JUDY AND MARY 全シングル&名曲レビュー #2 ~「くじら12号」から「PEACE」~

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JUDY AND MARY 全シングル&名曲レビュー #2

JUDY AND MARYレビュー、後編スタートです。1996年末に『第47回NHK紅白歌合戦』に出場、97年春の4thアルバムが200万枚を突破(同週発売だったSMAPのベスト盤に2倍の売上差をつけ2位に抑えた)する等、バンドの人気は絶頂を迎えるが…。

※これ以前のレビューは下記記事です。

JUDY AND MARY 全シングル&名曲レビュー #1 ~「POWER OF LOVE」から「クラシック」~
JUDY AND MARY 全シングル&名曲レビュー #1 メンバーはYUKI(ボーカル)、TAKUYA(ギター)、恩田快人(ベース)、五十嵐公太(ドラム)。JUDY AND MARYは本当に4人の天才によって生み出された奇跡のバ...

11th くじら12号

1997年2月21日
最高5位、44.7万枚

作詞:Tack & Yukky、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
本田技研工業『ライブ・Dio』CMソング。アップテンポで弾けた明るいナンバー。TAKUYAイズムが本格的に開花し出し、それに引っ張られるようにベースとドラムも縦横無尽に動き回るようになり、そんなうねった演奏陣の上に泳ぐように軽やかなYUKIの歌が乗り、4人の個性がぶつかり合った唯一無二のJAMワールドが形作られてきた。勢いバツグン。JAMらしさの一つの到達点はこの曲だったのかもしれない。一ヶ月後にリリースされた4thアルバムはこの勢いのままにダブルミリオンを突破。人気はピークを迎える。

おすすめ度:B+
収録アルバム:4th『THE POWER SOURCE』、1stベスト『FRESH』他

4thアルバム THE POWER SOURCE

1997年3月26日

BIRTHDAY SONG

作詞:Tack & Yukky、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
4thアルバム『THE POWER SOURCE』収録曲。当時のJAMを象徴するような勢い全開の一曲だ。ロック調のAメロから、Bメロにうつるとふっと澄んだ空気感に変わるそこがたまらない。やはりギターが暴れ回っているが、サビの広がり感は絶品。TAKUYAイズムとメロディアス性が最も高いレベルで融合している一曲かもしれない。

おすすめ度:A
収録アルバム:4th『THE POWER SOURCE』、ライブ盤『44982 VS 1650』(ライブバージョン)

Happy?

1997年3月26日

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
4thアルバム『THE POWER SOURCE』収録曲。パンク調のAメロ、ガツンとしたロックテイストのBメロ、そして陽気なサビと、一曲の中で様々に展開していくナンバー。最初に聴いた時は何とも思わなかったが聴き込んでいくうちに好きな曲となった。ぜひバンドで演奏したい一曲だ。

おすすめ度:B+
収録アルバム:4th『THE POWER SOURCE

風に吹かれて

1997年3月26日

作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
4thアルバム『THE POWER SOURCE』収録曲。TAKUYAイズムが猛威をふるう中、恩田が放った渾身の名曲。ピュアなメロディーが胸に響く。イントロのギターフレーズが印象的。

おすすめ度:B+
収録アルバム:4th『THE POWER SOURCE』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

12th ラブリーベイベー

1997年5月21日
最高12位、9.3万枚

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
4thアルバムからのリカット。勢い重視の暴発的ロックナンバー。最初から最後までとにかく勢いが凄いが、よく聴くとメロディーもそれなりに良くて引き込まれる。ワニギターを抱えるYUKIの姿が印象的だが、実際にはワニの人形であり楽器では無いらしい。

おすすめ度:B
収録アルバム:4th『THE POWER SOURCE』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』他

13th LOVER SOUL

1997年10月15日
最高5位、50.4万枚

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
前作はリカットという事で売上は低かったが、今作はその前の「くじら12号」をも上回り50万枚に復調。

またもTAKUYA曲であり、バンドの主導権はどうやら彼に渡ったようだ。冬をテーマにしたミディアムナンバー。やはりバックでは常にギターがうねるように鳴っておりやはりTAKUYAイズムだなぁと思うが、メロディーがとにかく極上。ファン人気が高いのも頷ける。冬の雪道で聴いたら本当にたまらないだろう。余談だがジャケットのYUKI髪型どうなってんだ?

