もネットも使えなかったので手がかりがCDで聴こえる声・またはジャケットの写真しか無かったわけだが、逆にそんな制限された環境が僕の恋を燃え上がらせたのではないかと思う(数年経つと流石に落ち着いたが…)。
おすすめ度:S
収録アルバム:3rd『MIRACLE DIVING』、1stベスト『FRESH』他
C/W エゴイスト…?
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
彼女がいる人を好きになってしまった女の子の歌。歌詞・メロディーの切なさはもしかして全楽曲中1位なのではないだろうか? 感情移入すると涙が出そうになる隠れ名曲。
おすすめ度:A
収録アルバム:2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
8th ドキドキ
1995年10月21日
最高8位、25.6万枚
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
NHK『ポップジャム』オープニングテーマ。歌詞・メロディー共にノスタルジアというか切なく懐かしい気持ちを感じさせる温かい曲だ。子供の頃に空を見上げるたび感じていたあの果てしない空の広がりが蘇ってくる。〈「もう二度と会えなくなるの?」 それが聞けなかったの〉という歌詞がとても切なく印象的。
おすすめ度:B
収録アルバム:3rd『MIRACLE DIVING』、1stベスト『FRESH』他
3rdアルバム MIRACLE DIVING
1995年12月4日
KYOTO
作詞・作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』収録曲。作詞も作曲もTAKUYA単独のクレジット。懐かしさや郷愁を思わせる落ち着いたナンバー。タイトル通り京都を題材に作られているが何でもTAKUYAの出身地らしい。バンドサウンドというよりは「歌」そのものに重点を置いたような美しいナンバーで名曲。ピーンと澄んだ気持ちになる。アルバム曲ながら唯一『FRESH』に収録されており、メンバー(というよりTAKUYA)の思い入れも深い曲のようだ。
おすすめ度:A
収録アルバム:3rd『MIRACLE DIVING』、1stベスト『FRESH』他
あなたは生きている
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』収録曲。ストレートでキラキラした曲。もっと注目されても良いんじゃないかと思う隠れ名曲だ。3rdアルバムは恩田曲とTAKUYA曲の配合のバランスが最も良く保たれていた傑作だった。
おすすめ度:B+
収録アルバム:3rd『MIRACLE DIVING』
ステレオ全開
作詞:Tack & Yukky、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』収録曲。TAKUYAらしい、転調を繰り返すチョコマカした明るいポップナンバー。歌うのも演奏するのもかなり難しそうだけど軽快に歌いこなすYUKIのパワーに恐れ入る。後にシングル「そばかす」のカップリングにリカットされるが、その際には冒頭の「オフサイド~!」という掛け声(声は元サッカー日本代表柳本啓成)がカットされている。
おすすめ度:B
収録アルバム:3rd『MIRACLE DIVING』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』他
9th そばかす
1996年2月19日
最高1位、105.8万枚
作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
意外にも自身唯一の1位&ミリオンシングル。
フジテレビ系アニメ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』オープニングテーマ。最大ヒットであり、恐らく最も有名な曲はコレだろう。おもちゃ箱をひっくり返したようにポップでカラフルな印象の曲。一発で耳に残る強烈なサビは凄まじい。個人的に「Over Drive」程ではないがやはりかなりの名曲。JAMの代表曲という枠を超えて90年代J-POPを代表する一曲という風格を纏っている。
僕の世代だと『るろうに剣心』主題歌として知ってる人も多いみたいだが僕は全くこのアニメを観ていなかったので純粋なJ-POPのヒット曲として認識していた。同じようにWANDSの「世界が終わるまでは…」やZARDの「マイ フレンド」等もアニメ主題歌として認識している人が同世代には非常に多いんだけど、アニメを観る習慣があまり無かった僕にとってはどれも純粋なJ-POPの一曲である。同じ楽曲でも知る経緯は人それぞれ違うのだ。
おすすめ度:A
収録アルバム:4th『THE POWER SOURCE』、1stベスト『FRESH』他
10th クラシック
1996年10月28日
最高3位、63.2万枚
作詞:Tack & Yukky、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
TBS系列『Pop-file』オープニングテーマ。元々はTAKUYAがソロプロジェクトのために作った曲だったが、YUKIが「歌いたい」と切望したためJAMでやる事になったという。
96年の秋~冬にかけての、あのしっとりした空気を思い起こさせる名曲。幻想的なオーラに包まれていて個人的にJAMで好きな曲TOP3には必ず入ってくる曲だ。サビも抜群に良いけどAメロの〈Baby 今は泣かないで~〉の部分が最高に好き。JAMらしさが集約された結晶みたいな一曲。
おすすめ度:A+
収録アルバム:4th『THE POWER SOURCE』、1stベスト『FRESH』他
※この続き(「くじら12号」以降)は下記記事でございます
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