おすすめ度:B+
収録アルバム:5th『POP LIFE』、1stベスト『FRESH』他

14th 散歩道

1998年2月11日
最高3位、47.9万枚

作詞:YUKI、作曲:五十嵐公太、編曲:JUDY AND MARY
初動19万枚を記録したがMr.Children「ニシエヒガシエ」、Every Little Thing「Time goes by」と当たったため3位だった。この週はサザンオールスターズの「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」も4位に初登場しており結構な強豪週だったと言える(WANDSの「Brand New Love」も17位に初登場してるよ)。

フジテレビ系ドラマ『ニュースの女』主題歌。当時わたくしマーは小学2年生で、このドラマを観ていたので思い出深い。鈴木保奈美がキャスター役、滝沢秀明が高校生役で出ていて結構面白かった。故に「Over Drive」や「そばかす」よりももっと早くの段階で耳に馴染んでいたJAMの曲はコレであった。当時は音楽に興味無かったので曲名や歌手を調べたりはしなかったが耳には残っていて、中学生になってから『ニュースの女』の主題歌ジュディマリだったのか!と記憶と知識が繋がった。

アルバムでは作曲する事もあった五十嵐だがシングルを手掛けたのは唯一この曲のみ。TAKUYA曲は演奏がうねっているが五十嵐曲は歌のメロディーがうねっているという印象。〈なっによっりっもっお~♪〉という弾けたサビが強い。こんな複雑なメロディーでヒットを飛ばしてしまう辺り、間違いなく五十嵐も作家として天才だったのだろう。

おすすめ度:B+
収録アルバム:5th『POP LIFE』、1stベスト『FRESH』他

C/W ステキなうた

作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:JUDY AND MARY
結果的にJAMでの恩田曲はコレがラストとなってしまう。だからか、軽快な曲調なのにどこか退廃的な空気が漂っているようにも思えてしまう。TAKUYA曲ばかりで固められた5thアルバムの中で収録された唯一の恩田曲。

おすすめ度:C
収録アルバム:5th『POP LIFE

15th ミュージック ファイター

1998年4月1日
最高4位、14.8万枚

作詞:Tack & Yukky、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
アクシアMDCMソング。JAMというよりも、TAKUYAイズムの一つの到達点にして最終形態。超絶なる迷曲にして大名曲。一般的なJAMのイメージのまま聴くと「何じゃこりゃ?」と思うだろう。僕も『FRESH』を買った頃はどうしても馴染めず飛ばしていた。

が、しかし、ある時期を境に急速にこの曲に魅かれていったのである。これは歌のメロディーだけでなく、バンドサウンドや音の世界観全体を総合して一つの「楽曲」として捉えるように僕の聴き方が変化してきたからだと思う。サビ直前の揺さぶられるようなリズム・サウンド・演奏は最高にカッコイイ。この曲にハマったならもうJAM沼から抜け出せない。本当に奇跡の名曲である。

後のインタビューでYUKIが「発売当時なぜこれをシングルに?と周囲から聴かれたが、自分達にとっては逆にこれこそシングルに相応しい曲だと思っていた」と語っておりかなり手応えは感じていたのであろう(恩田がどう思っていたのかは分からないが…)。結果、突然のぶっ飛び様にファンも戸惑ったのか47万→14万と売上は激減した

おすすめ度:A+
5thアルバム『POP LIFE』、1stベスト『FRESH』他

5thアルバム POP LIFE

1998年6月24日

ナチュラル ビュウティ ’98

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
5thアルバム『POP LIFE』収録曲。資生堂『ヌーヴ カラークレヨン』CMソング。恩田曲が僅か1曲となり完全にバンドの主導権がTAKUYAに移った5thアルバム。その中でもこの曲はたまらない。バンドサウンドは暴発系でぶっ飛んでるんだけどメロディーは極上で素晴らしい。サビのキャッチーさはシングルでもイケる。発売後に相次いでシングルカットされたがこの曲もリカット候補に入っていたのでは? 他にも「ランチ イン サバンナ」や「グッバイ」等も名曲だし本当このアルバムは凄かった。

おすすめ度:B+
収録アルバム:5th『POP LIFE』、ライブ盤『44982 VS 1650』(ライブバージョン)

16th イロトリドリ ノ セカイ

1998年9月9日
最高11位、7.6万枚

作詞・作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
5thアルバムからのリカット。TAKUYAのソロユニットROBOTSの5thシングルとしても発表された曲で同時発売となった(ROBOTSの方は31位)。前作の時点で激減していた売上だが今回はシングルカット、更にカップリングもカラオケだけという事で更に下回り遂に10万割れ

アクシア『for MAJOR HITS』CMソング。シングルでは唯一となるTAKUYA単独の作詞・作曲クレジット(ただし一部YUKIの詞も含まれているという)。秋を感じさせる切ないメロディーと碧いバンドサウンドが涙腺を刺激する名曲。Bank Bandのカバー(2008年のアルバム『沿志奏逢2』に収録)では陽気なポップソングへと変貌していたが、僕としてはこの原曲に忠実にカバーして欲しかったなと思う。

おすすめ度:A
収録アルバム:5th『POP LIFE』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』他

17th 手紙をかくよ

1998年11月11日
最高22位、2.2万枚

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA、編曲:JUDY AND MARY
またも5thアルバムからのリカット。2作連続でのシングルカットという事で売上はかなり低くなった。ちなみにPVを収録したビデオシングルとしても同時発売されている。このシングルを最後にバンドは1年間の活動休止期間に入った。

『NTTドコモ・PHS』CMソング。胸キュンなミディアムナンバー。「ミュージック ファイター」と同じ人が作曲したとは思えない程にピュアでストレートな曲。何だかYUKIの声も同時期の曲と比べて幼く聴こえるような。有名ではないけれどこれも名曲である。サビの伸びやかな歌声は本当にたまらなく良い。

おすすめ度:A+
収録アルバム:5th『POP LIFE』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』他

18th Brand New Wave Upper Ground

2000年2月23日
最高4位、15.8万枚

作詞:YUKI、作曲・編曲:TAKUYA
1999年はライブアルバム・ライブビデオのリリースにとどまり、約1年間の充電期間の末このシングルで活動再開。休止直前のリカットシングル群は超えたが、全盛期の売上水準に戻る事は無かった。

作曲だけでなく編曲までもがTAKUYA単独。ここから先のシングルは全て作曲・編曲がTAKUYAとなるし、6thアルバム『WARP』に至っては全編曲かつトータルプロデュースまでもがTAKUYAとなる(五十嵐作曲の1曲を除いて作曲も全てTAKUYA)。

大塚製薬・ポカリスエットCMソング。復活の勢いがそのまま表れたような、とにかく弾けまくった爽快さがたまらない大名曲。もっと売れてよかったよ。リリースは冬だけど何だか夏のイメージがある曲だ。一ヶ月後に自身初のベスト盤『FRESH』が発売され、オリジナルアルバムよりも一足先にそちらに収録されたのでベスト盤先行シングルのような立ち位置になった。

活動再開ということでバンド内のバランスも上手く整えられたのかと思いきや彼らが選んだのは完全なるTAKUYA主導の道。パワーバランスを思いっきり偏らせる事で無理矢理方向性を纏めるという力技に出た。これ以降はいつ解散してもおかしくない末期状態へと突入していくわけだが、個人的にはここからの4シングルは前にもまして最強。

おすすめ度:A+
収録アルバム:1stベスト『FRESH』、6th『WARP』他

19th ひとつだけ

2000年7月5日
最高9位、11.1万枚

作詞:YUKI、作曲・編曲:TAKUYA
ラストアルバムのいっちばん最後に収録されているため、最も“終焉”を感じるのはこの曲。大空に包まれるような世界観や、転調を繰り返す構成など魅力たっぷりでかなりの名曲だと思うんだけど、世間的な認知度や、語り継がれてる感は全く無いような…。特に『The Great Escape』の人気投票で圏外ってのはちょっと信じられないなと思う。復活後のオリジナルシングルでこれだけ埋もれてないか。

シングルとアルバムではバージョン違いでボーカルが録り直されている。『The Great Escape』からは弾かれ、2006年の『COMPLETE BEST ALBUM「FRESH」』にてようやくベスト初収録となったがそこでもアルバムバージョンで収録されたので、シングルバージョンはシングルでしか聴けない。

おすすめ度:A+
収録アルバム:6th『WARP』(ver.WARP)、3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM「FRESH」』(ver.WARP)

20th motto

2000年11月22日
最高8位、13.8万枚

作詞:Tack & Yukky、作曲・編曲:TAKUYA
夏にはイベントライブ出演、11月には初のZEPP TOKYOにてアコースティックライブを開催するなど積極的に活動。9月にはYUKIが真心ブラザーズのYO-KINGこと倉持陽一との結婚を発表した。

愛をもっとオオオ~!!!自由をもっとォオオオ~!!!というサビがとにかく強烈でこの上ないインパクトを放つ。3分という短い時間の割には聴きごたえ抜群。Aメロのギターフレーズはそれだけ聴いたらどうやって歌メロが乗るのかサッパリ分からないTAKUYAイズムの極致。一発で耳に残るサビのため当時音楽に興味は無かったものの記憶には残っていた。復活後の、言うなれば解散直前期のシングルはどれも素晴らしい出来だったな。

おすすめ度:A
収録アルバム:6th『WARP』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』他

21st ラッキープール

2001年1月24日
最高3位、18.3万枚

作詞:Tack & Yukky、作曲・編曲:TAKUYA
活動再開から約1年経つ2001年1月9日に全国紙朝刊の全面広告でバンド解散を発表。解散翌日に置き土産的に「PEACE-strings version-」は出たが既存曲のアレンジなので、感覚的にはこの「ラッキープール」がジュディマリ最後のシングル曲というイメージ。

フジテレビ系ドラマ『2001年のおとこ運』主題歌。Aメロ・Bメロでは抑えて、サビで一気に弾けるタイプの曲でやはり名曲。『The Great Escape』の投票でも「Over Drive」「そばかす」に次ぐ3位という事でかなりの人気を博している曲のようだ。解散直前期だとは思えない程のフレッシュ感。最後まで本当に全力疾走なバンドだったなと思わせてくれる快作だった。

タイアップだった『2001年のおとこ運』(菅野美穂や田辺誠一、あと当時は人気者だった押尾氏等が出演していた)は当時毎週観ていて中々面白かったのだが、場所や状況問わずやたらとkissしまくるシーンが多かった(ような記憶がある)ので「こういうシーンの連発は子供の教育上良くないんじゃないか?」と小学生ながらに懸念していたのを憶えている。

おすすめ度:A+
収録アルバム:6th『WARP』、2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』他

22nd PEACE-strings version-

2001年3月9日
最高8位、7.3万枚

作詞:Tack & Yukky、作曲・編曲:TAKUYA
ラストライブツアー『WARP TOUR』のラスト公演を東京ドーム2Days(3月7日・8日)にて開催し、ジュディマリ解散。その翌日にリリースされた。完全生産限定盤かつCD+Tシャツという特殊な形態。6月には今作のPV及びレコーディング風景・インタビューも含めたDVDシングル『PEACE』がリリースされた。

解散の翌日に発売されたラストシングル。6thアルバム『WARP』収録曲の別バージョンで、ストリングスアレンジが施されておりおとなしかった原曲と比べると壮大な仕上がりになっている。しかしここまで来るともはやTAKUYAの単なる趣味という感じがしなくもない。編曲もTAKUYAだし、トータルプロデュースもTAKUYA。恩田と五十嵐は参加してんのか、これ?

曲自体は悪くは無いが、バンド感は全く無いし他のシングルと肩を並べる程の曲では無いかなぁというのが正直なところ。感慨深さ等は無く、やはりバンドに限界が来ていたんだなという事が伺える何とも言えないラストシングルとなってしまった。僕の中では「ラッキープール」で一区切り。

おすすめ度:C
収録アルバム:6th『WARP』(原曲「PEACE」)、3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM「FRESH」

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